
飲食店の売上を伸ばそうとすると、多くの経営者は最初に「施策」を考えます。
「SNSを強化しよう」
「広告を増やそう」
「新商品を投入しよう」
「キャンペーンをしよう」
もちろん、どれも間違いではありません。
しかし今回、ある飲食店の経営戦略を組み立てるにあたって、私はそこから考えませんでした。
最初に考えたのは、もっと単純なことです。
「月商500万円とは、具体的にどんな状態なのか?」
ここを数字に変えるところから始めました。
今回の記事では、実際の店舗データをもとに、私がどのように売上を分解し、課題を見つけ、戦略へ落とし込んでいったのか。
その思考過程を、一つの飲食店コンサル事例として紹介します。
第1章 「月商500万円」を感覚ではなく数字に変える

この店の平均客単価は、約1,588円でした。
目標月商は500万円です。
単純計算すると、
5,000,000円 ÷ 1,588円 ≒ 3,149人
現在の客単価のまま月商500万円を作るには、月間約3,149人のお客様が必要になります。
30日営業なら、
3,149人 ÷ 30日 ≒ 105人/日
です。
一方、8月24日時点の実績では、24日間で1,968人が来店していました。
1日平均では、
1,968人 ÷ 24日 = 82人/日
です。
整理するとこうなります。
| 指標 | 数字 |
|---|---|
| 月商目標 | 500万円 |
| 平均客単価 | 1,588円 |
| 必要月間客数 | 約3,149人 |
| 1日必要客数 | 約105人 |
| 現在の1日平均客数 | 約82人 |
| 表面的な不足 | 約23人/日 |
ここだけを見ると、
「毎日あと23人、新規客を増やせばいい」
という結論になりそうです。
しかし、私はここで広告を増やす判断をしませんでした。
なぜなら、
不足23人=新規客23人ではないからです。
売上を「新規客」と「リピーター」に分ける
次に確認したのが、来店客の構成です。
この店では、来店客に占めるリピーターの割合が約32.7%。
新規客が約67.3%でした。

※ここでいうリピーター比率とは、来店客に占める既存客の割合です。「新規客のうち何%が再来店したか」を示す再来店率とは異なります。
既存のお客様から発生する売上を無視して、
「500万円作るには何人集めればいい?」
と考えると、必要な新規客数が異常に大きく見えます。
今回、リピーター由来の売上を保守的に月120万円前後と置きました。
すると、
| 月商500万円の構造 | 売上 |
|---|---|
| リピーター由来 | 約120万円 |
| 新たに作る売上 | 約380万円 |
| 合計 | 500万円 |
となります。
つまり攻略すべき数字は、いきなり500万円ではありません。
500万円 − 120万円=380万円
まず、この380万円をどう作るかです。
380万円を客数に変える
平均客単価1,588円なら、
3,800,000円 ÷ 1,588円 ≒ 2,393人
約2,400人/月です。
30日なら、
約80人/日。
では、現在はどうでしょう。
8月24日時点で1,968人が来店。
そのうち新規客を67.3%とすると、
1,968人 × 67.3% ≒ 1,325人
24日間で約1,325人。
つまり、
すでに1日約55人の新規客が来ています。
だから今回の課題は、
「ゼロから毎日80人集める」
ではありません。
現在約55人/日の新規客を、どうやって約80人まで持っていくか。
不足は約25人/日。
ここまで分解すると、
「500万円なんて無理だ」
という話から、
「あと25人をどう作る?」
という経営課題に変わります。
これが数字を分解する意味です。
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この記事を書いた人 Wrote this article
新田 敏之 RBR合同会社 統括 / 男性
RBR(Restaurant Business Reform)代表。 鉄板焼きの現場で25年。 これまで数多くの飲食店の立て直しを中心とした経営改善に携わり、売上改善、商品開発、人材育成、オペレーション構築、デリバリー事業の立ち上げなど、現場に入りながら支援を行ってきました。 現在は「ガブ飲み食堂」を運営しながら、主力商品の開発・ソースや商品の卸事業、デリバリーFC事業の展開、そして飲食店の経営改善支援を行っています。 このブログで発信するのは、机上の理論ではありません。 すべて現場で試し、失敗し、改善を繰り返してきた実践知です。 料理だけでは、お店は続きません。 利益が残る仕組み、人が育つ環境、お客様に選ばれ続ける理由。 私は、その「経営」を一人でも多くの飲食人に届けたいと考えています。 飲食店を増やしたいわけではありません。 利益が残る飲食店を、一店舗でも増やしたい。 その想いを胸に、今日も現場で挑戦を続けています。