
1.起業に「正解のタイミング」はあるのか

飲食店を始めたい。
いつかは自分の店を持ちたい。
そう考えていても、実際に一歩を踏み出せる人は、それほど多くありません。
「もう少し貯金ができてから。」
「もう少し料理の技術を身につけてから。」
「店長として、もう少し経験を積んでから。」
そう考える気持ちは、よく分かります。
飲食店を開業するには、お金が必要です。
物件を借りるための保証金。
内装や厨房設備の費用。
食器や備品の購入費。
開業してから売上が安定するまでの運転資金。
準備すべきものを考えれば考えるほど、不安になるのは当然です。
しかも、今の時代は先行きが見えません。
食材価格は上がる。
光熱費も上がる。
人件費も上がる。
社会保険料や税金の負担もあります。
景気が悪くなるかもしれない。
消費税が変わるかもしれない。
新しい感染症や災害によって、人の流れが止まることだってあるかもしれません。
こうした話を聞くたびに、
「今は起業するタイミングではない。」
「もう少し世の中が落ち着いてからにしよう。」
そう考える人もいるでしょう。
慎重になること自体は、決して悪いことではありません。
勢いだけで物件を契約し、数字も分からないまま店を始めれば、苦しい経営になる可能性があります。
開業資金も、事業計画も、最低限の経営知識も必要です。
私は、何の準備もせずに店を始めればいいと言いたいわけではありません。
しかし、ここで一度考えてほしいことがあります。
世の中が完全に落ち着き、不安がすべてなくなる日は、本当に来るのでしょうか。
物価が落ち着いたとしても、次は人件費の問題が出てくるかもしれません。
景気が良くなったとしても、今度は家賃や物件価格が上がるかもしれません。
十分な貯金ができた頃には、家族が増え、住宅ローンや教育費を背負っているかもしれません。
料理人としての技術が上がった頃には、体力が落ち、長時間厨房に立つことが難しくなっているかもしれません。
不安が一つ消えれば、また別の不安が現れます。
経営とは、すべてのリスクがなくなってから始めるものではありません。
変化する環境の中で、起きた問題を一つずつ乗り越えていくものです。
物価高も、税金も、人手不足も、景気の変動も、起業した後には経営者自身が向き合わなければなりません。
誰かが代わりに解決してくれるわけではありません。
最終的に判断し、責任を引き受けるのは自分です。
だからこそ、起業を考えるうえで大切なのは、
「怖くない時代を待つこと」ではないと私は思っています。
必要なのは、怖さがあっても、自分で考え、自分で決め、自分で乗り越えていく覚悟です。
起業に、すべての条件が整った完璧なタイミングなど、おそらくありません。
では、どのタイミングで踏み出すべきなのか。
私は、条件が整うまで長く待つよりも、できるだけ早く挑戦した方がいいと考えています。
なぜなら、起業のリスクは、年齢を重ねるほど必ず軽くなるとは限らないからです。
むしろ、若いときの方が、失敗を受け止め、もう一度立ち上がれる余地は大きい。
次の章では、私がなぜ「起業は早い方がいい」と考えているのか、その理由を具体的に書いていきます。
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この記事を書いた人 Wrote this article
新田 敏之 RBR合同会社 統括 / 男性
RBR(Restaurant Business Reform)代表。 鉄板焼きの現場で25年。 これまで数多くの飲食店の立て直しを中心とした経営改善に携わり、売上改善、商品開発、人材育成、オペレーション構築、デリバリー事業の立ち上げなど、現場に入りながら支援を行ってきました。 現在は「ガブ飲み食堂」を運営しながら、主力商品の開発・ソースや商品の卸事業、デリバリーFC事業の展開、そして飲食店の経営改善支援を行っています。 このブログで発信するのは、机上の理論ではありません。 すべて現場で試し、失敗し、改善を繰り返してきた実践知です。 料理だけでは、お店は続きません。 利益が残る仕組み、人が育つ環境、お客様に選ばれ続ける理由。 私は、その「経営」を一人でも多くの飲食人に届けたいと考えています。 飲食店を増やしたいわけではありません。 利益が残る飲食店を、一店舗でも増やしたい。 その想いを胸に、今日も現場で挑戦を続けています。