
酒離れでは説明できない、飲み会文化の変化と旧型居酒屋モデルの限界
1.なぜ今、居酒屋の倒産が増えているのか

「居酒屋はもう終わりなのか。」
最近、このような声を耳にする機会が増えました。
実際、数字を見ても厳しい状況が続いています。
2026年1〜4月の居酒屋倒産件数は88件となり、前年同期比54.3%増。これは1989年以降、同期間では最多の件数です。
さらに、2026年1〜5月では98件となり、前年同期比でも38.0%増まで積み上がっています。
居酒屋倒産件数の推移
| 期間 | 倒産件数 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 2026年1〜4月 | 88件 | +54.3% |
| 2026年1〜5月 | 98件 | +38.0% |
この数字だけを見ると、
「若者がお酒を飲まなくなったからだ。」
「コロナで宴会文化がなくなったからだ。」
そんな結論を出したくなります。
しかし、本当にそれだけなのでしょうか。
コロナは終わった。それでも倒産は増えている。
確かに、新型コロナウイルスの流行によって居酒屋業界は大きな打撃を受けました。
宴会は消え、
終電需要も減り、
多くの店舗が営業自粛を余儀なくされました。
しかし現在は状況が違います。
人流は回復し、
外国人観光客も増え、
企業の宴会も少しずつ戻っています。
街を歩けば、金曜日の繁華街は以前のような賑わいを見せる場所も珍しくありません。
つまり、
「客がゼロだから潰れている」
という時代ではなくなりました。
それにもかかわらず、倒産件数は過去最多ペースで増えています。
ここに、今の居酒屋経営の本質があります。
本当の問題は「売上」ではない
もし、お客様が戻っているのであれば、
本来は経営も改善しているはずです。
ところが現実は逆です。
これはつまり、
売上以外の部分で経営が耐えられなくなっている
ということを意味します。
例えば、
- 食材価格の高騰
- 人件費の上昇
- 光熱費の高騰
- 家賃や設備更新費
- 人手不足による採用コスト
- 借入金の返済開始
これらが同時に経営を圧迫しています。
以前なら利益として残っていた売上が、
今では固定費や変動費に吸収され、
「忙しいのにお金が残らない店」
が急増しているのです。
売上が戻ることと、利益が残ることは別の話
多くの経営者は、
「売上が戻れば経営も戻る」
と考えます。
しかし実際には、
売上が回復しても、
利益率が下がれば会社は弱くなります。
イメージ図

つまり、
「お客様が戻ったのに潰れる店」
という現象は、
決して矛盾ではありません。
利益構造そのものが変わってしまったからです。
このシリーズで考えたいこと
この記事では、
「若者がお酒を飲まなくなった」
「コロナの影響」
といった表面的な理由だけでは終わりません。
本当に知りたいのは、
なぜ、お客様が戻っているにもかかわらず、居酒屋は潰れてしまうのか。
そして、
これからも生き残る居酒屋は、
何が違うのか。
数字と実際の企業事例をもとに、一つずつ紐解いていきます。
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この記事を書いた人 Wrote this article
新田 敏之 RBR合同会社 統括 / 男性
RBR(Restaurant Business Reform)代表。 鉄板焼きの現場で25年。 これまで数多くの飲食店の立て直しを中心とした経営改善に携わり、売上改善、商品開発、人材育成、オペレーション構築、デリバリー事業の立ち上げなど、現場に入りながら支援を行ってきました。 現在は「ガブ飲み食堂」を運営しながら、主力商品の開発・ソースや商品の卸事業、デリバリーFC事業の展開、そして飲食店の経営改善支援を行っています。 このブログで発信するのは、机上の理論ではありません。 すべて現場で試し、失敗し、改善を繰り返してきた実践知です。 料理だけでは、お店は続きません。 利益が残る仕組み、人が育つ環境、お客様に選ばれ続ける理由。 私は、その「経営」を一人でも多くの飲食人に届けたいと考えています。 飲食店を増やしたいわけではありません。 利益が残る飲食店を、一店舗でも増やしたい。 その想いを胸に、今日も現場で挑戦を続けています。