なぜ、居酒屋は今こんなにも潰れているのか。

Restaurant Business Reform または 飲食店経営改善ブログ

なぜ、居酒屋は今こんなにも潰れているのか。
この記事は約 48 分で読めます
目次 Outline

酒離れでは説明できない、飲み会文化の変化と旧型居酒屋モデルの限界

1.なぜ今、居酒屋の倒産が増えているのか

「居酒屋はもう終わりなのか。」

最近、このような声を耳にする機会が増えました。

実際、数字を見ても厳しい状況が続いています。

2026年1〜4月の居酒屋倒産件数は88件となり、前年同期比54.3%増。これは1989年以降、同期間では最多の件数です。

さらに、2026年1〜5月では98件となり、前年同期比でも38.0%増まで積み上がっています。

居酒屋倒産件数の推移

期間倒産件数前年同期比
2026年1〜4月88件+54.3%
2026年1〜5月98件+38.0%

この数字だけを見ると、

「若者がお酒を飲まなくなったからだ。」

「コロナで宴会文化がなくなったからだ。」

そんな結論を出したくなります。

しかし、本当にそれだけなのでしょうか。


コロナは終わった。それでも倒産は増えている。

確かに、新型コロナウイルスの流行によって居酒屋業界は大きな打撃を受けました。

宴会は消え、
終電需要も減り、
多くの店舗が営業自粛を余儀なくされました。

しかし現在は状況が違います。

人流は回復し、
外国人観光客も増え、
企業の宴会も少しずつ戻っています。

街を歩けば、金曜日の繁華街は以前のような賑わいを見せる場所も珍しくありません。

つまり、

「客がゼロだから潰れている」

という時代ではなくなりました。

それにもかかわらず、倒産件数は過去最多ペースで増えています。

ここに、今の居酒屋経営の本質があります。


本当の問題は「売上」ではない

もし、お客様が戻っているのであれば、

本来は経営も改善しているはずです。

ところが現実は逆です。

これはつまり、

売上以外の部分で経営が耐えられなくなっている

ということを意味します。

例えば、

  • 食材価格の高騰
  • 人件費の上昇
  • 光熱費の高騰
  • 家賃や設備更新費
  • 人手不足による採用コスト
  • 借入金の返済開始

これらが同時に経営を圧迫しています。

以前なら利益として残っていた売上が、

今では固定費や変動費に吸収され、

「忙しいのにお金が残らない店」

が急増しているのです。


売上が戻ることと、利益が残ることは別の話

多くの経営者は、

「売上が戻れば経営も戻る」

と考えます。

しかし実際には、

売上が回復しても、

利益率が下がれば会社は弱くなります。

イメージ図

つまり、

「お客様が戻ったのに潰れる店」

という現象は、

決して矛盾ではありません。

利益構造そのものが変わってしまったからです。


このシリーズで考えたいこと

この記事では、

「若者がお酒を飲まなくなった」

「コロナの影響」

といった表面的な理由だけでは終わりません。

本当に知りたいのは、

なぜ、お客様が戻っているにもかかわらず、居酒屋は潰れてしまうのか。

そして、

これからも生き残る居酒屋は、

何が違うのか。

数字と実際の企業事例をもとに、一つずつ紐解いていきます。

2.居酒屋市場は、コロナ前からすでに弱くなっていた

「コロナが終われば、居酒屋は元に戻る。」

そう考えていた人は少なくありませんでした。

しかし現実は違いました。

居酒屋の倒産は増え続けています。

その理由を理解するためには、コロナ以前まで時間を戻す必要があります。


居酒屋は、コロナ前から長期的に弱くなっていた

経済産業省の分析によると、

パブ・レストラン・居酒屋は、他の飲食サービス業態と比較して長期的な低落傾向にあることが示されています。

さらに興味深いのは、

売上が減少した原因を分析すると、

「客単価」よりも「利用客数」の減少が大きく影響していたという点です。

つまり、

問題は、

「一人のお客様がお酒を飲まなくなった」

ことではありません。

もっと根本的な問題があります。


売上減少の本当の原因

要因影響
客単価の低下一定の影響
利用客数の減少最も大きな要因

これは言い換えると、

お客様一人当たりが使う金額よりも、

「居酒屋へ行く」という行動そのものが減っていた

ということです。

例えば、

以前なら、

  • 会社帰りに一杯
  • 同僚との飲み会
  • 接待
  • 二次会
  • 地域の集まり

こうした機会が、日常の中に数多く存在していました。

しかし、

働き方の変化やライフスタイルの多様化によって、

その回数は少しずつ減少していきました。

つまり、

居酒屋市場は、

コロナが始まる前から、

ゆっくりと縮小を始めていたのです。


「お酒離れ」だけでは説明できない

よく、

「若者がお酒を飲まなくなった。」

と言われます。

もちろん、それも一つの要因でしょう。

しかし、

本質はそこではありません。

仮にお酒を飲む量が少し減っても、

居酒屋へ行く頻度が変わらなければ、

市場への影響は限定的です。

問題は、

「飲みに行く」という生活習慣そのものが減少したこと。

つまり、

居酒屋は、

お酒との競争ではなく、

人々の時間の使い方そのものが変わる中で、

市場が縮小していった業態なのです。


時系列で見る居酒屋市場

コロナ前
   ↓
利用客数が少しずつ減少
   ↓
市場が緩やかに縮小
   ↓
コロナ禍
   ↓
売上が急激に消失
   ↓
借入金・資金繰り悪化
   ↓
物価高・人件費高騰
   ↓
現在の倒産増加

RBRの見解

私は、

コロナが居酒屋を壊した。

とは考えていません。

本当は、

コロナ以前から、

居酒屋という業態は少しずつ体力を失っていました。

そこへ、

コロナが大きなダメージを与え、

ようやく営業を再開できた頃には、

今度は食材価格や人件費、光熱費の高騰が始まりました。

つまり、

立て直すための時間が与えられなかった。

これが現在の居酒屋倒産ラッシュの本質だと私は考えています。

コロナは原因ではありません。

すでに弱くなっていた業態に最後の一撃を与え、その後の物価高が回復する時間を奪った。

だから今、私たちが考えるべきことは、

「どうやって以前の居酒屋に戻すか」

ではありません。

これからの時代に選ばれ続ける居酒屋とは、どのような店なのか。

そこから、経営を見直す必要があるのです。

3.日本人は本当に酒を飲まなくなったのか

「若者がお酒を飲まなくなったから、居酒屋は苦しい。」

このような話を、一度は聞いたことがあるでしょう。

確かに、その傾向自体は間違いではありません。

国税庁が公表している酒類販売数量や成人一人当たりの酒類消費数量を見ると、日本の酒類消費は長期的に減少傾向にあります。

つまり、

酒類市場そのものが縮小していることは、データからも確認できます。

しかし、

ここで一つ注意しなければならないことがあります。


酒を飲まないことと、居酒屋へ行かないことは違う

よく、

「酒を飲む人が減った」

という話から、

「だから居酒屋は苦しい」

という結論になります。

しかし、この間には大きな飛躍があります。

酒を飲まなくなったことと、

居酒屋へ行かなくなったことは、

必ずしも同じではありません。

例えば現在は、

  • 自宅で晩酌を楽しむ
  • コンビニでクラフトビールを買う
  • スーパーでワインを購入する
  • 焼肉店や寿司店でお酒を飲む
  • イタリアンやバルでワインを楽しむ

など、

お酒を飲む場所そのものが多様化しています。

つまり、

お酒の需要が消えたわけではなく、お酒を飲む場所が分散したのです。


酒類市場と居酒屋市場は同じではない

酒類市場居酒屋市場
酒そのものの需要居酒屋という業態の需要
スーパー・コンビニ・EC・飲食店すべてを含む居酒屋だけ
酒を買えば市場に含まれる来店しなければ市場にならない

ここを混同すると、

問題の本質を見誤ります。

居酒屋が競争している相手は、

他の居酒屋だけではありません。

スーパーも、

コンビニも、

焼肉店も、

ファミリーレストランも、

回転寿司も、

すべてが「酒を飲む場所」の選択肢になっています。


居酒屋は「酒」ではなく「時間」を売る時代になった

昔の居酒屋は、

会社帰りに集まり、

仕事の話をしながら一杯飲む場所でした。

しかし現在は、

仕事帰りにそのまま帰宅する人も増え、

オンラインでつながることもできます。

家で動画を見ながら飲むこともできます。

つまり、

お客様は、

「今日は酒を飲もう。」

ではなく、

「今日はどこで過ごそう。」

という選択をしています。

その結果、

居酒屋は、

お酒そのものではなく、

時間の過ごし方で選ばれる業態へと変わりました。


居酒屋が巻き込まれている本当の競争

居酒屋だけが、

「酒を提供する場所」

ではなくなった今、

競争軸そのものが変化しています。


RBRの見解

私は、

居酒屋は酒屋ではないと考えています。

もちろん、

美味しいお酒は必要です。

しかし、

それだけでは選ばれません。

今、お客様が選んでいるのは、

「どこで飲むか」

ではなく、

「誰と、何のために、その時間を過ごすのか」

です。

誕生日を祝うためなのか。

仕事終わりに仲間と笑うためなのか。

家族との時間を楽しむためなのか。

一人で気分転換するためなのか。

つまり、

居酒屋は酒を売る仕事ではありません。

「時間」と「体験」を提供する仕事なのです。

だからこれからの居酒屋経営は、

酒の品揃えだけを競う時代ではありません。

「この店で飲みたい理由」を設計できる店だけが、選ばれ続ける。

私は、それがこれからの居酒屋経営の本質だと考えています。

4.「仕事帰りに一杯」は本当に減ったのか

居酒屋市場の変化を語る上で、

見逃してはいけないデータがあります。

それが、

「仕事帰りに飲みに行く人」がどれだけ減ったのかという調査です。

2024年のビジネスパーソン調査では、

新型コロナの5類移行後であっても、

67.5%が「仕事帰りの飲み会には行かない」と回答しました。

さらに、

50代では77.0%に達しています。

また別の調査では、

職場・仕事関係者との飲酒頻度について、

37.2%が「減った」と回答しました。

さらに、

友人・知人との外飲みについても、

35.5%が「減った」と答えています。

つまり、

コロナが終わっても、

「飲み会文化」は元には戻らなかったのです。


仕事帰りの飲酒習慣は大きく変化した

調査結果回答
仕事帰りの飲み会には行かない67.5%
50代で「行かない」と回答77.0%
職場関係との飲酒頻度が減った37.2%
友人・知人との外飲みが減った35.5%

数字を見ると、

変わったのは酒の量だけではありません。

人と飲みに行くという生活習慣そのものが変化していることがわかります。


昔は「仕事」が居酒屋へお客様を送っていた

少し前まで、

会社員の日常には、

こんな流れがありました。

仕事が終わる
   ↓
上司・同僚と飲みに行く
   ↓
二次会へ行く
   ↓
終電で帰宅

この流れは、

特別なイベントではありませんでした。

多くの会社で、

ごく自然に繰り返される日常だったのです。

つまり、

居酒屋は、

自ら集客しなくても、

会社という仕組みが毎日お客様を送り込んでくれていたとも言えます。


今は「仕事が終わる=帰宅」が当たり前になった

一方で現在は、

働き方が大きく変わりました。

リモートワークが普及し、

オンライン会議が当たり前になり、

会社の飲み会も自由参加が増えています。

仕事が終われば、

そのまま家に帰る。

動画を見る。

ゲームをする。

家族と食事をする。

このような時間の使い方が一般的になりました。

つまり、

以前のように、

仕事の終わりが、そのまま居酒屋の始まりではなくなったのです。


居酒屋へ客を運んでいた仕組みが変わった

居酒屋が失ったのは、

お客様ではありません。

毎日お客様を運んできてくれる生活導線だったのです。


RBRの見解

私は、

居酒屋の集客力が落ちたとは考えていません。

もっと大きな変化が起きています。

仕事の終了と飲酒開始が、一つの生活習慣ではなくなった。

これこそが、

現在の居酒屋市場を理解するうえで最も重要なポイントです。

昔は、

会社文化そのものが、

居酒屋へお客様を送り続けていました。

だから、

立地さえ良ければ繁盛する店も少なくありませんでした。

しかし今は違います。

会社文化に頼ることはできません。

居酒屋は、

自ら選ばれる理由をつくらなければならない時代になりました。

つまり、

競争相手は隣の居酒屋ではありません。

「今日は家に帰ろう」という選択肢そのものなのです。

これからの居酒屋経営は、

酒を売ることではなく、

「家に帰る」よりも魅力的な時間を設計できるかどうかが勝負になると、私は考えています。

5.大人数宴会と二次会が戻っていない

「居酒屋離れ」と聞くと、多くの人は宴会そのものがなくなったと考えがちです。

しかし、実際のデータを見ると少し違います。

リクルートの調査では、外食や飲み会の需要はコロナ禍から回復傾向にあります。

一方で、会社や部署単位で行われていた大人数宴会は以前ほど戻っておらず、二次会・三次会へ流れる人も減少しています。

また、2024年末から2025年初めにかけての調査では、忘年会・新年会への参加意欲は回復傾向を示しました。

しかし、「会社・仕事関係の宴会に参加する予定」と答えた人は32.7%にとどまり、以前のような職場全体で集まる宴会文化が完全には戻っていないことが分かります。

つまり、宴会需要は存在しています。

ただし、その形が大きく変わったのです。

以前の宴会スタイル

項目コロナ前
人数20〜50人規模も珍しくない
参加半ば会社行事
二次会多くが参加
滞在時間長時間
利用頻度定期開催

現在の宴会スタイル

項目現在
人数4〜8人程度が中心
参加自由参加
二次会行かずに帰宅する人が増加
滞在時間必要最小限
利用頻度年数回程度

この変化は、居酒屋経営に大きな影響を与えています。

かつては、

  • 大人数宴会
  • 飲み放題
  • 二次会
  • 三次会

という流れが、一晩で大きな売上を生み出していました。

しかし現在は、一軒目で解散するケースが増えています。

宴会の単価だけ

でなく、一人のお客様から生まれる「夜全体の消費額」が縮小しているのです。

図:宴会文化の変化

RBRの見解

ここで重要なのは、

「宴会需要がなくなった」と考えないことです。

需要が消えたのではありません。

需要の設計図が変わったのです。

以前の居酒屋は、

「30人を一度に集め、飲み放題で長時間滞在してもらう」

ことで利益を生み出していました。

しかし現在は、

  • 少人数でも来店しやすい店
  • 一次会だけでも満足できる店
  • 仲の良い友人同士が集まりやすい店
  • 家族でも利用できる店

の方が、お客様の生活に合っています。

つまり、

宴会文化が消えたのではありません。

大人数・長時間滞在を前提とした宴会モデルが弱くなったのです。

だから私は、

「宴会を増やそう」

とは考えません。

今のお客様が集まりたいと思う時間と人数に合わせて、店の価値を設計すること。

それが、これからの居酒屋経営に必要な視点だと考えています。

6.居酒屋の本当の敵は、別の居酒屋ではない

居酒屋の倒産が増えている理由として、東京商工リサーチは次のような環境変化を挙げています。

  • 焼肉店や専門料理店の増加
  • デリバリーの普及
  • 酒を飲む量そのものの減少
  • 「飲むために居酒屋へ行く」人の減少

つまり、居酒屋同士だけが競争している時代ではなくなりました。


昔は「飲みに行く=居酒屋」だった

少し前まで、仕事帰りに一杯飲もうとなれば、選択肢はほとんど居酒屋でした。

居酒屋は、

「夜に集まる場所」

そのものだったのです。


【以前】

夜の過ごし方選ばれる店
同僚と飲む居酒屋
宴会居酒屋
二次会居酒屋
とりあえず一杯居酒屋

つまり、

夜の外食=居酒屋

という時代でした。


今は「夜の過ごし方」が多様化した

しかし現在は違います。

仕事帰りの選択肢は大きく増えました。

例えば、

  • 焼肉を食べながら飲む
  • 寿司を食べながら飲む
  • 中華料理で一杯飲む
  • イタリアンでワインを楽しむ
  • ファミリーレストランで軽く飲む
  • クラフトビール専門店へ行く
  • 自宅で好きな料理を買って飲む
  • お酒を飲まずに食事だけ楽しむ

夜の時間の使い方が、多様化しているのです。


夜の選択肢の変化

現在
居酒屋焼肉店
居酒屋寿司店
居酒屋中華料理店
居酒屋イタリアン
居酒屋ファミレス
居酒屋クラフトビール専門店
居酒屋自宅飲み
居酒屋お酒を飲まない外食

以前は一つだった選択肢が、

今では何倍にも増えています。


図:夜の2時間を奪い合う時代

以前は、

居酒屋同士が競争していました。

しかし現在は、

夜の2時間そのものを、あらゆる業態が奪い合っています。


RBRの見解

ここで重要なのは、

居酒屋の競争相手は、もう居酒屋ではない。

ということです。

本当の競争相手は、

「夜の2時間をどう過ごすか」という選択肢すべてです。

焼肉も、

寿司も、

ファミレスも、

自宅飲みも、

さらには「今日は家でゆっくりしよう」という選択さえ競争相手になります。

だから、

「近くに新しい居酒屋ができたから売上が落ちた」

と考えるだけでは、本質を見誤ります。

本当に考えるべきなのは、

「なぜお客様は、その2時間を私の店ではなく、別の過ごし方に使ったのか。」

という問いです。

夜の時間は限られています。

だからこれからの居酒屋は、

酒を売る店ではなく、

「この2時間を、この店で過ごしたい」と思われる価値を提供する店

になれるかどうかが、生き残りを左右すると私は考えています。

7.売上が戻っても、利益が戻らない

2025年、飲食店の倒産件数は過去最多を更新しました。

帝国データバンクの集計では、飲食店倒産は900件となり、これまでで最も多い件数となっています。

さらに、その約8割(77.3%)は負債5,000万円未満の小規模事業者でした。

また、東京商工リサーチの集計では、飲食業全体の倒産件数は1,002件に達しています。

背景には、

  • 食材価格の高騰
  • 酒類価格の上昇
  • 水道光熱費の高騰
  • 人手不足
  • 採用費の増加

などが重なり、売上が戻っても利益が残りにくい経営環境になっています。


居酒屋は固定費も変動費も重い

特に居酒屋は、夜営業を中心とする業態のため、多くのコストを抱えています。

居酒屋が抱える主なコスト

項目内容
食材費肉・魚・野菜などの仕入価格上昇
酒類ビール・焼酎・日本酒などの値上げ
水道光熱費長時間営業による電気・ガス代
人件費深夜帯スタッフの確保
採用費人手不足による求人コスト増加
家賃大人数向け大型店舗の維持費

つまり、

売上が同じでも、

利益は年々減りやすい構造になっています。


値上げすれば解決するわけではない

もちろん、

原価が上がれば価格を上げるのが経営の基本です。

しかし、居酒屋にはもう一つの難しさがあります。

東京商工リサーチは、

飲み放題5,000円以下のコースが減少したことで、

消費者の財布の紐が固くなっていることを指摘しています。

つまり、

価格を上げること自体が、お客様の来店動機を弱めてしまう場合があるのです。


図:居酒屋が陥りやすい悪循環

なぜ専門店は値上げできるのか

ここで、専門店との違いが見えてきます。

例えば、

焼鳥専門店なら、

「この焼鳥を食べたい。」

寿司店なら、

「この寿司を食べたい。」

という目的があります。

多少値上がりしても、

食べたい理由があるため、お客様は来店します。


総合居酒屋と専門店の違い

総合居酒屋専門店
安さも価値の一部商品そのものが価値
値上げの影響を受けやすい値上げを受け入れられやすい
来店理由が曖昧になりやすい来店目的が明確
他業態へ流れやすい指名来店が多い

RBRの見解

私は、

居酒屋は値上げできない業態だとは考えていません。

問題は、

値上げすると、お客様が来る理由まで一緒に失われてしまう店が多いことです。

特徴の弱い総合居酒屋は、

「安く飲める」

という価値が来店理由になっていることがあります。

その状態で価格だけを上げると、

お客様は焼肉店や寿司店、イタリアン、あるいは自宅飲みへと流れてしまいます。

一方で、

「この焼鳥が食べたい。」

「この魚が食べたい。」

「この店の空間で過ごしたい。」

という明確な価値を持つ店は、価格だけで比較されにくくなります。

だからこれからの居酒屋経営で重要なのは、

値上げを我慢することではありません。

値上げをしても選ばれ続ける理由を育てること。

利益を守るためには、価格を守るのではなく、価格以上の価値をお客様に感じてもらえる店づくりが必要なのです。

8.それでも鳥貴族は、なぜ伸ばそうとしているのか

ここまで見てきたように、

居酒屋業界は決して追い風ではありません。

宴会は縮小し、

二次会は減り、

物価は上がり、

競争相手も増えました。

それでも、

店舗を増やそうとしている企業があります。

それが鳥貴族です。

運営会社であるエターナルホスピタリティグループは、

2030年までに国内1,000店舗体制を目標に掲げています。

さらに、

  • 既存店マーケティングの強化
  • 新フォーマットの開発
  • 焼鳥ブランドの価格帯拡張
  • 海外展開

など、中長期的な成長戦略を進めています。

つまり、

市場が厳しいにもかかわらず、

「まだ伸ばせる」と判断しているのです。


鳥貴族は「何でもある居酒屋」ではない

鳥貴族の強さは、

メニュー数の多さではありません。

選ばれる理由が非常に分かりやすいことです。

鳥貴族の価値

選ばれる理由内容
焼鳥看板商品が明確
均一価格会計を想像しやすい
国産食材安心感につながる
分かりやすい看板初めてでも入りやすい
若年層との親和性学生や若い社会人も利用しやすい
食事利用も可能一次会だけでなく夕食としても使える

つまり、

「今日は鳥貴族へ行こう。」

という理由が、

最初から出来上がっています。


安さだけではなく「安心」を売っている

均一価格という仕組みも、

単なる低価格戦略ではありません。

お客様は、

メニューを見る前から、

「今日は一人3,500〜4,000円くらいかな」

という予測ができます。

この安心感が、

気軽に入店できる理由になっています。

つまり、

価格そのものではなく、

価格を心配しなくていい体験を提供しているのです。


総合居酒屋との違い

総合居酒屋鳥貴族
メニューが多い焼鳥が中心
店ごとに価格が違う均一価格
来店理由が曖昧焼鳥を食べたい理由がある
お酒中心食事だけでも利用しやすい
他店と比較されやすいブランドを指名して来店される

図:総合居酒屋と鳥貴族の違い

RBRの見解

ここで重要なのは、

鳥貴族が売っているのは、お酒ではないということです。

本当に売っているのは、

  • 焼鳥という分かりやすい目的
  • 会計を心配しなくていい安心感
  • 若者でも入りやすい空気
  • 食事でも飲み会でも利用できる汎用性

です。

だから、

居酒屋市場全体が縮小しているからといって、

すべての居酒屋が同じように苦しくなるわけではありません。

市場が縮小する時代ほど、

「なぜ、この店を選ぶのか。」

その理由が明確なブランドは、むしろ強くなります。

鳥貴族が伸ばそうとしているのは店舗数ではありません。

お客様の頭の中にある「今日は焼鳥なら鳥貴族」という第一想起です。

私は、これこそが今の居酒屋経営に最も必要な競争力だと考えています。

9.なぜ大手企業は居酒屋以外を買うのか

居酒屋市場が厳しいと言われる中でも、

大手外食企業は積極的に買収を続けています。

一見すると、

「居酒屋を諦めて別業態へ移った」

ようにも見えます。

しかし、

実際には少し違います。


ワタミは「昼」を買った

ワタミは、サブウェイ日本事業を取得しました。

サブウェイは、

居酒屋とはまったく異なる市場です。

そこには、

  • ランチ需要
  • テイクアウト需要
  • 健康志向
  • オフィス利用

という、

これまで居酒屋では取り込めなかった生活シーンがあります。

つまり、

ワタミが買ったのはサンドイッチ店ではありません。

昼の生活時間です。


コロワイドも成長領域を変えている

コロワイドも、

近年はレストラン業態への投資を強めています。

2026年には、

カフェチェーンを運営するC-Unitedを取得しました。

さらに、

2026年3月期の新規出店を見ると、

新規出店店舗数
レストラン業態101店
居酒屋業態8店

という構成になっています。

今後の成長分野としても、

  • レストラン
  • カフェ
  • 海外外食
  • 給食事業

などを挙げています。

つまり、

居酒屋一本ではなく、

生活全体へ接点を広げているのです。


大手が取りに行っているもの

以前は、

夕方から夜の居酒屋需要だけを押さえれば成長できました。

しかし現在は違います。

大手企業が広げている生活シーン

時間・場面業態
カフェ
サンドイッチ・定食
午後カフェ・喫茶
居酒屋・レストラン
テイクアウト持ち帰り専門
一人利用定食・ファストカジュアル
家族利用レストラン
健康需要サブウェイなど
海外需要海外ブランド展開
給食・法人BtoB事業

つまり、

企業が取り合っているのは、

店舗数ではありません。

お客様の一日そのものなのです。


図:生活時間を取りに行く戦略

大手企業は、

一つのブランドだけで勝とうとしているわけではありません。

生活のあらゆる場面で、

自社ブランドと接点を作ろうとしているのです。


RBRの見解

ここで重要なのは、

大手は居酒屋を見捨てたわけではない。

ということです。

居酒屋は今でも重要な業態です。

しかし、

居酒屋だけでは届かない時間が増えました。

朝、

昼、

カフェ、

テイクアウト、

一人飯、

家族利用、

健康志向、

海外市場。

こうした新しい生活シーンを取り込むことで、

企業はお客様との接点を増やしています。

つまり、

企業が増やしているのはブランド数ではありません。

お客様の生活の中で、自社が選ばれる瞬間の数です。

だから私は、

これからの飲食店経営は、

「競合店を見る経営」ではなく、

「お客様の生活を見る経営」

へ変わっていくと考えています。

10.潰れているのは「居酒屋」ではなく「旧型居酒屋」である

ここまで、酒類消費の変化、会社飲みの減少、宴会の少人数化、二次会需要の縮小、物価高、人件費の上昇、主要居酒屋企業の経営戦略を見てきました。

これらの根拠を重ね合わせると、一つの結論が見えてきます。

今、潰れているのは「居酒屋」という業態そのものではありません。

かつての会社文化と飲み会習慣を前提に作られた、旧型居酒屋モデルが成立しなくなっているのです。

旧型居酒屋は、会社文化の中に組み込まれていた

かつての居酒屋には、店が自力で来店理由を作らなくても、一定数のお客様が流れ込む仕組みがありました。

仕事が終われば、上司が部下を誘う。

新しい社員が入れば歓迎会を開く。

誰かが異動すれば送別会を開く。

忘年会や新年会は、会社や部署単位で行う。

一次会が終われば、そのまま二次会へ移動する。

居酒屋は、こうした会社文化の中に組み込まれていました。

当時の典型的な居酒屋モデルは、次のような需要を前提に作られています。

旧型居酒屋が依存していた需要店舗側の設計
会社帰りの会社員駅前立地、平日夜中心
大人数の宴会大部屋、大型店舗
飲み放題酒類中心の利益設計
二次会深夜営業
長時間の滞在コース料理、追加注文
幅広い注文総合的なメニュー構成
安く飲みたい需要低価格、均一価格
団体客の複数回転ピーク時間への集中

このモデルが成立していた時代は、料理の専門性が多少弱くても問題ありませんでした。

会社の集まりがある。

大人数で入れる。

飲み放題がある。

価格が手頃。

駅から近い。

それだけで選ばれる理由になったからです。

言い換えれば、当時の居酒屋は、店の魅力だけで集客していたわけではありません。

会社文化そのものが、店へお客様を運んでいたのです。

一つずつではなく、すべてが同時に変わった

現在、この旧型居酒屋を支えていた前提が次々と崩れています。

会社関係の飲み会は減りました。

開催されても、大人数ではなく少人数になりました。

一次会だけで帰る人が増え、二次会へ移動する人は減りました。

酒類の消費量は長期的に低下しています。

飲む場所も、居酒屋だけではありません。

焼肉店、寿司店、イタリアン、ファミリーレストラン、専門料理店、自宅など、酒を楽しめる選択肢は大きく増えました。

その一方で、店を運営する費用は上がっています。

  • 食材価格の上昇
  • 酒類価格の上昇
  • 電気代やガス代の上昇
  • 最低賃金の上昇
  • 採用費の増加
  • 深夜帯で働く人材の不足
  • 大型店舗の家賃負担
  • 設備や厨房機器の修繕費

需要側の前提が崩れる一方で、供給側の負担は重くなっています。

これが現在の居酒屋を苦しめている本当の構造です。

旧型モデルの前提は、ほぼ反転した

以前の前提現在起きている変化
仕事帰りに同僚と飲む仕事が終わればそのまま帰宅する
会社単位で宴会を開く少人数・任意参加になる
一次会から二次会へ行く一次会だけで解散する
酒を中心に店を選ぶ料理や体験を中心に店を選ぶ
居酒屋が外飲みの中心焼肉、寿司、専門店などへ分散する
大箱ほど宴会を取れる大箱ほど固定費負担が重くなる
深夜まで営業すれば売上が増える深夜人材の確保が難しい
安さが強い武器になる値上げしなければ利益が残らない
幅広いメニューが便利専門性が弱く、選ぶ理由が見えない

ここで重要なのは、一つの問題だけが起きているわけではないことです。

例えば、客数が減ったので広告を増やす。

原価が上がったので価格を上げる。

人が足りないので営業時間を短くする。

宴会が減ったので新しいコースを作る。

それぞれの対策自体は間違いではありません。

しかし、旧型居酒屋が苦しい理由は、一つの数字が悪化したからではありません。

店舗を成立させていた複数の前提が、同時に崩れているからです。

値上げだけでは解決しない

原価や人件費が上がったのであれば、理屈の上では価格を上げればよいはずです。

しかし、特徴の弱い総合居酒屋にとって、値上げは簡単ではありません。

お客様がその店を選んでいた理由が、

「安く飲める」

「飲み放題がある」

「大人数で入れる」

だけだった場合、価格を上げた瞬間に来店理由が弱くなるからです。

焼鳥の専門店なら、

「この焼鳥を食べたい」

という理由があります。

海鮮居酒屋なら、

「この魚を食べたい」

という理由を作れます。

地域に根ざした店なら、

「あの店主やスタッフに会いたい」

という理由も作れます。

しかし、何でもあり、どこにでもあり、安さだけで選ばれていた店は、値上げすると比較対象の中に埋もれます。

利益を守るためには値上げが必要です。

ところが、値上げすると客数が減る。

客数を守るために価格を据え置くと、利益が減る。

利益が減ると、人員を減らす。

人員を減らすと、提供速度や接客が悪化する。

接客が悪化すると、さらに客数が減る。

旧型居酒屋は、この悪循環に入りやすい構造になっています。

大箱も、深夜営業も、強みから負担へ変わった

以前は、大人数の宴会を取れる店ほど強いと考えられていました。

100人の宴会を受けられる。

忘年会シーズンに一気に売上を作れる。

複数の団体を同時に受けられる。

そのため、駅前の大箱店舗には明確な価値がありました。

しかし、宴会が少人数化すると、大箱は空席を抱えやすくなります。

50人の宴会がなくなっても、家賃は下がりません。

空調費も下がりません。

必要な厨房設備も減りません。

店内を回すスタッフも必要です。

同じことが深夜営業にも言えます。

二次会需要が強かった時代は、深夜営業が売上を積み上げました。

しかし、二次会に行く人が減れば、深夜帯は売上の時間ではなく、人件費と光熱費を消費する時間になります。

昔の強みが、環境の変化によって固定費の重荷へ変わっているのです。

生き残っている居酒屋には、明確な理由がある

それでも、すべての居酒屋が苦しんでいるわけではありません。

鳥貴族のように、焼鳥という明確な商品があり、価格が分かりやすく、若者から会社員、家族まで利用できる店は残っています。

磯丸水産のように、酒だけではなく、海鮮料理、食事、昼飲み、観光利用、深夜利用など、複数の来店目的を持つ店もあります。

一人客を取り込む小型酒場や、特定の料理に強い専門酒場も増えています。

これらの店に共通しているのは、

会社の飲み会がなくても、お客様が自分の意思で店を選ぶ理由を持っていることです。

ここが旧型居酒屋との決定的な違いです。

旧型居酒屋は、会社や幹事が客を連れてきました。

これからの居酒屋は、一人ひとりのお客様に、

「今日はこの店へ行きたい」

と思ってもらわなければなりません。

居酒屋が潰れているのではない

居酒屋という業態がなくなるわけではありません。

人が誰かと酒を飲み、料理を囲み、会話を楽しむ時間は、これからも残ります。

ただし、その時間の作られ方が変わっています。

会社に誘われたから行くのではない。

忘年会だから仕方なく参加するのでもない。

安い飲み放題があるから選ぶのでもない。

料理を食べたい。

友人と過ごしたい。

一人で気軽に飲みたい。

店の雰囲気を楽しみたい。

スタッフに会いたい。

短い時間でも気分転換したい。

これからの居酒屋は、こうした一人ひとりの目的に応える必要があります。

したがって、この記事の中心となる結論は、次の通りです。

居酒屋が潰れているのではありません。

会社文化に集客を任せ、安い酒と飲み放題だけで成立していた店が潰れています。

これまでの居酒屋は、会社員が飲みに来ることを前提に、店を作ることができました。

これからは違います。

誰が来るのか。

何を食べに来るのか。

なぜその店で飲みたいのか。

酒を飲まない人にも、どんな価値を提供できるのか。

昼、夜、一人、家族、友人。

お客様の生活の中に、どのような利用場面を作れるのか。

そこまで設計できる店だけが、これからの居酒屋市場に残っていきます。

11.これから残る居酒屋の条件

ここまで、

居酒屋市場の変化を見てきました。

宴会は減り、

二次会は減り、

競争相手は増え、

利益も残りにくくなっています。

だからといって、

居酒屋という業態そのものがなくなるわけではありません。

実際に、

鳥貴族のように成長を続ける企業もあります。

つまり、

残る店には共通点があるのです。


① 食事目的がある

これからは、

「飲みに行く店」

だけでは弱くなります。

重要なのは、

酒を飲まなくても、その料理を食べに行く理由があること。

例えば、

  • 焼鳥
  • 炭火焼き
  • 海鮮
  • もつ鍋
  • 名物料理

など、

その店を思い出す理由が必要です。


② 少人数でも成立する

以前は、

20人の宴会が何組も入れば利益が出ました。

しかし現在は、

4〜6人、

2人、

一人利用が中心です。

つまり、

宴会がなくても、

席が自然に埋まる店づくりが必要になります。

利用人数の変化

以前これから
団体宴会一人客
二次会二人利用
三次会家族利用
飲み放題日常利用

③ 短時間でも利益が出る

二次会や長時間滞在を前提とした経営は、

以前ほど機能しません。

だからこそ、

一回の来店で十分な満足を提供し、

短時間でも利益が残る商品設計が必要になります。

滞在時間ではなく、

価値で利益を生み出す店が強くなります。


④ 価格以外の理由がある

安さだけでは、

いつか限界がきます。

だから、

お客様が価格以外で選ぶ理由を育てなければなりません。

例えば、

選ばれる理由具体例
専門料理焼鳥・海鮮・餃子など
接客スタッフとの会話
地域性地元食材・地域イベント
ライブ感炭火焼き・オープンキッチン
店長やスタッフの存在

値段ではなく、

その店だから行きたい理由を作ることが重要です。


⑤ 昼やテイクアウトにも展開できる

夜だけで、

家賃や人件費を支える時代ではありません。

昼営業、

テイクアウト、

デリバリー、

物販など、

一つの店舗を複数の時間帯で活用することで、

固定費を分散できます。

夜だけに頼らない収益構造が、

これからの居酒屋には必要になります。


⑥ 酒を飲まない人も歓迎できる

今後は、

アルコールを飲まないお客様も増えていきます。

だから、

ノンアルコール飲料、

定食、

食事利用、

家族利用を、

脇役として考えてはいけません。

「飲まない人でも入りやすい店」

であることが、

結果として飲酒客も増やすことにつながります。


図:これから残る居酒屋の条件


RBRの見解

居酒屋は、

お酒を提供する業態ではありません。

人が時間を過ごす場所です。

だから、

酒を飲む人が減ったことだけを理由に、

「もう居酒屋は終わりだ」

と考える必要はありません。

本当に変わったのは、

お客様の生活です。

その生活に合わせて、

店の価値を変えられる店は残ります。

変えられない店は、

どれだけ昔成功していても苦しくなります。

だから私は、

これからの居酒屋経営で一番大切なのは、

「何を売るか」ではありません。

「お客様の生活の、どの時間を任せてもらう店になるのか。」

そこを設計することが、

10年後も選ばれ続ける居酒屋への第一歩だと考えています。

12.RBRとしての最終見解

居酒屋の倒産が増えていると聞くと、

多くの人は、

「若者が酒を飲まなくなったから。」

と言います。

もちろん、それも理由の一つでしょう。

しかし、

ここまで見てきたデータを整理すると、

本当に変わったのは、

お酒ではありません。

人々の生活です。

かつて居酒屋を支えていたのは、

酒そのものではありませんでした。

仕事が終われば、

同僚と飲みに行く。

歓送迎会は、

部署全体で集まる。

一次会が終われば、

二次会へ行く。

そんな会社文化が、

毎日のように人を居酒屋へ運んでいました。

しかし、

その文化は変わりました。

仕事が終われば帰宅する。

家族と過ごす。

動画を見る。

ゲームをする。

趣味を楽しむ。

少人数で食事をする。

つまり、

居酒屋の競争相手は、別の居酒屋ではなくなったのです。

これからの居酒屋は、

酒を置いて待つ店では生き残れません。

誰と来るのか。

何を食べるのか。

どんな時間を過ごすのか。

酒を飲まない人にも、

なぜ選ばれるのか。

そこまで設計して初めて、

お客様の生活の中に入り込むことができます。

飲食店の競争は、

料理同士の勝負でもありません。

酒の安さの勝負でもありません。

お客様の生活の中で、

「この時間は、この店で過ごしたい。」

そう思ってもらえる理由を作れるかどうかです。

私は、

それがこれからの居酒屋経営だと考えています。

この記事を書いた人 Wrote this article

新田 敏之

新田 敏之 RBR合同会社 統括 / 男性

RBR(Restaurant Business Reform)代表。 鉄板焼きの現場で25年。 これまで数多くの飲食店の立て直しを中心とした経営改善に携わり、売上改善、商品開発、人材育成、オペレーション構築、デリバリー事業の立ち上げなど、現場に入りながら支援を行ってきました。 現在は「ガブ飲み食堂」を運営しながら、主力商品の開発・ソースや商品の卸事業、デリバリーFC事業の展開、そして飲食店の経営改善支援を行っています。 このブログで発信するのは、机上の理論ではありません。 すべて現場で試し、失敗し、改善を繰り返してきた実践知です。 料理だけでは、お店は続きません。 利益が残る仕組み、人が育つ環境、お客様に選ばれ続ける理由。 私は、その「経営」を一人でも多くの飲食人に届けたいと考えています。 飲食店を増やしたいわけではありません。 利益が残る飲食店を、一店舗でも増やしたい。 その想いを胸に、今日も現場で挑戦を続けています。