
- 1. 0.はじめに|私たちは「★4.2」を信用しすぎていないか
- 2. 第1章 Google口コミは、飲食店選びのインフラになった
- 3. 第2章 そもそも「誰」が口コミを書いているのか
- 4. 第3章 来店客と口コミ投稿者は、同じ集団ではない
- 5. 第4章 ローカルガイドとは何者なのか
- 6. 第5章 口コミ1000件=1000人のお客様に支持された店なのか
- 7. 第6章 ★4.5と★3.8。本当に0.7点の実力差なのか
- 8. 第7章 なぜ店によってローカルガイド比率が違うのか
- 9. 第8章 なぜローカルガイド比率に、これほど差が生まれるのか
- 10. 第9章 「Googleの評価を上げませんか」という営業が来る現実
- 11. 第10章 Googleは、口コミへの働きかけをどこまで認めているのか
- 12. 第11章 ★1の口コミは、本当に「お客様の本音」なのか
- 13. 第12章 飲食店経営者はGoogle口コミの「何」を見るべきなのか
- 14. 第13章 低評価を書いているのは、本当に「普通のお客様」なのか
- 15. 第14章 口コミ評価を「経営目標」にした瞬間、数字は変質する
- 16. 第15章 お客様はGoogle口コミをどう読めばいいのか
- 17. 第16章 RBRとしての最終見解|Google口コミは「お客様の評価」なのか
― ★の平均点では見えない「誰が評価しているのか」を実店舗データから検証する ―
0.はじめに|私たちは「★4.2」を信用しすぎていないか

飲食店を探すとき、
Googleマップの口コミを見る人は多いと思います。
★4.5なら、
「かなり良さそうな店だな。」
★3.5なら、
「ちょっと微妙なのかな。」
さらに口コミが1000件、2000件と並んでいれば、
それだけで人気店のようにも見えます。
私たちはいつの間にか、
Google口コミの数字を、その店そのものの評価として見るようになりました。
でも、飲食店を実際に経営していると、
ここに一つ大きな疑問が出てきます。
その口コミを書いている人たちは、本当に「お客様全体」を代表しているのでしょうか。
例えば、
ある店に100人のお客様が来店したとします。
そのうち、Google口コミを書く人は何人いるでしょうか。
100人全員が書くわけではありません。
満足して帰って、
何も書かない人もいる。
不満があったときだけ書く人もいる。
逆に、
良かった店を積極的に応援する人もいます。
さらにGoogleには、
何百件、何千件と口コミを投稿しているローカルガイドもいれば、
人生で数件しか口コミを書かない人もいます。
しかし、表示される評価では、
どちらも同じ一票です。
★1は★1。
★5は★5。
ここで私は、
Google口コミそのものを否定したいわけではありません。
むしろ今の飲食店経営において、
Google口コミは非常に重要な情報の一つです。
だからこそ、
「★4.2だから良い店」
「★3.5だから悪い店」
と数字だけを見るのではなく、
その数字がどうやって作られているのかまで考える必要があります。
口コミを書く人は誰なのか。
なぜ、その人は口コミを書いたのか。
口コミを書く人と、書かない人にはどんな違いがあるのか。
口コミ件数が多い店では、何が起きているのか。
ローカルガイドの評価は、一般のお客様の評価と同じように考えていいのか。
そして何より、
Google口コミは、本当に「お客様の評価」なのでしょうか。
今回はGoogle口コミを、
良い、悪いという感情論では見ません。
飲食店経営者の立場から、
一つの「データ」として分析していきます。
Googleマップに表示される★の数字。
その数字の向こう側に、
いったい何があるのか。
ここから一つずつ掘り下げていきます。
第1章 Google口コミは、飲食店選びのインフラになった

少し前まで、
飲食店を探すときの中心はグルメサイトでした。
エリアを入力して、
ジャンルを選んで、
ランキングを見る。
そこから店を探す。
そんな行動が一般的でした。
しかし今は、
Googleマップで飲食店を探す人も珍しくありません。
「近くのランチ」
「枚方 焼肉」
「近くの居酒屋」
検索すると、
地図上にいくつもの飲食店が表示されます。
そこには、
店名。
場所。
営業時間。
料理写真。
メニュー。
そして、
★の評価と口コミ件数。
お客様は店に行く前から、
かなりの情報を確認できます。
つまり今の飲食店は、
お客様が店の前に来るより先に、Googleマップ上で見られている。
ここが重要です。
昔なら、
店頭の看板や外観を見て、
「入ってみようかな。」
と判断していた場面の一部が、
スマートフォンの画面に移りました。
そして、その画面の中で大きな判断材料になるのが、
Google口コミです。
★4.5。
口コミ800件。
美味しそうな料理写真。
そんな店が表示されれば、
安心して選びやすくなる。
反対に、
★3.1。
口コミ20件。
写真も少ない。
そうなると、
実際には良い店だったとしても、
候補から外される可能性があります。
つまりGoogle口コミは、
単なる「食べた人の感想欄」ではありません。
現在では、
来店前のお客様が店を判断するための情報インフラの一つになっています。
言い換えれば、
Googleマップに表示される評価や口コミは、
インターネット上に置かれた「店頭看板」の一部です。
しかもこの看板は、
店の前を通った人だけが見るものではありません。
何キロも離れた場所から、
これから食事をしようとしている人に見られています。
だから飲食店経営者にとって、
Google口コミを無視することは難しくなりました。
評価が来店判断に影響すれば、
当然、売上にも影響する可能性があります。
だからこそ、
ここで一度立ち止まって考える必要があります。
これほど重要になったGoogle口コミの、
「★4.2」という数字は、いったい何を意味しているのか。
本当にお客様全体の満足度を表しているのか。
それとも、
口コミを書いた一部の人たちの評価なのか。
Google口コミの影響力が大きくなった今だからこそ、
私たち飲食店経営者は、
数字を見るだけではなく、その数字が作られる仕組みまで理解する必要があるのです。
第2章 そもそも「誰」が口コミを書いているのか

ここからが、
今回の記事の本題です。
Google口コミを見ると、
私たちは無意識に、
「この店を利用したお客様の評価」
だと受け取ります。
しかし、厳密には違います。
なぜなら、
店に来たすべてのお客様が口コミを書いているわけではないからです。
例えば、
1日に100人のお客様が来店したとします。
料理を食べて、
会計をして、
「美味しかったね。」
と話しながら帰っていく。
その中で、
わざわざスマートフォンを開き、
Googleマップで店を探し、
★を選び、
文章まで書いて投稿する人は、
一体どれくらいいるでしょうか。
おそらく大多数のお客様は、
何も書かずに帰ります。
満足していても書かない。
普通だったから書かない。
また来ようと思っていても書かない。
口コミを書くこと自体が、
来店後の通常行動ではない人も多いからです。
ここで、
非常に重要な違いが生まれます。
Google口コミは、
「来店したお客様全体の評価」ではありません。
正確には、
「来店したお客様の中で、口コミを書くという行動を起こした人の評価」です。
この二つは似ているようで、
まったく意味が違います。
仮に1年間で3万人が利用した飲食店に、
Google口コミが500件あったとします。
500件という数字だけを見れば、
かなり多く感じます。
しかし、
残りの2万9500人は、
Google上では何も語っていません。
もちろん、
口コミを書かなかった人が満足していたとも、
不満だったとも断定できません。
分からないのです。
だからこそ、
口コミだけを見て来店客全体の満足度だと考えるのは危険です。
統計的に考えれば、
これは「全数調査」ではありません。
さらに、
無作為に選ばれたお客様へのアンケートでもありません。
自分から投稿しようと思った人だけが参加するデータです。
ここが、
Google口コミを分析するときの重要な出発点になります。
では、
どんな人が口コミを書きやすいのでしょうか。
ものすごく満足した人。
ものすごく不満だった人。
口コミを書くこと自体が好きな人。
店を応援したい人。
自分の体験を誰かに伝えたい人。
さまざまな動機が考えられます。
つまり、
口コミを書く人には、
最初から何らかの**「書く理由」**がある可能性があります。
だとすれば、
Google口コミの★平均は、
単純な「顧客満足度」と同じものとして扱えるのでしょうか。
ここを理解しないまま、
★4.5だから優良店。
★3.5だから満足度が低い店。
そう判断してしまうと、
数字の意味を読み違える可能性があります。
Google口コミを分析するとき、
まず押さえておくべきこと。
それは、
口コミを書かなかった大多数のお客様は、その数字の中に存在していない。
という事実です。
Google口コミとは、
来店客全体の声ではない。
「声を上げた人たちのデータ」である。
まずはここから考える必要があります。
第3章 来店客と口コミ投稿者は、同じ集団ではない

では、もう少し具体的に考えてみます。
例えば、
年間1万人のお客様が利用する飲食店があったとします。
その店のGoogle口コミが300件。
300件もあれば、
それなりに信頼できる評価のように見えるかもしれません。
しかし単純計算すると、
口コミを投稿したのは来店客の**3%**です。
残り97%のお客様が、
その店をどう評価したのかは分かりません。
ここで重要なのは、
単純に「3%しか書いていない」ということだけではありません。
もっと重要なのは、
その3%が、どうやって選ばれた300人なのか。
ということです。
例えばアンケート調査なら、
対象者を無作為に選ぶことで、
できるだけ全体を反映しようとします。
しかしGoogle口コミは違います。
基本的には、
書きたいと思った人が、自分の意思で投稿します。
では、なぜ書こうと思ったのでしょうか。
料理や接客に感動した。
期待以上に良い店だった。
反対に、
腹が立つ出来事があった。
店を応援したいと思った。
スタッフから口コミを勧められた。
あるいは、
普段から行った店の口コミを書く習慣がある。
投稿する理由は、人によってまったく違います。
つまり、
来店した1万人の中から、
ランダムに300人が選ばれているわけではありません。
「口コミを書く」という行動を起こした300人だけが集まっている。
ここには最初から、
一定の偏りが生まれる可能性があります。
統計では、
このように自ら参加した人の回答に偏りが生じる問題を、
自己選択バイアス(self-selection bias)
として考えることがあります。
簡単に言えば、
「答えた人」と「答えなかった人」は、そもそも同じ集団とは限らない。
ということです。
例えば、
非常に満足した人と、
非常に不満だった人が投稿しやすいのであれば、
「普通に満足した人」の声は相対的に見えにくくなります。
口コミを書く習慣のある人が投稿しやすいのであれば、
普段まったく口コミを書かない人の感覚は反映されにくくなります。
店側が口コミ投稿を積極的に案内している場合も、
自然に集まった口コミだけの店とは条件が変わります。
だから、
300件という口コミ数だけを見て、
「1万人のお客様の評価を300人が代表している」
と考えることはできません。
300件から分かるのは、
あくまで、
「投稿という行動を起こした300人が、どう評価したか」
です。
この違いは、
Google口コミを経営データとして読むうえで非常に重要です。
口コミ件数が増えれば、
データ量そのものは増えます。
しかし、
件数が多いことと、来店客全体を正確に代表していることは別問題です。
ではさらに、
その「口コミを書く人たち」の中には、
どんな人がいるのでしょうか。
ここから、
Google口コミ特有の存在である、
ローカルガイドについて考えてみます。
第4章 ローカルガイドとは何者なのか

Google口コミを見ていると、
名前の下に、
「ローカルガイド」
と表示されている投稿者を頻繁に見かけます。
飲食店だけではありません。
ホテル。
観光地。
スーパー。
病院。
美容室。
さまざまな場所について、
写真や口コミを投稿しています。
投稿履歴を見ると、
数十件。
数百件。
中には、
数千件単位で口コミを投稿している人もいます。
一方で、
一般のお客様のプロフィールを見ると、
口コミ投稿数が1件。
3件。
5件。
という人も珍しくありません。
ここで、
一つ考えてみたいことがあります。
例えば、
年間300件の口コミを書く人と、
人生で3件しか口コミを書いたことがない人。
この二人は、
本当に同じ感覚で★を付けているのでしょうか。
もちろん、
ローカルガイドだから評価が厳しい。
あるいは甘い。
そう断定することはできません。
そもそもローカルガイドは、Googleマップに口コミや写真、情報などを投稿するユーザーが参加できるプログラムです。
投稿などによってポイントが貯まり、
一定の条件を満たすとレベルが上がります。
つまり、
Googleマップへの情報提供を継続的に行っているユーザーが存在する。
ということです。
ここで重要なのは、
ローカルガイドが良いとか悪いとか、
そういう話ではありません。
注目したいのは、
「口コミを書くこと自体が日常になっている人」が存在することです。
普通のお客様なら、
飲食店へ行っても、
ほとんどの場合は何も投稿しません。
ところが、
普段からGoogleマップへ投稿している人なら、
店へ行く。
写真を撮る。
評価する。
口コミを書く。
この一連の行動が、
日常の一部になっている可能性があります。
だとすれば、
そもそもの**「口コミを投稿する確率」**が違います。
さらに考える必要があります。
投稿経験が多ければ、
過去に利用した多くの店と比較して評価しているかもしれません。
独自の評価基準を持っている人もいるでしょう。
写真を撮ることを重視する人。
サービスを細かく見る人。
コストパフォーマンスを重視する人。
文章を書くことそのものを楽しんでいる人。
同じ「来店客」であっても、
口コミに対する向き合い方は同じではありません。
つまり、
Google口コミの投稿者を、
単純に一つの集団として扱っていいのかという問題が出てきます。
口コミをほとんど書かない人。
時々書く人。
頻繁に書く人。
そして、
数百件、数千件と投稿しているローカルガイド。
投稿者にも、明確な「属性の違い」があります。
にもかかわらず、
最終的にGoogleマップ上で表示されるときには、
★5は★5。
★1は★1。
一つの平均値へ集約されます。
ここに、
Google口コミを見るうえでの次の疑問が生まれます。
投稿行動がまったく違う人たちの評価を、一つの平均値にまとめて見ることに、どこまで意味があるのでしょうか。
ローカルガイドが悪いわけではありません。
むしろGoogleマップというサービスを支えている重要な投稿者でもあります。
しかし、
飲食店経営のデータとして口コミを見るのであれば、
「誰が書いたのか」まで見る必要がある。
口コミは、
★の数だけではありません。
その後ろには、
評価している「人」がいるのです。
第5章 口コミ1000件=1000人のお客様に支持された店なのか

Googleマップで飲食店を探していると、
口コミ件数の多い店に目が止まります。
100件。
500件。
1000件。
中には、
2000件、3000件という店もあります。
これだけ口コミが並んでいると、
私たちは無意識に、
「ものすごく流行っている店なんだろう。」
と感じます。
確かに、
口コミ件数が多いことは、
それだけ多くの人が投稿したという事実を示しています。
しかし、
ここでも数字を分けて考える必要があります。
「来店客数」と「口コミ件数」は、まったく別の数字です。
例えば、
年間10万人が利用する店があったとします。
Google口コミは500件。
一方、
年間2万人が利用する店には、
口コミが1000件ある。
Googleマップだけを見れば、
後者の方が口コミ件数は2倍です。
しかし実際の年間利用者数は、
前者の方が5倍多い。
なぜ、
こんなことが起こるのでしょうか。
理由は単純です。
来店した人が口コミを書く割合は、店によって違うからです。
先ほどの例なら、
年間10万人来店して500件なら、
単純計算で来店客数に対する口コミ件数は0.5%。
年間2万人来店して1000件なら、
5%です。
投稿される割合には、
10倍もの差があります。
つまり、
口コミ件数を決めているのは、
来店客数だけではありません。
店の客層。
Googleマップをよく利用する人が多いか。
観光客が多いか。
口コミを書きたくなる体験があるか。
店側が口コミ投稿を案内しているか。
常連客が店を応援しているか。
さまざまな要因によって、
「来店客が投稿者へ変わる割合」
そのものが変わります。
ここを無視して、
口コミ1000件だから、
口コミ500件の店より繁盛している。
そう判断することはできません。
極端に言えば、
100万人が利用して1000件の口コミが集まった店と、
2万人が利用して1000件の口コミが集まった店では、
同じ「1000件」でも意味がまったく違います。
だから、
口コミ件数=繁盛度ではありません。
口コミ件数が示しているのは、
単純な利用者数ではなく、
「Google上でどれだけ投稿という行動が発生したか」
という数字でもあるのです。
これは、
飲食店経営者にとって重要な視点です。
口コミ1000件という数字を見たとき、
「1000人に支持されている店」と読むのではなく、
まず、
「なぜ、この店では1000件もの投稿が発生したのだろう?」
と考える。
来店客が多いからなのか。
長期間営業しているからなのか。
観光地だからなのか。
投稿しやすい客層なのか。
口コミ投稿を促す仕組みがあるのか。
あるいは、
それ以外の要因があるのか。
この視点を持つだけでも、
Google口コミの見え方は大きく変わります。
口コミ件数は、
店の人気を考える材料の一つにはなります。
しかし、
それだけで繁盛度を測ることはできません。
1000件という数字が教えてくれるのは、
1000人のお客様に支持されたということではなく、
少なくとも、
「1000件の評価がGoogle上に投稿された」
ということです。
似ているようですが、
この二つはまったく違う数字なのです。
第6章 ★4.5と★3.8。本当に0.7点の実力差なのか

Googleマップには、
飲食店の評価が非常に分かりやすく表示されています。
★4.5。
★4.1。
★3.8。
小数点まで数字で表示されるため、
私たちは無意識に、
かなり精密な評価だと感じてしまいます。
例えば、
★4.5の店と★3.8の店。
数字だけを見れば、
★4.5の店の方が明らかに優れているように見えます。
その差は0.7点。
しかし、
この0.7点は本当に、
飲食店としての実力が0.7点違う
という意味なのでしょうか。
ここでも、
平均点の中身を見る必要があります。
例えば同じ★4.0でも、
ほとんどのお客様が★4を付けている店。
★5が非常に多い一方で、
★1も多い店。
★3から★5まで、
幅広く分散している店。
平均点だけを見れば同じでも、
評価の構造はまったく違います。
さらに問題があります。
そもそも、
お客様が★を付ける基準は統一されていません。
ある人にとって★5は、
「普通に満足した店」。
別の人にとって★5は、
「人生でもトップクラスの店」。
★3を、
「普通に良かった」と考える人もいれば、
「かなり不満だった」と感じて付ける人もいます。
つまり、
同じ★5でも、
その人が考えている「5点」の意味が同じとは限りません。
そして、
飲食店同士を比較すると、
さらに複雑になります。
例えば、
1人1000円の定食屋と、
1人1万円のレストラン。
お客様が求めるものは違います。
定食屋なら、
価格。
ボリューム。
提供スピード。
気軽さ。
こうしたものが重視されるかもしれません。
一方、高価格帯のレストランなら、
料理だけでなく、
接客。
空間。
食器。
演出。
サービス。
より高い期待を持って来店する人もいるでしょう。
さらに、
観光地の店。
住宅街の店。
駅前の居酒屋。
郊外のファミリーレストラン。
ラーメン店。
カフェ。
焼肉店。
それぞれ、
客層も利用目的も違います。
つまりGoogle上では、
まったく違う条件で評価された店が、同じ5段階評価の中に並んでいます。
ここが非常に重要です。
★4.5と★3.8という数字は、
一見すると同じ物差しで測定された結果に見えます。
しかし実際には、
評価した人も違う。
期待していた価格も違う。
利用目的も違う。
業態も違う。
立地も違う。
そして、
★そのものの付け方まで違う可能性があります。
それでも最終的には、
すべて一つの平均点になります。
だから私は、
Google口コミの平均点に意味がないと言いたいわけではありません。
多くの評価が積み重なった結果として、
店を判断する一つの材料にはなります。
ただし、
小数点以下の差まで、そのまま飲食店の実力差だと解釈するのは危険です。
★4.5だから、
★4.2の店より必ず優れている。
★3.8だから、
★4.0の店より劣っている。
そこまで単純な数字ではありません。
むしろ飲食店経営者が見るべきなのは、
平均点だけではなく、
その平均点が、どのような評価から作られているのか。
★5が何%なのか。
★1はどれくらいあるのか。
どんな内容で評価されているのか。
どんなお客様が投稿しているのか。
どの時期に評価が増えているのか。
こうした中身を見ることで、
初めて数字の意味が見えてきます。
Google口コミの★は、
便利な指標です。
しかし、
飲食店の実力を測る絶対的な偏差値ではありません。
★4.5と★3.8。
その0.7という数字の間には、
単純な平均点だけでは見えない、
まったく違う店と、まったく違うお客様の物語が存在しているのです。
第7章 なぜ店によってローカルガイド比率が違うのか

ここからは、
推測ではなく、
実際のGoogle口コミを使って検証します。
今回、枚方市内の複数の飲食店について、
Google口コミの投稿者を抽出しました。
調べたのは、
★の平均点ではありません。
「その口コミを、誰が書いているのか」
です。
具体的には、
投稿者がローカルガイドなのか。
それとも一般の投稿者なのか。
店ごとに分類し、
その割合を比較しました。
なお今回の目的は、
特定の飲食店に口コミ操作や不正があると判定することではありません。
そのため、
私が運営する「がぶ飲み食堂」以外の店舗名は匿名とします。
ローカルガイド比率が高いこと自体も、
不正や口コミ操作を意味するものではありません。
その前提で、
実際の数字を見てみましょう。
店舗によってローカルガイド比率はどれくらい違うのか
| 調査対象 | 調査投稿者数 | ローカルガイド | 非ローカルガイド | LG比率 |
|---|---|---|---|---|
| がぶ飲み食堂(自社) | 209人 | 61人 | 148人 | 29.2% |
| 枚方市内 A店 | 400人 | 49人 | 351人 | 12.3% |
| 枚方市内 B店 | 231人 | 177人 | 54人 | 76.6% |
| 枚方市内 C店 | 343人 | 289人 | 54人 | 84.3% |
| 枚方市内 D店 | 335人 | 285人 | 50人 | 85.1% |
※がぶ飲み食堂は複数の抽出データを統合し、重複投稿者を除外して集計しています。
結果は、
想像していた以上に大きく分かれました。
最も低かったA店は、
12.3%。
つまり、
口コミ投稿者の約8人に1人がローカルガイドです。
自社店舗であるがぶ飲み食堂は、
29.2%。
約3〜4人に1人です。
ところが、
B店になると、
76.6%。
C店は、
84.3%。
D店は、
85.1%。
C店とD店では、
口コミ投稿者の5人に4人以上がローカルガイドという結果になりました。
実際の口コミデータでも、投稿経験が数百件に及ぶローカルガイドが複数確認できます。ある調査対象では324件、458件、176件、539件といった投稿者が並んでいました。
別の調査対象でも、2152件、998件、288件といった非常に投稿経験の多いローカルガイドが確認できます。
一方、
がぶ飲み食堂では、
ローカルガイドも存在しますが、
口コミ投稿数0件、1件といった投稿経験の少ない人も確認できます。
最大で約7倍の差があった
今回調査した5店舗だけでも、
ローカルガイド比率は、
12.3%〜85.1%。
最も低い店と最も高い店を比較すると、
単純な比率では約6.9倍の差があります。
ここで重要なのは、
どの店が良いとか、
どの店が怪しいとか、
そういう話ではありません。
今回確認できた事実は、
もっとシンプルです。
店によって、口コミを書いている人の構成が大きく違う。
ということです。
これは、
Google口コミを見るうえで非常に重要な結果だと思います。
例えば、
A店にも口コミが500件。
B店にも口コミが500件。
Googleマップ上では、
同じ「口コミ500件」です。
しかし、
一方ではローカルガイドが1割程度。
もう一方では8割を超えている。
だとすれば、
同じ500件でも、その500件を作っている投稿者集団は同じではありません。
★4.2と★4.2でも同じです。
表示されている平均点は同じでも、
その評価を作った人たちの構成まで同じとは限らない。
つまり、
Google口コミを経営データとして見るなら、
「★何点なのか」
「口コミが何件あるのか」
だけでは足りないということです。
その★を、誰が付けているのか。
ここまで見なければ、
口コミという数字の中身は分かりません。
そして今回の調査では、
同じ枚方市内の飲食店でも、
ローカルガイド比率が12.3%から85.1%まで開く
という結果になりました。
もちろん、
この差がなぜ生まれたのかは、
このデータだけでは分かりません。
客層なのか。
立地なのか。
営業年数なのか。
Googleマップを利用する人が集まりやすい店なのか。
口コミを投稿する何らかの動機があるのか。
ここから先は、
さらに別の検証が必要です。
しかし少なくとも、
「Google口コミを書いている人たちは、どの店でも似たような集団だろう」
という前提は、
今回のデータを見る限り置かない方がよさそうです。
Google口コミの数字を見る前に、
その数字を作っている人を見る。
今回の検証で、
その必要性がはっきり見えてきました。
第8章 なぜローカルガイド比率に、これほど差が生まれるのか

前章では、
枚方市内の5店舗について、
Google口コミを書いた人を実際に調査しました。
結果は、
ローカルガイド比率12.3%〜85.1%。
最も低い店と高い店では、
約7倍もの差がありました。
では、
なぜ同じ地域の飲食店で、ここまで差が生まれるのでしょうか。
まず考えなければならないのは、
ローカルガイド比率が高いからといって、
それだけで不自然とは言えないことです。
いくつかの理由が考えられます。
① 客層が違う
Googleマップを日常的に使う人が多い店なら、
当然、口コミ投稿に慣れた人が集まりやすい可能性があります。
反対に、
近隣住民や常連客を中心とした店では、
Google口コミをほとんど書かない人が多いかもしれません。
つまり、
店が集めているお客様そのものが違う。
これは十分考えられます。
② 立地が違う
駅前。
観光地。
ロードサイド。
住宅街。
同じ飲食店でも、
利用する人の行動は違います。
例えば、
知らない土地で飲食店を探す人ほど、
Googleマップを使う可能性は高くなるでしょう。
Googleマップを使って店を探す。
そのまま店へ行く。
食事をする。
そして口コミを書く。
こうした行動が起きやすい立地なら、
ローカルガイド比率が高くなる可能性があります。
③ 営業年数が違う
これも無視できません。
10年間営業している店と、
開業1年の店では、
口コミが蓄積された時代そのものが違います。
Googleマップの利用者も、
ローカルガイドの普及状況も変化しています。
だから今回の数字だけで、
単純に横並び比較することはできません。
④ 店そのものが「投稿したくなる店」である
これもあり得ます。
特徴的な料理。
豪華な盛り付け。
珍しい商品。
写真映えする店内。
観光目的になる店。
こうした店なら、
普段から写真や口コミを投稿する人との相性が良い可能性があります。
Google自身、ローカルガイドを口コミ、写真、場所の情報などを積極的に提供するコミュニティとして位置づけ、投稿などにポイントを付与しています。
つまり、
ローカルガイドはそもそもGoogleマップへの情報提供に積極的な人たちです。
その人たちが好みやすい店なら、
比率が高くなっても不思議ではありません。
⑤ 口コミへの働きかけが違う
そして、
もう一つ考えなければならない要因があります。
店側の口コミへの向き合い方です。
口コミについて何もしない店。
来店客に口コミ投稿を案内する店。
Googleマップへの導線を用意している店。
外部のマーケティング会社へ集客支援を依頼している店。
店によって、
Google口コミへの働きかけ方は違います。
ただし、ここは慎重に考える必要があります。
口コミ投稿を案内することと、
評価を操作することは同じではありません。
Googleも、実体験に基づかない投稿や不正なエンゲージメントを禁止しており、ローカルガイドについては勧誘も禁止すると明記しています。
だから今回確認した、
12.3%と85.1%という差だけから、その原因を断定することはできません。
客層かもしれない。
立地かもしれない。
営業年数かもしれない。
店の特徴かもしれない。
口コミへの働きかけ方かもしれない。
複数の要因が重なっている可能性もあります。
しかし、
一つだけ確かなことがあります。
口コミは、店の料理やサービスだけで作られている数字ではない。
誰が来店するのか。
その人がGoogleマップを使う人なのか。
口コミを書く習慣があるのか。
そして、
店側がGoogle口コミとどう向き合っているのか。
こうした条件によっても、
口コミの集まり方は変わる可能性があります。
だから、
★4.5という数字を見て、
「この店は顧客満足度が高い。」
と単純に結論づける前に、
その数字がどのような経路で集まった評価なのかを見る必要があります。
そして私は飲食店を経営していて、
この問題を考えるうえで、
どうしても無視できない経験があります。
それが、
「Googleの評価を上げませんか?」
という営業です。
実際に飲食店を経営していると、
こうした趣旨の営業がかかってくることがあります。
では、
「Googleの評価を上げる」とは、一体どういうことなのでしょうか。
ここから、
Google口コミを取り巻くもう一つの世界を見ていきます。
第9章 「Googleの評価を上げませんか」という営業が来る現実

ここからは、
私自身が飲食店を経営していて、
実際に経験している話です。
飲食店をやっていると、
さまざまな営業電話がかかってきます。
広告。
集客。
SNS。
予約サイト。
デリバリー。
MEO対策。
その中に、
こんな趣旨の営業があります。
「Googleの評価を上げませんか?」
あるいは、
「Google口コミを増やしませんか」
「Googleマップからの集客を強化しませんか」
といった営業です。
ここで、
一つ注意しておきたいことがあります。
MEO対策そのものが怪しいわけではない
Googleマップ上の店舗情報を充実させる。
営業時間を正しく登録する。
写真を増やす。
メニューを掲載する。
口コミに返信する。
検索されやすい店舗情報を整備する。
こうした施策は、
Googleマップを店舗集客に活用するための、
ごく普通のマーケティングです。
私自身、
Googleマップは飲食店経営にとって非常に重要だと考えています。
問題にしたいのは、
そこではありません。
私が気になるのは、
「評価そのものを上げる」ことまで商品として語られるケースです。
考えてみると、
少し不思議ではないでしょうか。
Google口コミが、
純粋に来店したお客様の自由な評価だけで作られているのであれば、
マーケティング会社が、
「評価を上げる」
ことを営業材料にする余地は、
本来それほど大きくないはずです。
料理を改善する。
接客を改善する。
店を清潔にする。
提供時間を短くする。
その結果として、
お客様の評価が上がる。
これなら分かります。
しかし、
世の中には、
Google口コミそのものをマーケティング対象として扱う市場が存在しています。
ここは、
Google口コミを考えるうえで無視できません。
口コミは「結果」だけではなくなった
本来、口コミとは、
お客様が店を利用した結果として生まれるものです。
来店する。
料理を食べる。
サービスを受ける。
満足する。
あるいは不満を持つ。
そして、
その一部の人が口コミを書く。
つまり、
口コミは顧客体験の後に発生する「結果」でした。
しかし、
Google口コミが来店判断に大きな影響を持つようになると、
店側から見た意味が変わります。
口コミが増えれば、
人気店に見えるかもしれない。
評価が上がれば、
選ばれやすくなるかもしれない。
Googleマップ上での見え方が良くなれば、
集客につながる可能性がある。
そうなると、
口コミは単なる結果ではありません。
経営者にとって、管理したくなるマーケティング指標になります。
そして、
そこにビジネスが生まれます。
ここで第7章のデータが気になってくる
今回調査した5店舗では、
ローカルガイド比率に、
12.3%から85.1%
という大きな差がありました。
もちろん、
前章で説明した通り、
この差だけから何かを断定することはできません。
ローカルガイド比率が高い。
だから口コミを操作している。
そんな結論にはなりません。
しかし、
飲食店経営者として、
Google口コミを増やすことや評価を高めることを目的とした営業が実際に存在することを知ってしまうと、
別の疑問が生まれます。
Google口コミは、どこまで自然発生的な評価なのだろうか。
これは、
特定店舗への疑惑ではありません。
Google口コミという仕組みそのものへの疑問です。
「自然に集まった口コミ」と「働きかけて集まった口コミ」
例えば、
何年間も何もせず、
自然に300件集まった店。
来店客へ積極的に口コミ投稿を案内して、
300件集まった店。
どちらもGoogle上では、
「口コミ300件」
と表示されます。
しかし、
口コミが集まったプロセスは違います。
さらに、
満足したお客様だけに口コミをお願いする。
特典を条件に口コミをお願いする。
実際の顧客体験とは関係なく投稿を増やす。
ここまで行けば、
当然、話は変わってきます。
だからこそ、
どこまでが正当な口コミ獲得で、どこからが評価への不適切な介入なのか。
ここを分けて考える必要があります。
Googleも、実体験に基づかない投稿や、評価を操作する目的の投稿などを「Fake engagement」として禁止しています。
つまり、
Google自身も、
口コミが人為的に歪められる可能性を前提としてルールを作っている
とも考えられます。
ここで、
Google口コミを見る側にも重要な問題が出てきます。
私たちが見ている★4.5は、
自然に集まった顧客評価なのか。
積極的な口コミ獲得施策によって集まった評価なのか。
あるいは、
その両方が混ざっているのか。
画面に表示される平均点だけから、
それを判別することは簡単ではありません。
だから次に調べるべきなのは、
口コミ件数でも、
ローカルガイド比率でもありません。
Google自身は、口コミへの働きかけをどこまで認めているのか。
口コミをお願いすること。
特典を付けること。
★5をお願いすること。
低評価を書きそうな人を除外すること。
外部業者を利用すること。
この境界線を、
Google自身のルールから確認してみます。
第10章 Googleは、口コミへの働きかけをどこまで認めているのか

ここまで、
Google口コミには、
自然に投稿されるものだけではなく、
店側からの働きかけによって集まるものもある、
という話をしてきました。
では、
そもそもGoogleは、
店側が口コミを集めることを禁止しているのでしょうか。
ここは誤解されやすいところです。
結論から言えば、
お客様に口コミ投稿をお願いすること自体が、すべて禁止されているわけではありません。
Googleは、店舗がレビュー用のリンクやQRコードを共有し、顧客へ口コミを依頼する方法も公式に案内しています。
つまり、
「よろしければGoogle口コミをお願いします」
という行為そのものと、
口コミを不正に操作することは、
分けて考える必要があります。
問題は「何を書いてもらうか」
例えば、
来店したお客様全員に、
公平に口コミ投稿を案内する。
そして、
★1でも、
★3でも、
★5でも、
評価内容について店側は干渉しない。
これは、
お客様自身の体験に基づく口コミです。
しかし、
ここに条件が付くと話が変わります。
「★5をお願いします」
「高評価を付けてください」
「良い口コミを書いてくれたら特典を差し上げます」
こうなれば、
単なる口コミ依頼とは意味が違ってきます。
Googleは、金銭・割引・無料の商品やサービスなどのインセンティブと引き換えに投稿や評価変更を促す行為を禁止しています。また、肯定的な口コミを選択的に募る行為も認めていません。
つまり重要なのは、
口コミを集めることと、高評価を集めることは同じではない。
ということです。
満足したお客様だけにお願いしたらどうなるのか
さらに興味深い問題があります。
例えば会計時に、
明らかに満足しているお客様には、
「Google口コミお願いします」
と案内する。
しかし、
不満そうなお客様には案内しない。
こうすると、
実際に来店したお客様の口コミではあります。
架空の人物でもありません。
しかし、
投稿をお願いする対象が、
最初から高評価になりそうな人へ偏ります。
Googleは、否定的な口コミを抑制しながら肯定的な口コミを選択的に募る行為を、評価を歪める行為として禁止しています。
これは、
今回の記事のテーマともつながります。
口コミを書いた人は、
来店客全体ではありません。
さらに店側の働きかけによって、
「誰が口コミを書くのか」そのものが変わる可能性がある。
ということです。
同じ★4.5でも、作られ方は同じとは限らない
ここまで考えると、
Google口コミの平均点を見る難しさが分かります。
例えば、
A店は何も働きかけず、
自然に口コミが500件集まった。
B店は来店客全員へ、
口コミ投稿を積極的に案内して500件集めた。
どちらもルールに沿った口コミだったとしても、
Googleマップ上では、
同じ**「口コミ500件」**です。
しかし、
口コミが投稿される確率は違う可能性があります。
さらに、
もし特定の評価を求めたり、
高評価になりそうなお客様だけへ投稿を促したりすれば、
今度は評価分布そのものが変わる可能性があります。
つまり、
私たちが見ている★平均には、
料理。
接客。
価格。
雰囲気。
といった顧客体験だけでなく、
「口コミがどのように集められたのか」
という要素まで入り込む余地があります。
Google自身も「評価は操作され得る」ことを想定している
Googleは、
実体験に基づかない口コミだけでなく、
複数アカウントからの投稿、
インセンティブによる投稿、
利益相反のある投稿、
評価を操作する目的のコンテンツなどを規制しています。
これは重要です。
もし口コミという仕組みが、
完全に自然発生的で、
操作される余地のないものなら、
そもそもこうしたルールは必要ありません。
Google自身が、
口コミという評価システムには、
人為的な働きかけによって歪みが生じる可能性がある
ことを前提に制度を設計していると考えることもできます。
もちろん、
だからGoogle口コミは信用できない、
という結論ではありません。
重要なのは、
★という数字を、そのまま顧客満足度だと思わないことです。
★4.5という数字の裏側には、
誰が来店したのか。
誰が投稿したのか。
なぜ投稿したのか。
店側から働きかけがあったのか。
どのような方法で口コミが集まったのか。
さまざまな要素が存在します。
だから、
Google口コミを経営データとして使うなら、
平均点を見るだけでは足りません。
その数字が、どう作られたのかを見る。
ここまで来て、
ようやくGoogle口コミの本当の読み方が見えてきます。
そして次に考えたいのは、
さらに厄介な問題です。
高評価よりも、低評価の方が「本音」なのでしょうか。
★1を書く人もまた、
来店客全体を代表しているわけではありません。
次は、
低評価口コミの正体について考えてみます。
第11章 ★1の口コミは、本当に「お客様の本音」なのか

ここまで、
高評価口コミがどのように集まるのかを考えてきました。
すると今度は、
こんな考え方も出てきます。
「じゃあ★1や★2の口コミの方が、本当の評価なんじゃないか。」
しかし、
これも単純ではありません。
なぜなら低評価口コミを書いている人も、
来店客全体から無作為に選ばれた人ではないからです。
第2章、第3章で見てきた問題は、
低評価にもそのまま当てはまります。
不満は「投稿する理由」になりやすい
例えば、
飲食店へ行って、
普通に料理を食べた。
普通に接客された。
特に問題もなかった。
そのまま帰った。
この体験で、
わざわざスマートフォンを開いて、
長文の口コミを書くでしょうか。
もちろん書く人もいます。
しかし、
強烈な出来事があった場合はどうでしょう。
料理がなかなか来なかった。
注文を間違えられた。
店員の態度が気に入らなかった。
予約でトラブルになった。
期待していた料理と違った。
腹が立った。
そうなると、
「誰かに伝えたい」という動機が生まれます。
つまり不満そのものが、
口コミを書く理由になる可能性があります。
これは、
★1が嘘だという話ではありません。
その人が不満を感じたこと自体は、
店側が真剣に受け止めるべき情報です。
ただし、
その一人の不満と、店全体の顧客満足度は別の話です。
1万人の中の「1件」をどう読むのか
例えば、
年間1万人が利用する店で、
こんな口コミが投稿されたとします。
「接客が最悪だった。」
★1。
この口コミを読んだ人は、
「この店は接客が悪いんだ。」
と感じるかもしれません。
しかし、
経営者として見るなら、
もう一段階考える必要があります。
その接客は、
いつも起きているのか。
特定のスタッフなのか。
その日だけなのか。
混雑時なのか。
実際にオペレーション上の問題があるのか。
同じ指摘が繰り返されているのか。
一件だけでは分かりません。
だから低評価口コミで重要なのは、
★の数字より、
「同じ問題が繰り返されているか」
です。
提供が遅い。
料理が冷たい。
接客が悪い。
店内が汚い。
同じ指摘が何度も出ているのであれば、
これは経営データとして非常に重要です。
逆に、
何万人もの利用者の中で一度しか出ていない特殊なトラブルなら、
扱い方は変わります。
★1にも投稿者の評価基準がある
もう一つ忘れてはいけないのが、
★の付け方そのものに個人差があることです。
少し不満があれば★1を付ける人。
かなり不満でも★3を付ける人。
「普通なら★3」という人。
「満足したら基本★5」という人。
評価基準は統一されていません。
だから、
同じ出来事が起きても、
★1になるとは限りません。
ここでも、
★という数字だけでは体験の深刻度を正確に測れない
という問題が出てきます。
経営者が見るべきなのは「星」より「内容」
私は、
低評価口コミを軽視すべきだとは思いません。
むしろ経営者にとって、
低評価には重要な情報が含まれていることがあります。
なぜなら、
店側が気付いていない問題を、
お客様が教えてくれることがあるからです。
しかし見るべきなのは、
「★1を付けられた!」
という数字だけではありません。
何が書かれているのか。
そして、
同じ指摘が何件あるのか。
ここです。
例えば100件の口コミの中で、
10人が別々に、
「料理の提供が遅い」
と書いている。
これは、
かなり重要なシグナルです。
一方、
1000件の口コミの中に一人だけ、
極めて特殊な状況について不満を書いている。
これを、
店全体の評価として扱うのも違います。
つまり、
低評価口コミは、
「店の欠点を探す材料」ではなく、「問題の再現性を探す材料」
として見る方が経営には役立ちます。
高評価も低評価も「一部の声」である
ここまで来ると、
Google口コミの見方がかなり変わります。
★5だから正しい。
★1だから本音。
どちらでもありません。
高評価を書いた人にも、
投稿する理由があります。
低評価を書いた人にも、
投稿する理由があります。
そして、
そのどちらにも含まれていない、
何も書かなかった大多数のお客様が存在します。
だから、
Google口コミを経営データとして読むなら、
一件一件の★に振り回されるのではなく、
「どんな声が、どのくらいの頻度で繰り返されているのか」
を見る。
ここが重要です。
口コミとは、
お客様全体を映した鏡ではありません。
しかし、
正しく読めば、
店の問題を発見するセンサーにはなります。
では、
ここでもう一つ考えてみましょう。
高評価にも偏りがある。
低評価にも偏りがある。
投稿者の構成まで店によって違う。
それなら、
飲食店経営者はGoogle口コミの「何」を信用すればいいのでしょうか。
次は、
Google口コミを経営データとして使うための読み方を整理します。
第12章 飲食店経営者はGoogle口コミの「何」を見るべきなのか

ここまで読むと、
「じゃあGoogle口コミなんて信用できないのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、
私はそうは考えていません。
Google口コミは、
飲食店経営者にとって非常に価値のある情報です。
問題なのは、
使い方です。
★4.2。
口コミ500件。
この数字だけを見て、
店が良い、悪いと判断する。
これでは、
Google口コミというデータを十分に活用できていません。
経営者が見るべきなのは、
平均点そのものではなく、
その中に繰り返し現れる「傾向」です。
① 平均点より「同じ指摘」を見る
例えば、
★1の口コミが一件あった。
「料理の提供が遅かった。」
これだけなら、
その日の混雑状況や、
偶発的なミスだった可能性もあります。
しかし、
別のお客様も、
「料理が出てくるまで時間がかかった。」
さらに別のお客様も、
「提供時間を改善してほしい。」
同じ内容が繰り返される。
ここまで来れば、
経営者として見るべき情報になります。
重要なのは、
★1が何件あるかではありません。
同じ問題が何回発生しているか。
です。
口コミを、
店の採点表として見るのではなく、
異常を発見するセンサーとして使う。
この方が経営には役立ちます。
② 高評価口コミにも「共通点」がある
これは低評価だけではありません。
★5の口コミにも、
重要な情報があります。
「ボリュームがすごい。」
「接客が良かった。」
「子ども連れでも利用しやすい。」
「価格以上の満足感がある。」
「また来たい。」
こうした言葉が、
何度も繰り返されている。
それは、
店側が考えている強みではなく、
実際にお客様が感じている強み
である可能性があります。
経営者は、
自分の店の魅力を知っているつもりになりがちです。
しかし、
店側が売っているつもりの価値と、
お客様が買っている価値は、
必ずしも同じではありません。
Google口コミは、
そのズレを発見する材料になります。
③ ★より「具体性」を見る
口コミには、
「最高でした。」
「最悪でした。」
だけのものもあります。
もちろん、
これも一つの評価です。
しかし経営改善に使える情報量は、
それほど多くありません。
一方、
「土曜日の12時頃に来店して、料理が出るまで30分ほどかかった。」
「子ども用の椅子があり、家族で利用しやすかった。」
「価格は高く感じたが、このボリュームなら納得できた。」
こうした口コミには、
状況があります。
いつ。
誰が。
何を利用して。
何を感じたのか。
具体性が高い口コミほど、
経営者が検証しやすくなります。
だから私は、
★の数より、
文章の中身を見る方が重要
だと考えています。
④ 時系列で見る
これも非常に重要です。
例えば、
過去には、
「提供が遅い」
という口コミが多かった。
そこで、
厨房オペレーションを改善した。
その後、
同じ指摘が減った。
これは、
改善が機能している可能性があります。
逆に、
最近になって急に、
「接客が悪い」
という口コミが増えた。
スタッフ構成が変わった。
新人が増えた。
店長が変わった。
何か原因があるかもしれません。
平均点だけでは、
こうした変化は見えません。
Google口コミは、
時系列で見ることで経営データになります。
⑤ 自店だけを見るのではなく、競合店も見る
さらに、
口コミは競合分析にも使えます。
近隣の繁盛店では、
何が評価されているのか。
逆に、
どんな不満が出ているのか。
「料理がおいしい」だけではありません。
駐車場。
待ち時間。
価格。
ボリューム。
子ども対応。
予約。
接客。
営業時間。
店内環境。
お客様が飲食店を評価するポイントは、
口コミを見るとかなり具体的に見えてきます。
つまりGoogle口コミは、
無料で見ることができる巨大な顧客調査データ
でもあります。
ただし、
ここまでの記事で見てきたように、
投稿者には偏りがあります。
だから、
一件一件を絶対視しない。
平均点も絶対視しない。
競合との0.1点、0.2点の差にも振り回されない。
見るべきなのは、
繰り返される傾向です。
Google口コミは「答え」ではなく「仮説」をくれる
ここが、
飲食店経営者にとって一番重要だと思います。
口コミに、
「料理の提供が遅い」
と書かれた。
だから、
うちの店は提供が遅い。
ではありません。
まず、
「本当に提供が遅いのではないか?」
という仮説を立てる。
POSデータを見る。
提供時間を測る。
ピーク時間を確認する。
スタッフに聞く。
実際の厨房を見る。
そして、
本当に問題があるのかを確認する。
Google口コミだけで、
経営判断をしない。
口コミから仮説を作り、自店のデータで検証する。
この使い方なら、
Google口コミは非常に強力です。
★4.5だから良い店。
★3.8だから悪い店。
そんな単純な使い方ではありません。
お客様は、
何を評価しているのか。
何に不満を感じているのか。
何が繰り返されているのか。
最近何が変わったのか。
そこを見る。
Google口コミは、
店の成績表ではありません。
私は、
経営改善のヒントが大量に入った「観測データ」
として見る方が、
飲食店経営には役立つと考えています。
そして最後に、
今回の検証から見えてきた、
「Google口コミとは結局、何なのか」
を整理してみます。
第13章 低評価を書いているのは、本当に「普通のお客様」なのか

ここでもう一つ、
飲食店経営者として考えておきたい問題があります。
それは、
低評価を書いている人は、本当に一般のお客様だけなのか。
という問題です。
もちろん、
ほとんどの口コミは、
実際に店を利用したお客様が、
自分の体験について書いているものだと思います。
しかし、
飲食店という商売には、
少し特殊な事情があります。
飲食店は、地域の中で競争している
特に郊外や地方では、
飲食店同士の距離が近い。
同じ商圏の中で、
長年商売をしている経営者も多い。
当然、
他店の存在も知っています。
新しい店ができれば、
「あそこ流行ってるな。」
「あの店、最近お客さん多いな。」
そんな情報も入ってきます。
ここまでは、
普通の商売の話です。
しかしGoogle口コミでは、
競合店の経営者であっても、Googleアカウントを持つ一人のユーザーとして存在します。
元従業員。
取引関係者。
近隣事業者。
同業者。
知人。
そして一般のお客様。
Googleマップ上では、
さまざまな立場の人が同じ「投稿者」として並びます。
Google自身も「利益相反」を想定している
これは、
私の想像だけの話ではありません。
Googleは口コミについて、
実体験に基づかない投稿だけでなく、
利益相反に基づくコンテンツ
についても制限しています。
その例として、
現在または過去の雇用関係。
契約・コンサルティング関係。
その他の職業上・個人的な関係。
さらにGoogleの現行ポリシーでは、業界の競合関係なども利益相反の例として挙げられています。
またGoogleは事業者やユーザーに対して、
競合する店の評判を落とす目的で投稿すること
を明確に認めていません。
つまりGoogle自身が、
口コミという仕組みには、
純粋な顧客評価とは別の動機が入り込む可能性がある
ことを想定しているわけです。
「★1だから本音」とも限らない
ここまで考えると、
前章で触れた低評価の見方も変わります。
★1。
「二度と行きません。」
「最低の店です。」
非常に強い言葉が書かれている。
だからといって、
それだけで、
「一般のお客様から見た、この店の本当の評価」
とは断定できません。
本当に不満を持ったお客様かもしれない。
もちろん、その可能性が最も普通です。
しかし、
元従業員かもしれない。
何らかの利害関係者かもしれない。
競合関係にある人物かもしれない。
あるいは、
実際に来店していても、
別の感情や利害関係が評価に影響している可能性もあります。
外から口コミを読むだけでは、
そこまで判別できません。
だからこそ、
低評価についても、
一票をそのまま「顧客満足度」として扱うことには限界があります。
地方・郊外では、もう一つ考えたいことがある
そしてこれは、
私自身が郊外で飲食店を経営していて感じる問題でもあります。
都市部ほど店舗の入れ替わりが激しくない地域では、
競争環境が異なる場合があります。
長年営業している店。
昔から地域にいる経営者。
同業者同士の人間関係。
地域特有の商売上のつながり。
そうしたものが存在します。
だから私は、
地方・郊外の口コミには、純粋な顧客評価とは違う地域内の人間関係が入り込む余地がないのか
という疑問を持っています。
ただし、
ここは現時点では仮説です。
「地方だから多い」
「同業者がやっかみで書いている」
と断定できるデータは、
今回の調査ではまだありません。
むしろ、
だから調べる価値があります。
低評価投稿者の「履歴」を見る
もしこの仮説を検証するのであれば、
見るべきなのは★1の文章だけではありません。
その人が他にどんな口コミを書いているのか。
ここです。
例えば、
近隣飲食店への投稿が極端に多い。
特定業態ばかり評価している。
★1や★2を繰り返している。
反対に特定の店には高評価を集中させている。
地域内だけで大量に投稿している。
こうした傾向があるのかを、
投稿履歴から調べる。
もちろん、
それでも投稿者の職業や動機までは断定できません。
しかし、
低評価投稿者にも一定の行動パターンが存在するのか
は検証できます。
これは面白い研究テーマです。
Google口コミには「人間関係」まで混ざる可能性がある
Google口コミというと、
私たちは、
「お客様が店を評価する仕組み」
だと考えます。
しかし実際には、
もっと複雑です。
満足した人。
怒った人。
口コミを書くのが趣味の人。
店を応援したい人。
店から投稿をお願いされた人。
そして、
何らかの利害関係を持つ人。
Google自身も、偽レビューだけでなく、競合への攻撃や利益相反を禁止している以上、こうした問題は制度上も想定されています。
だから、
★5を無条件に信用しないのと同じように、
★1も無条件に「本音」として信用しない。
見るべきなのは、
誰が書いたのか。
何を書いたのか。
同じ指摘が繰り返されているのか。
そして、
その投稿者は普段どんな評価行動をしているのか。
Google口コミを経営データとして使うなら、
ここまで考える必要があります。
そしてこれは、
今回の記事で繰り返してきた結論につながります。
Google口コミは「お客様全体の評価」ではない。
そこにあるのは、
さまざまな動機を持った人たちが、
自ら投稿した評価の集合です。
だからこそ、
経営者は★に一喜一憂するのではなく、
その裏側にある構造を見る必要があるのです。
第14章 口コミ評価を「経営目標」にした瞬間、数字は変質する

ここまで、
Google口コミを書いている人について見てきました。
しかし、
口コミを考えるうえで、
もう一人忘れてはいけない存在があります。
飲食店経営者です。
Google口コミが集客に影響する。
★4.5の方が★3.8より選ばれやすい。
口コミ1000件あれば人気店に見える。
そう考えるようになれば、
当然、経営者は口コミを意識します。
ここまでは、
何もおかしくありません。
問題は、
口コミ評価そのものを経営目標にしたときです。
「良い店を作る」と「★4.5を作る」は同じなのか
本来、
飲食店経営者が考えるべきことは、
料理を良くする。
接客を良くする。
提供を早くする。
店を清潔にする。
お客様に、
また来たいと思ってもらう。
その結果として、
良い口コミが増える。
この順番だったはずです。
つまり、
顧客満足 → 口コミ
です。
ところが、
Google口コミそのものが重要な数字になると、
順番が逆になる可能性があります。
どうすれば★を上げられるのか。
どうすれば口コミ件数を増やせるのか。
こちらが目的になってしまう。
すると、
顧客満足を改善する方法ではなく、
口コミという数字を改善する方法
を考え始めます。
ここには、
経営指標として非常に重要な問題があります。
数字を目標にすると、数字を作る行動が始まる
例えば、
口コミ件数を増やすことが目標なら、
投稿をお願いする。
QRコードを置く。
口コミへの導線を強くする。
これは、
適切に行われる限り、
普通の施策です。
しかし、
「★4.5以上を維持する」
という目標になったらどうでしょう。
低評価が一件入る。
平均点が下がる。
すると経営者は、
料理やサービスの問題より先に、
「どうやって評価を戻そう」
と考えるかもしれません。
さらに、
口コミ件数1000件を目標にすれば、
1000件に到達することそのものに価値を感じ始める。
ここで、
数字の意味が少しずつ変わります。
本来測りたかったのは、
お客様の満足度だったはずです。
しかし、
いつの間にか、
Google上に表示される数字を作ること
が目的になってしまう。
「★4.5」は店の目的ではない
これはGoogle口コミだけの話ではありません。
売上。
原価率。
人件費率。
客単価。
回転率。
経営には、
さまざまな数字があります。
数字は重要です。
しかし、
数字だけを目標にすると、
その数字を良くするための行動が始まります。
例えば、
客単価だけを上げようとすれば、
お客様が望んでいない追加注文を勧めるかもしれない。
人件費率だけを下げようとすれば、
人を減らしすぎてサービスが悪くなるかもしれない。
口コミも同じです。
指標を改善することと、店を改善することは必ずしも同じではありません。
ここを間違えると、
Google評価は高くなった。
口コミ件数も増えた。
しかし、
リピーターは増えていない。
売上も増えていない。
そんなことすら起こり得ます。
本当に見るべき数字は、店の中にある
私は飲食店経営者として、
Google口コミを見ることは大切だと思っています。
しかし、
もっと重要な数字があります。
一度来たお客様が、
二度目に来てくれたのか。
二度来たお客様が、
三度目に来てくれたのか。
客数は増えているのか。
売上は伸びているのか。
利益は残っているのか。
そして何より、
実際のお客様が、またお金を払って店を利用してくれたのか。
これは、
口コミよりはるかに重い行動です。
★5を書くのは無料です。
しかし、
もう一度店へ来るには、
時間を使い、
店まで移動し、
もう一度お金を払わなければなりません。
だから私は、
顧客満足を見るのであれば、
口コミ平均点だけではなく、
「また来たか」を見る方が経営データとして強い
と考えています。
★4.8より、再来店率
極端な話、
Google評価★4.8でも、
一回来たお客様が二度と来ない店。
Google評価★4.0でも、
何度も通ってくれるお客様が積み上がっている店。
経営者として、
どちらを作りたいでしょうか。
私は後者です。
口コミは、
店を知ってもらううえで重要です。
新規客の来店判断にも影響するでしょう。
しかし、
口コミは商売そのものではありません。
商売とは、
実際のお客様が来て、
お金を払い、
満足して、
また来てくれることです。
Google口コミは、
その一部を外側から観測している数字にすぎません。
だから経営者は、
★を上げることを目的にしない。
口コミ件数を競わない。
口コミから問題を見つけ、
店を改善する。
そして最後は、
実際の顧客行動で答え合わせをする。
Google評価を上げるために、
店を経営するのではありません。
良い商売をした結果として、良い評価が残る。
私は、
この順番を間違えないことが、
Google口コミと付き合ううえで最も大切だと思っています。
第15章 お客様はGoogle口コミをどう読めばいいのか

ここまでは、
主に飲食店経営者の立場から、
Google口コミについて考えてきました。
しかし、
Google口コミを見るのは経営者ではありません。
圧倒的に多いのは、
これから店を選ぼうとしているお客様です。
では、
お客様はGoogle口コミを、
どう読めばいいのでしょうか。
私は、
Google口コミを見るなとは思いません。
むしろ、
初めて行く店を判断するには、
非常に便利なサービスです。
ただし、
★の数字だけで店を判断するのは、少しもったいない。
今回の検証を踏まえると、
もっと見た方がいい情報があります。
① ★4.5と★4.0の差を大きく考えすぎない
まず、
平均点です。
★4.5。
★4.2。
★3.9。
数字が並ぶと、
どうしても順位を付けたくなります。
しかし今回見てきたように、
口コミを書いている人自体が、
店によって違います。
ローカルガイド比率だけでも、
今回調査した店舗では、
12.3%から85.1%まで差がありました。
さらに、
口コミを集める方法も、
客層も、
業態も、
価格帯も違います。
それらを全部まとめた結果が、
最後に一つの平均点として表示されています。
だから、
0.1や0.2の差を、飲食店の実力差のように考える必要はありません。
② 平均点より口コミ本文を見る
むしろ私なら、
★より本文を見ます。
「美味しかった。」
だけでは、
あまり情報はありません。
しかし、
「日曜日の12時はかなり混雑していた。」
「料理が出るまで時間がかかった。」
「子ども連れでも利用しやすかった。」
「量がかなり多い。」
「駐車場が使いやすかった。」
こうした情報は、
店選びに役立ちます。
なぜなら、
自分がその店を利用する場面を想像できるからです。
Google口コミは、
店を採点するためだけに見るのではなく、
自分に合う店なのかを調べるために使う。
この方が便利です。
③ ★1も★5も、一件だけで判断しない
ものすごく褒めている口コミ。
ものすごく怒っている口コミ。
どうしても目立ちます。
しかし、
どちらも一人の体験です。
★1が一件あったから、
悪い店とは限りません。
★5が大量にあるから、
自分にも最高の店とは限りません。
重要なのは、
同じ内容が何度も出ているか。
です。
「提供が遅い」
という指摘が何度もある。
「接客が丁寧」
という評価が何度もある。
「ボリュームが多い」
という声が繰り返されている。
ここまで来ると、
その店の特徴である可能性が高くなります。
④ 自分と似た利用者の口コミを見る
これはかなり重要です。
家族で行きたい人が、
一人客の評価だけを見ても、
自分の利用体験とは違うかもしれません。
子ども連れ。
一人ランチ。
デート。
宴会。
仕事帰り。
高齢者との食事。
利用目的によって、
良い店の条件は変わります。
だから、
「この人は自分と似た使い方をしているな」
という口コミを探す。
その方が、
平均点より参考になることがあります。
⑤ 口コミは「店のランキング」ではない
結局、
Google口コミで一番気を付けたいのは、
★を飲食店の偏差値のように扱ってしまうことです。
★4.6だから、
★4.1より上。
口コミ1000件だから、
口コミ300件より人気。
今回の記事で見てきたように、
そんなに単純ではありません。
口コミを書いた人数。
投稿する人の属性。
投稿する動機。
口コミへの店側の働きかけ。
評価基準。
利用目的。
さまざまなものが混ざって、
最後に★という数字になります。
だから、
Google口コミは、
「どちらの店が上なのか」を決める道具ではなく、「自分に合う店なのか」を知るための情報
として使う方が、
ずっと合理的だと思います。
そしてこれは、
飲食店経営者にも同じことが言えます。
競合店より★が0.2低い。
口コミ件数で負けている。
そんな数字だけを追いかける必要はありません。
大切なのは、
実際のお客様が何を感じ、何度店に戻ってきているのか。
Google口コミは便利です。
影響力もあります。
だからこそ、
過信しない。
無視もしない。
数字の意味を理解したうえで使う。
それが、
Google口コミとの一番健全な付き合い方ではないでしょうか。
そして最後に、
今回の調査と検証を通して見えてきた、
「Google口コミは、本当にお客様の評価なのか」
という最初の問いに、
RBRとしての結論を出したいと思います。
第16章 RBRとしての最終見解|Google口コミは「お客様の評価」なのか

ここまで、
Google口コミについて、
さまざまな角度から考えてきました。
最初の問いに戻ります。
Google口コミは、本当に「お客様の評価」なのでしょうか。
私の答えは、
「お客様の評価ではある。しかし、お客様全体の評価ではない。」
です。
ここを混同してはいけないと思います。
Google口コミを書いているのは、
実際に店を利用したお客様が中心でしょう。
そこには、
料理への感想も、
接客への評価も、
店への不満も、
実際のお客様の声が存在します。
だから、
Google口コミには価値があります。
しかし、
今回の記事で見てきたように、
来店したすべてのお客様が口コミを書くわけではありません。
むしろ、
何も書かずに帰る人の方が圧倒的に多い。
つまり、
Google口コミとは、
「来店した人の中で、投稿という行動を起こした人たちの評価」
です。
この違いは、
想像以上に大きいと思います。
実際に調べると、投稿者そのものが違った
今回、
枚方市内の飲食店5店舗について、
口コミ投稿者を調べました。
すると、
ローカルガイド比率は、
12.3%から85.1%。
最も低い店と高い店では、
約7倍もの差がありました。
同じ地域の飲食店でも、
口コミを書いている人の構成そのものが、
大きく違っていたのです。
これは今回、
実際の口コミを調べたから見えてきたことです。
Googleマップ上では、
★4.2。
口コミ500件。
それだけしか見えません。
しかし、
その500件を作った人たちが、
どんな人なのかまでは、
平均点には表示されません。
だから、
同じ★4.2でも、その中身まで同じとは限らない。
これが、
今回の調査で最も重要だった発見です。
口コミ件数も、繁盛度そのものではない
口コミ1000件。
確かにすごい数字です。
しかし、
それは必ずしも、
「1000人に支持された店」
という意味ではありません。
年間10万人が利用して、
500件の口コミが集まった店。
年間2万人が利用して、
1000件集まった店。
口コミ件数では後者が上です。
しかし、
利用者数では前者が圧倒的に多い。
つまり口コミ件数とは、
利用者数だけではなく、
「どれだけ投稿という行動が発生したか」
を表す数字でもあります。
だから、
口コミ件数だけで繁盛度を競っても、
あまり意味はありません。
★5も★1も、一人の人間が付けた評価である
高評価にも、
低評価にも、
それぞれ投稿する理由があります。
感動した。
応援したい。
腹が立った。
誰かに伝えたい。
普段から口コミを書く習慣がある。
店から口コミを案内された。
さまざまな人が、
さまざまな理由で投稿します。
さらにGoogle自身が、
インセンティブによる投稿や選択的な高評価の募集、利益相反、競合を貶める目的の投稿などを規制しています。
つまり、
口コミという仕組みは、
単純な顧客満足度調査とは違います。
だから私は、
★5を無条件に信用する必要もなければ、
★1を「これこそ本当の声だ」と無条件に信用する必要もないと思っています。
重要なのは、
その中から繰り返される事実を探すことです。
経営者が見るべきなのは「★」ではない
料理が遅い。
接客が良い。
ボリュームがある。
店内が汚い。
家族で利用しやすい。
駐車場が便利。
同じ内容が、
何度も違うお客様から出てくる。
そこには、
経営改善につながる情報があります。
だからGoogle口コミは、
店の成績表として使うより、
店の異常や強みを発見するセンサー
として使った方がいい。
口コミから仮説を立てる。
そして、
実際の店で確認する。
POSを見る。
提供時間を測る。
スタッフを見る。
お客様の行動を見る。
再来店率を見る。
そこで初めて、
経営判断をする。
口コミだけで経営をしない。
これが重要です。
本当の評価は、お客様の行動に現れる
そして私は、
飲食店経営者として、
最終的にはここに戻ってきます。
★5を書いてくれた。
もちろん嬉しい。
★1を書かれた。
もちろん気になります。
しかし、
もっと重要なことがあります。
そのお客様は、もう一度来てくれたのか。
です。
口コミを書くのは無料です。
しかし、
もう一度店へ来るには、
時間を使う。
移動する。
そして、
もう一度自分のお金を払う。
これは、
非常に強い評価です。
一回来た人が、
二回来る。
二回来た人が、
三回来る。
そして、
常連客になっていく。
私は、
Googleの★より、
こちらの方が飲食店経営における本当の顧客評価に近いと思っています。
Google口コミを敵にも、神様にもしない
Google口コミには、
大きな影響力があります。
だから、
無視することはできません。
しかし、
恐れる必要もありません。
★が0.1下がった。
低評価を書かれた。
競合店より口コミ件数が少ない。
そのたびに一喜一憂していたら、
店の経営そのものが見えなくなります。
逆に、
★4.8だから自分の店は素晴らしい。
口コミ1000件だから繁盛店だ。
そう思い込むのも危険です。
Google口コミは、
経営の答えではありません。
店を見るための、
一つの観測データです。
使う。
分析する。
改善に生かす。
でも、
支配されない。
これくらいの距離感が、
飲食店経営者には必要なのではないでしょうか。
今回、
Google口コミを実際に調べてみて、
改めて感じました。
数字は、
見ただけでは分からない。
平均点の裏側を見る。
口コミ件数の裏側を見る。
そして、
その数字を作っている人を見る。
すると、
同じGoogle口コミでも、
まったく違う景色が見えてきます。
Google口コミは、お客様の声です。
しかし、
お客様全体の声ではありません。
この違いを理解するだけでも、
Google口コミとの付き合い方は、
大きく変わるはずです。
この記事を書いた人 Wrote this article
新田 敏之 RBR合同会社 統括 / 男性
RBR(Restaurant Business Reform)代表。 鉄板焼きの現場で25年。 これまで数多くの飲食店の立て直しを中心とした経営改善に携わり、売上改善、商品開発、人材育成、オペレーション構築、デリバリー事業の立ち上げなど、現場に入りながら支援を行ってきました。 現在は「ガブ飲み食堂」を運営しながら、主力商品の開発・ソースや商品の卸事業、デリバリーFC事業の展開、そして飲食店の経営改善支援を行っています。 このブログで発信するのは、机上の理論ではありません。 すべて現場で試し、失敗し、改善を繰り返してきた実践知です。 料理だけでは、お店は続きません。 利益が残る仕組み、人が育つ環境、お客様に選ばれ続ける理由。 私は、その「経営」を一人でも多くの飲食人に届けたいと考えています。 飲食店を増やしたいわけではありません。 利益が残る飲食店を、一店舗でも増やしたい。 その想いを胸に、今日も現場で挑戦を続けています。