飲食店でランチは入るのに夜が弱い原因とは?ディナー売上を伸ばす改善策

Restaurant Business Reform または 飲食店経営改善ブログ

飲食店でランチは入るのに夜が弱い原因とは?ディナー売上を伸ばす改善策
この記事は約 106 分で読めます
目次 Outline

第1章 ランチとディナーは「別の店」と考える

「ランチは結構入るんです。でも、夜になると全然お客さんが来ないんです」

飲食店の相談を受けていると、こういう話は珍しくありません。

昼は満席になる時間帯もある。
ランチタイムには毎日30人、40人と来店してくれる。

ところが17時を過ぎると、急に店が静かになる。

18時になっても数組。
19時になっても席が埋まらない。

経営者からすると、不思議に感じると思います。

「昼にこれだけお客さんが来ているのに、なぜ夜は来ないのか?」

ここで最初に考えてほしいことがあります。

私は、ランチとディナーをほぼ別の店として考えた方がいいと思っています。

同じ場所で、同じ厨房を使い、同じ料理を提供していたとしても、お客様が店を選ぶ理由が違うからです。


ランチのお客様は「目的」が比較的はっきりしている

例えばランチで店を探すとき、お客様は何を考えているでしょうか。

「お腹が空いた」

「近くで何か食べたい」

「1,000円くらいで食べたい」

「仕事に戻らないといけないから早く食べたい」

「今日はハンバーグが食べたい」

こうした、かなり具体的な目的を持っています。

だからランチでは、

  • 価格
  • ボリューム
  • 提供スピード
  • 立地
  • 分かりやすい商品
  • お得感

こういった要素が非常に強くなります。

例えば、

「ハンバーグ定食1,080円。ご飯・味噌汁おかわり自由」

これだけでも、ランチでは十分に強い来店理由になり得ます。

商品と価格を見た瞬間に、

「ここで昼飯を食べよう」

という判断ができるからです。


ところが夜になると、店を選ぶ理由が変わる

夜のお客様を考えてみます。

家族で晩ご飯を食べる。

夫婦で外食する。

友人と飲みに行く。

仕事帰りに一杯飲む。

恋人と食事をする。

常連のお店に顔を出す。

ランチと比べると、単純に「空腹を満たす」という目的だけではありません。

誰と、どんな時間を過ごすのか。

この要素が一気に大きくなります。

だから私は、夜営業では料理そのものだけではなく、

「その店で過ごす時間」

まで商品として考える必要があると思っています。

ここが、ランチは入るのに夜が弱い店を分析するときの最初のポイントです。


昼に強い商品を、そのまま夜に持ってきても強いとは限らない

例えば、昼に1,200円の定食が大人気だったとします。

ボリュームがある。

価格も安い。

提供も早い。

ランチとしては非常に強い商品です。

だから経営者は考えます。

「これだけ人気なんだから夜も売れるだろう」

しかし、実際にはそうならないことがあります。

商品が悪いわけではありません。

お客様が夜に店を選ぶ基準と、その商品の強みが噛み合っていない可能性があるからです。

夜7時。

家族4人で「今日は外で食べよう」となったとき。

友人3人で「どこか飲みに行こう」となったとき。

夫婦で「今日は外食しよう」となったとき。

この瞬間、お客様が考えているのは、

「1,200円の定食がある店はどこだろう?」

だけではありません。

「子どもが食べられるものはあるかな」

「ゆっくりできるかな」

「お酒を飲めるかな」

「いろいろ注文できるかな」

「ちょっと楽しい店かな」

「わざわざ今日ここへ行く理由があるかな」

店を選ぶ判断材料が増えるのです。


だから「昼が強い=店が強い」とは限らない

これは非常に重要です。

ランチが繁盛していると、経営者は店そのものに集客力があると思いやすい。

もちろん、一定の商品力や認知があるからランチにお客様が来ている。

これは間違いありません。

ただし、その強さが、

どの時間帯でも通用する強さなのか。

ここは分けて考える必要があります。

例えば、

駅から近い。

会社から近い。

安い。

早い。

ボリュームがある。

こうした強みでランチに40人来ていたとしても、その40人が夜にも店を選ぶ理由にはならないことがあります。

むしろランチが強い店ほど、

「なぜ昼は選ばれているのか?」

を一度分解してみるべきです。

すると、

「料理が圧倒的に支持されていると思っていたけれど、実は立地と価格が強かった」

「ボリュームが評価されているけれど、それはランチ需要に対する評価だった」

ということも見えてきます。


ランチとディナーでは、経営するゲームが変わる

かなり単純化すると、私はこう考えています。

ランチディナー
食事目的が強い時間・体験目的が強くなる
価格が重要総合的な価値が重要
スピードが重要滞在価値が重要
一人客も多い複数客が増える
商品単体で選ばれやすい店全体で選ばれやすい
回転が売上を作る客単価も売上を大きく左右する

もちろん、業態や立地によって違いはあります。

しかし、昼夜で客数に大きな差が出ている店なら、まずこの視点を持ってほしいと思います。

昼と夜を同じ商売として考えないこと。

夜が弱い店を改善するとき、私はまずここから考えます。

「ランチで何が売れているか」だけを見るのではなく、

「夜のお客様は、何を求めてこの店に来るのか?」

を改めて設計する。

ここが夜営業改善のスタート地点です。

そして次に考えなければならないのが、

「そもそも昼に来ているお客様は、夜にも来るお客様なのか?」

という問題です。

実はここを勘違いしている店が、かなり多いと思っています。

第2章 ランチのお客様が、そのまま夜のお客様になるとは限らない

ランチが繁盛している店を見ると、こんなことを考えたくなります。

「これだけ昼に来てくれているんだから、そのうち夜にも来てくれるだろう」

私も飲食店を経営していますから、この感覚はよく分かります。

昼に毎日40人来てくれる。

1か月営業すれば、かなりの人数が店を利用してくれることになります。

それなら、その中の何%かが夜にも来てくれれば、ディナーも自然と強くなっていきそうです。

ところが、実際の飲食店経営では、そう単純にはいきません。

なぜなら、

ランチのお客様とディナーのお客様では、生活の中で店を利用する場面そのものが違うからです。


「昼に来られる」と「夜に来られる」は別の話

例えば、会社員のお客様がランチで週に2回来てくれているとします。

その人にとって店は、

「会社の近くにあって、昼休みに便利な店」

なのかもしれません。

しかし夜になると、その人は電車に乗って別の街へ帰ります。

そうなると、どれだけランチで気に入ってくれていても、夜の選択肢には入りにくくなります。

住宅地でも同じです。

平日の昼に来てくれる主婦のお客様が、夜になれば家族の食事を用意する側になることもあります。

一人でランチには来てくれるけれど、夜に家族4人で外食するときには、

「家族みんなが楽しめる店」

という別の基準で店を探すかもしれません。

つまり、

ランチで店を選んだ理由が、そのまま夜の来店理由になるとは限らない。

ここを理解する必要があります。


「昼のお客様を夜に呼ぼう」だけでは弱い

夜が暇になると、多くの店がまず考えるのが、

ランチ客への夜営業の告知です。

卓上POPを置く。

「夜も営業しています」と伝える。

LINEで夜メニューを配信する。

ランチのお客様に夜限定クーポンを渡す。

もちろん、こうした施策にも意味はあります。

ただ、その前に考えたいことがあります。

そのお客様にとって、夜にこの店へ来る理由は何なのか。

ここです。

例えば、

「夜も定食があります」

だけでは、弱いかもしれません。

昼に食べられるものを夜にも食べられる。

それだけなら、

わざわざ夜に来店する新しい理由が生まれていないからです。


夜のお客様には「夜の来店理由」が必要になる

例えば昼にハンバーグ定食を食べたお客様がいるとします。

その人に、

「夜もハンバーグ定食あります」

と伝える。

これで動く人もいるでしょう。

しかし、

「夜は家族でシェアできる料理があります」

「夜限定の一品料理があります」

「仕事帰りにちょっと飲めます」

「子どもと一緒でも利用しやすいです」

「夜限定の飲み放題があります」

「友人とゆっくり食事できます」

となれば話が変わります。

昼とは違う利用シーンが生まれます。

重要なのは、

昼のお客様を夜へ移動させるという発想より、同じ人に“別の利用目的”を作ることです。

私はここが非常に重要だと思っています。


一人のお客様にも、いくつもの「顔」がある

飲食店側から見ると、

「40代男性」

「会社員」

「ランチ常連」

という一人のお客様かもしれません。

しかし、その人は生活の中でいろいろな立場になります。

昼休みには、一人でランチを食べる会社員。

夜になれば、家族と食事をする父親。

週末になれば、友人と飲みに行く人。

休日には、子どもを連れて外食するお客様。

同じ人でも、

利用シーンによって店に求めるものが変わります。

ここまで考えると、

「ランチ客をどうやって夜に呼ぶか」

という問い自体を少し変えた方がいいことが分かります。

考えるべきなのは、

「このお客様は、どんな場面なら夜にうちの店を使うのか?」

です。


夜が弱い店は「誰に来てほしいか」が曖昧になりやすい

ここで夜営業を見直してみてください。

あなたの店は夜、

誰に来てもらいたい店でしょうか。

家族でしょうか。

会社員でしょうか。

カップルでしょうか。

一人飲みでしょうか。

友人同士でしょうか。

宴会でしょうか。

もちろん、複数あって構いません。

問題は、何も決まっていない状態です。

「誰でも来てください」

という設計になると、メニューも販促も店づくりもぼやけます。

家族客を取りたいなら、

子どもが食べられる商品、取り分けられる料理、座席、価格、滞在しやすさなどが重要になります。

仕事帰りの会社員を取りたいなら、

酒、一品料理、提供スピード、ちょい飲みセットなどが重要になるでしょう。

友人同士なら、

シェア料理や飲み放題、滞在時間、楽しさが重要になるかもしれません。

狙う夜客によって、作るべき店が変わるのです。


ランチ客数ではなく「夜に使える理由」を数える

だから、ランチが繁盛している店で夜を改善するとき、

私は単純に、

「昼に何人来ているか」

だけでは考えません。

見るべきなのは、

昼のお客様が夜に利用できるシーンを、店側がいくつ作れているか。

例えば、

昼は一人で定食。

夜は家族で食事。

夜は友人と飲み会。

休日は夫婦で食事。

会社の仲間と宴会。

こうやって利用シーンが増えていけば、一人のお客様との関係も変わります。

昼に一度来てもらって終わる店と、

昼にも夜にも、家族とも友人とも利用できる店。

同じ一人の新規客を獲得しても、長期的な売上価値はまったく違ってきます。


昼で知ってもらい、夜の使い方を提案する

ランチが繁盛している店には、大きな強みがあります。

すでにたくさんのお客様と接点を持っていることです。

これは非常に大きな資産です。

問題は、その接点を夜の利用につなげられているかどうか。

ランチのお客様に、

「夜も営業しています」

と伝えるだけではなく、

「夜なら、こんな使い方ができます」

まで見せる。

家族で来られる。

飲みに来られる。

友人と集まれる。

ゆっくり食事できる。

昼にはない料理を楽しめる。

そうやって夜の利用シーンを具体的に見せていく。

ランチが強い店は、ゼロから夜のお客様を探す必要はありません。

すでに店を知ってくれている人がたくさんいます。

だからこそ、

昼で店を知ってもらい、夜の使い方まで提案する。

この設計ができれば、ランチの強さをディナーにも生かせる可能性が出てきます。

そして、ここからもう一段踏み込んで考えたいことがあります。

夜が弱い店を見ていると、客数以前に、

「夜に売る商品そのものが、昼とほとんど変わっていない」

というケースが非常に多いのです。

次章では、夜営業の商品設計について考えていきます。

第3章 夜が弱い店は「夜に来る理由」が商品になっていない

ランチは入るのに、夜になると急に弱くなる。

そんな店のメニューを見ていると、ひとつ気になることがあります。

昼と夜で、ほとんど同じものを売っている。

昼にハンバーグ定食。

夜もハンバーグ定食。

昼に唐揚げ定食。

夜も唐揚げ定食。

もちろん、夜に定食を提供すること自体は問題ありません。

実際、仕事帰りに一人でしっかり食事をしたい人もいます。

問題は、

「夜だから、この店に行きたい」と思わせる商品があるかどうか。

ここです。


人気商品があることと、夜に強いことは別

例えば、ランチで非常に人気のハンバーグ定食があるとします。

1,200円。

ボリュームもある。

味も評価されている。

毎日たくさん注文される。

経営者からすると、

「この商品があるなら夜も戦える」

と思いたくなります。

しかし、お客様の立場で考えてみます。

今日の昼、その店でハンバーグ定食を食べた。

そして夜になった。

家族から、

「今日どこか食べに行く?」

と言われた。

このとき、

昼に食べたハンバーグ定食が美味しかったから、夜も同じ店へ行こう。

どれくらいの人がそう考えるでしょうか。

もちろん一定数はいるでしょう。

ただ、それだけで夜の席を埋めるほどの来店動機を作るのは難しい。

夜には夜の、

「今日はここへ行こう」

を作る必要があります。


夜の商品は「単品」ではなく「利用シーン」で考える

夜の商品開発というと、

「一品料理を増やそう」

「お酒を増やそう」

と考えがちです。

しかし、その前に決めたいことがあります。

その商品を、誰が、誰と、どんな場面で注文するのか。

例えば、

仕事帰りの一人客

欲しいのは、

  • すぐ出る一品
  • ビール
  • 小さめのおつまみ
  • 最後に定食やご飯もの

かもしれません。

家族客

欲しいのは、

  • 子どもが食べられる料理
  • 大人も楽しめる料理
  • シェアできる料理
  • ご飯もの
  • デザート

かもしれません。

友人同士

欲しいのは、

  • つまめる料理
  • シェアできる料理
  • お酒
  • 飲み放題
  • 少し長く滞在できる環境

かもしれません。

同じ厨房、同じ食材でも、

誰の、どんな夜を作るのかによって商品設計は変わります。


夜は「もう一品」が売上を作る

ランチと夜で大きく違うのが、注文のされ方です。

ランチなら、

「ハンバーグ定食1つ」

これで注文が完結することが多い。

ところが夜は、

「ハンバーグ」

「小鉢」

「唐揚げ」

「ビール」

「もう一杯」

「最後にご飯」

という注文を作ることができます。

ここに夜営業の大きな可能性があります。

例えば、

定食1,200円だけなら客単価は1,200円です。

そこに、

小鉢480円。

ドリンク500円。

この2つが追加されれば、

客単価は2,180円になります。

客数は同じでも、売上は大きく変わります。

夜営業では、

「何人来てもらうか」と同時に「一人のお客様に、どんな楽しみ方をしてもらうか」

を設計する必要があります。


小さな商品が、夜の店を作る

ここで重要になるのが、小鉢や一品料理です。

例えば、

月見とろろ。

鯛のユッケ。

出汁巻き。

ポテト。

唐揚げ。

焼き物。

こうした商品は、一品だけを見ると大きな売上ではありません。

しかし、夜営業では非常に重要な役割を持っています。

なぜなら、

「定食を食べる店」から「いろいろ選んで楽しめる店」へ、お客様から見た店の意味を変えられるからです。

これは単なるメニュー追加ではありません。

店の利用方法を増やしているのです。


看板商品も「夜仕様」にできる

さらに面白いのは、昼の人気商品を捨てる必要もないことです。

例えば昼に人気の肉料理があるなら、

夜は鉄板で提供する。

シェアできるサイズを作る。

卵やソースを選べるようにする。

お酒に合う味を用意する。

複数人で楽しめる見せ方にする。

同じ食材でも、

提供方法を変えるだけで夜の商品に変わります。

昼の商品開発で積み上げた強みを、そのまま使えるわけです。


「夜限定」は、それ自体が来店理由になる

私は夜営業を改善するとき、

夜限定商品

を作ることも有効だと思っています。

理由は単純です。

昼には食べられないからです。

「夜だけあります」

「17時から販売します」

「ディナー限定です」

これだけで商品に理由が生まれます。

例えばランチのお客様が卓上POPを見て、

「これ、夜しかないんや」

と思う。

この瞬間、その商品は次回来店のきっかけになる可能性があります。

昼のお客様に夜営業を宣伝するときも、

「夜も営業しています」

より、

「夜はこんな料理があります」

の方が圧倒的に具体的です。


夜メニューを増やしすぎる必要はない

ここで注意したいこともあります。

夜を強くしようとして、

一気に20品、30品とメニューを増やす。

これは小さな飲食店では危険です。

食材が増える。

仕込みが増える。

在庫が増える。

廃棄が増える。

スタッフが覚えることも増える。

提供時間も不安定になる。

売上を増やすための商品追加が、利益を削る原因になることがあります。

だから私は、

既存食材をできるだけ使いながら、夜の利用シーンを増やす商品を作る。

この考え方が重要だと思っています。

昼の食材を使って小鉢を作る。

昼の肉を夜用の鉄板料理にする。

既存の唐揚げを夜向けの味付けにする。

同じ食材でも、見せ方と食べ方を変える。

こうすれば、厨房への負担を抑えながら夜の商品を増やせます。


商品数より「注文の流れ」を設計する

夜メニューを考えるとき、商品数だけを見るのではなく、

お客様がどう注文していくか

まで考えてみてください。

例えば、

入店

まずドリンク

すぐ出る小鉢

シェア料理

メイン料理

追加ドリンク

〆・デザート

この流れが作れる店は、自然と客単価が上がります。

反対に、

入店

定食を注文

食べる

会計

これだけなら、夜営業をしていても売上構造はランチとほとんど変わりません。

営業時間だけ夜になっている状態です。


夜の商品設計とは「夜の過ごし方」を設計すること

夜メニューを考えるとき、

「何を追加しよう」

から考えると、商品ばかり増えてしまいます。

先に考えたいのは、

「お客様に、この店でどんな夜を過ごしてほしいのか」

です。

家族で晩ご飯を楽しんでもらう。

仕事帰りに一杯飲んでもらう。

友人と料理をシェアしてもらう。

夫婦でゆっくり食事してもらう。

その利用シーンを決めてから、必要な商品を作る。

そうすると、

必要な小鉢。

必要なドリンク。

必要なメイン料理。

必要なセット。

必要な価格。

すべてがつながってきます。

夜が弱い店を改善するときに必要なのは、単純なメニュー追加ではありません。

夜にこの店を使う理由そのものを、商品として作ることです。

そして、ここまで商品を作っても、まだ夜営業が強くなるとは限りません。

なぜなら夜には、ランチ以上に売上を左右するもう一つの数字があるからです。

それが、

客単価です。

次章では、夜営業を「客数」だけで考えると苦しくなる理由について、数字を使って考えていきます。

第4章 夜営業は「客数」だけで考えると苦しくなる

夜が弱い。

売上が足りない。

そうなると、多くの経営者が最初に考えるのは、

「もっとお客さんを呼ばないといけない」

ということだと思います。

もちろん、客数は重要です。

お客様が来なければ売上は作れません。

しかし夜営業を改善するとき、客数だけを追いかけると非常に苦しい経営になります。

なぜなら、飲食店の売上は、

客数 × 客単価

で決まるからです。

当たり前の話です。

しかし、この当たり前の数字を夜営業ではもう一度考えてみる必要があります。


客単価1,200円で夜売上10万円を作るには何人必要か

例えば、夜営業で10万円を売りたいとします。

客単価1,200円なら、

100,000円 ÷ 1,200円 = 約84人

必要です。

客単価1,500円なら、

約67人。

客単価2,000円なら、

50人。

客単価2,500円なら、

40人。

客単価3,000円なら、

約34人。

同じ10万円を作るにも、必要な客数はこれだけ変わります。

夜の客単価10万円を作るために必要な客数
1,200円約84人
1,500円約67人
2,000円50人
2,500円40人
3,000円約34人

ここで考えてほしいのです。

あなたのお店で夜に80人集めるのと、40人集めるのでは、

どちらが現実的でしょうか。


ランチと同じ客単価で夜を戦うと、客数が必要になる

例えばランチ客単価が1,200円の店があるとします。

昼に40人来れば、

48,000円。

ランチとしては十分成立する店もあるでしょう。

問題は、夜も同じ1,200円で戦った場合です。

夜売上10万円を作ろうと思えば約84人必要になります。

仮に50席の店なら、かなりの回転が必要です。

しかも夜のお客様は、ランチほど早く帰るとは限りません。

家族で食事をする。

友人と話をする。

お酒を飲む。

当然、滞在時間は長くなります。

つまり夜は、

ランチより回転させにくいのに、ランチと同じ客単価で売ろうとすると大量の客数が必要になる。

これでは経営が苦しくなります。


「夜も安くしないと来ない」は本当なのか

夜が弱くなると、

「値段が高いから来ないのでは?」

と考えてしまうことがあります。

そこで、

夜限定割引。

ドリンク半額。

定食100円引き。

クーポン。

こうした施策を打つ。

短期的に客数が動くことはあります。

しかし、夜営業で価格を下げ続けると、

さらに客数を必要とする経営になります。

例えば客単価2,000円なら50人で10万円です。

ところが値引きなどによって客単価1,500円になれば約67人必要になる。

売上を維持するだけでも、

17人多く集客しなければなりません。

しかも、増えた17人分の料理を作り、運び、片付け、会計する必要があります。

売上だけを見れば同じ10万円です。

しかし現場の負担は同じではありません。


客数が増えれば、コストも増える

ここも重要です。

客数を増やすには、

広告費。

人件費。

食材。

洗い物。

消耗品。

清掃。

厨房負荷。

ホール負荷。

さまざまなコストが増えます。

例えば40人で10万円を売る店と、84人で10万円を売る店。

同じ10万円でも、経営の中身はかなり違います。

だから私は、

「何人来たか」だけで繁盛を判断するのは危険だ

と考えています。

大切なのは、

その客数で、いくら売上と利益を作れたのか。

です。


夜営業は「一人のお客様の売上」を設計する

では、どうやって客単価を上げるのか。

単純に商品の価格を上げればいい、という話ではありません。

重要なのは、

一人のお客様が自然に複数の商品を注文できる構造を作ることです。

例えば、

定食 1,200円

だけだったお客様が、

小鉢 480円
ドリンク 500円

を注文すれば、

2,180円。

さらに二人でシェアする一品料理が1,000円追加されたとします。

一人あたり500円です。

すると、

一人あたり2,680円。

最初の1,200円と比べると、客単価は倍以上になります。

お客様を二倍集めたわけではありません。

一人のお客様に店をもっと楽しんでもらった結果です。


客単価アップは「値上げ」とは限らない

ここは誤解されやすいところです。

客単価を上げるというと、

「値段を上げる」

と思われるかもしれません。

しかし、客単価アップにはいくつもの方法があります。

一品料理を追加してもらう。

ドリンクを注文してもらう。

デザートを注文してもらう。

セットを選んでもらう。

上位商品を用意する。

複数人でシェアできる料理を作る。

飲み放題を作る。

宴会コースを作る。

つまり、

注文できる価値を増やすことでも客単価は上がります。

むしろ私は、こちらの方が健全だと思っています。


「安い定食屋」のままだと夜の売上には限界がある

ランチでは、

「安くて、ボリュームがあって、美味しい」

は非常に強い武器になります。

しかし夜まで、

安い定食を一品食べて帰る店

になってしまうと、売上の上限が低くなります。

例えば40人来店して、

客単価1,200円なら、

48,000円。

同じ40人でも、

客単価2,500円なら、

100,000円。

客数は同じです。

売上は倍以上です。

この差は非常に大きい。

だから夜営業を改善するときは、

「あと何人集客するか」

だけではなく、

「今来てくれているお客様に、どんな価値を追加できるか」

も同時に考える必要があります。


客単価には「上げ方」がある

ただし、ここで一つ注意があります。

客単価を上げたいからといって、

いきなり全商品を値上げする。

高額商品ばかり増やす。

無理に追加注文を勧める。

これでは、お客様が感じる価値とのバランスが崩れる可能性があります。

私が考える客単価アップは、

お客様が「これも欲しい」と思える選択肢を増やすことです。

例えば、

「せっかくだからこれも頼もう」

「二人でこれをシェアしよう」

「今日は飲み放題にしよう」

「最後にデザート食べよう」

このような注文が自然に生まれる店を作る。

その結果として客単価が上がる。

この順番が大切です。


夜営業では「客数×客単価」の両方を見る

夜が弱い店を見ると、

どうしても空席が気になります。

19時に店内を見る。

席が空いている。

すると、

「もっと集客しないと」

と考える。

しかし、その前に数字を見てください。

現在の夜客数は何人なのか。

現在の夜客単価はいくらなのか。

目標売上はいくらなのか。

その売上を現在の客単価で作るには何人必要なのか。

その客数は、席数や営業時間を考えて現実的なのか。

ここまで計算すると、

本当に集客だけが問題なのか

が見えてきます。

場合によっては、

客数を20人増やすより、

客単価を500円上げる方が現実的かもしれません。

夜営業は、

「もっと来てもらう」

だけで考えると苦しくなります。

「来てくれたお客様に、どれだけ価値を提供できるか」

まで含めて設計する。

これが夜営業の売上を作る基本です。

そして客単価を上げるうえで、非常に大きな役割を持つのが、

お酒です。

ただ、お酒をメニューに置けば売れるわけではありません。

夜が弱い店には、

そもそも「この店で飲もう」と思わせる理由が作れていない

ケースが多くあります。

次章では、夜営業における「飲む理由」の作り方について考えていきます。

第5章 夜が弱い店には「この店で飲む理由」がない

夜営業の客単価を考えるとき、お酒は非常に重要な商品です。

例えば、

料理だけで1,500円。

そこに生ビールを1杯注文してもらえば、客単価は2,000円前後になります。

2杯飲めば、さらに上がります。

おつまみも追加されるかもしれません。

つまり、お酒が動く店と動かない店では、同じ客数でも夜の売上が大きく変わります。

ところが、夜が弱い店を見ていると、

お酒は置いてあるけれど、「この店で飲もう」と思わせる理由がない。

そんなケースが結構あります。


生ビールがあるだけでは「飲める店」にはならない

多くの飲食店には、生ビールがあります。

ハイボールもある。

酎ハイもある。

焼酎もある。

メニューを見ると、一通り揃っています。

でも、それだけでお客様が、

「今日はここで飲もう」

と思うでしょうか。

お客様からすると、

生ビールは多くの店にあります。

ハイボールもあります。

酎ハイもあります。

つまり、

お酒を置いていること自体は、大きな来店理由になりにくい。

大切なのは、

その店で飲むと何が楽しいのか。

です。


「食事をする店」と認識されると、お酒は動きにくい

例えば、ランチで人気の定食屋があります。

お客様の頭の中には、

「あそこは定食を食べる店」

というイメージができています。

このイメージは非常に強いものです。

夜になって店側が、

「生ビールあります」

「ハイボールあります」

「夜も営業しています」

と発信しても、

お客様の認識が、

「定食を食べる店」

のままなら、お酒を飲む店の候補に入りにくい。

ここで必要なのは、

お酒の商品数を増やすことよりも、

店の使い方を伝えることです。

「仕事帰りに一杯飲める」

「家族で食事しながら飲める」

「小鉢をつまみながら飲める」

「友人とゆっくり飲める」

こうした利用シーンが見えるようになると、店の印象が変わってきます。


お酒を売りたいなら、先に「つまみ」を作る

私は、お酒を売りたい店ほど、

酒の種類より先に、つまみを考えた方がいい

と思っています。

例えば、

冷たい小鉢。

出汁巻き。

唐揚げ。

焼き物。

ユッケ。

ポテト。

枝豆。

こうした料理が並んでいると、

「ちょっと飲もうかな」

という気持ちが生まれます。

逆にメニューが、

ハンバーグ定食。

唐揚げ定食。

トンテキ定食。

焼肉定食。

という構成だけなら、

どうしても、

「ご飯を食べる店」

に見えます。

お酒を注文してほしいなら、

お客様が、

「これをアテに飲みたい」

と思う料理が必要です。


最初の一杯を注文しやすくする

夜営業では、

最初の注文

が非常に重要です。

入店してメニューを見た瞬間に、

「とりあえず生ビール」

となる店なのか。

「今日は水でいいか」

となる店なのか。

ここで、その後の客単価が大きく変わります。

例えば、

「生ビール+小鉢2品」

「ハイボール+唐揚げ」

「ドリンク+おつまみ3種」

こうしたセットを作れば、

最初の一杯を注文する理由になります。

大切なのは値引きではありません。

注文を考える手間を減らしてあげることです。

「これ頼んだらええやん」

と思える状態を作る。

夜のメニュー設計では、この分かりやすさがかなり重要です。


飲み放題は「安売り」ではなく利用目的を作れる

飲み放題も、使い方次第では非常に強い商品です。

飲み放題というと、

「安く飲ませるサービス」

というイメージがあるかもしれません。

しかし私は、

飲み放題そのものが来店目的になる

と考えています。

例えば、

「今日は3人で飲もう」

となったとき、

飲み放題がある店と、ない店。

お客様からすると、会計の分かりやすさが違います。

特に複数人になるほど、

「いくらくらいになるか分かる安心感」

は店選びに影響します。

宴会でも同じです。

料理+飲み放題で5,000円。

これなら幹事は非常に選びやすい。

つまり飲み放題には、

客単価を作るだけではなく、

店を選びやすくする役割

もあります。


家族客にも「飲む理由」は作れる

「うちは居酒屋じゃないから、お酒はそんなに出ない」

という店もあると思います。

でも、必ずしも居酒屋になる必要はありません。

例えば家族4人で来店したとします。

子どもは定食。

お父さんはビール。

お母さんは酎ハイ。

みんなで唐揚げやポテトをシェアする。

最後にデザート。

こういう使われ方ができれば、

店は定食屋でありながら、夜の客単価を作ることができます。

むしろ住宅地の店なら、

「家族でご飯も食べられて、大人はちょっと飲める」

というポジションは強い可能性があります。

居酒屋ほど酒中心ではない。

ファミレスほど画一的でもない。

定食だけでもない。

こういう使い方を作れるのも、小さな飲食店の面白さだと思います。


お酒の価格だけで勝負すると苦しくなる

夜が弱いと、

「生ビールを安くしよう」

「ハイボール半額にしよう」

と考えることがあります。

確かに、キャンペーンとして使うなら有効な場合もあります。

ただし、

安い酒だけを来店理由にすると、価格を戻した瞬間に来店理由も弱くなります。

だから私は、

安さだけではなく、

料理。

雰囲気。

飲み方。

セット。

イベント。

滞在時間。

こうしたものを組み合わせて、

「この店で飲むと楽しい」

を作った方が長く続くと思っています。


夜のメニュー表は「酒を飲みたくなる順番」になっているか

ここで一度、自分の店のメニューを見てみてください。

最初に定食が並んでいる。

次に丼。

次に麺。

最後の方にドリンク。

この並びなら、お客様はまず、

「何を食べよう」

と考えます。

一方で、

おすすめ小鉢。

本日の一品。

人気の焼き物。

生ビール。

ハイボール。

その後に定食や〆。

という見せ方なら、

「何を飲もう。何をつまもう」

という注文が生まれやすくなります。

同じ商品を置いていても、

見せる順番によって店の使われ方は変わります。

夜営業では、メニュー表そのものが接客スタッフのような役割を持っています。


「飲めます」ではなく「こう飲めます」を伝える

夜の集客でも同じです。

Instagramで、

「生ビールあります」

と投稿する。

LINEで、

「夜も営業しています」

と送る。

これだけでは、お客様が自分の利用シーンを想像しにくい。

それよりも、

「仕事帰りに、小鉢をつまみながら一杯。」

「家族の晩ご飯。お父さんは生ビール。」

「友人3人で料理をシェアしながら飲み放題。」

こうした具体的な場面を見せた方が、

「あ、それなら使えるな」

となります。

夜営業を強くするには、

商品を売るだけでは足りません。

利用シーンまで売る。

この考え方が重要です。

そして、お酒や料理を整えても、

「今日はあの店に行こう」

と思い出してもらえなければ来店にはつながりません。

そこで次に必要になるのが、

夜に店へ行く“きっかけ”を作ることです。

次章では、曜日イベントや限定商品などを使って、夜の来店理由をどう作るかを考えていきます。

第6章 夜営業は「今日行く理由」を作る

夜の商品を増やした。

小鉢も作った。

お酒も揃えた。

飲み放題も用意した。

それでも、夜のお客様が思ったほど増えないことがあります。

ここで考えたいのが、

「その店に今日行く理由はあるのか?」

ということです。

店側からすると、新しい商品を作れば来店してもらえるような気がします。

しかし、お客様にはたくさんの選択肢があります。

家で食べる。

スーパーで惣菜を買う。

コンビニで済ませる。

別の飲食店へ行く。

デリバリーを頼む。

そして外食すると決めても、周囲には多くの飲食店があります。

その中から自分の店を選んでもらうには、

「いつか行きたい店」から「今日行こうと思う店」になる必要があります。


「良い店」と「今日行く店」は少し違う

例えば、お客様があなたの店を気に入ってくれているとします。

料理も美味しい。

価格にも満足している。

接客も悪くない。

Googleの口コミ評価も高い。

それでも、毎週来てくれるとは限りません。

なぜでしょうか。

単純です。

他にも行きたい店があるからです。

焼肉も食べたい。

寿司も食べたい。

ラーメンも食べたい。

家でゆっくりしたい日もある。

つまり、

「好きな店であること」と「今日その店を選ぶこと」は別の問題です。

夜営業では、この差を埋める施策が必要になります。


夜の集客には「きっかけ」が必要になる

例えば水曜日。

仕事が終わった。

特に外食する予定はなかった。

そこでスマートフォンを見る。

「本日、夜限定○○やっています」

という情報が入ってくる。

すると、

「あ、今日そこ行こうかな」

が生まれる可能性があります。

この小さなきっかけが重要です。

例えば、

  • 曜日限定商品
  • 夜限定メニュー
  • 数量限定商品
  • 季節限定商品
  • ハッピーアワー
  • レディースデー
  • 飲み放題
  • 家族向け企画
  • 常連向け企画
  • 新商品の販売開始

こうした施策には共通点があります。

来店するタイミングを作れることです。


毎日同じ店は「いつでも行ける店」になる

これは飲食店の難しいところです。

毎日営業している。

毎日同じメニューがある。

毎日同じサービスをしている。

経営側からすると、

いつ来ても同じ品質を提供できる良い店

です。

しかし、お客様からすると、

「いつでも行ける」

になります。

「いつでも行ける」は、場合によっては、

「今日は行かなくてもいい」

になります。

明日でもいい。

来週でもいい。

また今度でいい。

そうして来店が先送りされていきます。

だから夜営業では、

時間に理由を持たせる

という考え方が有効になります。


曜日ごとに来店理由を作る

例えば、平日の夜が弱い店なら、

曜日ごとに小さな理由を作る方法があります。

月曜日はハンバーグの日。

水曜日は女性向けサービス。

木曜日はドリンク企画。

金曜日は夜限定メニュー。

こうした企画です。

ここで重要なのは、

大幅な値引きをすることではありません。

目的は、

「月曜日だから行こう」

「今日は水曜日だから行ってみよう」

という理由を作ることです。

例えば通常1,200円の商品を800円にする必要はありません。

限定ソースを用意する。

トッピングを付ける。

小鉢をサービスする。

限定サイズを作る。

普段と少し違う楽しみを作る。

これだけでも来店理由になります。


イベントは売上だけで評価しない

例えば、曜日イベントを実施したとします。

通常20人だった夜営業が25人になった。

「たった5人しか増えなかった」

と考えることもできます。

しかし、その5人が新規客だったらどうでしょうか。

LINEに登録してくれた。

次回は家族を連れて来てくれた。

その後、常連になった。

こうなれば、その日の売上だけでイベントの価値を判断することはできません。

夜のイベントには、

新しい利用体験を作る

という役割もあります。

「ランチしか行ったことがなかったけれど、イベントがあったから初めて夜に行った」

この一回来店が重要です。

一度夜を利用してもらえば、

お客様の中に、

「この店は夜にも使える」

という認識が生まれるからです。


ランチ客を夜へつなぐなら「次回来店の理由」を渡す

ランチが強い店なら、この仕組みは特に使いやすいと思います。

例えばランチで会計するときに、

「夜限定でこんな料理をやっています」

と伝える。

卓上POPで、

「17時からはこちら」

と夜メニューを見せる。

LINE登録後に、

夜限定商品の情報を届ける。

Instagramで、

昼とは違う夜の店内や料理を発信する。

重要なのは、

ランチのお客様が店内にいる間に、次の利用シーンを見せておくことです。

お客様が帰ってから、

「また来てください」

では弱い。

その場で、

「次はこれを食べに来たい」

を作る。

これができれば、ランチの客数そのものが夜営業の広告媒体になります。


LINEは「割引券配布装置」にしない

LINE公式アカウントを持っている飲食店も増えました。

登録者が1,000人。

3,000人。

5,000人。

1万人。

登録者が増えると、かなり強い集客装置になります。

ただし、

クーポン。

10%OFF。

100円引き。

ドリンク無料。

こればかりを配信していると、

「安いときに行く店」

として学習される可能性があります。

LINEの本当の強みは、

店を思い出してもらえることです。

例えば、

「今日から夜限定メニュー始めました」

「今週はこの料理がおすすめです」

「寒くなってきたので、もつ鍋始めます」

「本日17時から○○やります」

こうした情報を届ける。

すると、

店の存在を忘れていたお客様の頭の中に、もう一度店が出てきます。

夜営業では、この

「思い出してもらう」

という力が非常に重要です。


SNSも「料理紹介」だけでは弱い

InstagramやTikTokでも同じです。

料理の写真を投稿する。

もちろん大切です。

しかし、

「ハンバーグです」

「唐揚げです」

「新しい小鉢です」

だけでは、お客様にとって商品紹介で終わります。

そこに、

いつ、誰と、どう使うのか

を加える。

例えば、

「仕事帰りにちょっと一杯」

「家族の晩ご飯に」

「今日は料理を作りたくない日に」

「友人と3人でシェア」

「金曜日の夜は飲み放題で」

利用シーンまで発信する。

すると商品紹介が、

来店提案

に変わります。


「今日は料理したくない」も立派な来店理由

来店理由というと、大きなイベントを考える必要はありません。

夜のお客様の生活を考えてみると、

仕事で疲れた。

料理を作りたくない。

片付けもしたくない。

家族で何を食べるか決まらない。

ちょっと飲みたい。

誰かと話したい。

こうした小さな需要がたくさんあります。

だから発信も、

「当店自慢の○○」

ばかりでなく、

お客様の生活から考える

と面白くなります。

例えば、

「今日は晩ご飯作るのやめませんか?」

これも立派な夜の来店提案です。

商品から発信を考えるのではなく、

お客様が店を必要とする瞬間から考える。

この視点を持つと、夜営業の販促はかなり変わります。


夜営業は「思い出される回数」を増やす

飲食店は、お客様の頭の中にずっと存在しているわけではありません。

毎日仕事がある。

家族がいる。

買い物がある。

スマートフォンには大量の情報が流れてくる。

その中で、

夕方17時。

「今日何食べよう?」

となった瞬間に、

自分の店を思い出してもらえるか。

ここが重要です。

そのために、

限定商品。

曜日企画。

LINE。

Instagram。

店内POP。

季節商品。

イベント。

こうしたものを使う。

全部の目的は同じです。

「今日、あの店行こうか」

を作ることです。

夜が弱い店を改善するなら、

商品を作る。

客単価を設計する。

飲む理由を作る。

そして、

来店するタイミングを作る。

ここまで設計して、初めて夜営業の形が見えてきます。

ただし、もう一つ見落とされやすいものがあります。

料理でもありません。

価格でもありません。

広告でもありません。

店に入った瞬間に感じる「夜らしさ」です。

次章では、照明・音・メニュー・店内の見え方など、夜営業の「雰囲気」が売上に与える影響について考えていきます。

第7章 夜は「店の見え方」を変えないと売れない

ランチが終わる。

時間が17時になる。

外が暗くなる。

でも店内は昼とまったく同じ。

照明も同じ。

テーブルの上も同じ。

メニューも同じ。

BGMも同じ。

スタッフの動きも同じ。

これで営業時間だけを「ディナー」に変えても、お客様から見れば、

昼の店が、そのまま夜まで営業しているだけ

になっていることがあります。

夜営業を強くしたいなら、

商品や価格だけでなく、

「夜にこの店で過ごしたい」と思える見え方

も考える必要があります。


同じ料理でも「どこで食べるか」で価値は変わる

例えば、同じ1,500円の料理でも、

明るい蛍光灯の下で食べるのと、

少し落ち着いた照明の中で食べるのでは、感じ方が変わります。

これは料理の味が変わったわけではありません。

しかし、お客様が感じる価値は変わります。

飲食店では、

料理。

接客。

価格。

店内。

音。

照明。

匂い。

清潔感。

周囲のお客様。

こうしたものを全部合わせて、

「この店で食事をした体験」

になります。

特に夜は滞在時間が長くなりやすい。

だからランチ以上に、

店内でどう感じるか

が重要になってきます。


ランチで強い「明るさ」が夜では違って見えることもある

ランチでは、明るい店内は大きなメリットになります。

料理がよく見える。

清潔感がある。

入りやすい。

活気を感じる。

回転の良い店にも向いています。

しかし夜になると、同じ明るさが、

「落ち着かない」

「ゆっくり飲む感じではない」

「食べたらすぐ帰る店に見える」

という印象につながることもあります。

もちろん、暗くすればいいという話ではありません。

ファミリー中心なら、ある程度の明るさは必要です。

重要なのは、

自分の店が夜に誰を呼びたいのかに合わせることです。

家族で食事してほしいのか。

友人同士で飲んでほしいのか。

一人でゆっくり飲んでほしいのか。

カップルにも利用してほしいのか。

狙う利用シーンによって、適切な雰囲気は変わります。


夜の店内で「何を売りたいか」が見えているか

例えば、お客様が夜に入店しました。

席に座ります。

このとき、最初に何が目に入るでしょうか。

ランチメニュー。

定食。

ご飯おかわり自由。

おすすめランチ。

こればかりなら、お客様は自然と、

「ここは定食を食べる店なんだな」

と認識します。

一方で、

「夜限定おすすめ」

「まずはこの3品」

「生ビールと一緒に」

「本日の小鉢」

「人気の一品料理」

「2名様ならこちらがおすすめ」

こうしたものが見えれば、

店の使い方が変わります。

つまり店内POPは、

単なる商品の広告ではありません。

お客様に店の使い方を教えるもの

でもあるのです。


卓上には「次の注文」を作る役割がある

夜営業では、卓上の作り方も重要です。

例えばお客様が定食を注文した。

料理が来るまでテーブルを見る。

そこに、

「人気小鉢BEST5」

がある。

「夜限定」

がある。

「ちょい飲みセット」

がある。

「デザート」

がある。

すると、

「これも頼もうかな」

が生まれる可能性があります。

逆に卓上に何もなければ、お客様が追加商品を知る機会もありません。

スタッフが毎回、

「もう一品いかがですか?」

と営業する必要もありません。

店内そのものに販売してもらえばいいのです。

特に人手の少ない店ほど、こうした仕組みは重要になります。


メニュー表の一番いい場所を昼の商品が占領していないか

メニュー表も同じです。

例えば夜のお客様が最初に開いたページ。

そこに、

定食。

定食。

定食。

丼。

麺。

と並んでいる。

そして最後のページに、

小さく「一品料理」。

これでは、店側が一品料理を売りたいと思っていても、お客様には伝わりません。

売りたい商品ほど、

見つけてもらいやすい場所に置く。

これは基本です。

例えば夜なら、

おすすめ一品。

人気小鉢。

看板料理。

ドリンク。

シェア料理。

そして定食。

こういう順番も考えられます。

メニュー表を作るときは、

「商品を全部掲載する」

だけでなく、

どんな順番で注文してほしいか

まで設計した方がいいと思います。


BGMひとつでも滞在の感覚は変わる

BGMも意外と重要です。

昼はテンポの良い音楽。

夜は少し落ち着いた音楽。

これだけでも店内の印象は変わります。

音量も同じです。

静かすぎる店では、隣の会話が聞こえてしまって話しにくい。

反対に大きすぎれば、家族で会話しづらい。

料理とは直接関係ありません。

しかし、

「この店、居心地いいな」

には影響します。

夜営業は滞在時間が長いからこそ、こうした小さな要素の積み重ねが効いてきます。


店の外から見たときにも「夜営業」が伝わっているか

店内だけではありません。

夜、店の前を通ったとき。

何の店に見えるでしょうか。

ランチの定食写真。

「ランチ1,000円」

「ご飯おかわり自由」

こうした看板だけが出ていたら、

夜のお客様には、

「昼がメインの店」

に見える可能性があります。

夜なら、

夜限定メニュー。

一品料理。

お酒。

家族向け商品。

飲み放題。

宴会。

こうした情報を店外でも見せる。

特に通行客がいる立地では、

店の前を通った数秒で「夜にも使える店」と理解してもらえるか

は重要です。


GoogleやInstagramでも「昼の店」になっていないか

これは店内だけの話ではありません。

Googleマップを開く。

Instagramを見る。

そこに掲載されている写真が、

ランチ定食ばかり。

昼の店内ばかり。

一人前の料理ばかり。

そうなっていると、オンライン上でも、

「ランチのお店」

という印象が強くなります。

夜を伸ばしたいなら、

夜の料理。

家族で囲める料理。

小鉢。

お酒。

複数人で楽しんでいる様子。

夜の店内。

こうした写真も意識して増やす必要があります。

お客様は来店する前から、

店の使い方を写真で判断しています。

だから夜営業の改善は、店の中だけでは終わりません。


「夜も営業しています」ではなく「夜の店」を作る

ここまで考えると、

昼11時から夜22時まで営業している店でも、

実際には、

一つの店を11時間営業している

と考えるより、

昼の店と夜の店を、一つの物件で運営している

と考えた方が分かりやすいと思います。

厨房は同じ。

スタッフも同じ。

食材もできるだけ共通化する。

しかし、

売る商品。

見せ方。

客単価。

利用シーン。

店内POP。

メニュー。

発信。

これらは昼と夜で変える。

そうすれば、一つの物件から二つの売上を作ることができます。

ランチで成功している店なら、すでに料理やオペレーションに一定の強みがあります。

そこに、

夜の店としての顔を作る。

これが夜営業改善の一つの考え方です。

そして、ここまで改善しても忘れてはいけないことがあります。

夜営業は、毎日同じように売れるわけではありません。

月曜日と土曜日。

給料日前と給料日後。

夏と冬。

宴会シーズンと閑散期。

条件によって需要は大きく変わります。

だから次に必要なのは、

夜売上を一括りにせず、「いつ弱いのか」を数字で分解することです。

次章では、夜営業を曜日・時間帯・客層・客単価に分けて分析する方法を考えていきます。

第8章 「夜が弱い」では分析にならない。曜日・時間・客層に分解する

「うちの店、夜が弱いんです」

飲食店の経営者から相談を受けたとします。

私なら、ここでまず聞きたいことがあります。

「夜の、いつが弱いんですか?」

月曜日でしょうか。

金曜日でしょうか。

17時台でしょうか。

20時以降でしょうか。

平日でしょうか。

週末でしょうか。

そして、

誰が来ていないのでしょうか。

家族客なのか。

会社員なのか。

一人客なのか。

グループ客なのか。

ここを分けないまま、

「夜が弱い」

と考えても、改善策はなかなか見えてきません。


「夜売上」という数字だけでは何も分からない

例えば、ある店のディナー売上が月150万円だったとします。

この数字だけを見て、

「夜が弱い」

と判断しても、原因は分かりません。

月曜日から木曜日が弱くて、金土日はしっかり売れているのかもしれない。

18時までは暇だけれど、19時から満席になる店かもしれない。

客数は十分なのに、客単価が低いだけかもしれない。

反対に、客単価は高いけれど客数が少ないのかもしれない。

全部、打つべき施策が違います。

だから最初に、

夜売上を分解します。


まず曜日別に見る

最初に見たいのは曜日です。

例えば、こんな店があったとします。

曜日夜売上
35,000円
40,000円
38,000円
45,000円
90,000円
130,000円
110,000円

この店に対して、

「夜の集客を増やしましょう」

では、あまりにも大雑把です。

土日はすでに売れています。

金曜日も悪くありません。

問題は、

月曜日から木曜日です。

ならば、平日限定の商品や企画を考える。

LINE配信を平日に寄せる。

曜日イベントを作る。

平日限定のセットを作る。

こうやって施策を絞れます。


次に時間帯で分ける

さらに時間帯を見ます。

例えば、

時間帯客数
17〜18時4人
18〜19時8人
19〜20時18人
20〜21時15人
21〜22時5人

これなら、

「夜が弱い」

というより、

17時から19時までが弱い

と考えた方がいい。

すると施策も変わります。

17時から19時限定のセット。

早い時間だけのドリンク企画。

仕事帰り需要。

シニア層の早めの夕食。

子どものいる家族向けの早い時間の利用。

こうした仮説を立てることができます。


客数と客単価を必ず分ける

そして非常に重要なのが、

客数と客単価です。

例えば夜売上が5万円だったとします。

A店は、

50人 × 1,000円 = 50,000円。

B店は、

20人 × 2,500円 = 50,000円。

売上は同じです。

しかし、問題はまったく違います。

A店なら、

客数は来ている。客単価に改善余地がある。

B店なら、

客単価は取れている。客数を増やしたい。

A店に広告を大量投入しても、さらに忙しくなるだけかもしれません。

B店で客単価をさらに上げようとしても、売上への効果は限定的かもしれません。

だから、

売上だけを見て施策を決めない。

客数と客単価に必ず分解します。


「夜20人しか来ない」も、本当に少ないのか

ここも数字で考えたいところです。

例えば20席の店と、80席の店。

どちらも夜20人来店したとします。

意味はまったく違います。

さらに、

客単価1,200円の20人。

客単価3,000円の20人。

これも違います。

営業時間が3時間なのか、5時間なのかでも変わります。

つまり、

客数だけを見ても店の状態は判断できません。

席数。

営業時間。

客単価。

回転数。

人件費。

家賃。

これらを合わせて、

その店に必要な夜売上

を考える必要があります。


「何人来たら繁盛」ではなく「いくら必要なのか」から逆算する

私は、こちらから考えた方が分かりやすいと思っています。

例えば、

夜営業で月200万円必要だとします。

月25日営業なら、

1日8万円。

夜の目標客単価が2,000円なら、

40人。

2,500円なら、

32人。

3,000円なら、

約27人。

こうすると、

「夜は何人集めればいいのか」

が具体的になります。

ただ漠然と、

「満席にしたい」

と考える必要はありません。

店によっては、30人で十分利益が出るかもしれない。

それなら、

30人にしっかり価値を提供して、適正な客単価を取る店

を作ればいいわけです。


客層も分けて見る

次に見たいのが客層です。

例えば夜30組来ているとして、

一人客ばかりなのか。

二人客が多いのか。

家族が多いのか。

4人以上のグループが多いのか。

これによっても売上の作り方は変わります。

例えば一人客が多い店なら、

カウンター利用。

ちょい飲み。

一人用小鉢。

一人鍋。

定食+一杯。

こうした商品が強くなるかもしれません。

家族が多いなら、

シェア料理。

子ども向け商品。

大皿。

デザート。

ソフトドリンク。

家族セット。

こうしたものが重要になります。

グループが多いなら、

コース。

飲み放題。

予約。

宴会。

人数別セット。

こちらの方が売上を作りやすい。

つまり、

来ているお客様を観察すれば、伸ばすべき商品も見えてきます。


「来ている客」と「来てほしい客」を分ける

さらに一歩進めるなら、

現在来ているお客様と、

これから増やしたいお客様を分けます。

例えば現在は、

一人客60%。

二人客30%。

家族・グループ10%。

だったとします。

夜の客単価を上げたいなら、

家族やグループ客を増やしたいと考えるかもしれません。

ならば、

その人たちが来ない理由を探します。

子ども向け商品がない。

シェア料理が少ない。

席が使いにくい。

予約できることが伝わっていない。

駐車場情報が分かりにくい。

Googleの写真を見ると一人用定食ばかり。

こうした問題が見つかる可能性があります。

ここまで来ると、

「夜が弱い」

という曖昧な問題が、

「平日18〜20時の家族客が少ない」

という具体的な問題に変わります。

具体的になれば、施策を考えられます。


月別にも見る

夜営業には季節性もあります。

9月。

12月。

1月。

3月。

8月。

同じ店でも売れ方は変わります。

忘年会シーズン。

歓送迎会。

夏休み。

給料日前後。

大型連休。

気温。

天候。

こうした外部要因でも夜需要は動きます。

だから、

先月より売上が落ちた=店が悪くなった

とも限りません。

前年同月。

曜日構成。

客数。

客単価。

天候。

イベント。

こうした条件も合わせて見ます。


感覚ではなく数字で「弱い場所」を見つける

飲食店を毎日営業していると、感覚は非常に大切です。

「最近、夜暇やな」

「家族が減ったな」

「金曜日が弱くなったな」

こうした現場感覚から気づくことはたくさんあります。

ただ、その次に、

数字で確認する。

これが重要です。

本当に客数が減っているのか。

客単価が落ちているのか。

特定曜日だけなのか。

特定時間だけなのか。

特定客層だけなのか。

ここを数字で確認する。

すると、

やるべきことが小さくなります。

夜営業全体を立て直そうとすると大変です。

しかし、

「水曜日の17〜19時をあと5組増やす」

なら考えやすい。

「家族客の平均組数を1日2組増やす」

なら施策を作れます。

「一人客の客単価を300円上げる」

なら商品を考えられます。

経営改善とは、

大きな問題を、小さな問題に分解していく作業でもあります。


「夜が弱い」の中身を言葉にできれば改善は始まる

最終的には、

「夜が弱い」

ではなく、

例えば、

「月〜木曜日の18時台に客数が少ない」

「客数はあるが一人客中心で客単価が低い」

「土日は入るが平日の家族客が少ない」

「19時までは入るが20時以降に追加来店がない」

ここまで言える状態を作ります。

すると、

商品。

価格。

販促。

営業時間。

人員配置。

広告。

LINE。

イベント。

どこを触ればいいのかが見えてきます。

夜営業を改善するときに必要なのは、

「夜を強くする方法」を探すことではありません。

自分の店の、

「夜のどこが弱いのか」を特定することです。

原因が違えば、打ち手も変わります。

そして、この分析をしたあとに初めて、

「では、この店の夜営業をどんな店に作り直すのか」

という戦略を決めることができます。

次章では、ここまでの分析を使って、夜営業の改善をどんな順番で進めればいいのか、実際の組み立て方を整理していきます。

第9章 夜営業はこの順番で立て直す

ここまで、

ランチと夜では来店目的が違う。

夜には夜の商品が必要になる。

客数だけではなく客単価を見る。

飲む理由を作る。

今日行く理由を作る。

店の見え方を変える。

そして、曜日・時間帯・客層まで数字を分解する。

という話をしてきました。

では実際に、

ランチは入るのに夜が弱い店を立て直すなら、何から手をつければいいのか。

ここを整理してみます。

夜が暇だからといって、

新メニューを大量に作る。

Instagram広告を出す。

クーポンを配る。

飲み放題を始める。

イベントをする。

全部を同時に始める必要はありません。

むしろ順番を間違えると、

何が効いたのか分からなくなります。

私は、次の順番で考えます。


① まず「夜にいくら売りたいのか」を決める

最初に決めるのは集客方法ではありません。

目標売上です。

例えば、

現在の夜売上が月150万円。

これを200万円にしたい。

月25日営業なら、

現在は1日平均6万円。

目標は1日8万円。

つまり、

あと2万円です。

こうすると、問題の大きさが見えてきます。

「夜を繁盛させる」

では漠然としています。

しかし、

「夜売上を1日2万円増やす」

なら具体的です。


② 客数と客単価に分解する

次に、

その2万円をどう作るか考えます。

例えば現在、

夜客数30人。

客単価2,000円。

なら、

30人 × 2,000円=60,000円。

目標8万円を作る方法はいくつもあります。

40人 × 2,000円=80,000円。

32人 × 2,500円=80,000円。

30人 × 約2,670円=約80,000円。

つまり、

10人増やす方法もある。

2人増やして客単価を500円上げる方法もある。

客数を変えずに客単価を上げる方法もある。

ここで初めて、

自分の店は「集客」と「客単価」のどちらを優先すべきか

が見えてきます。


③ 一番弱い曜日・時間を特定する

次に、第8章で話した分析を使います。

例えば、

金土日は十分売れている。

問題は月曜日から木曜日。

さらに見ると、

19時以降はそれなりに入っている。

弱いのは17時から19時。

なら、

改善する場所は「平日17〜19時」

です。

これだけで施策はかなり絞れます。

ハッピーアワー。

早い時間限定セット。

家族向け早得。

仕事帰りのちょい飲み。

LINE配信時間。

スタッフ配置。

全部、

平日17〜19時をどう埋めるか

という一つの目的につなげられます。


④ 「誰を増やすのか」を決める

次に客層です。

夜客を増やすといっても、

誰でもいいわけではありません。

例えば住宅地の店なら、

家族客を増やしたい。

駅前なら、

仕事帰りの会社員を増やしたい。

一人客が多い店なら、

二人客を増やしたい。

宴会が取れる店なら、

4人以上のグループを増やしたい。

ここを決めます。

例えば、

「平日18〜20時の家族客を1日3組増やす」

ここまで決める。

すると必要なものが見えてきます。

子ども向け商品。

シェア料理。

家族セット。

ソフトドリンク。

デザート。

駐車場情報。

Googleの写真。

Instagramの投稿。

全部が同じ方向を向き始めます。


⑤ そのお客様が来る「理由」を一つ作る

ターゲットが決まったら、

次に来店理由を作ります。

例えば家族客なら、

「家族でいろいろ選べる夜ごはん」

でもいい。

会社員なら、

「仕事帰りのちょい飲みセット」

でもいい。

友人同士なら、

「料理+飲み放題」

でもいい。

重要なのは、

最初から10個作らないことです。

まず一つ。

「これなら夜に来る理由になるのではないか」

という仮説を作ります。

そして実際に販売します。


⑥ 客単価を上げる「もう一品」を作る

次に考えるのが、

来店したお客様からの売上です。

例えば、

夜30人。

客単価2,000円。

ここに平均300円追加できれば、

30人 × 300円=9,000円。

1日9,000円。

月25日なら、

225,000円。

新規客を一人も増やさなくても、月22万5,000円売上が増えます。

だから、

小鉢。

ドリンク。

デザート。

トッピング。

シェア料理。

セット。

こうした、

「もう一品」

を設計します。

これは非常に重要です。

集客だけに頼るより、現在来てくれているお客様の満足度と客単価を同時に上げられる可能性があるからです。


⑦ 店内で注文される仕組みを作る

商品を作ったら、次は売り方です。

良い商品を作っただけでは売れません。

メニューの最後に小さく載せる。

これでは気づかれないかもしれません。

だから、

卓上POP。

おすすめ欄。

写真。

ランキング。

スタッフの声掛け。

注文画面。

店内ポスター。

こうした場所で、

売りたい商品を見せる。

例えば、

「夜の人気小鉢BEST3」

とするだけでも、選びやすくなります。

夜営業では、

追加注文が自然に生まれる店内導線

を作ります。


⑧ ランチ客に夜の存在を伝える

ここまでできたら、

ようやくランチの強さを使います。

昼に毎日40人来る店なら、

月25日で、

約1,000人との接点があります。

これは大きい。

その1,000人に、

夜限定メニュー。

夜の小鉢。

飲み放題。

家族利用。

宴会。

夜イベント。

こうした情報を見てもらう。

卓上POPでもいい。

会計時でもいい。

LINEでもいい。

Instagramでもいい。

大切なのは、

「夜もやっています」ではなく「夜はこう使えます」

を伝えることです。


⑨ そのあとで広告を使う

私は、この順番が大切だと思っています。

夜が弱い。

だから広告。

これでは、店の中身が整っていない状態で人を集めることになります。

例えば広告を見て新規客が来た。

でも、

夜限定商品がない。

一品料理が弱い。

お酒が注文されない。

家族で使いにくい。

店内が昼のまま。

客単価も低い。

これでは、せっかく広告費を使って集めたお客様の価値を十分に活かせません。

まず、

夜の商品と利用シーンを作る。

そのあとで、

Google。

Instagram。

LINE。

広告。

こうした集客手段を使う。

この方が効率は良くなります。


⑩ 1か月後に必ず数字を見る

そして最後。

施策をやったら、

必ず数字を見ます。

例えば、

平日限定のちょい飲みセットを始めた。

すると見る数字は、

売れたセット数。

利用人数。

追加注文。

客単価。

対象時間の客数。

対象曜日の売上。

新規客。

再来店。

こうした数字です。

「なんとなく忙しくなった」

で終わらせない。

反対に、

「思ったほど売れなかった」

だけでも終わらせない。

何が動いたのかを見る。

例えばセットは売れなかった。

でも生ビール注文率が上がった。

客数は変わらなかった。

でも客単価が300円上がった。

新規客は少なかった。

でも既存客の夜利用が増えた。

こういうことがあります。

だから、

施策 → 数字 → 修正

を繰り返します。


夜営業改善は「大改造」ではない

夜が弱いと、

業態を変えないといけない。

メニューを全部変えないといけない。

大きな広告を打たないといけない。

そう考えてしまうことがあります。

でも実際には、

客単価を300円上げる。

平日3組増やす。

夜限定商品を一つ作る。

小鉢を一品追加してもらう。

ランチ客の1%を夜利用につなげる。

こうした小さな改善でも、積み重なると売上は大きく変わります。

例えば、

客単価+300円。

客数+5人。

現在30人、客単価2,000円の店なら、

改善前は、

30人 × 2,000円=60,000円。

改善後は、

35人 × 2,300円=80,500円。

1日、

+20,500円。

月25日なら、

+512,500円。

いきなり店を満席にしたわけではありません。

客数を5人増やし、

客単価を300円上げただけです。

それでも月商は50万円以上変わります。


夜を強くするとは、こういうこと

夜営業改善というと、

「夜を満席にする」

というイメージを持つかもしれません。

私は少し違うと思っています。

必要な売上を決める。

客数と客単価に分ける。

弱い曜日と時間を見つける。

増やしたい客層を決める。

来店理由を作る。

注文理由を作る。

昼のお客様にも夜の使い方を伝える。

そして数字を見る。

この一つひとつを組み合わせて、

自分の店に必要な夜売上を作る。

これが夜営業の立て直しです。

ランチがすでに入っている店なら、ゼロから店を作るわけではありません。

商品を知っているお客様がいる。

店を知っているお客様がいる。

厨房もある。

スタッフもいる。

すでに一定の集客力もある。

だからこそ、

ランチで作った強さを、どう夜の売上に変換するか。

ここを考える価値があります。

次章では最後に、この記事全体を整理しながら、

「ランチは入るのに夜が弱い店」が最初に確認すべきポイント

をチェックリストとしてまとめます。

第10章 ランチは入るのに夜が弱い店の改善チェックリスト

ここまで読んで、

「結局、自分の店はどこから見直せばいいのか」

と思った方もいると思います。

そこで最後に、

ランチは入るのに夜が弱い店が確認してほしいポイント

をまとめます。

すべてを一度に改善する必要はありません。

まず自分の店が、

どこまでできていて、どこが弱いのか。

そこを確認してみてください。


① ランチと夜の客数を分けて見ているか

まず基本です。

一日の客数ではなく、

ランチ客数とディナー客数を分けているか。

さらに、

曜日別。

時間帯別。

ここまで分けて見てください。

「夜が弱い」では改善できません。

何曜日の、何時が弱いのか。

ここまで言える状態を作ります。


② ランチと夜の客単価を分けているか

次に客単価です。

例えば、

ランチ1,200円。

夜1,400円。

だったとします。

この場合、

営業時間は夜になっていても、

売上構造はランチとほとんど変わっていない

可能性があります。

夜に必要な売上から逆算して、

現在の客単価で何人必要なのか。

その客数は現実的なのか。

必ず計算してみてください。


③ 夜に来てほしいお客様を決めているか

あなたの店は夜、

誰に来てほしい店でしょうか。

家族。

会社員。

一人客。

夫婦。

カップル。

友人同士。

宴会。

ここが曖昧だと、

商品も販促も曖昧になります。

まず、

夜の中心客を決める。

そこから商品を考えます。


④ 「夜にこの店へ来る理由」があるか

昼と同じ商品。

昼と同じ価格。

昼と同じ見せ方。

それだけで夜のお客様が動くとは限りません。

夜限定商品。

小鉢。

シェア料理。

飲み放題。

家族セット。

宴会コース。

曜日企画。

季節商品。

何でも構いません。

「夜ならこれがある」

と言えるものがあるか確認してください。


⑤ 「もう一品」が注文できるか

夜営業では、

一人のお客様にどれだけ店を楽しんでもらえるかが重要です。

定食だけで注文が終わっていないでしょうか。

小鉢。

おつまみ。

ドリンク。

デザート。

トッピング。

シェア料理。

〆。

こうした、

追加注文できる商品

が用意されているか確認します。


⑥ お酒を「置いているだけ」になっていないか

生ビール。

ハイボール。

酎ハイ。

焼酎。

置いているだけでは、お酒は動きません。

お酒と一緒に食べたくなる料理。

ちょい飲みセット。

飲み放題。

おすすめの組み合わせ。

こうした、

飲む理由

を作れているでしょうか。

「この店でも飲める」

から、

「この店で飲みたい」

へ変える必要があります。


⑦ メニュー表が夜仕様になっているか

夜のメニューを開いたとき、

最初に何が見えるでしょうか。

ランチと同じ定食でしょうか。

それとも、

夜限定。

おすすめ小鉢。

看板料理。

ドリンク。

シェア料理。

こうした商品でしょうか。

メニュー表は、

お客様の注文を作る設計図

でもあります。

夜に売りたい商品が、ちゃんと目に入る場所にあるか確認してください。


⑧ 卓上で追加注文を作れているか

お客様が料理を待っている時間。

食事をしている時間。

その間、卓上には何があるでしょうか。

何もない。

ランチの案内だけ。

これでは追加注文の機会を逃しているかもしれません。

人気小鉢BEST3。

夜限定。

おすすめドリンク。

デザート。

次回来店企画。

こうした情報を置けば、

スタッフが売り込まなくても注文が生まれる可能性があります。


⑨ 店内が「夜の店」に見えるか

照明。

BGM。

POP。

メニュー。

スタッフの声掛け。

店外看板。

夜になっても全部ランチと同じになっていないでしょうか。

暗くすればいいという話ではありません。

大切なのは、

夜に呼びたいお客様が過ごしやすい空間になっているか。

です。


⑩ GoogleやInstagramがランチ写真ばかりになっていないか

これは意外と見落とされます。

Googleマップ。

Instagram。

ホームページ。

掲載されている写真を確認してみてください。

定食。

丼。

ランチ。

一人前の商品。

こればかりなら、

お客様からは、

「ランチの店」

に見えている可能性があります。

夜を伸ばしたいなら、

夜の商品。

お酒。

小鉢。

家族利用。

複数人で楽しめる料理。

夜の店内。

こうした写真も必要です。


⑪ ランチ客に夜の使い方を伝えているか

ランチが強い店にとって、

ここは非常に重要です。

毎日40人来るなら、

月25日で約1,000人。

すでにこれだけの人と接点があります。

その人たちに、

夜の店の存在を伝えていますか。

「夜も営業しています」

だけではありません。

「夜は家族でこんな使い方ができます」

「夜限定でこれがあります」

「仕事帰りならこんなセットがあります」

「飲み放題があります」

具体的な使い方まで見せます。


⑫ 「今日行く理由」を作れているか

良い店でも、

思い出してもらえなければ来店されません。

曜日企画。

期間限定。

季節商品。

新商品。

イベント。

LINE。

Instagram。

こうしたものを使って、

「今日あの店に行こう」

と思うきっかけを作れているでしょうか。

いつでも同じ店だからこそ、

来店するタイミングを店側から提案することも必要です。


⑬ 広告を出す前に店内を整えているか

夜が弱い。

だからInstagram広告。

Google広告。

インフルエンサー。

もちろん集客手段として使えます。

ただ、その前に、

夜の商品。

客単価。

利用シーン。

店内導線。

追加注文。

夜の見え方。

ここまで整っているか確認します。

せっかく広告費を使って新規客を獲得するなら、

来店した一人のお客様から、次の来店までつながる店

にしておきたいところです。


⑭ 施策をやった後に数字を見ているか

新商品を出した。

イベントをした。

LINEを送った。

広告を出した。

そこで終わっていないでしょうか。

その後、

客数はどうなったのか。

客単価はどうなったのか。

対象商品は何個売れたのか。

追加注文は増えたのか。

新規客は増えたのか。

夜利用は増えたのか。

数字を確認します。

施策を打つことが経営ではありません。

結果を確認し、次の施策に反映するところまでが経営です。


あなたの店はいくつ当てはまりますか?

最後に、簡単にチェックしてみてください。

  • ランチと夜の客数を分けている
  • ランチと夜の客単価を分けている
  • 曜日別の夜売上を把握している
  • 時間帯別の夜客数を把握している
  • 夜に増やしたい客層を決めている
  • 夜限定商品がある
  • 追加注文される小鉢・一品料理がある
  • お酒を注文する理由がある
  • 夜用のメニュー構成になっている
  • 卓上で追加注文を作っている
  • 夜に合った店内の見せ方をしている
  • Google・SNSで夜利用を見せている
  • ランチ客に夜の利用方法を伝えている
  • 「今日行く理由」を定期的に作っている
  • 施策後の客数・客単価を検証している

全部できている必要はありません。

むしろ、この中から、

「ここ、全然できていないな」

という項目を一つ見つける。

そこから改善を始めればいいと思います。

ランチが入っている店には、すでに強みがあります。

料理を知っているお客様がいる。

店を知っているお客様がいる。

一定の来店動機も作れている。

だから夜営業を改善するときに考えたいのは、

ランチで作った強みを、どう夜の売上につなげるか。

そのために、

客数。

客単価。

商品。

利用シーン。

お酒。

店内。

販促。

数字。

一つずつ分解していく。

「夜が弱い」という大きな問題も、分解すれば改善できるポイントが見えてきます。

そして最後に、この記事全体を通して私が最も伝えたい、

ランチが強い店ほど夜営業を伸ばせる可能性がある理由

について、RBRとしての考えをまとめます。

最終章 ランチが入る店には、夜を伸ばせる土台がある

ここまで、

「ランチは入るのに、なぜ夜は弱いのか」

について考えてきました。

この記事を読んで、

夜限定メニューを作らないと。

お酒を強化しないと。

店内を変えないと。

イベントをやらないと。

そう感じた方もいるかもしれません。

しかし、私が一番伝えたいのはそこではありません。

ランチがすでに入っている店なら、

その店には、すでにお客様から選ばれている理由があります。

これは大きな強みです。


ランチが入っているという事実を、もっと評価していい

毎日30人。

40人。

50人。

ランチにお客様が来てくれる。

飲食店を経営していると、それが日常になってしまいます。

しかし考えてみれば、

数ある飲食店の中から、自分の店を選んでもらっているわけです。

料理なのかもしれない。

価格なのかもしれない。

ボリュームなのかもしれない。

立地なのかもしれない。

接客なのかもしれない。

理由はいくつかあるでしょう。

少なくとも、

「一度この店に入ってみよう」

と思わせる力は持っています。

夜が弱いからといって、店全体の魅力まで否定する必要はありません。

まず、

昼はなぜ選ばれているのか。

ここを正確に理解することが、夜営業改善の出発点になります。


問題は「昼の強さ」を夜の価値に変換できているか

例えば、

ランチの強みがボリュームだったとします。

その強みを夜なら、

家族でシェアできる大皿料理に変えられるかもしれません。

人気のハンバーグがあるなら、

夜は鉄板料理やシェア商品として見せられるかもしれません。

ランチで接客を評価されているなら、

夜はゆっくり過ごせる店として強みになるかもしれません。

ランチ客が多いなら、

そのお客様に夜限定商品の存在を知ってもらうこともできます。

つまり、

昼と夜を完全に切り離す必要もありません。

昼で作った強みを、

夜のお客様が求める価値に変換する。

この発想が重要です。


「夜が弱いから集客する」では問題が見えない

夜が暇になる。

席が空いている。

すると、どうしても、

「広告を出そう」

「SNSを頑張ろう」

「クーポンを配ろう」

と考えたくなります。

でもこの記事で見てきたように、

夜売上が弱い理由は一つではありません。

客数が少ない。

客単価が低い。

夜の商品が弱い。

飲む理由がない。

家族で使いにくい。

夜の見え方になっていない。

ランチ客に夜の使い方が伝わっていない。

特定の曜日だけ弱い。

特定の時間帯だけ弱い。

さまざまな原因があります。

だから最初にやるべきことは、

自分の店の夜営業を分解することです。


売上は「結果」であって、原因ではない

これは夜営業に限った話ではありません。

「売上が悪い」

というのは結果です。

その中には、

客数。

客単価。

新規客。

リピーター。

商品構成。

注文点数。

時間帯。

曜日。

客層。

さまざまな数字があります。

だから、

売上が悪いから売上を上げる

では、具体的な施策になりません。

例えば、

「月曜日から木曜日の18時台に家族客が少ない」

ここまで分かれば、施策を考えられます。

「夜の客数は悪くないが、定食だけで帰るお客様が多く客単価が低い」

これも施策を考えられます。

問題を具体的にする。

数字にする。

小さくする。

そうすれば、

経営者が手を付けられる問題に変わります。


夜営業を満席にすることが目的ではない

私は、飲食店経営で、

満席=成功

とは考えていません。

例えば、

80人来店して8万円売る店。

40人来店して10万円売る店。

どちらが良いかは、客数だけでは判断できません。

人件費。

原価。

席数。

回転数。

営業時間。

家賃。

オペレーション。

すべて違うからです。

だから夜営業でも、

「もっとお客様を増やそう」

だけではなく、

自分の店はいくら売れば利益が残るのか。

ここから考えるべきです。

必要な売上を決める。

必要な客単価を決める。

必要な客数を決める。

その数字を作るための商品と集客を考える。

私は、この順番の方が飲食店経営は分かりやすくなると思っています。


5人増えて、300円上がれば店は変わる

第9章でも計算しました。

例えば現在、

夜30人。

客単価2,000円。

売上6万円。

ここから、

客数を5人増やす。

客単価を300円上げる。

すると、

35人 × 2,300円。

80,500円です。

一日で20,500円増えます。

25日営業なら、

月512,500円。

月50万円以上です。

夜を満席にしたわけではありません。

客数を5人増やした。

一人のお客様に、あと300円楽しんでもらった。

それだけです。

私は飲食店の改善とは、こういうものだと思っています。

いきなり売上を倍にする方法を探すより、

あと5人。

あと300円。

この小さな数字をどう作るか考える。

その方が、現場で実行できます。


ランチが入っているなら、ゼロからのスタートではない

ここがこの記事で一番重要なところです。

ランチが入るのに夜が弱い。

経営者からすると、

「夜が全然ダメだ」

と感じるかもしれません。

でも、私は少し違う見方をします。

昼に40人来ているなら、

毎日40人に店を知ってもらえている。

月25日なら、

約1,000人です。

その中には、

家族を持つ人もいる。

お酒を飲む人もいる。

友人と外食する人もいる。

会社の宴会を探す人もいる。

休日に外食する人もいる。

つまり、

すでに夜のお客様になる可能性のある人と、毎日接点を持っています。

これは非常に大きい。

だから、

「夜も来てください」

では終わらせない。

昼に来たお客様に、

夜ならどんな使い方ができるのか

を見せていく。


昼で知ってもらい、夜で店の価値を広げる

ランチでは、

早い。

美味しい。

ボリュームがある。

価格が分かりやすい。

こうした価値で選ばれる。

そして夜には、

家族で楽しめる。

一杯飲める。

小鉢を選べる。

友人と過ごせる。

ゆっくりできる。

昼とは違う料理がある。

別の価値を作る。

すると一人のお客様にとって、

「ランチを食べる店」

だった場所が、

「いろいろな場面で使える店」

に変わります。

私は、この変化が非常に重要だと思っています。

利用シーンが増えれば、

来店機会も増えるからです。


RBRとして考える「夜営業の立て直し」

ランチは入るのに夜が弱い。

そんな店を見たとき、

私ならまず、

夜の商品を全部変えることからは始めません。

広告を増やすことからも始めません。

まず数字を見ます。

何曜日が弱いのか。

何時が弱いのか。

何人来ているのか。

客単価はいくらなのか。

誰が来ているのか。

何を注文しているのか。

そこから、

どこを少し動かせば売上が変わるのか

を探します。

そして、

夜に来る理由を一つ作る。

もう一品注文する理由を一つ作る。

ランチ客が夜を知る導線を一つ作る。

まずはそこから始めます。

その結果を数字で見る。

良ければ伸ばす。

弱ければ変える。

この繰り返しです。


まとめ 夜が弱い店は、まだ伸ばせる場所が残っている

ランチが繁盛している。

でも夜は弱い。

私はそれを、

店が弱い状態だとは思いません。

むしろ、

一つの物件の中に、まだ使い切れていない売上が残っている状態

だと考えます。

厨房はすでにある。

家賃も払っている。

設備もある。

商品もある。

スタッフもいる。

そして何より、

昼にはお客様が来ている。

ならば次に考えるのは、

その経営資源を使って、夜にどんな価値を作れるか。

夜限定の商品を一つ作る。

小鉢を一つ増やす。

ドリンクを一杯追加してもらう。

家族客を一組増やす。

平日の弱い時間を一組ずつ埋める。

ランチ客に夜の使い方を一つ伝える。

そうした小さな改善を数字で積み重ねる。

その先に、

夜の売上があります。

ランチは入るのに夜が弱い。

もし今そう感じているなら、

「夜のお客様が来ない」

だけで考えるのではなく、

なぜ昼は来てくれて、なぜ夜には選ばれていないのか。

一度、そこまで分解してみてください。

答えは意外と、

すでに自分の店の中にあるかもしれません。

この記事を書いた人 Wrote this article

新田 敏之

新田 敏之 RBR合同会社 統括 / 男性

RBR(Restaurant Business Reform)代表。 鉄板焼きの現場で25年。 これまで数多くの飲食店の立て直しを中心とした経営改善に携わり、売上改善、商品開発、人材育成、オペレーション構築、デリバリー事業の立ち上げなど、現場に入りながら支援を行ってきました。 現在は「ガブ飲み食堂」を運営しながら、主力商品の開発・ソースや商品の卸事業、デリバリーFC事業の展開、そして飲食店の経営改善支援を行っています。 このブログで発信するのは、机上の理論ではありません。 すべて現場で試し、失敗し、改善を繰り返してきた実践知です。 料理だけでは、お店は続きません。 利益が残る仕組み、人が育つ環境、お客様に選ばれ続ける理由。 私は、その「経営」を一人でも多くの飲食人に届けたいと考えています。 飲食店を増やしたいわけではありません。 利益が残る飲食店を、一店舗でも増やしたい。 その想いを胸に、今日も現場で挑戦を続けています。