
― 開業1年、9,263人の実店舗データを分析して分かったこと ―
0.はじめに|開業1年で9,263人。これは多いのか、少ないのか

がぶ飲み食堂を開業して、約1年。
この1年間で、顧客データに登録された人数は9,263人になりました。
この数字を最初に見たとき、私は正直こう思いました。
「1年やって9,263人。意外と少ないな」
がぶ飲み食堂がある枚方市の人口は約39万人です。
単純に人口と比較すると、こうなります。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 枚方市の人口 | 約390,000人 |
| 1年間の登録顧客数 | 9,263人 |
| 人口に対する割合 | 約2.4% |
| まだ登録されていない人数 | 約380,700人 |
| 人口比で未接触 | 約97.6% |
もちろん、これはあくまで単純比較です。
枚方市民全員が飲食店の商圏に入るわけではありません。
年齢も違えば、生活圏も違う。
外食頻度も違いますし、そもそも当店のような業態を利用しない人もいます。
さらに、市外から来店されるお客様もいるため、「枚方市民の2.4%が来店した」ことを意味する数字でもありません。
それでも、9,263人という数字を人口規模と並べてみると、一つ面白いことが見えてきます。
1年間店を営業しても、地域全体から見れば、まだほんの一部のお客様としか接点を持てていない。
ということです。
9,263人という数字だけでは、店の強さは分からない
では、9,263人は多いのでしょうか。
それとも少ないのでしょうか。
実は、この数字だけでは判断できません。
例えば、1年間で1万人のお客様を獲得した店があったとします。
一見すると、非常に集客力のある店に見えます。
しかし、その1万人が全員1回しか来店していなかったらどうでしょう。
反対に、顧客数は5,000人しかいなくても、そのうち多くのお客様が2回、3回、5回、10回と来店していたらどうでしょう。
飲食店経営としては、まったく違う状態です。
| 店舗 | 顧客数 | 再来店 | 状態 |
|---|---|---|---|
| A店 | 10,000人 | ほぼ1回来店 | 新規集客には強いが、定着していない |
| B店 | 5,000人 | 2回・3回と来店 | 顧客が店に定着し始めている |
| C店 | 3,000人 | 何度も来店 | 強い常連基盤を持っている |
つまり、飲食店を見るときに、
「何人来たか」だけを見ても、本当の店の強さは分からない。
ここが今回の分析で一番重要なところです。
飲食店の顧客は「人数」ではなく「階層」で見る
私は今回、9,263人を単純な顧客数として見るのではなく、
「顧客がどこまで育ったのか」
という視点で見てみることにしました。
飲食店の顧客は、大きく考えると次のように変化していきます。
| 段階 | 顧客の状態 | 店側から見えるもの |
|---|---|---|
| ① 認知 | 店を知っている | 商圏・広告・SNS・口コミ |
| ② 初回来店 | 一度利用した | 新規顧客 |
| ③ 再来店 | もう一度利用した | リピーター |
| ④ 習慣化 | 3回、4回と利用する | 固定客 |
| ⑤ 常連化 | 継続的に利用する | 常連客 |
| ⑥ 推奨 | 他人にも店を勧める | 口コミ・紹介 |
店を知ってもらう。
一度来てもらう。
もう一度来てもらう。
何度も来てもらう。
そして、その店を誰かに紹介してもらう。
飲食店の商売は、実はこの繰り返しです。
だから本当に見るべき数字は、
9,263人という母数そのものではありません。
その9,263人の中から、
何人が2回目に進んだのか。
何人が3回目に進んだのか。
何人が4回、5回と店を利用するようになったのか。
ここを見る必要があります。
「新規客を集める力」と「客を残す力」は別物
飲食店では、どうしても新規集客に目が向きます。
Instagram広告を出す。
Googleマップを強化する。
食べログを改善する。
チラシを撒く。
クーポンを配る。
もちろん、どれも重要です。
しかし、新規客をいくら集めても、そのお客様が二度と来なければ、店は永遠に新規客を探し続けなければなりません。
逆に、一度来たお客様の一定割合が、
2回目。
3回目。
4回目。
5回目。
と残っていけば、顧客基盤は少しずつ積み上がっていきます。
これを簡単な図にすると、こうなります。
認知
↓
初回来店
↓
2回目
↓
3回目
↓
4回目以上
↓
常連化
飲食店経営で重要なのは、この階段をどれだけ多くのお客様に上ってもらえるかです。
だから今回は「9,263人」を分解する
9,263人。
この数字だけを見ると、
「1万人近くも来た」
とも言えますし、
「39万人都市で2.4%しか接点を作れていない」
とも言えます。
どちらも間違いではありません。
しかし、経営判断としてはそれだけでは不十分です。
本当に知りたいのは、その9,263人がその後どうなったのかです。
一回来ただけで終わった人は何人いるのか。
二回来てくれた人は何人いるのか。
三回以上利用している人はどれくらいいるのか。
そして、
どこから「常連客」と呼べる顧客層が形成されているのか。
ここまで分解して初めて、店の現在地が見えてきます。
今回の記事では、がぶ飲み食堂の実店舗データを使って、
「飲食店の顧客は、1年間でどのように育っていくのか」
を分析していきます。
9,263人という数字は、ゴールではありません。
むしろ、この数字を入口にして、
新規客がリピーターになり、リピーターが常連客になっていく過程を数字で追いかけてみたいと思います。
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この記事を書いた人 Wrote this article
新田 敏之 RBR合同会社 統括 / 男性
RBR(Restaurant Business Reform)代表。 鉄板焼きの現場で25年。 これまで数多くの飲食店の立て直しを中心とした経営改善に携わり、売上改善、商品開発、人材育成、オペレーション構築、デリバリー事業の立ち上げなど、現場に入りながら支援を行ってきました。 現在は「ガブ飲み食堂」を運営しながら、主力商品の開発・ソースや商品の卸事業、デリバリーFC事業の展開、そして飲食店の経営改善支援を行っています。 このブログで発信するのは、机上の理論ではありません。 すべて現場で試し、失敗し、改善を繰り返してきた実践知です。 料理だけでは、お店は続きません。 利益が残る仕組み、人が育つ環境、お客様に選ばれ続ける理由。 私は、その「経営」を一人でも多くの飲食人に届けたいと考えています。 飲食店を増やしたいわけではありません。 利益が残る飲食店を、一店舗でも増やしたい。 その想いを胸に、今日も現場で挑戦を続けています。