私は、理念なんていらないと思っていました。

Restaurant Business Reform または 飲食店経営改善ブログ

私は、理念なんていらないと思っていました。
この記事は約 36 分で読めます

エキナカ・好立地で40億円の飲食部門を統括した私が、郊外へ出て初めて気付いたこと。

1.私は理念を否定していました

私は、理念なんて必要ないと思っていました。

会社を成長させるのに必要なのは、

売上。

利益。

この二つだけ。

経営者は数字を作ることが仕事であり、

スタッフには、その目標に向かって動いてもらえれば十分だと考えていました。


当時の私は、

スタッフに与えるゴールは売上で良いと思っていました。

今月の売上はいくらか。

利益をどれだけ残すのか。

客数をどう伸ばすのか。

その数字さえ共有すれば、

人は自然と同じ方向へ進む。

私は本気でそう信じていました。


だから、

理念を作ろうとも思いませんでした。

理念を考える時間があるなら、

もっと売れる商品を考える。

利益率を改善する。

オペレーションを見直す。

その方が会社は強くなる。

そう考えていたのです。


もちろん、

数字を見ることは経営者として当然の仕事です。

会社は利益がなければ続きません。

キャッシュがなければ倒産します。

だから私は、

数字を追うこと自体は、今でも正しいと思っています。

しかし、

当時の私は一つだけ勘違いをしていました。

売上というゴールを与えれば、人は同じように考え、同じように動く。

そう思い込んでいたのです。


私は昔から、

現場が迷わない仕組みを作ることに強いこだわりがありました。

誰が店長でも。

誰がホールでも。

誰が厨房でも。

同じ品質を提供できる店を作りたい。

そのために、

オペレーションを徹底的に作り込みました。

しかし、

私が考えていたオペレーションとは、

単なる作業手順ではありません。

トップが考えていることを、現場まで正確に伝える仕組み。

それが私の考えるオペレーションでした。

当時は、それで十分だと思っていました。


今振り返ると、

私は理念を否定していたのではありません。

理念という言葉を知らずに、理念が果たす役割をオペレーションで実現しようとしていたのです。

そのことに気付くのは、

ずっと後になってからでした。

RBRとしての見解

私は今でも、

数字は経営に欠かせないと思っています。

売上も利益も、

会社を続けるためには絶対に必要です。

しかし、

数字は「何を達成するか」は示してくれますが、

「どう考え、どう判断するか」までは教えてくれません。

だから私は後になって気付きました。

本当に必要だったのは、

売上というゴールだけではなく、

トップの考え方を、組織全体へ伝える仕組みだったのです。

そして、その仕組みこそが、

私が長年否定していた「理念」だったのでした。

2.実際、それで会社は伸びました

私が理念を必要ないと思っていたのには、理由があります。

実際に、それで会社が伸びていたからです。

もし数字だけを追い続けて会社が失敗していたなら、

私はもっと早く、自分の考え方を疑っていたでしょう。

しかし現実は違いました。

会社は成長し、

私はその成功を経験してきました。

だから、

「理念がなくても会社は伸びる。」

そう確信していたのです。


私は長年、

エキナカや駅前といった好立地で飲食事業に携わってきました。

店舗運営だけではなく、

複数店舗を統括し、

最終的には役員として約40億円規模の飲食部門を統括する立場を任されました。

私が毎日向き合っていたのは、

理念ではありません。

売上。

利益。

原価率。

人件費。

客数。

客単価。

経営とは数字を改善すること。

それが私の日常でした。


もちろん、

数字だけを見ていたわけではありません。

売れる商品を考える。

利益の出る価格を考える。

人件費を最適化する。

オペレーションを改善する。

現場教育を見直す。

経営者として、

会社を強くするために必要だと思うことは徹底的に考えてきました。

だから私は、

会社が伸びた理由は、

経営者が正しい戦略を考え、正しい判断を積み重ねたからだ。

そう考えていました。


そして私は、

その考え方を現場へ伝えるために、

独自のオペレーションを作り上げていきました。

私にとってオペレーションとは、

作業を標準化することではありません。

経営者の考え方を、店長へ伝え、店長から社員へ、社員からアルバイトへと伝え、最終的に現場全体が同じ判断をできるようにする仕組みでした。

だから、

私は理念よりも、

オペレーションの方が重要だと思っていました。

理念は言葉です。

しかし、

オペレーションは現場を動かします。

私はそう信じていたのです。


今振り返ると、

その考え方自体は間違っていなかったと思っています。

実際、

会社は伸びました。

数字も結果を出しました。

しかし、

私は一つだけ勘違いをしていました。

オペレーションを作っているつもりが、実は「考え方」を伝えようとしていたのです。

つまり私は、

理念を否定しながら、

理念が果たす役割を別の方法で実現しようとしていました。

そのことには、

当時の私はまったく気付いていませんでした。

RBRとしての見解

成功体験は、人の考え方を強くします。

私も、

数字を追い、

戦略を考え、

オペレーションを磨くことが経営だと信じていました。

そして実際に結果も出してきました。

だから、

理念は必要ないと思っていたのです。

しかし今なら分かります。

私が本当に作ろうとしていたのは、

オペレーションではありませんでした。

トップの考え方が、会社の隅々まで伝わる組織。

その仕組みを、私はオペレーションという名前で作っていただけだったのです。

3.だから理念を掲げる店を少し冷めた目で見ていました

当時の私は、

理念を掲げる会社を見るたびに、

少し冷めた目で見ていました。

「感謝」

「笑顔」

「チームワーク」

「お客様第一」

そんな言葉が壁に貼られていても、

正直、心は動きませんでした。

むしろ、

「その言葉で、本当に会社は伸びるのだろうか。」

そう思っていました。


私にとって経営とは、

もっと現実的なものでした。

売上を伸ばす。

利益を残す。

原価率を改善する。

人件費を最適化する。

オペレーションを磨く。

これこそが経営者の仕事であり、

会社を成長させる方法だと考えていました。

だから、

理念を語る時間があるなら、

現場を改善した方がいい。

売れる商品を考えた方がいい。

利益の出る仕組みを作った方がいい。

本気でそう思っていたのです。


そして、

私はオペレーションこそが会社を強くすると信じていました。

私の考えるオペレーションは、

単なる作業マニュアルではありません。

トップが考えていることを、

店長が理解する。

店長が社員へ伝える。

社員がアルバイトへ伝える。

最後は、

現場の一人ひとりが、

経営者ならどう判断するか。

そこまで共有できる仕組みを作ることでした。

私は、

それさえ作れば、

理念は必要ないと思っていました。


当時の私の頭の中を整理すると、

こんな考え方でした。

当時の私の考え理由
理念よりオペレーション行動が統一されるから
理念より戦略売上につながるから
理念より数字経営は結果がすべてだから
理念より教育人は育てた方が早いから

つまり、

理念とは、

会社を動かすものではなく、

会社を説明するための言葉。

私はその程度にしか考えていませんでした。


しかし今振り返ると、

私は理念を誤解していました。

理念とは、

「感謝しましょう。」

「笑顔で働きましょう。」

そんな精神論ではありません。

理念とは、

会社として何を大切にし、どんな基準で判断するのかを全員で共有すること。

まさに、

私がオペレーションで実現しようとしていたことだったのです。

私は、

そのことに気付かないまま、

何十年も経営をしていました。

RBRとしての見解

私は昔、

理念を軽視していました。

しかし、

理念そのものを否定していたわけではありません。

私が否定していたのは、

理念を「きれいな言葉」で終わらせる経営です。

現場が動かなければ意味がない。

判断基準にならなければ意味がない。

スタッフの行動が変わらなければ意味がない。

今でも、その考えは変わっていません。

だから私は、

理念を飾るものではなく、

トップの考え方を現場の判断へ変える仕組みとして考えるようになりました。

そこではじめて、

理念とオペレーションは別のものではなく、

一つの経営システムだったのだと理解したのです。

4.私は「経営者の頭脳」を会社全体に広げようとしていました

私は長い間、

会社は経営者の頭脳で動かすものだと思っていました。

経営者が考え、

その考えを現場が実行する。

それが理想の組織だと考えていたのです。


だから私は、

経営者として徹底的に考え続けました。

どの商品を売るのか。

どの価格なら利益が残るのか。

人件費をどこまで使うのか。

お客様は何を求めているのか。

競合は何をしているのか。

経営者が考えるべきことは、

すべて自分で考えようとしていました。

しかし、

私が本当に作ろうとしていたのは、

「自分一人が考える会社」ではありませんでした。


私が作りたかったのは、

自分が考えたように、スタッフも考えられる会社でした。

だから私は、

オペレーションに強くこだわりました。

ただし、

私のいうオペレーションは、

一般的なマニュアルとは少し違います。

料理を何分で提供する。

この順番で配膳する。

この手順で仕込みをする。

もちろん、それも大切です。

しかし、

私が本当に作りたかったのは、

トップの思考が、末端スタッフまで正確に伝わる仕組みでした。


例えば、

お客様からクレームをいただいた時。

店長ならどう考えるのか。

社員ならどう判断するのか。

アルバイトなら何を優先するのか。

その答えが人によって違えば、

会社は同じ方向へ進めません。

だから私は、

トップが考えたことを、

店長へ。

店長から社員へ。

社員からアルバイトへ。

最後は新人スタッフまで、

同じ基準で判断できる状態を作ろうとしていました。

それが、

私の考えるオペレーションだったのです。


今思えば、

私は「理念」という言葉を使わずに、

理念が目指す世界を作ろうとしていました。

経営者の考え方が、

会社全体へ伝わること。

判断基準が統一されること。

誰が対応しても、

会社として同じ判断になること。

私は、

それをオペレーションという言葉で表現していたのです。


しかし、

一つだけ足りないものがありました。

私は、

「どう考えるか」は伝えようとしていました。

でも、

「何を目指すのか」までは伝えきれていなかったのです。

この違いに気付いた時、

私は初めて、

理念の本当の役割を理解することになります。

RBRとしての見解

世の中では、

オペレーションは「作業を標準化するもの」と考えられることが多いでしょう。

しかし、

私は少し違います。

オペレーションとは、

経営者の思考を、組織全体へ伝達する仕組みだと考えています。

そして今なら分かります。

その思考が向かう先、

つまり、

組織全体が目指す共通のゴールがあって初めて、

オペレーションは本当の力を発揮します。

経営者の考え方を伝える仕組みがオペレーション。

その考え方が向かう先を示すのが理念。

私は長い間、

その二つを別々のものだと思っていました。

しかし本当は、

どちらも組織を一つにするために欠かせない、同じ経営の仕組みだったのです。

5.理念が人を変えるのではありません。ストコーマが人を変えるのです。

私は長い間、

理念とは会社のルールだと思っていました。

しかし、

今はまったく違います。

理念そのものに、

人を変える力はありません。

人を変えるのは、

ストコーマです。


ストコーマとは、

人がゴールを持った瞬間、

今まで見えていなかった情報が見え始める現象です。

例えば、

赤い車を買おうと思った途端、

街中で赤い車ばかり目に入る。

妊娠した人が、

ベビーカーばかり目にする。

飲食店を始めようと思った人が、

他店の接客やメニューばかり気になる。

世の中は何も変わっていません。

変わったのは、

脳が集める情報です。


人間の脳は、

毎秒膨大な情報を受け取っています。

しかし、

そのすべてを意識することはできません。

だから脳は、

「今、自分に必要だ」と判断した情報だけを無意識に拾い始めます。

これがストコーマです。


だから私は、

理念が重要なのではなく、

理念がストコーマを生み出すことが重要だと考えています。

例えば、

会社の理念が、

「売上を上げよう。」

なら、

スタッフは売上を見るようになります。

しかし、

「お客様との関係を深めよう。」

なら、

お客様の表情。

会話。

困っていること。

常連さんの変化。

そんな情報を、

無意識に集め始めます。

誰かに命令されたからではありません。

脳が勝手に探し始めるのです。


ここが経営で最も重要だと私は考えています。

人は、

意識だけで成長しているのではありません。

本当の成長は、

無意識が働き始めた時に起こります。

だから、

理念とは精神論ではありません。

人間の無意識を起動させるためのゴール設定なのです。


そして、

無意識が働き始めると、

人は少しずつ、

今まで当たり前だった基準を超え始めます。

心理学では、

これをコンフォートゾーンの変化として説明する考え方があります。

昨日まで気付かなかったことに気付き、

昨日までできなかった判断が自然にできるようになる。

つまり、

理念は人を直接変えるのではありません。

ストコーマを生み出し、無意識を動かし、コンフォートゾーンを広げることで、人を成長させる。

私は、

これこそが理念の本当の役割だと考えています。

6.理念とは、人の無意識を動かすためのゴールだったのです

私は長い間、

理念とは、

会社が大切にしている考え方を言葉にするものだと思っていました。

しかし、

今はそれだけでは不十分だと考えています。

理念の本当の価値は、

言葉そのものにあるのではありません。

その言葉によって、人がどんなゴールを見るようになるのか。

ここにあります。


前章で触れたように、

人は与えられたゴールによって、

見えるものが変わります。

これは単に、

「意識して見るようになる」

という程度の話ではありません。

重要なのは、

本人が意識していないところでも、脳がゴールに必要な情報を探し始めることです。

私はここに、

理念を経営に置く大きな意味があると考えるようになりました。


例えば、

スタッフに、

「今日も良い接客をしてください。」

と言ったとします。

おそらく多くのスタッフは、

笑顔で接客する。

丁寧な言葉を使う。

料理をきちんと提供する。

そう考えるでしょう。

しかし、

これだけでは、

これまでの接客の延長線上です。

本人がすでに知っている、

「良い接客」の範囲から出ていません。


ところが、

ゴールそのものを、

「お客様との関係を深める」

に変えたらどうでしょうか。

すると、

同じホールに立っていても、

見えるものが少しずつ変わります。

昨日も来てくださったお客様。

いつも注文される料理。

今日は少し表情が違う常連さん。

小さなお子様を連れて困っているご家族。

料理を食べ終えたあとも楽しそうに話しているお客様。

これまで、

ただの「店内の風景」だったものが、

意味を持った情報として見え始めます。


ここで大切なのは、

店長が一つひとつ指示しているわけではないことです。

「常連さんの表情を見なさい。」

「昨日との違いを探しなさい。」

「困っているお客様を見つけなさい。」

すべてを指示する必要はありません。

ゴールが共有されていれば、

スタッフ自身の脳が、

そのゴールに必要な情報を探し始めるからです。

これこそ、

私が理念に求めている力です。


私は、

人を動かすうえで、

この「無意識の力」を理解しておくことは非常に重要だと考えています。

人間は、

すべてを意識的に考えながら働いているわけではありません。

むしろ、

日々の多くの判断や行動は、

それまで身につけてきた習慣や経験、

本人にとっての「当たり前」の中で行われています。

その当たり前の範囲が、

いわゆるコンフォートゾーンです。


コンフォートゾーンというと、

「楽をしている場所」

という意味に捉えられることがあります。

しかし、

私が経営で重要だと思うのは、

もっと別の意味です。

その人にとって、それが普通だと感じている基準。

例えば、

お客様に言われてから動くことが普通のスタッフにとっては、

それがコンフォートゾーンです。

注文を取ることが接客だと思っている人なら、

それがその人の接客の基準です。

別に怠けているわけではありません。

本人にとって、

そこまでしか見えていないのです。


だから、

「もっと気を利かせろ。」

「もっとお客様を見ろ。」

「もっと自分で考えろ。」

と何度言っても、

なかなか人は変わりません。

本人の中にあるゴールが、

以前のままだからです。


しかし、

ゴールが変わると、

ストコーマが外れ始めます。

今まで見えなかったものが見える。

見えるから、

考えられる。

考えられるから、

行動が変わる。

行動が変わるから、

成功体験が生まれる。

その成功体験が積み重なることで、

以前なら特別だった行動が、

やがて本人にとっての「普通」になります。

つまり、

コンフォートゾーンそのものがずれていくのです。


私は、

ここに人材育成の大きな可能性があると思っています。

従来の教育は、

知識を教える。

やり方を教える。

注意する。

評価する。

そうした方法が中心でした。

もちろん、

それらも必要です。

しかし、

人の可能性を本当に伸ばそうとするなら、

それだけでは足りません。

必要なのは、

本人の無意識が勝手に成長の材料を探し続ける状態を作ることです。


そのために、

私は理念が必要なのだと考えるようになりました。

理念とは、

スタッフを縛るルールではありません。

「こうしなさい」と命令するためのものでもありません。

これまでの自分では見えていなかった世界を見せるためのゴールです。

そのゴールによって、

ストコーマが外れる。

無意識が動き始める。

行動が変わる。

そして、

コンフォートゾーンがずれていく。

私は、

理念にはそこまでの役割があると考えています。


流れを整理すると、

こうなります。

経営側が設計するものスタッフの中で起こること
理念というゴールを共有する目指す状態が変わる
ゴールが明確になるストコーマが外れ始める
必要な情報が見える無意識に情報を拾い始める
見える情報が変わる判断と行動が変わる
新しい行動を繰り返す成功体験が増える
新しい基準が定着するコンフォートゾーンがずれる

だから私は、

理念を単なる価値観の共有とは考えていません。

理念は、人の可能性を引き出すための経営設計です。

RBRとしての見解

私が昔、

理念を必要ないと思っていた理由は、

理念を「言葉」だと思っていたからです。

しかし今は、

まったく違います。

理念は、

人に何かを覚えさせるためのものではありません。

人の脳に、

「何を探せばいいのか」

を与えるものです。

そして、

そのゴールが本人の中に入った時、

経営者が見ていない場所でも、

スタッフは考え始めます。

気付き始めます。

行動し始めます。

それは、

トップが一つひとつ命令して動かしている組織とは、

まったく違います。

理念によってゴールを共有し、ストコーマを外し、無意識を働かせ、コンフォートゾーンそのものを動かしていく。

私は、

ここまで設計して初めて、

理念は人材育成と経営に使えるものになると考えています。

7.理念とオペレーションがつながった時、組織は一気に強くなる

私は長い間、

理念とオペレーションを、

別々のものとして考えていました。

理念は言葉。

オペレーションは仕組み。

しかし今は、

この二つは切り離せないと考えています。

なぜなら、

理念だけでは人は動き切れず、

オペレーションだけでは人の無意識まで動かせないからです。


理念は、

人にゴールを与えます。

そのゴールによって、

ストコーマが外れます。

今まで見えていなかったものが見え始めます。

無意識が必要な情報を拾い始めます。

そして、

少しずつ行動が変わります。

ここまでは、

一人の人間の中で起こる変化です。

しかし、

会社は一人では動きません。

店長。

社員。

アルバイト。

新人。

全員が同じ方向へ向かう必要があります。

そこで必要になるのが、

オペレーションです。


私の考えるオペレーションは、

単なる作業手順ではありません。

経営者が何を見て、

どう考え、

どう判断するのか。

その思考の流れを、

トップから店長へ。

店長から社員へ。

社員からアルバイトへ。

最後は、

末端のスタッフまで伝える仕組みです。

つまり、

理念が「どこへ向かうのか」を示し、

オペレーションが「どう考え、どう動くのか」を伝える。

この二つがそろって初めて、

組織は同じ方向へ進み始めます。


例えば、

理念として、

「お客様との関係を深める」

というゴールを共有したとします。

この時点で、

スタッフのストコーマは変わります。

お客様の表情。

会話。

来店頻度。

小さな変化。

そうしたものが、

意味のある情報として見え始めます。

しかし、

それだけでは、

人によって行動はまだバラバラです。

ある人は会話を増やす。

ある人は料理の好みを覚える。

ある人は困っていることに先回りする。

どれも間違いではありません。

だからこそ、

その行動を会社としてどう扱うのか。

どこまでやるのか。

何を優先するのか。

それを支えるのが、

オペレーションです。


つまり、

理念が人の無意識を動かし、

オペレーションがその力を会社の方向へそろえる。

私は今、

この関係が非常に重要だと考えています。

理念だけでは、

個人の善意に頼った組織になります。

オペレーションだけでは、

言われたことしかできない組織になります。

しかし、

理念とオペレーションが重なると、

自分で考えながら、同じ方向へ動ける組織になります。


ここで、

会社の強さは大きく変わります。

経営者が現場にいなくても、

スタッフが考える。

店長が見ていなくても、

アルバイトが気付く。

マニュアルに書いていなくても、

お客様のために必要な判断ができる。

しかも、

それぞれが勝手な方向へ走るのではなく、

会社として同じゴールへ向かっている。

これが、

私が本当に作りたかった組織だったのだと思います。


私は昔、

経営者の頭脳を現場へ伝えれば、

会社は強くなると思っていました。

その考えは、

今でも間違っていません。

ただし、

一つ足りなかった。

経営者の考え方を伝える前に、

全員が同じゴールを見ている必要があったのです。

ゴールが違えば、

同じオペレーションでも、

解釈が変わります。

しかし、

理念によってゴールがそろえば、

オペレーションはただの手順ではなくなります。

経営者の思考を再現するための、

強力な経営システムになります。


そして、

この状態が続くと、

組織全体のコンフォートゾーンも変わっていきます。

以前なら、

「そこまでやらなくてもいい。」

と思っていたことが、

「そこまでやるのが普通。」

に変わる。

以前なら、

店長しかできなかった判断を、

社員ができるようになる。

社員しかできなかったことを、

アルバイトが自然にできるようになる。

それが積み重なることで、

会社全体の基準そのものが上がっていきます。

私は、

ここに理念とオペレーションをつなぐ意味があると考えています。

RBRとしての見解

理念は、

人の無意識を動かすためのゴールです。

オペレーションは、

その無意識から生まれた判断や行動を、

会社の方向へそろえる仕組みです。

どちらか一方では足りません。

理念だけでは、

考え方は広がっても、

組織として統一されません。

オペレーションだけでは、

行動はそろっても、

人の可能性は十分に引き出せません。

理念がストコーマを外し、無意識を動かし、コンフォートゾーンをずらす。

オペレーションが、その変化を会社全体の力に変える。

私は、

この二つがつながった時、

組織は初めて、

経営者一人の能力を超えて成長し始めると考えています。

RBRとしての最終見解

私は、

すべての飲食店に同じ組織論が必要だとは考えていません。

エキナカ。

駅前。

大型商業施設。

大手チェーン。

こうした店には、

立地があります。

ブランドがあります。

大量の集客があります。

そして、

高度に設計されたマニュアルとオペレーションがあります。

その仕組みの中では、

スタッフ一人ひとりの判断力に大きく依存しなくても、

一定の品質を作ることができます。

私自身、

長い間その世界で経営をしてきました。

だからこそ、

売上と利益を追い、

オペレーションを磨けば、

会社は伸びると思っていました。

実際、

それで会社は伸びました。

しかし、

郊外型の地域店は違います。


郊外の店には、

駅の乗降客が自動的に流れ込んでくるわけではありません。

巨大なブランドが、

来店理由を作ってくれるわけでもありません。

地域のお客様に、

「あの店に行こう。」

と思っていただかなければ、

来店そのものが生まれません。

だから、

郊外型の店では、

料理だけではなく、

お客様との関係。

安心感。

接客。

居心地。

スタッフとの会話。

店全体の空気。

そうしたものまで含めて、

店の価値になります。


ここでは、

マニュアル通りに仕事ができるだけでは足りません。

お客様の表情を見る。

いつもの注文に気付く。

少し困っていることに気付く。

前回との違いに気付く。

何をすれば、

このお客様との関係がもう一歩深くなるのかを考える。

そこまでできるスタッフが必要になります。

だから私は、

郊外型の店では、

理念がより重要になると考えています。


理念によってゴールを共有する。

ストコーマを外す。

無意識に必要な情報を拾えるようにする。

コンフォートゾーンをずらす。

そして、

一人ひとりの判断力を高めていく。

その力を、

オペレーションによって店全体へ広げていく。

これが、

私が今考えている郊外型飲食店の組織です。


しかし、

ここで一つ問題が出てきます。

そんな高い能力を持ったスタッフを、

従来型の低利益構造のまま雇い続けることはできません。

求める能力を上げるのであれば、

経営側も変わらなければならない。

だから私は、

郊外型の地域店こそ、高利益型の組織へ再編する必要がある

と考えています。

少ない人数でも、

一人ひとりが高い価値を生み出す。

その価値によって、

店に利益が残る。

そして、

そこで働くスタッフには、

その能力と成果に見合った高い所得を支払う。

ここまでがセットです。


高い接客力を求める。

高い判断力を求める。

お客様との関係構築まで求める。

それなのに、

賃金だけは従来の飲食店と同じ。

私は、

それでは成立しないと思っています。

求める能力が高いのであれば、

その人たちは、

高い所得を得る資格があります。

だから、

理念経営は人件費を増やす話ではありません。

人の能力を高め、その能力で高い利益を作り、その利益を人へ返す経営へ変える話です。


大手と同じ店を作る必要はありません。

エキナカと同じ経営をする必要もありません。

郊外には、

郊外の勝ち方があります。

地域のお客様との関係を深め、

人の力を競争力に変える。

そして、

その力にふさわしい利益と所得を作る。

私は、

それがこれからの郊外型飲食店に必要な経営だと考えています。

この記事を書いた人 Wrote this article

新田 敏之

新田 敏之 RBR合同会社 統括 / 男性

RBR(Restaurant Business Reform)代表。 鉄板焼きの現場で25年。 これまで数多くの飲食店の立て直しを中心とした経営改善に携わり、売上改善、商品開発、人材育成、オペレーション構築、デリバリー事業の立ち上げなど、現場に入りながら支援を行ってきました。 現在は「ガブ飲み食堂」を運営しながら、主力商品の開発・ソースや商品の卸事業、デリバリーFC事業の展開、そして飲食店の経営改善支援を行っています。 このブログで発信するのは、机上の理論ではありません。 すべて現場で試し、失敗し、改善を繰り返してきた実践知です。 料理だけでは、お店は続きません。 利益が残る仕組み、人が育つ環境、お客様に選ばれ続ける理由。 私は、その「経営」を一人でも多くの飲食人に届けたいと考えています。 飲食店を増やしたいわけではありません。 利益が残る飲食店を、一店舗でも増やしたい。 その想いを胸に、今日も現場で挑戦を続けています。