飲食店は開業より「続ける」方が100倍難しい

Restaurant Business Reform または 飲食店経営改善ブログ

飲食店は開業より「続ける」方が100倍難しい
この記事は約 14 分で読めます

27歳で独立し、33歳で倒産した私が気づいた本当の経営

1.飲食店は開業することがゴールではない

飲食店を開業したいと思ったら、今はたくさんの情報が手に入ります。

開業資金はいくら必要なのか。

日本政策金融公庫の融資はどう受けるのか。

居抜き物件とスケルトン物件、どちらを選ぶべきか。

必要な資格や手続きは何か。

YouTubeやブログを見れば、開業する方法はいくらでも学べます。

しかし、私がいつも疑問に思うことがあります。

「店を開く方法」は教えてくれるのに、「店を続ける方法」を教えてくれる人は、なぜこんなにも少ないのでしょうか。

飲食店経営の本当のスタートは、オープンの日です。

その日から、家賃、人件費、原価、借入金の返済、税金など、毎月の支払いが始まります。

店を開くことは、一日でできます。

しかし、その店を10年続けることは、一日ではできません。

だから私は、飲食店経営で本当に難しいのは「開業」ではなく、「継続」だと考えています。

2.私は27歳で独立した

私は27歳で飲食店を開業しました。

当時の私は、怖いもの知らずでした。

店長として店を任され、マネージャーとして複数店舗を見る経験も積んできました。

売上を上げる方法も知っている。

スタッフ教育にも自信がある。

「売れる店は作れる。」

本気でそう思っていました。

だから、独立することに迷いはありませんでした。

しかし今振り返ると、あの頃の私は大きな勘違いをしていました。

店長として優秀なことと、経営者として優秀なことは、まったく別の能力だったのです。

店を運営する力と、会社を経営する力は違う。

私はその違いを理解しないまま、経営者になってしまいました。

そのことに気づくのは、6年後。

会社を倒産させた後でした。

3.しかし、経営はまったく別物だった

私は大きな勘違いをしていました。

店長として結果を出せる人間なら、経営者になっても成功できる。

そう思っていたのです。

しかし、現実はまったく違いました。

店は見えていた。

でも、会社は見えていなかった。

私は店のことなら何でも分かっていました。

お客様が何を求めているのか。

どんな料理が売れるのか。

スタッフをどう教育すればいいのか。

売上をどう伸ばせばいいのか。

それは毎日現場に立ってきた経験があったからです。

しかし、会社経営は違いました。

毎月いくら利益を残すべきなのか。

いつ、何に投資するべきなのか。

借入金をどう返済していくのか。

半年後、一年後の資金繰りをどう考えるのか。

利益を増やすために、何を削り、何にお金を使うべきなのか。

私は何一つ分かっていませんでした。

今なら断言できます。

店舗運営と会社経営は、まったく別の能力です。

店を回せる人が、会社を回せるとは限らない。

私はその違いを理解しないまま経営者になり、その代償を倒産という形で支払うことになりました。

4.倒産した理由は、経営を知らなかったから

私が会社を倒産させた理由は、とてもシンプルです。

経営を知らなかった。

ただ、それだけでした。

毎月、月末にお金を締める。

支払いを済ませる。

口座にお金が残っていたら、「今月も頑張ったな」と思い、そのお金を自分のために使っていました。

利益を会社に残すという発想がなかったのです。

そして、お金が足りなくなる。

最初はクレジットカード。

カードの枠もいっぱいになる。

次は消費者金融。

その場を乗り切るために借りて、また返済日が来る。

そんな自転車操業を、私は経営だと思い込んでいました。

さらに、今思い返すと恥ずかしい話ですが、私は「経営者らしく見られること」にも、お金を使っていました。

経営者なんだから、このくらいの車に乗るべきだ。

経営者なんだから、このくらいの時計は身につけるべきだ。

そんな見栄ばかりが大きくなり、本当に投資すべきものが見えていませんでした。

店の未来。

スタッフの成長。

会社に残す利益。

次の一手のための資金。

本来そこへ投資するべきお金を、私は自分の見栄のために使っていたのです。

今ならはっきり分かります。

私は会社を経営していたのではありません。

経営者を演じていただけでした。

だから会社は続かなかったのです。

5.倒産後、経営者の先輩に言われた一言

会社を倒産させた後、私はある経営者の先輩に会いました。

その方は私の帳簿を一つひとつ見ながら、数字を確認していきました。

私は当然、「もうどうしようもなかった」と思っていました。

だから、倒産は仕方なかったのだと。

しかし、その先輩は帳簿を閉じると、私にこう言いました。

「この会社、倒産しなくても立て直せたぞ。」

その言葉を聞いた瞬間、頭が真っ白になりました。

私は必死に働いていました。

寝る時間も削って、現場に立ち続けました。

それでも会社は潰れた。

だから、自分では「もう限界だった」と思い込んでいたのです。

しかし現実は違いました。

会社を潰したのは、売上ではありませんでした。

景気でもありません。

私の経営知識の不足でした。

その日、私は何時間も説教されました。

利益とは何か。

キャッシュフローとは何か。

資金繰りとは何か。

会社に利益を残す意味とは何か。

一つひとつ教えてもらいながら、自分がいかに何も知らずに経営者を名乗っていたのかを痛感しました。

あの日の説教は、正直きつかったです。

でも、今振り返れば、あれは私の人生で一番価値のある授業でした。

あの言葉がなければ、私は今も「倒産したのは運が悪かった」と思い込み、同じ失敗を繰り返していたかもしれません。

6.私が本当に失ったもの

あの日から、私は何度も考えました。

「自分は何を失ったんだろう。」

会社でしょうか。

お金でしょうか。

車でしょうか。

時計でしょうか。

違いました。

私が本当に失ったものは、27歳から33歳までの6年間です。

経営を学んでいれば。

数字の見方を知っていれば。

利益を会社に残す意味を理解していれば。

資金繰りという考え方を知っていれば。

あの6年間は、まったく違う未来になっていたかもしれません。

もっと早く利益を残せた。

もっと早く会社を強くできた。

もっと早くスタッフの給料を上げられた。

もっと早く、お客様にもっと良い店を届けられた。

私は、お金を失ったのではありません。

未来を変えられたはずの6年間を失ったのです。

お金は、また稼ぐことができます。

会社も、もう一度作ることができます。

しかし、27歳から33歳までの時間だけは、二度と戻ってきません。

だから私は今でも思います。

経営を学ばなかった代償は、お金ではありません。

命より大切な時間でした。

7.だから私は、経営を学び続けた

倒産してから、私は一つ決めたことがあります。

もう二度と、「知らなかった」で失敗したくない。

そこから私の勉強が始まりました。

本を読みました。

数字を学びました。

経営学を学びました。

成功している経営者の話を聞きました。

現場で実践し、失敗し、また改善する。

その繰り返しでした。

店を経営するのではなく、会社を経営するとはどういうことなのか。

利益とは何か。

キャッシュフローとは何か。

人を育てるとは何か。

ブランドとは何か。

利益が出続ける会社には、どんな共通点があるのか。

倒産する前の私は、「経験」が一番大切だと思っていました。

でも今は違います。

経験は大切です。

しかし、経験だけでは経営はできません。

経験を学びに変え、知識に変え、仕組みに変えて初めて、会社は成長していきます。

その学びを積み重ねる中で生まれたのが、RBR(Restaurant Business Reform)です。

RBRは、飲食店を増やすための考え方ではありません。

利益が出続ける飲食店を増やすための考え方です。

私が27歳のときに知りたかったことを、今度は私が次の世代の飲食人へ伝えていきたい。

それが、RBRを続けている理由です。

8.だから私は「開業」ではなく「継続」を教える

私は、独立を否定しているわけではありません。

むしろ、一人でも多くの人に、自分の夢へ挑戦してほしいと思っています。

でも、独立はゴールではありません。

スタートです。

本当に大切なのは、店を開くことではなく、その店を10年、20年と続けることです。

利益を残す。

キャッシュを残す。

スタッフを育てる。

常連を増やす。

ブランドを育てる。

お客様との信頼を積み重ねる。

その一つひとつの積み重ねが、お店の未来を作っていきます。

私は27歳で独立したとき、このことを知りませんでした。

だから遠回りをしました。

だから一度、会社を失いました。

だからこそ今は、開業する方法ではなく、続ける方法を伝えています。

飲食店経営とは、料理を作る仕事ではありません。

店を開く仕事でもありません。

利益が出続ける仕組みを作り、人と店を育て続ける仕事です。

それが、私の考える経営です。

そして、その考え方を形にしたものが、RBR(Restaurant Business Reform)です。

9.まとめ

飲食店経営とは、店を開くことではありません。

店を続けることです。

私は27歳で独立しました。

そして33歳で、一度すべてを失いました。

会社も、お金も、信用も失いました。

しかし、本当に失ったものは、それ以上に大きなものでした。

経営を知らなかったことで失った、二度と戻らない6年間です。

だから私は今でも学び続けています。

経営に終わりはありません。

店も、人も、経営者自身も、学ぶことをやめた瞬間から成長は止まります。

だから私は、開業する方法よりも、続ける方法を伝えたい。

利益を残すこと。

キャッシュを残すこと。

スタッフを育てること。

お客様との信頼を積み重ねること。

その積み重ねが、10年後も選ばれ続ける店を作ります。

私はFCを増やしたいわけではありません。

店舗数を競いたいわけでもありません。

利益が出続ける飲食店を増やしたい。

そして、その店で働く人が、夢を持ち、お客様が笑顔になり、地域に必要とされる店を一つでも多く増やしたい。

それが、私がRBR(Restaurant Business Reform)を立ち上げた理由です。

倒産という失敗は、私の人生から6年間を奪いました。

でも、その6年間があったからこそ、今は同じ失敗をする人を一人でも減らしたいと思えるようになりました。

もしこの記事が、これから独立を目指す誰かにとって、「経営を学ぶきっかけ」になれたなら。

私が失った6年間にも、きっと意味があったのだと思います。

この記事を書いた人 Wrote this article

新田 敏之

新田 敏之 RBR合同会社 統括 / 男性

RBR(Restaurant Business Reform)代表。 鉄板焼きの現場で25年。 これまで数多くの飲食店の立て直しを中心とした経営改善に携わり、売上改善、商品開発、人材育成、オペレーション構築、デリバリー事業の立ち上げなど、現場に入りながら支援を行ってきました。 現在は「ガブ飲み食堂」を運営しながら、主力商品の開発・ソースや商品の卸事業、デリバリーFC事業の展開、そして飲食店の経営改善支援を行っています。 このブログで発信するのは、机上の理論ではありません。 すべて現場で試し、失敗し、改善を繰り返してきた実践知です。 料理だけでは、お店は続きません。 利益が残る仕組み、人が育つ環境、お客様に選ばれ続ける理由。 私は、その「経営」を一人でも多くの飲食人に届けたいと考えています。 飲食店を増やしたいわけではありません。 利益が残る飲食店を、一店舗でも増やしたい。 その想いを胸に、今日も現場で挑戦を続けています。