飲食人を育てるな。飲食人になれる環境を作れ。

Restaurant Business Reform または 飲食店経営改善ブログ

飲食人を育てるな。飲食人になれる環境を作れ。
この記事は約 36 分で読めます
目次 Outline

~マニュアルでは、人は育たない。~

1. 飲食店は「人」が商品である

「飲食店の商品は何ですか?」

そう聞かれたら、多くの人はこう答えるでしょう。

「料理です。」

もちろん間違いではありません。

しかし、私はそれだけではないと考えています。

飲食店の商品とは、料理だけではありません。

料理を作る人。

料理を運ぶ人。

お客様を迎える人。

お客様を見送る人。

つまり、その店で働く「人」そのものが商品なのです。

なぜ同じ料理でも店によって評価が変わるのか

同じレシピ。

同じ食材。

同じ調味料。

同じ価格。

それでも、「あのお店の方が好き」と感じることはありませんか。

それは料理の違いではありません。

お客様が感じた体験の違いです。

笑顔で迎えられた。

困っている時に気付いてくれた。

料理を運ぶタイミングが心地よかった。

帰る時に「またお待ちしています」と声を掛けてもらえた。

料理そのものは同じでも、それを提供する「人」が違えば、お店全体の価値は大きく変わります。

お客様は料理だけを買いに来ているわけではない

もし料理だけが目的なら、冷凍食品でも十分かもしれません。

テイクアウトでもいいでしょう。

しかし、多くのお客様はわざわざお店へ足を運びます。

そこには料理以外の価値があるからです。

店内の雰囲気。

スタッフとの何気ない会話。

活気のある空気。

居心地の良さ。

安心感。

飲食店とは、料理を提供する場所であると同時に、「時間」と「体験」を提供する場所でもあります。

そして、その体験を作っているのは、機械でもマニュアルでもありません。

そこで働くスタッフ一人ひとりです。

「また来たい」は料理だけでは生まれない

美味しい料理を作ることは、とても大切です。

しかし、それだけでお客様が何度も来店してくださるとは限りません。

実際にGoogleレビューや口コミを見てみると、「美味しかった」という感想だけではなく、

「スタッフさんの対応が気持ち良かった。」

「居心地が良かった。」

「また来たいと思えた。」

そんな言葉が数多く並んでいます。

お客様が記憶しているのは、料理の味だけではありません。

その店で過ごした時間全体なのです。

だから飲食店の価値は「人」で決まる

料理は真似できます。

価格も真似できます。

内装も、時間とお金をかければ真似できます。

しかし、その店で働く人が作り出す空気は、簡単には真似できません。

だからこそ、人は飲食店最大の差別化になります。

私は、飲食店とは「料理を売る商売」ではなく、「人が料理を通じて価値を届ける商売」だと考えています。

そして、その価値を届けられる飲食人を育てることこそが、本当の意味で強い飲食店をつくる第一歩なのです。

2. 飲食業界は飲食人を育てていない

私は、今の飲食業界には大きな誤解があると思っています。

それは、「教育をしている」という誤解です。

もちろん、新人教育をしていない店はありません。

挨拶の仕方。

料理の運び方。

オーダーの取り方。

レジの打ち方。

清掃の手順。

どこの飲食店でも、入社すれば必ず教わるでしょう。

しかし、その多くは「仕事のやり方」を教えているだけであり、「飲食人」を育てているわけではありません。

教えているのは「考え方」ではなく「やり方」

多くの店舗では、教育という名のオペレーション訓練が行われています。

  • この順番で動く。
  • このタイミングで料理を出す。
  • この言葉を使う。
  • この位置に立つ。
  • このマニュアル通りに行動する。

もちろん、これは必要です。

飲食店はチームで動く仕事です。

全員が好き勝手に動けば、お客様に迷惑を掛けてしまいます。

だからオペレーションを統一すること自体は間違っていません。

問題なのは、それが教育のゴールになってしまっていることです。

マニュアルを覚えた人は育つ。でも、飲食人は育たない。

マニュアルを覚えれば、その店では戦力になります。

料理も早く運べるようになるでしょう。

オーダーミスも減るでしょう。

しかし、それは「その店のオペレーションに慣れた人」が育っただけです。

なぜその順番なのか。

なぜその声掛けなのか。

なぜその接客が必要なのか。

そこまで考える機会がなければ、環境が変わった瞬間に対応できなくなります。

飲食人を育てる教育とは何か

本当の教育とは、手順を覚えさせることではありません。

「なぜそうするのか」を考えられる人を育てることです。

目の前のお客様は何を求めているのか。

今、自分は何を優先すべきなのか。

この判断ができる人は、どこの店へ行っても通用します。

反対に、マニュアルしか知らない人は、その店を離れた瞬間に迷ってしまいます。

私たちが育てたいのは「作業員」ではない

RBRが目指しているのは、決められた仕事をこなす人ではありません。

お客様を見て、状況を読み、自ら考え、行動できる人です。

その力は、マニュアルを暗記するだけでは身につきません。

だから私は、「教育」という言葉の意味を、もう一度考え直す必要があると思っています。

3. 同じ景色が人を壊す

同じ景色が人を壊す

飲食店で長く働けば働くほど、経験は積み重なります。

しかし、その経験が必ずしも「成長」とは限りません。

私は、飲食業界には一つの大きな落とし穴があると考えています。

それは、同じ景色の中で働き続けることです。

人は環境に適応する生き物である

毎日同じ厨房。

同じ客層。

同じ商品。

同じ席数。

同じマニュアル。

同じオペレーション。

人は、その環境に最適化されていきます。

これは悪いことではありません。

むしろ、その環境では非常に優秀なスタッフになれるでしょう。

提供スピードも速い。

動きにも無駄がない。

店長からの評価も高い。

しかし、その能力は「その店の中」でしか通用しないことがあります。

環境が変わると、何もできなくなる

客単価が変わる。

客層が変わる。

料理が変わる。

スタッフが変わる。

営業スタイルが変わる。

すると、それまで優秀だった人が急に動けなくなる。

何を優先すればいいのかわからない。

お客様を見ずにマニュアルを探してしまう。

指示がないと動けない。

これは本人の能力が低いからではありません。

考える機会を与えられないまま、長年働いてきた結果なのです。

飲食業界は「環境依存型」の人材を生みやすい

特に大型チェーンや駅ナカのような高回転業態では、オペレーションの完成度が非常に高く設計されています。

だからこそ、短期間で戦力を育てることができます。

これは大きな強みです。

しかし、その反面、一人ひとりが自分で考えなくても仕事が回る環境になりやすいという側面もあります。

何をすればいいかは、すべて決まっている。

困ったらマニュアルを見る。

店長の指示を待つ。

その環境では優秀でも、一歩外へ出た瞬間に、自分で判断する経験が不足していることがあります。

飲食人は、環境を変えて初めて育つ

私は、人は「慣れた環境」の中だけでは成長し続けることは難しいと思っています。

違う客層に触れる。

違う業態を経験する。

違う価値観を知る。

失敗する。

考える。

改善する。

そうした経験を積み重ねることで、初めて「どこでも通用する飲食人」になっていくのです。

成長とは、仕事に慣れることではない

仕事に慣れることと、人として成長することは違います。

同じ景色を何年も見続ければ、仕事は速くなります。

でも、それだけでは飲食人にはなれません。

本当の成長とは、環境が変わっても、お客様が変わっても、自分で考え、判断し、行動できる力を身につけることです。

だから私は、スタッフを「慣れさせる」ことよりも、「考えさせる環境」を作ることの方が、何倍も大切だと考えています。

4. 「作業員」と「飲食人」は違う

飲食店で働いている人が、全員「飲食人」かと言われれば、私はそうは思いません。

少し厳しい言い方かもしれませんが、

飲食店には「作業員」と「飲食人」がいます。

もちろん、どちらが偉いという話ではありません。

役割が違うのです。

作業員とは、決められた仕事を正確にこなす人

料理を運ぶ。

注文を聞く。

皿を洗う。

レジを打つ。

掃除をする。

これらは飲食店に欠かせない大切な仕事です。

そして、決められたことを正確にこなす能力は、とても重要です。

しかし、それだけでは「作業」が終わっただけです。

そこに、お客様への価値はまだ生まれていません。

飲食人は「お客様を見る」

飲食人は、料理ではなくお客様を見ています。

「水がなくなっているな。」

「料理を出すタイミングを少し待った方がいいな。」

「初めてのお客様だからメニューを説明しよう。」

「今日は元気がなさそうだから、少し柔らかく接しよう。」

こうした判断には、マニュアルはありません。

目の前のお客様を見て、自分で考え、自分で判断しているのです。

同じ行動でも、価値はまったく違う

例えば、料理を運ぶという仕事。

作業員は、

「料理を運ぶこと」が目的になります。

飲食人は、

「一番美味しく食べてもらうこと」が目的になります。

だから、

料理を置く位置も、

声の掛け方も、

タイミングも変わります。

やっている仕事は同じでも、目的が違えば行動は変わるのです。

飲食人は「利益」を生み出す

飲食人は接客が上手い人ではありません。

利益を生み出せる人です。

また来たいと思っていただく。

口コミを書いていただく。

常連になっていただく。

スタッフの雰囲気で店の価値を上げる。

こうした積み重ねが、お店の利益になります。

だから私は、飲食人とは「接客ができる人」ではなく、「お客様の満足を通じて、お店の未来をつくる人」だと考えています。

RBRが育てたいのは、どこでも通用する人

私たちが育てたいのは、その店でしか働けない人ではありません。

店が変わっても。

業態が変わっても。

客層が変わっても。

自分で考え、お客様を見て、最善を判断できる人です。

それが、本当の意味での飲食人だと思っています。

5. マニュアルには限界がある

ここまで読んで、

「じゃあ、マニュアルはいらないのか。」

そう思われた方もいるかもしれません。

私は、そうは思いません。

むしろ、マニュアルは必要です。

飲食店はチームで営業する仕事です。

全員が自分勝手に動けば、お客様に迷惑を掛けてしまいます。

料理の提供順。

衛生管理。

レジの操作。

クレーム対応。

最低限のルールを統一するために、マニュアルは欠かせません。

問題は、マニュアルをゴールにしてしまうことです。

マニュアルが教えてくれるのは「昨日の正解」

マニュアルには、多くの成功体験が詰まっています。

だから、新人教育にはとても有効です。

しかし、マニュアルが教えてくれるのは、あくまで「昨日までの正解」です。

現場では、毎日違うお客様が来店します。

高齢のお客様。

小さなお子様連れのご家族。

外国から旅行に来られた方。

仕事帰りのサラリーマン。

誕生日のお祝いをするカップル。

一人で静かに食事を楽しみたい方。

同じ接客で、全員が満足することはありません。

現場には「正解」が存在しない

例えば、料理を提供するタイミング。

出来上がった瞬間に提供するのが正しい場合もあります。

でも、

連れのお客様の料理がまだ完成していないなら、少し待った方がいいこともあります。

食後にゆっくり会話を楽しんでいるお客様へ、お皿をすぐ下げることが失礼になることもあります。

逆に、忙しそうなお客様には、早く片付けた方が喜ばれることもあります。

どちらが正解でしょうか。

答えはありません。

目の前のお客様によって、正解は変わります。

だから現場には、「考える力」が必要なのです。

マニュアルでは「気づく力」は育たない

飲食店で本当に価値を生むスタッフは、

言われたことをする人ではありません。

お客様の表情を見る。

店内全体を見る。

スタッフ同士の動きを見る。

そして、

「今、自分が動くべきだ。」

と、自分で判断できる人です。

この「気づく力」は、どれだけ分厚いマニュアルを作っても書ききることはできません。

飲食人は、マニュアルを超えた先にいる

マニュアルは、仕事の土台です。

しかし、土台だけでは家は建ちません。

本当にお客様に喜ばれる飲食店は、

マニュアルを守った上で、

その先を考えられるスタッフがいます。

「このお客様には何が必要だろう。」

「もっと気持ちよく過ごしていただくには何ができるだろう。」

そう考えられる人が、一人、また一人と増えていくことで、お店の価値は少しずつ積み上がっていくのです。

だから私は、

マニュアルを覚えることが教育ではなく、マニュアルを超えて考えられるようになることが、本当の教育だと考えています。

6. ホスピタリティとは何か

「ホスピタリティを大切にしましょう。」

飲食業界ではよく聞く言葉です。

しかし、「ホスピタリティとは何ですか?」と聞かれたとき、明確に答えられる人は意外と多くありません。

笑顔でしょうか。

元気な挨拶でしょうか。

丁寧な言葉遣いでしょうか。

もちろん、それらは大切です。

ですが、それだけをホスピタリティと呼ぶのなら、マニュアルで十分に教えられるはずです。

私は、ホスピタリティはもっと本質的なものだと考えています。

ホスピタリティとは「気づく力」である

お客様は、一人ひとり違います。

急いでいる人もいれば、

ゆっくり過ごしたい人もいます。

話しかけてほしい人もいれば、

静かに食事を楽しみたい人もいます。

全員に同じ接客をしていては、本当の満足は生まれません。

だからこそ必要なのが、

「お客様が今、何を求めているのか。」

それを感じ取る力です。

私は、この力こそがホスピタリティだと思っています。

ホスピタリティにマニュアルは存在しない

例えば、水が減っているお客様に気付く。

ベビーカーのお客様が入りやすいように席を整える。

料理を置くスペースを先に空ける。

外国人のお客様が困っていたら、身振り手振りでも伝えようとする。

どれも難しい技術ではありません。

でも、マニュアルに「必ずこのタイミングでやりなさい」と書くことはできません。

なぜなら、お客様によって正解が違うからです。

だからホスピタリティは、覚えるものではなく、考えるものなのです。

相手を見る人だけが、本当の接客ができる

接客が苦手だと言う人がいます。

でも、私は「接客が苦手」という人の多くは、お客様ではなく自分を見ているだけだと思っています。

失敗したくない。

怒られたくない。

噛まずに話したい。

そう考えている間は、自分のことで頭がいっぱいになります。

しかし、本当にお客様を見始めると、不思議と緊張は減っていきます。

「この方に気持ちよく過ごしていただこう。」

その意識が、自然な接客につながっていくのです。

ホスピタリティは、お客様だけに向けるものではない

もう一つ、大切なことがあります。

ホスピタリティは、お客様だけに向けるものではありません。

一緒に働くスタッフにも必要です。

困っている仲間に気付く。

忙しそうなら声を掛ける。

言われる前に動く。

そんな文化がある店では、お客様への接客も自然と良くなります。

逆に、スタッフ同士が助け合えない店で、お客様だけに良い接客をしようとしても長くは続きません。

ホスピタリティとは、お客様へのサービスではなく、「相手を思いやり、自分から行動する姿勢」そのものなのです。

ホスピタリティは、利益を生み出す力でもある

私は、ホスピタリティを精神論だとは思っていません。

気持ちの問題でもありません。

お客様が「また来たい」と思う。

スタッフが長く働きたいと思う。

口コミが増える。

紹介が増える。

結果として売上が伸び、利益が残る。

ホスピタリティとは、目には見えません。

しかし、お店の未来を大きく左右する「経営資源」の一つです。

だからRBRでは、笑顔や挨拶だけではなく、「相手を見て、自分で考え、行動できる人」を育てたいと考えています。

7. 人は教えて育つのではない

ここまで読んでいただいた方なら、もうお気づきかもしれません。

私は、人は「教えられる」ことで育つとは考えていません。

もちろん、知識は教えられます。

技術も教えられます。

料理の作り方。

レジの打ち方。

接客用語。

オペレーション。

これらは教えることで身につきます。

しかし、「人」はそれだけでは育ちません。

人は、環境に影響される

新人スタッフは、マニュアルよりも先に、その店の空気を覚えます。

店長が怒鳴る店では、

怒鳴ることが当たり前になります。

愚痴ばかり言う店では、

愚痴を言うスタッフが育ちます。

お客様よりも作業を優先する店では、

自然と作業だけをする人が増えていきます。

反対に、

困っている仲間を助ける文化がある店では、

誰かが困っていれば自然と体が動くスタッフが育ちます。

お客様のことを本気で考える店では、

新人も少しずつ、お客様を見るようになります。

人は、言葉ではなく環境から学ぶのです。

店長の背中が、一番の教育になる

「こうしなさい。」

「これはダメだ。」

何度言葉で教えても、店長自身が実践していなければ意味がありません。

スタッフは、話を聞いているようで、実は行動を見ています。

店長がお客様を大切にしていれば、その姿勢は伝わります。

店長がスタッフを大切にしていれば、その空気は店全体に広がります。

教育とは、教えることではありません。

見せることです。

文化は、毎日の積み重ねで生まれる

店の文化は、一日でできるものではありません。

毎日の挨拶。

毎日の声掛け。

毎日の気遣い。

毎日の判断。

その積み重ねが、「この店らしさ」を作っていきます。

そして、その文化に触れた新人は、特別な教育を受けなくても、その店らしい行動を自然と覚えていきます。

だから私は、「教育制度」よりも「文化づくり」の方が重要だと考えています。

人を変えようとする前に、環境を変える

スタッフが育たない。

接客が良くならない。

そう悩む経営者は少なくありません。

でも、その原因をスタッフだけに求めるのは違います。

そのスタッフは、どんな環境で働いているでしょうか。

失敗すると怒られる店なのか。

挑戦を応援してくれる店なのか。

意見を言える店なのか。

ただ指示を待つ店なのか。

環境が変われば、人は変わります。

だから、本当に変えるべきなのは「人」ではなく、「人が育つ環境」なのです。

教育とは、未来を預けること

私は、教育とは知識を教え込むことではないと思っています。

考える機会を与えること。

失敗する機会を与えること。

挑戦する機会を与えること。

そして、信じて任せること。

その繰り返しの中で、人は少しずつ「飲食人」になっていきます。

だからRBRは、スタッフを教育する会社ではありません。

飲食人になれる環境をつくる会社でありたい。

それが、私たちの考える人材育成です。

8. RBRが目指す飲食人

私たちは、料理が上手な人を育てたいわけではありません。

接客が上手な人を育てたいわけでもありません。

もちろん、そのどちらも大切です。

しかし、それは飲食人としての一部分でしかありません。

RBRが目指しているのは、どんな環境でも通用する飲食人です。

「この店でしか働けない人」は育てたくない

私は、スタッフによくこう話します。

「いつかRBRを卒業しても、どこの店でも活躍できる人になってほしい。」

それが私たちの願いです。

RBRでしか働けない人を育てることは、教育ではありません。

それは、その人の可能性を狭めてしまうことだからです。

新しい店へ行っても。

違う業態へ挑戦しても。

将来自分で独立しても。

お客様が変わっても。

スタッフが変わっても。

自分で考え、自分で判断し、お客様に価値を届けられる。

そんな人になってほしいのです。

技術よりも「考え方」が財産になる

料理の技術は時代とともに変わります。

流行のメニューも変わります。

設備も変わります。

AIが普及すれば、仕事のやり方も大きく変わるでしょう。

でも、

相手を思う力。

気づく力。

考える力。

責任を持って行動する力。

これらは、どんな時代になっても必要とされます。

だから私たちは、技術だけではなく「考え方」を育てたいのです。

飲食人は、お客様だけでなく仲間も幸せにする

本当の飲食人は、お客様だけを見ている人ではありません。

一緒に働く仲間にも目を向けています。

困っているスタッフがいれば助ける。

新人が迷っていれば声を掛ける。

忙しい人がいれば、自分から動く。

そんな行動が自然にできる人は、お客様にも自然と気配りができます。

人を大切にできる人は、人からも大切にされる。

私は、それが飲食店という仕事の本質だと思っています。

利益を生み出すのは、料理ではなく人である

どれだけ良い商品を作っても、それを届ける人が変われば、お客様の満足度は大きく変わります。

だからRBRでは、「利益を生み出す人」を育てたいと考えています。

それは営業が上手い人ではありません。

数字だけを追う人でもありません。

お客様に「また来たい」と思っていただける人です。

その積み重ねが、利益となり、お店の未来をつくっていきます。

飲食業界の未来を変えるために

私は、この業界にはもっと「飲食人」が増えてほしいと思っています。

マニュアルをこなすだけの人ではなく、

自分で考え、

学び続け、

挑戦し続ける人。

そんな人が一人増えれば、その店は変わります。

その店が変われば、地域が変わります。

そして、飲食業界全体も少しずつ変わっていくはずです。

だからRBRは、店舗を増やすことだけを目標にはしません。

どこへ行っても通用する飲食人を、一人でも多く育てること。

それが、私たちが目指す未来です。

9. 飲食人は会社の財産である

「人材は会社の財産です。」

この言葉は、多くの経営者が口にします。

ですが、本当にそう考えている会社は、どれくらいあるでしょうか。

人件費を「コスト」とだけ考える。

忙しくなれば採用し、暇になれば辞めてもらう。

育ったスタッフが辞めれば、「また募集すればいい」と考える。

そんな経営を続けていては、人は財産にはなりません。

人は、消耗品になってしまいます。

飲食業界は、人を使い切る文化がある

飲食業界は慢性的な人手不足と言われています。

それでも、人が育たない店は少なくありません。

なぜでしょうか。

私は、「人が辞めること」を前提に経営している店が多いからだと思っています。

どうせ辞めるから深く教えない。

アルバイトだから責任を持たせない。

社員だから現場だけやらせる。

その結果、スタッフは成長する機会を失い、「この店で働く意味」を見いだせなくなります。

人が辞めるから育てない。

育てないから人が辞める。

この悪循環を、多くの飲食店が繰り返しています。

人は利益を生み出す存在である

私は、人件費を「利益を減らすお金」だとは考えていません。

もちろん、管理は必要です。

適正な人件費率を守ることは経営の基本です。

しかし、それ以上に大切なのは、そのスタッフがどれだけの価値を生み出せるかです。

一人のスタッフの気配りで、お客様が常連になることがあります。

一人のスタッフの笑顔で、口コミが増えることがあります。

一人のスタッフの成長で、お店全体の雰囲気が変わることがあります。

数字には表れにくいかもしれません。

でも、その積み重ねこそが、お店の利益を支えています。

人を育てる店は、未来を育てている

教育には時間がかかります。

失敗もあります。

すぐに成果は出ないかもしれません。

それでも、人を育てることを諦めない店は、5年後、10年後に大きな差が生まれます。

ベテランが新人を育てる。

育った新人が、次の新人を育てる。

その文化が根付いた店は、簡単には崩れません。

強い飲食店とは、設備が立派な店ではありません。

人が育つ仕組みを持っている店です。

RBRが本当に残したいもの

私たちは、店舗数だけを増やしたいとは考えていません。

売上だけを追いかけたいわけでもありません。

本当に残したいのは、「人」です。

RBRで働いたことで、自信を持てた。

考える力が身についた。

どこへ行っても通用する力がついた。

そう思って卒業してくれる人が一人でも増えること。

それが、会社にとって一番の財産だと思っています。

だから私たちは、スタッフを「労働力」として見るのではなく、一人の飲食人として向き合い続けたいのです。

10. 飲食人を育てるために必要なこと

ここまで、「飲食人とは何か」「なぜマニュアルだけでは育たないのか」について書いてきました。

では、実際に飲食人を育てるためには、何が必要なのでしょうか。

私は特別な教育プログラムは必要ないと思っています。

必要なのは、「人が成長できる環境」を作ることです。

マニュアルを捨てる必要はない

誤解してほしくないのは、私はマニュアルを否定しているわけではありません。

マニュアルは、仕事を覚えるために必要です。

新人が安心して働くためにも欠かせません。

しかし、マニュアルはあくまでスタートラインです。

ゴールではありません。

「書いてあるからやる。」

ではなく、

「なぜそうするのか。」

を考えられるようになって初めて、人は成長します。

失敗させる勇気を持つ

経営者や店長は、失敗を恐れます。

だから先回りして教えます。

だから自分でやってしまいます。

その方が早いからです。

でも、それでは人は育ちません。

失敗したからこそ覚えることがあります。

失敗したからこそ考えるようになります。

もちろん、お客様に大きな迷惑を掛ける失敗は防がなければなりません。

しかし、小さな失敗まで奪ってしまえば、考える機会まで奪ってしまいます。

「任せる」と「放置」は違う

よく、「任せています」と言う経営者がいます。

でも、話を聞くと、それは放置になっていることも少なくありません。

本当の意味で任せるとは、

考える機会を与え、

挑戦させ、

困った時には支えることです。

責任だけを押し付けることではありません。

安心して挑戦できる環境があるから、人は自分で考え始めます。

答えを教えるより、問いを投げる

新人が何か質問してきた時、すぐに答えを教えることは簡単です。

でも私は、できるだけこう聞き返します。

「君ならどうする?」

「どうしてそう思った?」

「お客様は何を求めていたと思う?」

最初は答えられなくても構いません。

考える習慣が身につけば、その人は少しずつ自分の頭で判断できるようになります。

その積み重ねが、飲食人を育てます。

店長の仕事は、答えを持つことではない

店長は、誰よりも仕事ができる人である必要はありません。

本当に大切なのは、

スタッフが成長できる環境を作ることです。

自分が動けば、その場は早く終わるかもしれません。

でも、スタッフに考えさせれば、その経験は何年も残ります。

教育とは、今日の営業を乗り切るためのものではありません。

一年後、五年後、十年後の店を作るための投資です。

人は、任された分だけ成長する

私は、人は期待された分だけ成長すると信じています。

「どうせアルバイトだから。」

「まだ新人だから。」

そう決めつけた瞬間に、その人の成長は止まります。

反対に、

「君ならできる。」

「一度やってみよう。」

そう言われた人は、自分でも驚くほど成長します。

だからRBRでは、仕事を教えることよりも、人を信じることを大切にしています。

それが、飲食人になれる環境を作る第一歩だと考えているからです。

11. まとめ

飲食人を育てるな。

飲食人になれる環境を作れ。

私は、この記事を通して一つのことを伝えたかったのです。

飲食店は、料理を売る仕事ではありません。

人が、人を幸せにする仕事です。

だからこそ、一番大切なのは設備でもありません。

マニュアルでもありません。

レシピでもありません。

そこにいる「人」です。

マニュアルは仕事を教えてくれます。

しかし、人を育てることはできません。

人を育てるのは、

考える機会であり、

挑戦する機会であり、

失敗を受け入れる文化であり、

仲間を信じる環境です。

飲食業界には、優秀なオペレーションがあります。

素晴らしい商品があります。

効率的な仕組みもあります。

それでも、人が育たなければ、お店は長く愛されません。

最後にお客様の心を動かすのは、料理ではなく、その料理を届ける「人」だからです。

だからRBRは、スタッフを労働力とは考えません。

利益を生み出すための駒とも考えません。

一人ひとりが自分の頭で考え、

自分の意思で行動し、

どこへ行っても通用する飲食人へ成長できる。

そんな環境を作ることが、私たちの使命です。

飲食店を増やしたいわけではありません。

店舗数を競いたいわけでもありません。

私たちが本当に増やしたいのは、

飲食という仕事に誇りを持ち、自分の力でお客様を幸せにできる飲食人です。

そんな飲食人が一人増えれば、お店が変わります。

お店が変われば、地域が変わります。

地域が変われば、飲食業界の未来も変わっていくはずです。

だから私たちは、これからも「教育」を目的にはしません。

目指すのは、その人が自ら考え、自ら成長し、自ら未来を切り拓ける環境を作ることです。


最後に

人は、教育で変わるのではない。

人は、環境で変わる。

だから私たちは、

飲食人を育てるのではない。

飲食人になれる環境を、作り続ける。

この記事を書いた人 Wrote this article

新田 敏之

新田 敏之 RBR合同会社 統括 / 男性

RBR(Restaurant Business Reform)代表。 鉄板焼きの現場で25年。 これまで数多くの飲食店の立て直しを中心とした経営改善に携わり、売上改善、商品開発、人材育成、オペレーション構築、デリバリー事業の立ち上げなど、現場に入りながら支援を行ってきました。 現在は「ガブ飲み食堂」を運営しながら、主力商品の開発・ソースや商品の卸事業、デリバリーFC事業の展開、そして飲食店の経営改善支援を行っています。 このブログで発信するのは、机上の理論ではありません。 すべて現場で試し、失敗し、改善を繰り返してきた実践知です。 料理だけでは、お店は続きません。 利益が残る仕組み、人が育つ環境、お客様に選ばれ続ける理由。 私は、その「経営」を一人でも多くの飲食人に届けたいと考えています。 飲食店を増やしたいわけではありません。 利益が残る飲食店を、一店舗でも増やしたい。 その想いを胸に、今日も現場で挑戦を続けています。