飲食店で独立する前に、お金より先に身につけるべき能力

Restaurant Business Reform または 飲食店経営改善ブログ

飲食店で独立する前に、お金より先に身につけるべき能力
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1.独立したい人ほど、お金の話ばかりする

「飲食店を開業するには、自己資金はいくら必要ですか?」

「融資はいくら受けられますか?」

「1000万円くらいあれば独立できますか?」

私はこれまで、飲食店で独立を目指す多くの方から、このような相談を受けてきました。

もちろん、開業資金は大切です。

物件を借りるにも、厨房機器を揃えるにも、お金は必要になります。

だからこそ、多くの人は「いくらあれば開業できるのか」を最初に考えます。

しかし、私はいつも少し違う視点でその話を聞いています。

なぜなら、本当に成功する人は「いくら必要か」を気にする前に、「自分には何が足りないのか」を考えているからです。

実際、飲食業界では十分な資金を準備して開業したにもかかわらず、数年で閉店してしまうお店が少なくありません。

一方で、決して潤沢な資金ではなかったにもかかわらず、お客様に支持され、何年も繁盛し続けるお店もあります。

この違いは何でしょうか。

私は、その差は「お金」ではなく、「能力」にあると思っています。

お金は、お店を始めるための道具です。

しかし、お店を続ける力は、お金では買えません。

商品を考える力。

お客様の気持ちを理解する力。

数字を読み、改善を繰り返す力。

スタッフと信頼関係を築く力。

そうした経営者としての能力があって初めて、お店は長く続いていきます。

だから私は、独立を目指す人に「まず資金を貯めましょう」とは言いません。

それよりも先に、「独立しても生き残れる能力を身につけましょう」と伝えています。

この記事では、私が25年以上飲食業界で働き、店づくりや経営を続ける中で、「お金より先に身につけるべきだ」と感じた能力について、お話ししていきます。

2.お金があっても潰れる店は山ほどある

「資金さえあれば、成功できる。」

もしそうであれば、飲食店はこれほど多く閉店することはありません。

実際には、十分な自己資金を準備し、多額の融資を受けて開業したにもかかわらず、数年で姿を消してしまうお店は数え切れないほどあります。

反対に、決して資金に余裕があったわけではないのに、お客様に愛され、何十年も営業を続けている個人店もあります。

この違いは、一体どこにあるのでしょうか。

私は、その答えはとてもシンプルだと思っています。

資金があることと、経営が上手なことは、まったく別だからです。

開業資金は、お店を始めるためには必要です。

しかし、それはあくまでもスタートラインに立つためのお金に過ぎません。

そのお金を使って、お客様に選ばれる店を作れなければ、いずれ資金は底をつきます。

融資も同じです。

銀行から借りたお金は、自分のお金ではありません。

毎月返済しなければならない「未来の売上」を先に借りているだけです。

だからこそ、融資を受けられたことが成功ではありません。

返済し続けられる経営を作ることが、本当の成功なのです。

私は、お金そのものを否定しているわけではありません。

資金が多ければ、設備に投資できます。

広告も打てます。

良い物件を借りられるかもしれません。

しかし、それらはすべて経営を助けるための「道具」です。

道具だけでは、お店は繁盛しません。

どれだけ立派な厨房があっても、美味しい料理を作れなければ意味がありません。

どれだけ豪華な店舗でも、お客様が「また来たい」と思わなければ意味がありません。

どれだけ広告費をかけても、お客様に選ばれる理由がなければ、広告費は消えていくだけです。

つまり、飲食店が潰れる本当の原因は、お金がないことではありません。

お客様から選ばれなくなることです。

だから私は、独立を目指す人に「いくら必要ですか?」という質問をされたとき、お金の話より先に、「あなたのお店がお客様に選ばれる理由は何ですか?」と考えてほしいと思っています。

その答えを持っている人ほど、独立後も強い経営者になれると、私は25年以上の飲食人生の中で実感しています。

3.本当に必要なのは「稼ぐ能力」

では、独立前に本当に身につけるべきものとは何でしょうか。

私は、それは「稼ぐ能力」だと思っています。

ここで言う稼ぐ能力とは、単純に料理が上手なことではありません。

また、長時間働くことでもありません。

お客様に選ばれ、お店が利益を生み続ける仕組みを作る力です。

私はこれまで25年以上飲食業界に携わってきましたが、繁盛している経営者ほど「お金を持っている人」ではなく、「お金を生み出す力を持っている人」でした。

だから独立前に身につけるべきなのは、次の3つの能力です。

売上を作る力

どれだけ美味しい料理でも、お客様に来店していただけなければ売上は生まれません。

商品づくり、店舗づくり、接客、広告、SNS、口コミ。

売上は、それらすべての積み重ねによって作られます。

「どうすれば来店したくなるのか。」

常に考え続ける力が必要です。

利益を残す力

売上が高いことと、儲かることは同じではありません。

月商1,000万円でも利益が残らないお店はあります。

反対に、月商500万円でもしっかり利益を残しているお店もあります。

原価率、人件費率、家賃、広告費。

数字を理解し、お金が残る経営を作れることが、経営者として欠かせない能力です。

お客様を増やす力

飲食店は、一度来店していただいて終わりではありません。

新規のお客様に来ていただき、もう一度来店していただき、常連様になっていただく。

その流れを作って初めて、お店は安定した経営ができます。

だから経営者は、料理だけではなく、お客様との関係づくりまで考えなければなりません。

これら3つの能力は、どれか一つだけでは成り立ちません。

売上を作る力があっても利益が残らなければ苦しくなります。

利益が残っても新しいお客様が来なければ、いずれ売上は下がります。

お客様が増えてもリピートされなければ、広告費ばかりが増えてしまいます。

すべてがつながっているからこそ、「稼ぐ能力」なのです。

私は、経営とはお金を持つことではなく、お金を生み出し続ける仕組みを作ることだと考えています。

その能力を身につけた人は、たとえ一度失敗したとしても、また立ち上がることができます。

逆に、その能力がなければ、多額の資金を用意しても、いずれ経営は行き詰まってしまいます。

だから私は、独立を目指す人に最初に身につけてほしいのは、開業資金ではなく、この「稼ぐ能力」なのです。

4.なぜ個人飲食店には「能力」が必要なのか

大手飲食チェーンと、個人・中小零細飲食店。

私は、この二つはまったく違う競技をしていると思っています。

大手企業は、新店舗を出店するとき、最初から利益を求めません。

短くても1年、長ければ2年ほど赤字を覚悟し、人件費をしっかり投資しながら店を育てていきます。

教育に時間を掛け、スタッフの人数にも余裕を持たせる。

急に忙しくなる時間帯や繁忙期にも対応できるよう、人員を厚く配置し、お客様に安心感と安定感を提供します。

そうやって少しずつ信用を積み重ね、お店を地域に根付かせていくのです。

しかし、個人・中小零細飲食店は違います。

そこまでの資金力はありません。

家賃を払い、人件費を払い、仕入れを払いながら営業を続けなければならないため、多くのお店は最初からギリギリの人数で営業します。

忙しい時間帯も、繁忙期も、無理をしながら乗り切るしかありません。

その結果、

「料理の提供が遅れる」

「接客が雑になる」

「店内が片付かない」

そんな状態が起こり、お客様からの信用を少しずつ失ってしまいます。

もちろん、優秀な店長やスタッフに恵まれ、一気に成長するお店もあります。

しかし、それは決して多くありません。

ほとんどの個人店は、

売上が伸びる。

忙しくなってサービスが崩れる。

口コミや評判が落ちる。

売上が下がる。

立て直してまた少し伸びる。

このようなジグザグを繰り返しながら、少しずつ成長していきます。

私は、このジグザグそのものが悪いとは思っていません。

個人・中小零細飲食店にとって、このジグザグは避けられない成長過程だからです。

だから経営者の仕事は、ジグザグをなくすことではありません。

その波をどれだけ小さくしながら、右肩上がりの成長曲線を描けるか。

そこに経営者としての腕が問われます。

そして、その波を小さくするために必要なのが、「能力」です。

商品を考える力。

お客様を見る力。

数字で判断する力。

人を育てる力。

改善を続ける力。

これらを身につけた経営者ほど、失敗を小さくし、着実に成長していくことができます。

だから私は、独立前に最も時間を使うべきなのは、お金を貯めることではなく、この「能力」を身につけることだと考えています。

5.だから私が最初に身につけてほしい5つの能力

では、個人・中小零細飲食店が右肩上がりの成長を続けるために、経営者は何を身につければ良いのでしょうか。

私は、次の5つだと考えています。

これらは、どれか一つだけが優れていれば良いというものではありません。

すべてがつながり合い、お店の競争力を作っていきます。


① 商品を作る力

飲食店だからといって、料理だけを作れば良いわけではありません。

お客様が求めているのは、「美味しい料理」ではなく、「この店を選ぶ理由」です。

私はこれまで何度も発信してきました。

「売れる商品を作るな。売れる理由を作れ。」

価格なのか。

ボリュームなのか。

見た目なのか。

体験なのか。

他店では味わえない価値なのか。

料理は、その理由を形にした結果でしかありません。

だから商品開発とは、レシピを考えることではなく、お客様に選ばれる理由を設計することなのです。


② お客様を見る力

経営者になると、多くの人が自分の理想を追いかけ始めます。

「この料理を食べてほしい。」

「この店づくりがしたい。」

もちろん、それも大切です。

しかし、それ以上に大切なのは、お客様が何を求めているのかを知ることです。

どんな商品なら喜ばれるのか。

どんな接客ならまた来たいと思っていただけるのか。

どんな店なら家族や友人を連れて来たくなるのか。

答えは経営者の中にはありません。

いつもお客様の中にあります。


③ 数字を見る力

感覚だけで経営してはいけません。

「今日は忙しかった。」

「最近売れている気がする。」

その感覚だけでは、お店は成長しません。

売上。

利益。

原価率。

人件費率。

客数。

客単価。

広告費。

数字は、お店の健康診断です。

数字を見ることで初めて、

「何が良くて、何が悪いのか。」

が見えるようになります。

だから私は、感覚ではなく数字で判断する経営を大切にしています。


④ 人を育てる力

個人店ほど、人の力が重要になります。

大手はマニュアルやブランドが助けてくれます。

しかし個人店は違います。

お客様が評価しているのは、その店で働く人です。

だから教育は、コストではありません。

未来への投資です。

スタッフが成長すれば、お店は安定します。

お店が安定すれば、お客様からの信用が積み重なります。

信用が積み重なれば、売上も自然と伸びていきます。


⑤ 改善を続ける力

最後に、一番重要なのが改善する力です。

私は、繁盛店には特別な才能があるとは思っていません。

繁盛店は、

昨日より今日。

今日より明日。

少しずつ改善を積み重ねてきたお店です。

メニューを改善する。

接客を改善する。

オペレーションを改善する。

広告を改善する。

数字を見て改善する。

その積み重ねが、先ほどお話しした「ジグザグの波」を少しずつ小さくしていきます。

個人・中小零細飲食店は、大手のように資本で問題を解決することはできません。

だからこそ、改善する力で問題を解決していかなければならないのです。


私は、この5つの能力こそが、独立前に身につけるべき本当の財産だと考えています。

資金は使えば減ります。

設備は古くなります。

しかし、能力は誰にも奪われません。

だから私は、「お金を貯める前に、自分自身の価値を高めてほしい。」

それが、独立を目指すすべての飲食人に伝えたいことです。

6.私も最初から、この5つの能力を持っていたわけではありません

私は飲食業界で25年以上仕事をしてきました。

しかし、最初から経営者としての能力を持っていたわけではありません。

料理を覚えることに必死だった時代もあります。

接客で失敗したこともあります。

数字が読めず、「忙しいのに利益が残らない」と悩んだことも何度もありました。

商品を作っても売れず、広告を出しても反応がなく、思うようにお客様が増えない時期も経験しています。

だから私は、経営とは「一度学べば終わり」の世界ではないことを知っています。

失敗するたびに原因を考える。

数字を確認する。

商品を見直す。

接客を改善する。

また挑戦する。

その繰り返しでした。

現在運営しているガブ飲み食堂も、最初から順風満帆だったわけではありません。

商品構成を何度も見直し、

デリバリーを導入し、

広告を改善し、

人件費の考え方を変え、

スタッフ教育を続け、

少しずつお客様に選ばれる理由を積み重ねてきました。

だから今でも私は、「完成した店」だとは思っていません。

昨日より今日。

今日より明日。

少しでも良い店にするために、改善を続けています。

飲食店経営には、終わりがありません。

だからこそ、経営者自身も成長し続けなければならないのです。

私は、自分が成功したからこの話をしているのではありません。

今も失敗し、改善を繰り返しているからこそ、「能力は一日では身につかない」ということを伝えたいのです。

7.独立とは「料理人」になることではなく、「経営者」になること

私は、飲食店で独立したいという人に、一つだけ伝えたいことがあります。

それは、

独立とは、お店を持つことではありません。

経営者になることです。

料理人として働いていると、どうしても料理の腕が一番大切だと思いがちです。

もちろん、料理は飲食店の根幹です。

しかし、独立した瞬間から、あなたの仕事は料理だけではなくなります。

商品を考える。

価格を決める。

利益を残す。

スタッフを育てる。

広告を考える。

数字を見る。

お客様の声を聞く。

設備を維持する。

資金繰りを考える。

つまり、独立とは料理人を卒業することではありません。

料理人に加えて、経営者という新しい役割を背負うことなのです。

だから私は、「料理だけを学んできた人」よりも、「経営を学び続けてきた人」の方が、長く繁盛店を作れると考えています。

大手企業は、商品開発部があります。

人事部があります。

教育部があります。

マーケティング部があります。

経理部があります。

しかし、個人・中小零細飲食店には、そのすべてがありません。

その役割を、たった一人の経営者が担わなければならないのです。

だからこそ、独立前に能力を身につける価値があります。

料理の技術だけでは、経営はできません。

逆に、経営者としての能力を身につければ、料理はもちろん、接客も、広告も、教育も、一つずつ改善していくことができます。

私はこれまで、何度も言ってきました。

個人・中小零細飲食店は、大手と同じ戦い方をしてはいけません。

資金では勝てません。

人員でも勝てません。

知名度でも勝てません。

だからこそ勝負するのは、経営者の能力です。

学び続ける力。

考え続ける力。

改善し続ける力。

その積み重ねが、お店を少しずつ右肩上がりに成長させます。

私は、これこそが個人・中小零細飲食店が生き残るための、本当の戦い方だと考えています。

8.だから私は「独立する方法」ではなく、「独立できる人」を育てたい

私は、開業資金の集め方を教えたいわけではありません。

融資の受け方だけを教えたいわけでもありません。

もちろん、それらも経営には必要です。

しかし、それは独立するための手段であって、独立後にお店を守ってくれるものではありません。

私が本当に伝えたいのは、

「独立しても生き残れる飲食人になること」です。

私はこれまで、多くの飲食店を見てきました。

繁盛店もあれば、閉店してしまったお店もありました。

その違いを見続けてきたからこそ、今ははっきりと言えます。

成功している人は、特別な才能があったわけではありません。

運が良かっただけでもありません。

商品を学び、

接客を学び、

数字を学び、

人を育て、

改善を続けてきた。

その積み重ねが、お客様からの信用となり、お店を支えてきたのです。

だから私は、このブログでも、RBRでも、

「こうすれば儲かる。」

「このメニューなら売れる。」

そんな一時的なノウハウだけを発信するつもりはありません。

飲食業界は常に変化しています。

流行も変わります。

物価も変わります。

競合も変わります。

だからこそ、変化に対応できる経営者になることが何より大切なのです。

私が伝えたいのは、目先のテクニックではありません。

一生使える経営者としての考え方です。

それが身につけば、お店が変わっても、時代が変わっても、自分自身の力でまた立ち上がることができます。

私は、そんな飲食人を一人でも増やしたいと思っています。

9.まとめ

飲食店で独立したい。

その夢を持つことは、とても素晴らしいことだと思います。

しかし、私は独立を急いでほしいとは思いません。

なぜなら、独立とはお店をオープンすることではなく、お客様から選ばれ続ける責任を背負うことだからです。

開業資金は、いつか貯まります。

融資も、条件が整えば受けられるでしょう。

ですが、経営者としての能力は、お金では買えません。

商品を作る力。

お客様を見る力。

数字を見る力。

人を育てる力。

改善を続ける力。

これらは、現場で学び、失敗し、考え続けることでしか身につかない財産です。

だから私は、独立を目指す飲食人に伝えたいのです。

お金を貯める前に、自分自身の価値を高めてください。

その積み重ねが、独立後のお店を支えます。

資金が苦しい時も。

売上が落ちた時も。

スタッフが辞めた時も。

経営者として身につけた能力は、必ずあなたを助けてくれます。

私は、大手と同じ戦い方を目指す必要はないと考えています。

個人・中小零細飲食店には、個人・中小零細飲食店だからこその戦い方があります。

資本ではなく、能力で勝負する。

仕組みではなく、改善で成長する。

その積み重ねが、右肩上がりの経営をつくっていくのです。

RBRでは、これからも「独立する方法」ではなく、

「独立しても生き残れる飲食人になるための考え方」

を発信し続けていきます。

もしあなたが本気で独立を目指しているなら、まずはお金を追いかけるのではなく、自分自身の能力を磨くことから始めてみてください。

その努力は、きっと一生あなたを支える財産になります。

この記事を書いた人 Wrote this article

新田 敏之

新田 敏之 RBR合同会社 統括 / 男性

RBR(Restaurant Business Reform)代表。 鉄板焼きの現場で25年。 これまで数多くの飲食店の立て直しを中心とした経営改善に携わり、売上改善、商品開発、人材育成、オペレーション構築、デリバリー事業の立ち上げなど、現場に入りながら支援を行ってきました。 現在は「ガブ飲み食堂」を運営しながら、主力商品の開発・ソースや商品の卸事業、デリバリーFC事業の展開、そして飲食店の経営改善支援を行っています。 このブログで発信するのは、机上の理論ではありません。 すべて現場で試し、失敗し、改善を繰り返してきた実践知です。 料理だけでは、お店は続きません。 利益が残る仕組み、人が育つ環境、お客様に選ばれ続ける理由。 私は、その「経営」を一人でも多くの飲食人に届けたいと考えています。 飲食店を増やしたいわけではありません。 利益が残る飲食店を、一店舗でも増やしたい。 その想いを胸に、今日も現場で挑戦を続けています。