
1.繁盛店の店長は何が違うのか

「あの店は、いつ行っても流行っている。」
そんな繁盛店には、一つの共通点があります。
料理が特別おいしいからでしょうか。
立地が良いからでしょうか。
価格が安いからでしょうか。
もちろん、それらも理由の一つです。
しかし、私は現場を見ていて、それ以上に大きな違いがあると感じています。
それは、店長の動き方です。
繁盛店の店長は、とにかく忙しく動いています。
厨房を確認する。
ホールを回る。
料理の提供状況を見る。
スタッフへ指示を出す。
レジ対応をする。
洗い場が詰まれば手伝う。
一日中、休む暇などありません。
ですが、その忙しい中でも、不思議なことがあります。
必ずお客様と話しているのです。
「今日はいつものですね。」
「お待たせして申し訳ありません。」
「この前おすすめした料理はいかがでしたか?」
「お子さん、大きくなりましたね。」
ほんの数十秒。
長く話しているわけではありません。
それでも、お客様は笑顔になり、その店で過ごす時間を楽しんでいます。
一方で、繁盛していない店を見ると、店長も同じように忙しく働いています。
料理を作る。
片付ける。
仕込みをする。
電話に出る。
発注をする。
しかし、お客様と会話する姿をほとんど見かけません。
目の前の作業に追われ、気づけば営業が終わっている。
その繰り返しです。
つまり、忙しさは同じなのです。
違うのは、忙しい中で何を優先しているか。
繁盛店の店長は、料理を運ぶことだけが仕事だとは考えていません。
店を回すことだけが仕事だとも考えていません。
お客様との関係を築くことも、自分の仕事だと理解しています。
だから、どれだけ忙しくても、お客様へ一言声をかけます。
その一言が、お客様にとっては「この店だから来たい」という理由になっていくのです。
私は長年、飲食店を経営し、多くの店舗を見てきました。
その中で確信していることがあります。
繁盛店をつくっているのは、料理だけではありません。
最新の設備でもありません。
店長がお客様と交わす、たった数十秒の会話が、お店の未来を少しずつ変えていくのです。
だから私は、繁盛店の店長に必要な能力は、接客技術でも、調理技術でも、マネジメント能力だけでもないと考えています。
もっと本質的な、一つの能力があります。
その能力こそが、お客様を常連へ変え、スタッフを育て、店を成長させ続ける原動力になるのです。
2.店長の仕事は「管理」だと思われている

「店長の仕事は何ですか?」
そう聞かれると、多くの人はこう答えるでしょう。
シフトを作ること。
食材を発注すること。
売上を管理すること。
スタッフを教育すること。
クレームに対応すること。
どれも間違いではありません。
むしろ、店長として欠かすことのできない大切な仕事です。
シフトが崩れれば、お店は回りません。
発注を間違えれば、料理は提供できません。
数字を見なければ、利益は残りません。
教育を怠れば、サービスの質は下がります。
クレームから目を背ければ、お客様の信頼は失われます。
つまり、管理業務は店を営業するための土台です。
しかし、ここで一つ考えてほしいことがあります。
もし店長の仕事が管理だけなら、
管理を完璧にこなしている店は、すべて繁盛店になっているはずです。
ですが、現実はそうではありません。
シフトもきれいに組まれている。
原価も人件費も管理されている。
スタッフ教育も行われている。
それでも、お客様が増えない店はたくさんあります。
なぜでしょうか。
それは、管理は「現状を維持する仕事」であって、「繁盛を生み出す仕事」ではないからです。
管理だけでは、お客様は感動しません。
管理だけでは、「また来たい」という理由は生まれません。
管理だけでは、お店のファンは増えないのです。
もちろん、管理は必要です。
しかし、それだけでは足りません。
繁盛店の店長は、管理をする人ではありません。
管理を土台にしながら、お客様との関係を育て、スタッフのやる気を引き出し、お店の価値を高め続ける人です。
つまり、店長の本当の仕事は、「店を管理すること」ではなく、「店を成長させること」。
この違いを理解した瞬間から、店長という仕事の見え方は大きく変わっていくのです。
3.繁盛店の店長は、お客様を見ている

私はこれまで、自分の店だけではなく、多くの飲食店を見てきました。
その中で、「この店は強い」と感じる店には、ある共通点があります。
それは、店長の視線です。
繁盛店の店長は、厨房ばかり見ていません。
パソコンの数字ばかり見ていません。
スタッフの動きばかり見ているわけでもありません。
一番見ているのは、お客様です。
料理が運ばれた瞬間の表情。
食べるスピード。
グラスが空いていないか。
困っている様子はないか。
子どもが退屈していないか。
「何かできることはないか。」
そんなことを常に考えながら店内を歩いています。
そして、時間を見つけては必ず席へ向かいます。
「今日はありがとうございます。」
「いつも来てくださって本当に嬉しいです。」
「この前おすすめした料理、どうでした?」
「お仕事帰りですか?」
会話の内容は、決して特別なものではありません。
世間話。
天気の話。
仕事の話。
家族の話。
たった数十秒の雑談です。
しかし、この雑談こそが、お店の価値を大きく変えていくのです。
人は、料理だけを食べに来ているわけではありません。
「自分のことを覚えてくれている。」
「歓迎されている。」
「ここに来ると居心地がいい。」
そんな感情を味わうためにも、お店へ足を運びます。
だから繁盛店の店長は、お客様の名前を覚えます。
いつもの注文を覚えます。
前回話した内容を覚えます。
「息子さん、受験どうでした?」
「この前旅行に行くって言ってましたよね。」
そんな一言をかけられたお客様は驚きます。
そして、「この店は自分を大切にしてくれる」と感じるのです。
もちろん、一日で全員の名前を覚えることはできません。
ですが、覚えようとする姿勢は必ず伝わります。
その積み重ねが、お客様との距離を縮め、やがて常連を生み出していきます。
私は、雑談は仕事ではないという考え方が好きではありません。
むしろ、店長にとって雑談こそが最も利益を生む仕事の一つだと考えています。
なぜなら、その数十秒の会話は広告では作れません。
値引きでも作れません。
最新の設備でも作れません。
人と人だからこそ生まれる価値だからです。
繁盛店の店長は、その価値をよく知っています。
だから今日も忙しい中で手を止め、お客様の席へ向かい、笑顔で話しかけるのです。
その何気ない会話が、お客様を「一度来た人」から「何度も帰ってくる人」へ変えていくことを知っているからです。
4.なぜ雑談が売上になるのか

「店長がお客様と話している暇があるなら、もっと仕事をした方がいい。」
そう思う人もいるかもしれません。
ですが、私は逆だと考えています。
その雑談こそが、店長の最も重要な仕事なのです。
なぜなら、雑談は売上につながるからです。
もちろん、その場で商品が一品多く売れるという話ではありません。
もっと長い時間軸で考える必要があります。
店長と少し会話をする。
「今日もありがとうございます。」
「いつも来てくださって嬉しいです。」
「最近お仕事はどうですか?」
たったそれだけです。
しかし、その一言でお客様は安心します。
「この店は自分を覚えてくれている。」
「歓迎されている。」
「ここなら気持ちよく食事ができる。」
そんな安心感が生まれます。
安心できる店には、また行きたくなります。
一度だけのお客様が、
二度目のお客様になる。
二度目のお客様が、
三度、四度と足を運ぶようになる。
やがて、「いつもの店」になります。
つまり、常連です。
そして常連になると、不思議な変化が起こります。
友人を連れてきます。
家族を連れてきます。
会社の同僚を誘います。
「いい店があるんだ。」
そう言って、自分からお店を紹介してくれるようになるのです。
広告費は一円もかかっていません。
値引きもしていません。
それでも、お客様がお客様を呼んできてくれる。
これが、本当に強いお店の姿です。
だから私は、店長は商品だけを売っているのではないと思っています。
店長が作っているのは、商品ではありません。
お客様との関係性です。
料理は、食べれば終わります。
しかし、関係性は積み重なります。
一回目の会話。
二回目の会話。
三回目の笑顔。
その積み重ねが、「この店だから来たい」という理由になっていくのです。
飲食店は、料理を提供する仕事だと思われています。
もちろん、それは間違いではありません。
しかし、繁盛店は料理だけで繁盛しているわけではありません。
お客様との関係を育てているから、繁盛しているのです。
だから繁盛店の店長は、今日も忙しい中でお客様に話しかけます。
あの数十秒の雑談が、未来の売上を生み出していることを知っているからです。
5.機械にはできない仕事

これから飲食店は、さらに便利になっていきます。
セルフレジ。
モバイルオーダー。
AIによる需要予測。
自動発注。
配膳ロボット。
どれも素晴らしい技術です。
人手不足が続く飲食業界にとって、これらは間違いなく大きな助けになります。
私自身も、便利な仕組みは積極的に取り入れるべきだと考えています。
ですが、便利になるほど、逆に価値が高まるものがあります。
それが、人と人とのコミュニケーションです。
セルフレジは、お会計を早くできます。
モバイルオーダーは、注文ミスを減らせます。
AIは、売上を予測できます。
ロボットは、料理を運べます。
しかし、
「今日はいつものですね。」
この一言は言えません。
「この前のお孫さん、元気ですか?」
「今日はお一人なんですね。」
「いつもありがとうございます。」
そんな何気ない会話は、機械にはできないのです。
仮にAIが過去の注文履歴を分析し、「おすすめ商品はこちらです」と表示できる時代になったとしても、お客様が感じるものは利便性です。
そこに、人の温もりはありません。
一方で、店長が笑顔で、
「今日はいつものハンバーグで大丈夫ですか?」
と声をかける。
その瞬間、お客様は料理を注文しているのではありません。
自分を覚えてくれている喜びを感じています。
この違いは、とても大きいのです。
飲食店が提供しているのは、料理だけではありません。
安心。
居心地。
信頼。
そして、「また会いに来たい」と思える関係です。
これらは、どれだけ技術が進歩しても、人にしか作れません。
だから私は、これからの店長に求められるのは、機械と競争することではないと思っています。
機械が得意な仕事は、機械に任せればいい。
注文。
会計。
集計。
分析。
そうした仕事を任せて生まれた時間を、お客様との会話に使う。
その時間こそが、お店の未来を作ります。
これからの時代、料理だけでは差がつきにくくなります。
便利さだけでも差がつきません。
最後に選ばれる店は、
「人がいるから行きたい。」
そう思ってもらえる店です。
そして、その空気を作る中心にいるのが店長なのです。
6.店長に一番必要な能力

店長に必要な能力は何か。
そう聞かれると、多くの人はリーダーシップと答えるかもしれません。
スタッフをまとめる力。
的確な指示を出す力。
厳しい状況でも先頭に立つ力。
もちろん、どれも大切です。
数字を見る力も必要です。
売上を把握する。
原価を管理する。
人件費を調整する。
利益を残す。
店長が数字を理解していなければ、どれだけ忙しい店でも経営は安定しません。
調理技術や接客技術も必要です。
トラブルへの対応力も、スタッフを教育する力も欠かせません。
しかし、私はそれらが、店長に一番必要な能力だとは考えていません。
店長に一番必要なのは、
お客様との関係を育てる能力です。
これは、単に愛想よく接客するという意味ではありません。
決められた言葉で挨拶をすることでもありません。
お客様を一人の人として見て、その人との関係を少しずつ積み重ねていく力です。
初めて来店したお客様には、不安なく過ごしてもらう。
二度目に来店したお客様には、前回より少し近い距離で話しかける。
何度も来てくださるお客様には、名前や好みを覚え、感謝を言葉にする。
そうして、一度の来店を次の来店へつなげていきます。
関係を育てるために、特別な話術は必要ありません。
話が面白くなくても構いません。
大切なのは、お客様に興味を持つことです。
何を注文されたのか。
誰と来店されたのか。
何を楽しみにしているのか。
今日はどのような様子なのか。
店長がお客様を見ていなければ、関係は始まりません。
そして、関係は一度の会話では完成しません。
最初は、ただの挨拶かもしれません。
次は、料理の感想を聞く。
その次は、前回の会話に触れる。
こうした小さな積み重ねによって、お客様の中に安心感が生まれます。
「この店は、自分を覚えてくれている。」
「この店では、自分は単なる客として扱われていない。」
そう感じたとき、お客様にとってその店は、数ある飲食店の一つではなくなります。
自分の居場所になります。
もちろん、店長一人ですべてのお客様と深い関係を作ることはできません。
だからこそ、店長自身がお客様との関わり方をスタッフに見せる必要があります。
店長がお客様の名前を呼ぶ。
店長がお客様の話を聞く。
店長が常連のお客様だけでなく、初めてのお客様にも気を配る。
その姿をスタッフが見れば、お店全体の接客が変わっていきます。
つまり、店長がお客様との関係を育てることは、個人の接客ではありません。
店の文化を作る仕事でもあるのです。
リーダーシップは、主にスタッフへ向けられる力です。
数字を見る力は、経営を安定させるための力です。
しかし、お客様との関係を育てる力は、店の外側にいる人を、店の内側へ少しずつ迎え入れる力です。
この力がなければ、売上は毎回ゼロから作らなければなりません。
広告を出す。
クーポンを配る。
新商品を作る。
安くして来店してもらう。
それを何度も繰り返すことになります。
一方で、お客様との関係が育っている店は違います。
新しい広告を出さなくても来てくれる。
値引きをしなくても選んでくれる。
新しいお客様を連れてきてくれる。
多少混雑していても、理解して待ってくれる。
それは、お客様が商品だけではなく、店との関係に価値を感じているからです。
だから私は、店長を評価するとき、作業の速さだけを見てはいけないと思っています。
シフトをきれいに組めるか。
発注ミスがないか。
数字を正確に報告できるか。
それらも必要です。
しかし、本当に見なければならないのは、
その店長が立つことで、お客様の笑顔が増えているか。
名前で呼び合えるお客様が増えているか。
また会いに来てくれる人が増えているか。
ということです。
店長とは、作業を管理する人ではありません。
スタッフを動かすだけの人でもありません。
お客様と店との関係を育て、その関係が続く環境を作る人です。
リーダーシップも、数字も、調理技術も、そのために使う手段です。
店長の一番大切な仕事は、お客様に「またこの店へ帰ってきたい」と思ってもらうこと。
その関係を一日ずつ育てられる人こそ、繁盛店を作れる店長なのです。
7.だから店長のKGIは「毎月2%成長」

では、繁盛店をつくる店長を、何によって評価すればいいのでしょうか。
売上でしょうか。
利益でしょうか。
人件費率でしょうか。
クレームの件数でしょうか。
もちろん、どれも経営に必要な数字です。
しかし、私は店長に対して、
「今月の売上目標を何が何でも達成しろ」
と数字だけを追わせる方法には、限界があると考えています。
数字だけを追わせると、現場では短期的な行動が増えるからです。
値引きをする。
クーポンを配る。
単価の高い商品を無理に勧める。
人件費を削る。
スタッフへ売上のプレッシャーをかける。
一時的には、数字が上がるかもしれません。
しかし、それによって接客が雑になり、お客様との距離が遠くなれば、店の力は少しずつ弱くなっていきます。
だから私は、店長にこう伝えたいのです。
数字を追うな。お客様を追え。
どのお客様が、もう一度来てくださったのか。
初めて来たお客様は、満足して帰られたのか。
以前来てくださったお客様を覚えているか。
常連のお客様との関係は、前回より深くなったか。
店長が本当に追わなければならないのは、売上表の数字ではありません。
目の前にいるお客様です。
お客様を見て、会話をして、関係を育てる。
その積み重ねによって、再来店する人が少しずつ増えていく。
一度来た人が、二度目も来てくれる。
二度来た人が、常連になる。
常連になった人が、家族や友人を連れてくる。
その結果として、店の売上が少しずつ伸びていく。
この考え方を、私はRBRの店長理論として、
「毎月2%成長する店をつくる」
という目標に置き換えています。
店長のKGIは、単月の売上目標を達成することだけではありません。
自分が任された店を、前月より2%ずつ成長させ続けることです。
毎月2%と聞くと、小さな数字に感じるかもしれません。
100万円の売上なら、翌月は102万円。
500万円の売上なら、翌月は510万円です。
派手な成長ではありません。
突然、売上を何十%も伸ばす必要もありません。
昨日より少し良い店をつくる。
先月より少し多くのお客様に戻ってきてもらう。
その小さな改善を、毎月止めずに積み重ねていくのです。
しかし、毎月2%の成長を複利で積み重ねると、その力は決して小さくありません。
一年後には、売上は約27%増えます。
そして、その成長を続ければ、約3年で売上はおよそ2倍になります。
一気に売上を2倍にするのは簡単ではありません。
ですが、毎月2%ずつなら、現場で考えることができます。
今月は、再来店してくれるお客様を少し増やす。
来月は、お客様の名前を覚える数を増やす。
その次は、スタッフ全員が常連のお客様へ声をかけられるようにする。
提供時間を少し短くする。
店内を少しきれいにする。
料理の品質を少し安定させる。
お客様から出た不満を、一つずつ改善する。
こうした小さな変化の積み重ねが、毎月2%の成長をつくります。
ここで大切なのは、2%という数字そのものではありません。
店を止めないことです。
繁盛店も、何もしなければ少しずつ古くなります。
料理は慣れられます。
設備は古くなります。
スタッフは入れ替わります。
お客様の生活も変わります。
昨日まで選ばれていた店が、明日も選ばれる保証はありません。
だから店長は、店を維持するだけでは足りないのです。
毎月、小さくても店を前進させなければなりません。
ただし、売上を増やすために、お客様を数字として扱ってはいけません。
お客様一人ひとりとの関係を育てた結果として、数字が伸びる。
この順番を間違えてはいけないのです。
売上を追いかけて、お客様を動かそうとするのではありません。
お客様を大切にした結果として、売上がついてくる店をつくる。
これが、RBRが考える店長の役割です。
店長の仕事は、今月を何とか乗り切ることではありません。
来月も選ばれる店をつくること。
さらにその翌月も、少し成長した店をつくることです。
数字を追うな。お客様を追え。
お客様との関係を一つずつ育て、その結果として毎月2%成長する店をつくる。
それが、RBRが店長に求めるKGIです。
8.2%を作る方法

では、毎月2%成長する店は、どうやって作ればいいのでしょうか。
多くの人は、
新メニューを作る。
広告を出す。
値引きをする。
イベントを開催する。
そんな大きな施策を考えます。
もちろん、それも時には必要です。
しかし、私はもっとシンプルだと考えています。
2%は、一日で作るものではありません。
毎日の積み重ねで作るものです。
だから私は、店長へこう伝えます。
今日は昨日より、
一人多くお客様と話してください。
たった一人で構いません。
「ありがとうございました。」
だけで終わらせるのではなく、
「今日は暑かったですね。」
「お料理はいかがでしたか。」
そんな一言を添えるだけでも十分です。
そして、
昨日より一人多く笑顔にしてください。
料理を提供するときでもいい。
お帰りの際でもいい。
人は、料理の味だけを覚えているわけではありません。
どんな気持ちで食事をしたかを覚えています。
だから、一人でも多くのお客様が笑顔で帰れる店を目指します。
さらに、
昨日より一人多く名前を覚えてください。
名前が分からなければ、顔でも構いません。
「いつも来てくださる方。」
「お子さん連れのお客様。」
「いつも唐揚げを注文される方。」
まずは、その人を覚えることから始めます。
次に来店されたとき、
「いつもありがとうございます。」
その一言が言えるようになります。
そして、
昨日より一人多く常連を作ることを考えてください。
ここで勘違いしてはいけません。
常連とは、
毎日来る人ではありません。
「またこの店へ来よう。」
そう思って帰ってくださる人です。
その理由を、一つでも増やす。
料理でもいい。
接客でもいい。
居心地でもいい。
安心感でもいい。
店長との会話でもいい。
「この店だから。」
その理由を、お客様の心の中に一つ増やすこと。
それが、常連づくりです。
RBRでは、
売上を直接追いかけることはしません。
なぜなら、売上は結果だからです。
私たちが毎日積み上げるべきなのは、
お客様との関係です。
一人多く話す。
一人多く笑顔にする。
一人多く名前を覚える。
一人多く「また来たい」と思ってもらう。
この小さな積み重ねが、
リピーターを増やします。
リピーターが増えれば、
売上は安定します。
安定した売上が、新しい挑戦を生みます。
挑戦が、お店をさらに魅力的にします。
そして、また新しいお客様が増える。
つまり、店は売上で成長するのではありません。
関係性が積み重なることで成長するのです。
だから私は、店長に毎朝こう問いかけたい。
「今日は何人のお客様を笑顔にしますか。」
「今日は何人のお客様の名前を覚えますか。」
「今日は何人のお客様と、昨日より一歩近い関係になれますか。」
もし、その答えを毎日一つずつ積み重ねることができたなら、
毎月2%の成長は、決して難しい目標ではありません。
RBRが目指しているのは、
売上だけを追い続ける店ではありません。
お客様との関係を積み重ねた結果として、利益が出続ける飲食店です。
だから店長の仕事は、数字を見ることでは終わりません。
今日も一人、常連を増やすこと。
その一人の積み重ねこそが、未来の2%を作り、10年後も選ばれ続ける店を作るのです。
9.まとめ

店長とは、何をする人なのでしょうか。
シフトを作る人。
発注をする人。
売上を管理する人。
スタッフを教育する人。
もちろん、それらは店長の大切な仕事です。
しかし、それだけでは繁盛店は生まれません。
私は、店長とは
お客様との関係を育てる人だと考えています。
初めて来店されたお客様を安心させる。
二度目に来てくださる理由を作る。
何度も足を運んでくださる常連のお客様との関係を深める。
そして、その関係をスタッフ全員へ広げ、お店の文化にしていく。
それが店長の本当の仕事です。
だから私は、店長に数字だけを追わせません。
売上だけを追えば、お客様は数字になります。
利益だけを追えば、人はコストになります。
その考え方では、一時的に数字は伸びても、長く愛される店にはなりません。
私が店長に毎日考えてほしいのは、もっとシンプルです。
「今日は何人のお客様を笑顔にできたか。」
「今日は何人のお客様と会話ができたか。」
「今日は何人のお客様に、また来たいと思っていただけたか。」
その答えを、一日ずつ積み重ねていく。
一人のお客様との関係を育てる。
その一人が常連になる。
常連が新しいお客様を連れてきてくださる。
その繰り返しが、お店を少しずつ強くしていきます。
だからRBRでは、
数字を追うな。お客様を追え。
という考え方を大切にしています。
数字は目的ではありません。
お客様との関係が正しく育っているかを確認するための結果です。
だから店長のKGIは、毎月2%成長する店を作ること。
その2%は、値引きでは作りません。
広告だけでも作りません。
お客様一人ひとりとの信頼を積み重ねることで作ります。
毎月2%。
一見すると小さな数字です。
しかし、その小さな改善を止めずに積み重ねれば、一年後には大きな差となり、約3年後には、お店はまったく別の景色を見せてくれます。
私は、派手な経営理論を作りたいわけではありません。
現場で今日から実践できる考え方を広めたいのです。
昨日より一人多く話す。
昨日より一人多く笑顔にする。
昨日より一人多く名前を覚える。
昨日より一人多く「また来たい」と思っていただく。
その小さな積み重ねこそが、店長の仕事であり、繁盛店を作る一番確実な方法だと私は信じています。
店長とは、店を管理する人ではありません。
お客様との関係を育て、未来の繁盛店を作る人です。
それが、RBRが考える店長の役割なのです。
この記事を書いた人 Wrote this article
新田 敏之 RBR合同会社 統括 / 男性
RBR(Restaurant Business Reform)代表。 鉄板焼きの現場で25年。 これまで数多くの飲食店の立て直しを中心とした経営改善に携わり、売上改善、商品開発、人材育成、オペレーション構築、デリバリー事業の立ち上げなど、現場に入りながら支援を行ってきました。 現在は「ガブ飲み食堂」を運営しながら、主力商品の開発・ソースや商品の卸事業、デリバリーFC事業の展開、そして飲食店の経営改善支援を行っています。 このブログで発信するのは、机上の理論ではありません。 すべて現場で試し、失敗し、改善を繰り返してきた実践知です。 料理だけでは、お店は続きません。 利益が残る仕組み、人が育つ環境、お客様に選ばれ続ける理由。 私は、その「経営」を一人でも多くの飲食人に届けたいと考えています。 飲食店を増やしたいわけではありません。 利益が残る飲食店を、一店舗でも増やしたい。 その想いを胸に、今日も現場で挑戦を続けています。