人生を経営するということ。

Restaurant Business Reform または 飲食店経営改善ブログ

人生を経営するということ。
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── 包丁一本で渡り歩け。会社に忠誠を誓うな。自分の人生に忠誠を誓え。

1.人生を経営するという発想

「将来は自分の店を持ちたい。」

飲食業界では、そんな言葉をよく耳にします。

経営者になりたい。

独立したい。

会社を作りたい。

もちろん、それは素晴らしい目標です。

しかし私は、その前に一つだけ考えてほしいことがあります。

あなたは、自分の人生を経営していますか。

店を経営するとは、

限られた資源を使い、未来を設計し、責任を持って選択し続けることです。

売上をどう作るのか。

利益をどう残すのか。

人をどう育てるのか。

未来のために、今日どんな判断をするのか。

それが経営です。

では、その考え方を、自分自身の人生にも向けているでしょうか。

時間をどう使うのか。

お金を何に使うのか。

健康をどう守るのか。

誰と付き合うのか。

どこで働くのか。

どんな能力を身につけるのか。

その一つひとつを、自分の意思で選んでいるでしょうか。

それとも、

「みんながそうしているから。」

「会社が決めたから。」

「辞めるのは申し訳ないから。」

そんな理由で、自分の人生の舵を誰かに預けてはいないでしょうか。

人生は、一度きりです。

だからこそ私は、

店を経営する前に、自分の人生を経営できる人になってほしいと思っています。

どんな環境で働くのか。

どんな人と出会うのか。

どんな価値観に囲まれて生きるのか。

それらは偶然ではなく、本来は自分で選び、責任を持つべき「経営判断」です。

店の利益を真剣に考える人ほど、

自分の人生という、たった一つしかない事業のことも真剣に考えてほしい。

私は、人生で最も重要な経営対象は、自分自身だと思っています。

2.人は、環境によって作られる

人は、自分の意思で生きていると思っています。

自分で考え、

自分で選び、

自分で決断している。

そう信じています。

でも、本当にそうでしょうか。

毎日会う人。

毎日聞く言葉。

毎日見る景色。

毎日評価される基準。

その一つひとつが、

気付かないうちに「当たり前」を作っていきます。

人は環境に適応する生き物です。

だから、

何が正しいのか。

何が普通なのか。

何を目指すべきなのか。

その基準さえも、環境から大きな影響を受けています。

尊敬できるメンターに出会えば、

考え方は変わります。

向上心のある仲間に囲まれれば、

自分も努力することが当たり前になります。

逆に、

愚痴ばかりの環境では、

愚痴を言うことが普通になります。

挑戦する人が笑われる環境では、

挑戦しないことが正解になります。

人は、

善悪で行動しているのではありません。

多くの場合、

「その環境では何が普通なのか」

に合わせて生きています。

だから私は、

人生を変えたいなら、最初に変えるべきは環境だと思っています。

努力を否定しているわけではありません。

努力は大切です。

しかし、

毎日自分を引き上げてくれる環境と、

毎日自分を引き下げる環境では、

同じ努力を十年間続けても、たどり着く場所はまったく違います。

人生は、

能力だけで決まるものではありません。

どんな環境で、

どんな人と出会い、

どんな価値観を吸収して生きるのか。

その積み重ねが、

十年後のあなたという人間を作っていくのです。

3.飲食店は、人生の学校になる

私は、飲食店は料理を作る場所ではなく、

人を育てる場所でもあると思っています。

もちろん、給料をもらう場所でもあります。

生活するために働く場所でもあります。

でも、それだけで終わってしまったら、とてももったいない。

一日の大半を過ごす職場は、

人生の中で最も長く通う学校でもあるからです。

そこで何を学ぶのか。

どんな経営者の背中を見るのか。

どんな店長の考え方に触れるのか。

どんな仲間と働くのか。

それらは、毎日少しずつ、あなたの価値観を形作っていきます。

数字を見て改善する文化がある店なら、

自然と数字で考える人になります。

お客様を本気で大切にする店なら、

それが当たり前の基準になります。

失敗を責めるのではなく、挑戦を応援する店なら、

新しいことに挑戦する勇気が育ちます。

反対に、

「言われたことだけやればいい。」

「考えるな。」

「忙しいから仕方ない。」

そんな空気が当たり前の店では、

気づかないうちに、自分も考えない人になってしまいます。

人は、教えられた通りに育つのではありません。

毎日見ているもののように育つのです。

だから私は、

飲食店を選ぶときに、

時給だけを見てほしくありません。

休みの数だけを見てほしくありません。

その店で働いた一年後、

三年後、

五年後、

どんな自分になっているのか。

そこまで想像してほしいのです。

給料は生活を支えてくれます。

しかし、

環境は人生を育てます。

だから働く店を選ぶことは、

仕事を選ぶことではありません。

未来の自分を選ぶことなのです。

4.一番怖いのは、「間違った当たり前」

私は、人生で一番怖いものは失敗ではないと思っています。

一番怖いのは、

間違った当たり前に慣れてしまうことです。

人間には、環境に適応する能力があります。

本来、この能力は素晴らしいものです。

どんな環境でも生き抜くために、人は少しずつ順応していきます。

しかし、その能力は、ときに人生を大きく狂わせます。

最初は違和感があるのです。

店長がお客様の前でスタッフを怒鳴る。

忙しいことを理由に掃除を後回しにする。

「考えなくていい。言われたことだけやれ。」と言われる。

売上は見るのに、利益は誰も気にしない。

クレームが出ても、「仕方ない」で終わる。

本当は、おかしい。

自分の心は、「違う」と感じています。

それでも、

毎日その環境にいると、

その違和感は少しずつ薄れていきます。

一か月後には慣れ、

一年後には受け入れ、

数年後には、自分が同じことをする側になってしまう。

人は、正しいことを繰り返すから正しくなるのではありません。

毎日見ているものを、「普通」だと信じるようになるのです。

だから私は、

「どんな仕事をするか」よりも、

「どんな当たり前の中で働くか」の方が大切だと思っています。

お客様を笑顔で迎えることが当たり前の店。

数字を見て改善することが当たり前の店。

失敗から学ぶことが当たり前の店。

仲間を尊重することが当たり前の店。

そんな環境に身を置けば、

努力しなくても、その当たり前が自分の基準になっていきます。

反対に、

間違った当たり前の中で過ごせば、

気づかないうちに、自分の基準も少しずつ変わってしまいます。

人生は、大きな決断だけで変わるものではありません。

毎日の「これが普通だ」という基準が積み重なって、

十年後の自分をつくっていくのです。

だから私は、

人生とは、「何を当たり前だと思うか」で決まると考えています。

5.だから私は、「石の上にも三年」を勧めない

私は、「石の上にも三年」という言葉が嫌いなわけではありません。

むしろ、その考え方が必要な場面もあると思っています。

何かを身につけるには時間が必要です。

すぐに結果を求めて環境を変え続けても、本当の力は育ちません。

だから私は、

良い石なら、三年でも五年でも座るべきだと思っています。

しかし、問題はその石です。

もし、その石が腐っていたら。

学びがない。

挑戦がない。

尊敬できる人がいない。

考える文化がない。

お客様よりも、自分たちの都合が優先される。

そんな場所に三年間座り続けたら、

身につくのは能力ではありません。

その環境の「当たり前」です。

人生は、

どこで働いたかではなく、

何を身につけたかで決まります。

だから私は、

「とりあえず三年頑張れ」とは言いません。

その三年間が、

あなたの未来を育てる三年間なら、迷わず続けてください。

でも、

昨日と同じ今日を繰り返し、

一年後も何も変わらないことが見えているのなら、

その時間は、人生にとって大きな損失かもしれません。

時間は、お金では買えません。

失った時間は、

どれだけ努力しても取り戻せません。

若さも同じです。

二十代にしかできない挑戦があります。

三十代だからこそ吸収できる経験があります。

人生には、

その時期にしか得られない学びがあります。

だから私は、

人生で最も大切な資産は、お金ではなく時間だと考えています。

時間を何に使うのか。

誰と過ごすのか。

どんな環境で学ぶのか。

その選択こそが、

人生を経営するということなのです。

6.包丁一本で渡り歩け

私は、

会社を大切にするなと言いたいわけではありません。

会社には感謝すべきです。

育ててもらった恩もあるでしょう。

苦しい時期を一緒に乗り越えた仲間もいるでしょう。

だから私は、

会社を軽く考えろとは思いません。

でも、

会社に自分の人生を預けてはいけないと思っています。

会社には寿命があります。

景気も変わります。

経営者も変わります。

店もなくなることがあります。

しかし、

自分の能力だけは、

どこへ行っても自分と一緒です。

昔から料理人は、

「包丁一本で渡り歩け」

と言われてきました。

私は、この言葉が好きです。

包丁一本あれば生きていける、

という意味ではありません。

どこへ行っても通用する腕を身につけろ。

そういう意味だと思っています。

そして私は、

料理だけではなく、

接客も、

経営も、

数字を見る力も、

人を育てる力も、

問題を解決する力も、

すべて同じだと思っています。

能力は、

誰にも奪われません。

会社を辞めても、

店がなくなっても、

景気が悪くなっても、

本当に身につけた能力だけは、

あなたの人生に残り続けます。

だから私は、

会社ではなく、

能力に忠誠を誓ってほしいのです。

能力がある人は、

環境を選べます。

学ぶ店を選べます。

尊敬できる経営者を選べます。

働き方を選べます。

そして、

人生そのものを選べます。

自由とは、

好き勝手に生きることではありません。

能力によって、自分の人生を選択できることです。

だから私は、

「包丁一本で渡り歩け」と言います。

それは転職を勧める言葉ではありません。

どこへ行っても必要とされる人になれ。

という、生き方の話なのです。

7.アール・ド・ヴィーヴル

私は好きな言葉があります。

Art de vivre(アール・ド・ヴィーヴル)。

フランス語で、

「生きる術」

あるいは、

「人生を楽しむ技術」

と訳される言葉です。

私は、この考え方にとても救われました。

人生は、

思い通りにならないことばかりです。

努力しても結果が出ない日があります。

信じた人に裏切られることもあります。

失敗もあります。

別れもあります。

ときには、

砂を噛むような日々が続くこともあります。

だからこそ、

人生は「ただ生きる」だけでは苦しくなる。

私は、

そんな毎日を少しでも豊かにするために、

自分で人生をデザインすることが大切だと思っています。

美味しい料理を食べること。

本を読むこと。

海へ行くこと。

仲間と笑うこと。

新しいことを学ぶこと。

そして、

心から尊敬できる人と働くこと。

それらはすべて、

人生を彩る一つの芸術です。

働く場所も同じです。

毎朝、ため息をつきながら向かう職場なのか。

「今日は何を学べるだろう」と思える職場なのか。

その違いは、

給料以上に人生を変えていきます。

私は、

人生を我慢だけで終わらせてほしくありません。

学び、

挑戦し、

成長し、

笑い、

誰かを幸せにしながら、

自分自身も幸せになる。

そんな人生を歩んでほしい。

それが、

私の考えるArt de vivreです。

そして、

その人生を選ぶためには、

誰かの人生を生きるのではなく、

自分の人生を、自分で経営する覚悟が必要なのだと思っています。

8.会社に忠誠を誓うな。自分の人生に忠誠を誓え。

ここまで読んで、

「会社を大切にしなくていいと言いたいのか。」

そう感じた人もいるかもしれません。

違います。

私は、

会社には感謝すべきだと思っています。

今の自分を育ててくれた場所。

未熟だった自分に仕事を教えてくれた先輩。

失敗を許してくれた上司。

一緒に笑い、一緒に苦しんだ仲間。

そのすべては、人生の財産です。

だから私は、

会社を軽んじるつもりはありません。

しかし、

会社は人生そのものではありません。

人生を豊かにするための、

一つのステージです。

学ぶべきことを学び、

身につけるべき能力を身につけ、

感謝を持って、その時間を全力で生きる。

そして、

その場所で学び切ったのなら、

次の環境へ進むことを恐れる必要はありません。

それは裏切りではありません。

恩知らずでもありません。

自分の人生に責任を持つということです。

会社は、

あなたの人生の責任を取ってくれるわけではありません。

十年後、

二十年後、

どんな人生を歩むのか。

その責任を負うのは、

会社ではなく、あなた自身です。

だから私は、

会社に忠誠を誓う前に、

自分の人生に忠誠を誓ってほしい。

その覚悟を持つ人は、

今いる会社でも本気で学びます。

次の環境へ進むときも感謝を忘れません。

そして、

どこへ行っても必要とされる人へ成長していきます。

人生の主人公は、

会社ではありません。

あなた自身です。

9.まとめ

私は、

飲食店を増やしたいわけではありません。

利益が出続ける飲食店を増やしたい。

それが、RBRを立ち上げた理由です。

しかし、

このブログを書き続ける中で、

一つ確信したことがあります。

利益が出続ける店は、

仕組みだけでは生まれません。

商品だけでもありません。

立地だけでもありません。

人生を経営できる人がいるから、

利益が出続ける店が生まれるのです。

自分で考え、

学び続け、

環境を選び、

能力を磨き、

挑戦を恐れない。

そんな飲食人が増えれば、

飲食業界はもっと魅力ある業界になります。

だから私は、

「包丁一本で渡り歩け」と言います。

それは、

転職を勧めたいからではありません。

どこへ行っても必要とされる人になってほしいからです。

会社に忠誠を誓うな。

自分の人生に忠誠を誓え。

自分の人生は、

誰かに与えられるものではありません。

自分で考え、

自分で選び、

自分で責任を持つものです。

私は、

そんな飲食人を一人でも増やしたい。

それが結果として、

利益が出続ける飲食店を増やし、

飲食業界そのものを、もっと魅力ある業界へ変えていくと信じています。

それが、

私が飲食業界で伝え続けたい、

「人生を経営するということ。」です。

この記事を書いた人 Wrote this article

新田 敏之

新田 敏之 RBR合同会社 統括 / 男性

RBR(Restaurant Business Reform)代表。 鉄板焼きの現場で25年。 これまで数多くの飲食店の立て直しを中心とした経営改善に携わり、売上改善、商品開発、人材育成、オペレーション構築、デリバリー事業の立ち上げなど、現場に入りながら支援を行ってきました。 現在は「ガブ飲み食堂」を運営しながら、主力商品の開発・ソースや商品の卸事業、デリバリーFC事業の展開、そして飲食店の経営改善支援を行っています。 このブログで発信するのは、机上の理論ではありません。 すべて現場で試し、失敗し、改善を繰り返してきた実践知です。 料理だけでは、お店は続きません。 利益が残る仕組み、人が育つ環境、お客様に選ばれ続ける理由。 私は、その「経営」を一人でも多くの飲食人に届けたいと考えています。 飲食店を増やしたいわけではありません。 利益が残る飲食店を、一店舗でも増やしたい。 その想いを胸に、今日も現場で挑戦を続けています。