
1.月商500万円を超えられない店には共通点がある

「料理には自信がある」
「価格も決して高くない」
「接客も、そこまで悪くないと思う」
それでも、なぜか売上が伸びない。
月商300万円前後まではいく。
繁忙月には400万円を超えることもある。
しかし、そこから先がなかなか見えてこない。
月商500万円を一度超えても、翌月にはまた元に戻ってしまう。
このような飲食店は、決して珍しくありません。
経営者本人も現場に立ち、朝から仕込みをし、営業時間中は調理や接客に追われ、営業後には片付けや発注までこなしている。
決して遊んでいるわけではありません。
むしろ、誰よりも働いています。
それなのに、売上も利益も思うように増えない。
ここで多くの経営者は、さらに料理を改善しようとします。
新しいメニューを考える。
食材の質を上げる。
盛り付けを変える。
値段を下げる。
ボリュームを増やす。
もちろん、料理の改善は必要です。
飲食店である以上、料理が弱ければ長く支持されることはありません。
しかし、月商500万円を超えられない原因が、料理だけにあるとは限りません。
むしろ、料理以外の部分に複数の弱点を抱えている店の方が多いと感じています。
「美味しいのに売れない」は本当に起こる
飲食店経営者の中には、
美味しい料理を出していれば、いつかお客様が気づいてくれる
そう考えている人も少なくありません。
しかし、現実はそれほど単純ではありません。
どれだけ料理が美味しくても、店の存在を知られていなければ来店されません。
店の前を通っても、何の店なのか分からなければ入りません。
Googleマップで検索されても、写真が古く、営業時間も間違っていれば選ばれません。
Instagramを見ても、料理の魅力や店の雰囲気が伝わらなければ、来店する理由にはなりません。
せっかく来店しても、店内が汚れていたり、スタッフの印象が悪かったりすれば、次の来店にはつながりません。
つまり、料理が良いことと、売上が伸びることは同じではないのです。
美味しい料理は、繁盛するために必要な条件の一つです。
しかし、それだけで繁盛が約束されるわけではありません。
「悪くない店」が選ばれるとは限らない
月商500万円を超えられない店の経営者と話をすると、
「料理は悪くない」
「接客も普通」
「店内もそこまで汚くない」
「価格も周りより安い」
という言葉をよく聞きます。
ただ、お客様は「悪くない店」を探しているわけではありません。
数ある店の中から、
「今日はこの店に行こう」
と思える理由を探しています。
料理が悪くない。
接客も普通。
値段も普通。
雰囲気も普通。
それぞれに大きな欠点がなくても、選ばれる理由がなければ来店にはつながりません。
特に今は、来店前に多くの情報を比較される時代です。
Instagramの投稿。
Googleの口コミ。
食べログの写真。
ホームページの情報。
デリバリー画面の商品。
店頭の看板。
駐車場の入りやすさ。
お客様は、これらを意識的、あるいは無意識に見ています。
その中で少しでも魅力が伝わる店、安心して入れそうな店、自分の目的に合いそうな店を選びます。
だから、「うちは悪くない」という評価だけでは弱いのです。
経営者が見るべきなのは、
うちの店は、お客様から選ばれる状態になっているか
という点です。
繁盛店は、料理だけで繁盛しているわけではない
一方で、料理が圧倒的に優れているようには見えなくても、安定して売上を作っている店があります。
こうした店を見ると、
「なぜ、あの店が流行っているのか」
と思う経営者もいるでしょう。
しかし、店全体をよく見ると、繁盛している理由が見えてきます。
外観を見ただけで何の店か分かる。
入口が明るく、入りやすい。
駐車場の案内が分かりやすい。
メニューの特徴が一目で伝わる。
価格とボリュームのバランスが分かりやすい。
店内が清潔に保たれている。
スタッフの案内が安定している。
料理の提供時間に大きなばらつきがない。
Googleや食べログの情報が整備されている。
定期的に広告や情報発信を行っている。
一つひとつは、特別なことではありません。
しかし、これらを当たり前のように積み重ねています。
料理だけが突出しているのではなく、店全体の完成度が高い。
だから、お客様は大きな不安や不満を感じることなく利用できます。
そして、再来店につながります。
繁盛店は、何か一つの必殺技で売れているのではありません。
小さな当たり前を、何十個も積み重ねて売上を作っています。
月商500万円の壁は、総合力の壁である
月商500万円を超えるには、ある程度の客数と客単価が必要です。
例えば、月30日営業で月商500万円なら、1日平均で約16万7,000円の売上が必要です。
月26日営業であれば、1日平均は約19万2,000円です。
一部の週末だけ売れても届きません。
平日も含めて、一定の売上を積み重ねる必要があります。
そのためには、新規客だけでは足りません。
リピーターも必要です。
ランチだけでも難しい。
夜の利用も必要になります。
店内売上だけで足りない場合は、宴会、テイクアウト、デリバリーなど、別の売上経路も考えなければなりません。
つまり、月商500万円は料理一品の力だけで超える数字ではありません。
商品力。
価格設計。
集客。
再来店。
接客。
オペレーション。
人員配置。
広告。
立地への対応。
これらがある程度つながって、初めて安定して超えられる数字です。
売上が月商300万円から400万円の段階では、経営者本人の頑張りだけで何とかなることがあります。
自分が料理を作る。
自分が接客する。
自分がクレームに対応する。
自分がSNSを更新する。
自分が仕入れを調整する。
しかし、売上規模が大きくなるほど、経営者一人の能力だけでは回らなくなります。
誰が働いても、一定の品質を出せる仕組みが必要です。
どの時間帯に人を配置するか。
どの商品を売るか。
どの媒体からお客様を集めるか。
来店したお客様をどう再来店につなげるか。
こうした判断を、店全体で考えなければなりません。
料理屋として経営するか、会社として経営するか
月商500万円を超えられない店と、安定して超える店の違いは、
飲食店を「料理屋」として経営しているか、「会社」として経営しているか。
ここにあります。
料理屋として考えると、経営の中心は料理になります。
もっと美味しいものを作る。
もっと量を増やす。
もっと安く提供する。
もちろん、それも大切です。
しかし、会社として考えるなら、見る範囲はもっと広くなります。
どの商品が売上を作っているのか。
どの商品が利益を残しているのか。
どの時間帯に売上が弱いのか。
どの広告からお客様が来ているのか。
なぜ一度来たお客様が戻ってこないのか。
スタッフごとに接客品質が変わっていないか。
店の外から見たとき、魅力が伝わっているか。
ネット上の情報が正しく整備されているか。
料理だけではなく、店を構成するすべてを見る。
それが経営です。
料理人として優秀であることと、経営者として優秀であることは別です。
料理人は、一皿の完成度を高めます。
経営者は、店全体の完成度を高めます。
月商500万円を超えられない店は、経営者が料理人や現場責任者の仕事に追われ、店全体を見る時間を失っていることが少なくありません。
毎日忙しく働いている。
しかし、経営をする時間がない。
この状態から抜け出さない限り、売上は経営者本人の体力に左右され続けます。
必要なのは、さらに長く働くことではありません。
店全体を俯瞰し、
何が足りないのか。
どこでお客様を失っているのか。
どこを直せば、他の項目まで良くなるのか。
それを考えることです。
月商500万円を超えるために、特別な裏技が必要なわけではありません。
料理だけを見るのをやめ、飲食店経営を構成するすべての要素を見る。
まずはそこから、真っ当な経営が始まります。
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この記事を書いた人 Wrote this article
新田 敏之 RBR合同会社 統括 / 男性
RBR(Restaurant Business Reform)代表。 鉄板焼きの現場で25年。 これまで数多くの飲食店の立て直しを中心とした経営改善に携わり、売上改善、商品開発、人材育成、オペレーション構築、デリバリー事業の立ち上げなど、現場に入りながら支援を行ってきました。 現在は「ガブ飲み食堂」を運営しながら、主力商品の開発・ソースや商品の卸事業、デリバリーFC事業の展開、そして飲食店の経営改善支援を行っています。 このブログで発信するのは、机上の理論ではありません。 すべて現場で試し、失敗し、改善を繰り返してきた実践知です。 料理だけでは、お店は続きません。 利益が残る仕組み、人が育つ環境、お客様に選ばれ続ける理由。 私は、その「経営」を一人でも多くの飲食人に届けたいと考えています。 飲食店を増やしたいわけではありません。 利益が残る飲食店を、一店舗でも増やしたい。 その想いを胸に、今日も現場で挑戦を続けています。