競争相手を間違えた店から潰れていく。バーガーキングとマクドナルドが教えてくれる、本当の競争戦略。

Restaurant Business Reform または 飲食店経営改善ブログ

競争相手を間違えた店から潰れていく。バーガーキングとマクドナルドが教えてくれる、本当の競争戦略。
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目次 Outline

1.バーガーキングは本当にマクドナルドをライバルだと思っているのか。

ハンバーガーと聞いて、

最初に思い浮かぶ店はどこでしょうか。

多くの人は、

マクドナルド

と答えるでしょう。

そして次に、

バーガーキング。

だから私たちは、

「バーガーキングはマクドナルドと戦っている」

と思いがちです。

確かに、

どちらもハンバーガーチェーンです。

ポテトがあり、

ドリンクがあり、

セットメニューがある。

業態だけ見れば、

同じ市場で戦っているように見えます。

しかし、

経営という視点で見ると、

話は少し違ってきます。

強い企業ほど、

「同じ商品を売っている会社」

をライバルとは考えません。

本当に見ているのは、

「お客様が、どんな理由で自分たちを選ぶのか」

です。

例えばマクドナルド。

マクドナルドは、

単にハンバーガーを売っている会社ではありません。

朝食。

昼食。

子どもとの休日。

学校帰り。

仕事の合間。

ドライブスルー。

アプリのクーポン。

デリバリー。

あらゆる生活シーンに入り込むことで、

日本で最も思い出される外食ブランドの一つになっています。

一方でバーガーキングは、

同じことを目指しているのでしょうか。

もし同じ土俵で、

店舗数も、

広告費も、

ブランド力も上回るマクドナルドに真正面から挑めば、

勝負は非常に厳しくなります。

では、

バーガーキングは何を武器にし、

誰と戦おうとしているのでしょうか。

実はここに、

中小飲食店にも通じる重要なヒントがあります。

競争とは、

同じ料理を作ることではありません。

「誰に、どんな理由で選ばれる存在になるのか。」

この設計こそが、

飲食店経営の本当の競争なのです。

この記事では、

バーガーキングの戦略を通して、

「競合とは誰なのか」

という視点から、

飲食店経営を考えていきます。

2.決算を読む

では、本当にバーガーキングはマクドナルドと戦っているのでしょうか。

その答えは、

決算や経営計画を見ると少しずつ見えてきます。

飲食店の経営を見るとき、

私はいつも4つの数字を確認します。

  • 店舗数
  • 売上
  • 利益
  • 出店戦略

この4つを見るだけで、

会社が何を目指しているのかがかなり分かります。


店舗数を見る

まず圧倒的な違いがあります。

項目マクドナルド(日本)バーガーキング(日本)
国内店舗数約3,000店舗約350店舗

バーガーキングは近年急成長しています。

2019年には77店舗まで減少していましたが、そこから急速に店舗網を拡大し、現在は350店舗規模まで成長しています。さらに2028年までに600店舗、売上1,200億円を目標に掲げています。

しかし、

600店舗になっても、

マクドナルドの約3,000店舗には遠く及びません。

つまり、

バーガーキング自身も、

「短期間で店舗数で勝つ」

という戦略ではないことが分かります。


売上を見る

売上も同じです。

マクドナルドは日本でも過去最高水準の売上と利益を更新し続けています。

一方、

バーガーキングは毎年大きく売上を伸ばしていますが、

その伸び方を見ると、

「市場を奪い取る」

というより、

自社の市場を広げている

ように見えます。

実際、

バーガーキングは既存店売上も40カ月以上連続で前年を上回るなど、高い成長を続けています。

つまり、

まだ「成熟企業」ではなく、

成長企業なのです。


利益を見る

利益も重要です。

飲食店は、

売上だけでは強さは分かりません。

利益が残らなければ、

出店も、

採用も、

設備投資もできません。

だから決算を見るときは、

「今年いくら儲かったか」

ではなく、

利益を使って何をしようとしているか

を見るべきです。

バーガーキングを見ると、

利益を店舗拡大や組織づくりへ再投資している姿勢が読み取れます。店舗数の拡大だけでなく、本部体制や人材への投資を強化しながら成長を目指しています。


一番見るべきは出店

そして、

私が最も注目するのが、

出店です。

なぜなら、

経営者は

「口ではなく、お金で戦略を語る」

からです。

バーガーキングは、

2028年までに600店舗を目指すという目標を掲げ、

現在も積極的に新規出店を続けています。

ここで面白いのは、

「マクドナルドの隣に3000店舗出します」

とは言っていないことです。

むしろ、

まだバーガーキングが存在しない地域や、

ブランドを十分届けられていない商圏を埋めるように出店を進めています。

つまり、

経営陣が投資しているのは、

マクドナルドとの正面決戦ではなく、バーガーキングというブランドを育てることなのです。


ここまで決算を読むと、

一つの疑問が生まれます。

バーガーキングは、

本当にマクドナルドからお客様を奪おうとしているのでしょうか。

それとも、

まったく別の「選ばれる理由」を作ろうとしているのでしょうか。

この視点から見ると、

バーガーキングの戦略はさらに面白く見えてきます。

3.商品戦略

では、

バーガーキングは何で勝負しているのでしょうか。

ここで商品を見てみます。

すると、

ある共通点が見えてきます。

それは、

「マクドナルドと同じ商品を作ろうとしていない」

ということです。


ワッパーという主役

バーガーキングを代表する商品といえば、

ワッパーです。

「大きいバーガー」

というイメージを持っている人も多いでしょう。

実際、

一般的なハンバーガーよりも大きく、

肉の存在感も強い。

野菜もたっぷり入り、

一つでしっかり満足感があります。

つまり、

バーガーキングは最初から

「ボリューム」

を商品価値として設計しています。

「少し食べたい」

ではなく、

「今日はしっかり食べたい。」

そんな日に思い出される商品です。


直火焼きという差別化

もう一つの特徴が、

100%ビーフの直火焼き(フレームグリル)です。

一般的な鉄板調理とは違い、

炎で焼くことで、

香ばしさが生まれます。

店内に入ると、

独特の焼き上がる香りを感じる人も多いでしょう。

この香りも、

商品の一部です。

味だけではありません。

香りまで含めて、

「バーガーキングらしさ」

を作っています。

これは、

中小飲食店でも非常に参考になります。

料理は、

舌だけで食べるものではありません。

香り。

音。

見た目。

全部がお客様の体験になります。


大型バーガーというポジション

バーガーキングの商品を見ると、

期間限定商品も、

肉を増やした商品も、

大型サイズの商品が多く並びます。

つまり、

会社全体として

「大きく食べる楽しさ」

をブランドにしています。

これは、

マクドナルドとは少し違います。

マクドナルドもボリューム商品はあります。

しかし、

子どもから高齢者まで、

誰でも食べやすいサイズ設計の商品も数多くあります。

一方、

バーガーキングは、

「食べ応え」

をブランドの中心に置いています。

だから、

比較される商品ではなく、

食べたい気分

そのものを作ろうとしているのです。


カスタマイズという体験

そして、

バーガーキングには

「オールヘビー」

という有名なサービスがあります。

追加料金なしで、

レタス、

オニオン、

ピクルス、

ソースなどを増量できる商品があります。

さらに、

苦手な食材を抜くこともできます。

つまり、

商品を売っているだけではありません。

「自分好みに作れる体験」

も提供しているのです。

これは、

お客様に

「自分のために作ってくれた」

という満足感を与えます。

商品そのものだけではなく、

参加できる楽しさまで設計しているのです。


商品を見れば、戦略が分かる

ここまで見ると、

バーガーキングの商品には一貫性があります。

商品戦略狙い
ワッパー圧倒的な食べ応え
直火焼き香ばしさという独自価値
大型バーガー満足感・ボリュームで差別化
カスタマイズ自分だけの一品という体験価値

どれも、

マクドナルドと同じ商品を目指した結果ではありません。

むしろ、

「マクドナルドでは満たせないニーズ」を狙って設計された商品です。

ここが重要です。

強い会社は、

競合の真似をして勝とうとはしません。

自分が選ばれる理由を、商品そのものに組み込んでいます。

バーガーキングの商品戦略は、

まさにその考え方を体現していると言えるでしょう。

4.価格戦略

ここまで見ると、

バーガーキングは

「高級ハンバーガー」

のように思えるかもしれません。

ワッパー。

直火焼き。

大型バーガー。

ボリューム。

どれもプレミアムな印象があります。

しかし、

実際にお店へ行くと、

少し違うことに気付きます。

「意外と安い。」

ここにもバーガーキングの戦略があります。


定価ではなく、体験価格を作る

バーガーキングのアプリを開くと、

まず目に入るのが大量のクーポンです。

ワッパーセット。

ダブルバーガー。

期間限定商品。

毎週のように新しいクーポンが配信されています。

つまり、

会社としては

「定価で買ってください」

とは考えていません。

むしろ、

アプリをダウンロードしてもらい、

クーポンを使って来店してもらうことを前提に設計されています。

価格ではなく、

来店習慣を作っているのです。


セット価格で客単価を上げる

バーガーキングの商品を見ると、

単品よりセットが強く訴求されています。

例えば、

ワッパーだけ注文するより、

少し追加すれば

ポテトとドリンクが付く。

すると、

お客様は

「それならセットにしよう。」

と考えます。

飲食店では、

この「あと少し」が非常に重要です。

客単価は、

高額商品だけでは上がりません。

自然にセットへ誘導する設計

で上がるのです。


クーポンは値引きではない

ここで勘違いしてはいけません。

バーガーキングは、

単純な安売りをしているわけではありません。

例えば、

クーポンを使うには、

アプリを開きます。

アプリを開けば、

期間限定商品も見る。

新商品も見る。

キャンペーンも見る。

つまり、

クーポンは

広告

でもあります。

値引きしながら、

商品の存在も知ってもらう。

さらに、

来店頻度も増える。

一枚のクーポンで、

複数の目的を達成しています。


アプリが一番の武器

今のバーガーキングは、

ハンバーガーだけを売っている会社ではありません。

アプリを通して、

お客様との接点を増やしています。

クーポン。

キャンペーン。

新商品。

店舗検索。

会員登録。

こうした仕組みを通じて、

「次もバーガーキングに行こう。」

という理由を増やしています。

これは、

マクドナルドも同じです。

ただし、

使い方には違いがあります。

項目バーガーキングマクドナルド
クーポン来店のきっかけを作る日常利用を維持する
アプリブランドを育てる入口生活インフラとして使うツール
セット販売ボリューム感・お得感を演出定番商品との組み合わせを促進
狙い「一度来てほしい」を増やす「また来よう」を積み重ねる

ここに、

両社の現在地の違いがあります。


中小飲食店が学ぶべきこと

ここで重要なのは、

「バーガーキングはクーポンを出している。」

ではありません。

学ぶべきなのは、

クーポンの役割です。

多くの飲食店は、

売上が落ちると、

値引きを始めます。

しかし、

バーガーキングのクーポンは、

単なる値引きではありません。

  • アプリを使ってもらう
  • 新商品を知ってもらう
  • セットを選んでもらう
  • 来店回数を増やす
  • ブランドとの接点を増やす

これらを一枚で実現するための仕組みです。

つまり、

価格を下げることが目的ではなく、

「次につながる行動」を設計することが目的なのです。


強い会社は、価格ではなく行動を設計する

バーガーキングの価格戦略を見ると、

見えてくるのは値引きではありません。

お客様の行動です。

「アプリを開く。」

「クーポンを見る。」

「セットを選ぶ。」

「新商品を知る。」

「また来店する。」

価格は、

その流れを作るための一つの仕掛けにすぎません。

だから私は、

価格戦略とは、

「いくらで売るか」を決めることではないと考えています。

「お客様に次の行動を起こしてもらう仕組みを設計すること。」

それが、本当の価格戦略なのです。

5.立地戦略

ここまで、

商品。

価格。

決算。

を見てきました。

次に見るべきなのが、

立地戦略です。

飲食店は、

「どこで売るか」

によって、

戦略そのものが変わります。

そして、

バーガーキングの出店を見ると、

非常に面白い特徴があります。


バーガーキングは、どこへ出店しているのか

実際の店舗を見ると、

バーガーキングは次のような立地が多くなっています。

出店場所特徴
駅前・駅近通勤・通学・買い物客を狙う
大型商業施設買い物客・ファミリー・休日需要
繁華街若年層・観光客・オフィスワーカー
幹線道路沿い(ロードサイド)ドライブ需要・広域商圏

つまり、

一つの立地だけに集中していません。

都市部もあれば、

郊外もある。

駅もあれば、

ロードサイドもある。

しかし、

ここで大切なのは、

「全部に出している」わけではない

ということです。


マクドナルドとの違い

マクドナルドは、

ほとんどの生活圏にあります。

駅前。

駅ナカ。

ロードサイド。

住宅街。

サービスエリア。

空港。

病院。

大学。

ショッピングセンター。

まさに、

生活インフラのような存在です。

一方、

バーガーキングは違います。

まだ店舗数が限られているため、

全国を均一に埋めることはできません。

だからこそ、

「勝てる場所」

を選んでいます。


人が集まる場所ではない

ここで誤解してはいけません。

バーガーキングは、

人が多い場所だけを選んでいるわけではありません。

例えば、

駅前でも、

改札の真正面ではない。

商業施設でも、

超一等地とは限らない。

ロードサイドでも、

マクドナルドのような大型ドライブスルー型だけではない。

つまり、

「人が多い場所」

ではなく、

「バーガーキングを選んでもらえる場所」

を探しています。

これは、

全く違う考え方です。


出店にもブランドがある

バーガーキングのお客様を考えると、

こんなシーンが見えてきます。

  • 昼休みにしっかり食べたい会社員
  • 買い物帰りに立ち寄る人
  • ハンバーガー好き
  • 「今日はバーガーキングが食べたい」と目的来店する人

つまり、

偶然入る店というより、

目的来店型

の店舗が多いのです。

だから、

マクドナルドほど

「家から一番近い店」

を目指していません。

むしろ、

少し歩いてでも、

少し車を走らせてでも、

来てもらえるブランドを作っています。


出店戦略を見ると、競争相手が分かる

ここで、

マクドナルドと比較すると違いが分かります。

項目バーガーキングマクドナルド
出店数約350店舗約3,000店舗
基本戦略勝てる立地へ集中出店全国を生活圏でカバー
来店理由食べたいから行く近いから行くことも多い
商圏広域商圏も取り込む日常生活圏を押さえる

この違いは、

店舗数の差だけではありません。

ブランドの役割そのものが違うのです。


中小飲食店が学ぶべきこと

ここで、

中小飲食店は勘違いしやすいポイントがあります。

「一番良い立地に出せば成功する。」

そう考える経営者は少なくありません。

しかし、

バーガーキングを見れば分かります。

重要なのは、

一番人が多い場所ではなく、ブランドが最も力を発揮できる場所を選ぶことです。

もし、

商品力が高いなら、

目的来店を狙えるかもしれません。

地域密着なら、

住宅街が合うかもしれません。

デリバリーが強いなら、

人口密度を優先すべきかもしれません。

つまり、

立地は単独で考えるものではありません。

商品、価格、ブランド、ターゲットと一体で設計するものなのです。


強い会社は、空いた場所ではなく「勝てる場所」に出店する

バーガーキングの立地戦略を見ると、

店舗数で勝負している会社ではないことが分かります。

限られた出店機会の中で、

自社のブランドが最も選ばれやすい場所へ投資しているのです。

だから私は、

立地戦略とは、

「家賃が安い場所を探すこと」でも、

「人通りが多い場所を探すこと」でもないと思っています。

「自分たちが最も選ばれる場所はどこか。」

その問いに答え続けることが、

本当の立地戦略なのです。

6.本当に狙っている客

ここまで読むと、

一つの疑問が生まれます。

バーガーキングは、

本当にマクドナルドのお客様を奪おうとしているのでしょうか。

私は、

違うと思います。

もちろん、

一部のお客様は重なります。

ハンバーガーを食べたい人。

ファストフードを利用する人。

その意味では競合です。

しかし、

経営戦略として見ると、

バーガーキングが狙っているのは、

「マクドナルドのお客様」ではありません。


お客様ではなく、「気分」を狙っている

例えば、

こんな日があります。

今日は、

昼ご飯をしっかり食べたい。

肉を思い切り食べたい。

ジャンクな気分。

ガツンとしたものが食べたい。

そんな時、

頭の中に浮かぶ店は、

必ずしもマクドナルドではありません。

バーガーキング。

モスバーガー。

ラーメン。

牛丼。

ステーキ。

唐揚げ。

いろいろな選択肢があります。

つまり、

バーガーキングが戦っているのは、

「マクドナルド」ではなく、”今日はガッツリ食べたい”という需要を取り合う相手なのです。


競合はハンバーガーではない

飲食店は、

商品で競争しているように見えます。

しかし、

本当は違います。

競争しているのは、

食事をする理由です。

例えば、

お客様の気分比較される店
とにかく早く済ませたいマクドナルド・牛丼・コンビニ
ガッツリ肉を食べたいバーガーキング・ステーキ・ラーメン
野菜もしっかり食べたいモスバーガー・カフェ
子どもが喜ぶ店へ行きたいマクドナルド・くら寿司・ガスト
ゆっくり休憩したいカフェ・ファミレス

ここが重要です。

バーガーキングは、

「ハンバーガーを食べたい人」

ではなく、

「今日は満足感が欲しい人」

を狙っています。


ワッパーが象徴しているもの

だから、

ワッパーは大きいのです。

直火焼きなのです。

肉が厚いのです。

野菜も多いのです。

全部、

同じ方向を向いています。

それは、

満足感。

「今日はバーガーキングにしよう。」

その理由を、

商品全体で作っています。

もし、

小さいバーガーばかり並べれば、

このブランドは成立しません。

商品そのものが、

狙うお客様を語っているのです。


マクドナルドとは役割が違う

ここで、

両社を比較すると分かりやすくなります。

項目バーガーキングマクドナルド
思い出される場面ガッツリ食べたい日日常の食事・軽食
商品の中心ワッパービッグマック・てりやき・季節商品など幅広いラインアップ
提供価値食べ応え・肉・満足感速さ・安心・手軽さ・習慣
狙う瞬間“今日は肉を食べたい”“今日はマックでいいね”

つまり、

役割が違います。

だから、

真正面からぶつかっているように見えて、

実は少しずつ

住み分けが起きています。


中小飲食店も同じ

これは、

中小飲食店にも当てはまります。

例えば、

定食屋なら、

隣の定食屋と戦う必要はありません。

あなたの店が狙うのは、

「今日は家で料理したくない。」

「今日は野菜が食べたい。」

「今日はビールを飲みたい。」

「今日は家族全員違うものが食べたい。」

そんな

生活の一場面です。

強い店は、

商品を売っていません。

その日、その瞬間に選ばれる理由を売っています。


バーガーキングが狙っているのは、マクドナルドのお客様ではない

ここまで見ると、

バーガーキングが狙っているものが見えてきます。

マクドナルドのシェアを奪うことだけが目的なら、

商品も、

価格も、

店舗も、

もっとマクドナルドに近づけるはずです。

しかし、

バーガーキングはそうしていません。

ワッパーを磨き、

直火焼きを磨き、

「食べ応え」という価値を磨き続けています。

つまり、

狙っているのは、

マクドナルドのお客様ではありません。

「今日は、あれが食べたい。」

そう思った瞬間に、

真っ先に思い出されるブランドになることです。

そして、ここに飲食店経営の本質があります。

競争相手は、同じ商品を売る店ではありません。

お客様の頭の中で、同じ瞬間に思い出されるすべての選択肢。

私は、それこそが本当の競争相手だと考えています。

7.バーガーキングは何を売っているのか

ここまで、

決算。

商品。

価格。

立地。

ターゲット。

を見てきました。

すると、

一つの答えが見えてきます。

バーガーキングは、

ハンバーガーを売っている会社ではありません。


ワッパーは商品ではない

ワッパーは、

確かにハンバーガーです。

しかし、

お客様が買っているものは、

パンでも、

肉でもありません。

買っているのは、

「今日は思い切り食べた。」

という満足感です。

だから、

バーガーキングは、

ワッパーを小さくしません。

肉を薄くしません。

直火焼きをやめません。

そこを変えた瞬間、

バーガーキングではなくなるからです。


売っているのは「遠慮しない食事」

例えば、

昼休み。

今日は忙しかった。

午後も仕事が続く。

そんな日に、

サラダだけ食べたい人は少ないでしょう。

「今日は肉だ。」

そんな気分の日があります。

バーガーキングは、

その気分を満たします。

つまり、

売っているのは、

遠慮しない食事。

「今日はしっかり食べよう。」

という気持ちに応えるブランドなのです。


ブランドとは約束である

強いブランドには、

必ず約束があります。

マクドナルドなら、

早い。

安心。

いつもの味。

スシローなら、

寿司を楽しく食べる時間。

スターバックスなら、

コーヒーを飲む場所というより、

心地よく過ごす時間。

では、

バーガーキングは何でしょうか。

私は、

こう考えています。

「満足するまで食べて帰ってください。」

これが、

バーガーキングのブランドです。


商品を見ると、約束が分かる

ここまで分析すると、

すべてが一本につながります。

戦略本当に売っているもの
ワッパー食べ応え
直火焼き肉を食べる満足感
大型サイズボリュームへの期待
オールヘビー自分好みにできる楽しさ
クーポン「この満足感をもっと身近に」というきっかけ
出店わざわざでも行きたいブランド

全部、

同じ方向を向いています。

だから、

ブランドが強くなるのです。


中小飲食店も同じ

ここが、

私が一番伝えたいことです。

飲食店は、

料理を売っているようで、

実は違います。

例えば、

ラーメン屋なら、

ラーメンを売っているわけではありません。

寒い日に体が温まる安心感かもしれない。

居酒屋なら、

お酒ではありません。

仲間と笑う時間かもしれない。

定食屋なら、

ご飯ではありません。

仕事終わりに、

「今日も頑張った。」

と思える時間かもしれません。

つまり、

料理は手段です。

お客様が本当に買っているものは、

感情です。


私なら、こう考える

バーガーキングを分析して、

私が見えたのは、

ハンバーガーではありません。

「今日は遠慮せず、思い切り食べよう。」

という一日のご褒美です。

だから、

バーガーキングは、

ワッパーを中心にブランドを作り続けています。

そして、

中小飲食店も、

ここを考えるべきです。

「何を売るか。」

ではありません。

「お客様は、この店でどんな気持ちになって帰るのか。」

そこまで設計できた店は、

料理だけでは真似されません。

ブランドになります。

バーガーキングが売っているのは、

ハンバーガーではありません。

“思い切り食べた”という満足感。

私は、その価値こそが、バーガーキングというブランドの本当の商品だと考えています。

8.マクドナルドとの違い

マクドナルドとの違い

ここまで分析すると、

バーガーキングは、

マクドナルドを真似していないことが分かります。

同じハンバーガーチェーン。

同じファストフード。

しかし、

経営戦略は驚くほど違います。

ここまでの内容を一度整理してみましょう。


バーガーキングとマクドナルドの比較

項目バーガーキングマクドナルド
ブランドコンセプト「しっかり食べたい」に応える「いつでも気軽に食べられる」
主力商品ワッパービッグマック・てりやき・季節商品など幅広いラインアップ
商品戦略直火焼き・大型バーガー・肉の満足感幅広い商品構成で全年齢に対応
ターゲット食べ応えを求める人子どもから高齢者まで幅広い層
価格戦略アプリ・クーポンで来店動機を作るアプリ・クーポンで利用頻度を維持する
店舗戦略出店余地のある商圏へ積極展開全国の生活圏をカバー
来店理由「今日はバーガーキングが食べたい」「近くにあるから」「安心だから」
ブランド価値肉・ボリューム・満足感手軽さ・安心感・日常性

この表を見ると、

同じ業態とは思えません。


商品は似ている。でも戦略は違う

例えば、

両社とも、

ハンバーガーを売っています。

ポテトがあります。

ドリンクがあります。

セット販売があります。

ここだけ見ると、

違いは少なく見えます。

しかし、

経営者が見ているものは違います。

マクドナルドは、

生活の中に入り込むことを目指しています。

朝でも、

昼でも、

夕方でも、

休日でも、

「とりあえずマックにしよう。」

と思い出される存在です。

一方、

バーガーキングは、

毎日選ばれようとはしていません。

その代わり、

「今日はバーガーキングしかない。」

そう思ってもらうブランドを作っています。


だから正面から戦っていない

多くの人は、

バーガーキングを見ると、

「マクドナルドのライバル」

と言います。

もちろん、

市場としては競合です。

しかし、

経営戦略として見ると、

真正面からぶつかってはいません。

もし、

バーガーキングが

マクドナルドと同じ商品を作り、

同じ価格で売り、

同じ店舗数を目指したら、

ブランドの存在意義は薄れてしまいます。

だから、

ワッパーがある。

直火焼きがある。

オールヘビーがある。

全部、

「バーガーキングらしさ」

を守るためです。


中小飲食店も同じ

ここは、

中小飲食店も同じです。

例えば、

近所に人気の定食屋がある。

だから、

同じ定食を作る。

同じ価格にする。

同じサービスを始める。

これでは、

比較されるだけです。

強い店は、

比較される店にはなりません。

比較できない店になります。

例えば、

家族全員が好きなものを食べられる店。

仕事帰りに一人で安心して入れる店。

地域で一番スタッフが温かい店。

料理以外の理由を作っています。

バーガーキングも、

まさに同じです。


違いを作る会社が、最後に選ばれる

ここまで見てきて、

私が一番感じるのは、

バーガーキングは

マクドナルドを追いかけている会社ではないということです。

追いかけているのは、

**「バーガーキングにしか作れない価値」**です。

だから、

商品も、

価格も、

店舗も、

全部が同じ方向を向いています。

そして、

これは飲食店経営でも最も重要な考え方です。

弱い会社は、

競合を見ています。

強い会社は、

**「自分たちが選ばれる理由」**を見ています。

バーガーキングとマクドナルド。

同じハンバーガーチェーンだからこそ、

その違いを比較すると、

「競争とは真似をすることではなく、違いを育てること」

という経営の本質が見えてくるのです。

9.だから中小飲食店は何を学ぶべきなのか

ここまで、

バーガーキングを分析してきました。

決算。

商品。

価格。

立地。

ターゲット。

ブランド。

全部を見てきました。

そこで、

私が一番伝えたいことがあります。

それは、

バーガーキングのような店を作れ。

という話ではありません。

本当に学ぶべきなのは、

「自分たちは、何で選ばれる店なのか。」

を設計することです。


中小飲食店は真似をすると負ける

例えば、

バーガーキングが売れているから、

大きなハンバーガーを作る。

マクドナルドがアプリをやっているから、

アプリを作る。

クーポンが多いから、

クーポンを配る。

これは、

経営ではありません。

ただの真似です。

真似をすれば、

必ず比較されます。

そして、

比較されると、

資本力のある会社には勝てません。


学ぶべきなのは「考え方」

バーガーキングから学ぶべきなのは、

ワッパーではありません。

直火焼きでもありません。

本当に学ぶべきなのは、

「選ばれる理由を、一つに絞り込む力」

です。

バーガーキングは、

ボリューム。

肉。

満足感。

この方向へ、

すべての経営資源を集中しています。

だから、

ブランドになります。


RBRなら、こう考える

私は、

飲食店経営とは、

料理を作ることではないと思っています。

選ばれる理由を設計すること。

これが経営です。

例えば、

ガブ飲み食堂なら、

私が設計しているのは、

ハンバーグではありません。

トンテキでもありません。

私が設計しているのは、

「今日は家族みんなの食べたいものが違う。」

そんな日に、

真っ先に思い出される店です。

だから、

和食もある。

洋食もある。

蕎麦もある。

丼もある。

鍋もある。

セルフ飲み放題もある。

おかわり自由もある。

デリバリーもある。

全部、

一つの方向を向いています。

「誰か一人が我慢しなくていい店。」

これが、

ガブ飲み食堂の選ばれる理由です。


商品ではなく、生活を見る

バーガーキングが見ているのは、

ハンバーガー市場ではありません。

「今日はガッツリ食べたい。」

という生活の一場面です。

同じように、

中小飲食店も、

料理を見るべきではありません。

お客様の生活を見るべきです。

例えば、

料理で考える店生活で考える店
ハンバーグを売る家族が全員満足できる夕食を作る
ラーメンを売る仕事帰りに元気を取り戻す時間を作る
居酒屋を売る仲間との楽しい時間を提供する
カフェを売る一人で安心して過ごせる場所を提供する

この違いは、

とても大きいのです。

料理は、

いくらでも真似できます。

しかし、

生活の中で選ばれる理由は、

簡単には真似できません。


競争相手を間違えない

そして、

もう一つ大切なことがあります。

中小飲食店は、

競争相手を間違えています。

「あの店より安く。」

「あの店より量を多く。」

「あの店より豪華に。」

これでは、

終わりのない価格競争になります。

本当に見るべきなのは、

競合ではありません。

お客様の頭の中です。

どんな日に、

思い出される店なのか。

何を期待される店なのか。

そこを設計することが、

経営です。


RBRが伝えたいこと

私は、

大手外食企業を分析する理由があります。

マクドナルドを真似するためではありません。

バーガーキングを真似するためでもありません。

「なぜ、この会社は選ばれ続けるのか。」

その構造を知るためです。

強い会社は、

料理を作っていません。

ブランドを作っています。

ブランドとは、

ロゴではありません。

お客様の頭の中にある「この店なら間違いない」という約束です。

だから私は、

「何を売るか」より、

「どんな日に思い出される店になるのか。」

を考えます。

飲食店の競争は、

料理同士の勝負ではありません。

お客様の生活の、どの一場面を任せてもらうか。

私は、それがこれからの中小飲食店経営だと考えています。

10.まとめ

バーガーキングは、

マクドナルドになろうとしているのではありません。

そして、

私はもう一つ思うことがあります。

バーガーキングは、マクドナルドと戦っているわけでもありません。

戦っているように見えているのは、

私たち消費者です。

「どちらのハンバーガーが美味しいか。」

「どちらが安いか。」

「どちらがお得か。」

そんな比較をしているのは、

私たちです。

しかし、

経営者は違います。

彼らが見ているのは、

競合ではありません。

お客様です。

マクドナルドは、

「日常の中で、いつ思い出されるか。」

を設計しています。

バーガーキングは、

「今日は思い切り肉を食べたい。」

その瞬間を設計しています。

つまり、

両社が奪い合っているのは、

ハンバーガー市場ではありません。

お客様の生活の一場面です。

だから、

ワッパーが生まれる。

直火焼きがある。

クーポンがある。

出店場所も違う。

すべて、

その一場面を取るための設計です。

ここまで分析して、

私は改めて思いました。

強い会社ほど、競合を見ていません。

見ているのは、

「お客様は、どんな日に自分たちを思い出すのか。」

ただ、それだけです。

だから、

中小飲食店も、

マクドナルドを真似する必要はありません。

バーガーキングを真似する必要もありません。

スシローも、

サイゼリヤも、

すかいらーくも、

真似する必要はありません。

真似をした瞬間、

比較されます。

比較された瞬間、

資本力の勝負になります。

そして、

その勝負は、

最初から勝敗が決まっています。

だから私は、

大手外食企業を分析するとき、

料理を見ません。

価格も見ません。

店舗数も、

広告も、

商品の写真も、

本当は見ていません。

私が見ているのは、経営者が「何を取りにいっているのか」です。

どの生活シーンを取りに行くのか。

どんな感情を作ろうとしているのか。

何年かけて、

どんなブランドを育てようとしているのか。

そこを見ると、

すべてが一本につながります。

そして、

RBRが伝えたいことも、

そこにあります。

飲食店の競争は、

料理同士の勝負ではありません。

価格競争でもありません。

立地競争でもありません。

お客様の頭の中で、「この日は、この店だ。」という記憶を、どれだけ積み上げられるか。

その競争です。

だから私は、

飲食店を見に行くと、

料理を見ません。

メニューも見ません。

「この店は、どんな日に思い出されるよう設計されているのか。」

そこを見ます。

その視点で見たとき、

バーガーキングは、

ハンバーガーチェーンではありません。

“満足感”という一日を売るブランドでした。

そして、

マクドナルドは、

“日常”を売るブランドです。

同じハンバーガー。

同じファストフード。

でも、

経営者が見ている景色は、

まったく違いました。

だから私は、大手を分析します。

真似をするためではありません。

「店を見る」のではなく、「経営者が見ている景色を見る」ためです。

その景色が見えるようになったとき、

飲食店の見え方は、180度変わります。

この記事を書いた人 Wrote this article

新田 敏之

新田 敏之 RBR合同会社 統括 / 男性

RBR(Restaurant Business Reform)代表。 鉄板焼きの現場で25年。 これまで数多くの飲食店の立て直しを中心とした経営改善に携わり、売上改善、商品開発、人材育成、オペレーション構築、デリバリー事業の立ち上げなど、現場に入りながら支援を行ってきました。 現在は「ガブ飲み食堂」を運営しながら、主力商品の開発・ソースや商品の卸事業、デリバリーFC事業の展開、そして飲食店の経営改善支援を行っています。 このブログで発信するのは、机上の理論ではありません。 すべて現場で試し、失敗し、改善を繰り返してきた実践知です。 料理だけでは、お店は続きません。 利益が残る仕組み、人が育つ環境、お客様に選ばれ続ける理由。 私は、その「経営」を一人でも多くの飲食人に届けたいと考えています。 飲食店を増やしたいわけではありません。 利益が残る飲食店を、一店舗でも増やしたい。 その想いを胸に、今日も現場で挑戦を続けています。