飲食店の売上が落ちたら、メニューを変える前に原因を疑え。現役経営者が実践する改善の考え方
Restaurant Business Reform または 飲食店経営改善ブログ

1.高槻店のオーナーから相談を受けた

先日、高槻店のオーナーから、ランチ営業について相談を受けました。
高槻店は、オープンから3年を少し過ぎた店舗です。
これまで営業を続けてきましたが、売上は大きく跳ねることなく、月商200万円前後を推移してきました。
決してお客様が全く来ない店ではありません。
ランチタイムには女性のお客様を中心に一定の来店がありますし、店内が賑わう日もあります。
しかし、3年以上営業してきた店舗として考えれば、まだ十分に地域のお客様を取り切れているとは言えません。
特に今年も7月に入ってから、ランチの客数が思ったほど伸びなくなりました。
これは今年だけの話ではありません。
高槻店では、昨年も7月から8月にかけてランチの客数が落ち込み、9月に入ってから再び大きく回復しています。
今年も同じような動きが見え始めたため、オーナーとしては強い不安を感じたのだと思います。
そこで、オーナーから次のような相談を受けました。
以前のランチで人気だった、エビフライを使った定食を復活させた方がいいのではないか。
当時より100円ほど値上げして販売すれば、もう一度ランチ客を呼び戻せるのではないか。
さらに、もう一つの案として出てきたのが、
夏限定で「大人のドリンクバー」を復活させるべきではないか。
という提案でした。
高槻店では以前、「大人のドリンクバー」と呼んでいた飲み放題を、店の大きな売りとして営業していました。
ランチでは、ハラミとエビフライの定食に、ご飯と味噌汁のおかわり自由、さらにドリンクバーを付け、分かりやすいお得感でお客様を集める。
夜は、大人のドリンクバーを前面に押し出し、客単価の高い宴会や飲み会需要を取りにいく。
ランチで店を知ってもらい、夜の飲み放題につなげていく。
当時は、そうした考え方で営業していました。
しかし、実際には夜の宴会需要が期待したほど伸びませんでした。
一時的にお客様が増えた時期もありましたが、飲み放題を目当てにした一部のお客様の飲み方が荒くなり、店内の客層まで崩れていきました。
大声で騒ぐ。
必要以上に酒を飲む。
周囲のお客様への配慮を失う。
そんなお客様が目立つようになり、落ち着いて食事を楽しみたいお客様が、同じ時間帯に居づらい店になってしまったのです。
売上を作るために始めた飲み放題が、別のお客様を遠ざける原因になっていました。
しかも、それだけの状態になりながら、売上が大きく伸びたわけでもありません。
結果として高槻店は、客数を大きく増やすことができず、月商200万円前後を行き来する店舗になりました。
その後、営業開始から約1年半が経った頃、私は高槻店のオーナーに方向転換を提案しました。
まず、大人のドリンクバーの価格を、周辺の飲食店と比べても安すぎない水準まで大幅に引き上げること。
安さだけを目的に来店するお客様を集めるのではなく、本当に店を利用してほしいお客様に選ばれる価格に変えることです。
そしてランチメニューについても、以前のハラミやエビフライを中心とした構成から、枚方店で実績が出ていたハンバーグやトンテキを主力に据えたメニューへ変更するように勧めました。
利益率を改善しながら、店として何を食べてもらいたいのかを明確にするためです。
実際、この変更によってランチもディナーも客数は増えました。
つまり、メニュー変更そのものは失敗ではありません。
むしろ、客層を立て直し、食事を目的に来店するお客様を増やすという意味では、一定の成果が出ていました。
それでも、今年も7月に入ってからランチ客が思ったほど伸びない。
そこでオーナーは、
「以前人気だった商品を戻せば、お客様も戻ってくるのではないか」
「夏だけでも飲み放題を復活させれば、売上を作れるのではないか」
と考えたわけです。
売上が落ちた時に、過去に売れた商品を思い出す。
以前お客様が集まった施策を、もう一度試したくなる。
この気持ちは、飲食店を経営している人ならよく分かると思います。
数字が落ちると、何かをすぐに変えたくなります。
新しい商品を投入する。
昔の人気商品を復活させる。
値引きをする。
クーポンを配る。
飲み放題を始める。
目に見える施策を打てば、何かが変わるような気がします。
しかし、私はこの相談を受けた時、すぐに商品を戻すべきだとは考えませんでした。
なぜなら、エビフライの定食がなくなったことが、本当に7月の客数減少の原因なのか。
大人のドリンクバーをやめたことが、本当に売上低迷の原因なのか。
そこが何も分かっていなかったからです。
以前人気だった商品を復活させれば、本当に客数は戻るのでしょうか。
一度客層を荒らした飲み放題を復活させれば、本当に店は良くなるのでしょうか。
それとも、7月になると客数が落ちる原因は、商品とはまったく別のところにあるのでしょうか。
もし、あなたが高槻店の経営者なら、どのように判断するでしょうか。
エビフライの人気メニューを復活させますか。
夏限定で大人のドリンクバーを復活させますか。
それとも、商品を変える前に、なぜ今年も7月からお客様が減ったのか、その原因を調べますか。
私は、まず原因を考えるべきだと判断しました。
2.私はその提案に反対した

私は、その場でオーナーにこう伝えました。
「私は、その二つとも今はやるべきではないと思います。」
もちろん、エビフライが悪い商品だと言っているわけではありません。
大人のドリンクバーという企画自体を否定しているわけでもありません。
問題は、その施策が本当に今の売上低迷の原因を解決できるのかが分からないということです。
飲食店を経営していると、売上が落ち始めた瞬間に、多くの経営者が同じ行動を取ります。
新商品を作る。
昔売れていた商品を復活させる。
値引きを始める。
クーポンを配る。
飲み放題を始める。
つまり、
「売上が落ちたから、商品を変えよう。」
という発想です。
しかし、私はこの考え方をとても危険だと思っています。
なぜなら、
「売上が落ちた」というのは結果であって、原因ではないからです。
例えば、人が風邪をひいて熱を出したとします。
熱が出たという事実だけを見て薬を飲んでも、原因がインフルエンザなのか、コロナなのか、ただの風邪なのか分からなければ、本当の治療にはなりません。
飲食店も同じです。
売上が落ちた。
客数が減った。
これは症状です。
本当に知るべきなのは、
「なぜ、その症状が起きたのか。」
という原因です。
もし原因が、
「商品に飽きられたこと」
なら、商品を変えることが正解かもしれません。
しかし、
「店内が暑くて居心地が悪い」
ことが原因なら、メニューを変えても意味はありません。
「夏休みに入り、女性客の行動が変わった」
ことが原因なら、新商品を出しても根本的な解決にはなりません。
「店のイメージが飲み屋のまま」
ということが原因なら、エビフライを復活させても何も変わらないでしょう。
つまり、
原因が分からないまま改善を始めるということは、暗闇の中で矢を放つようなものなのです。
偶然当たることはあるかもしれません。
しかし、それは再現性のある経営ではありません。
私は経営者として、
「何をするか」
よりも、
「なぜそうなったのか」
を考えることの方が、何倍も重要だと思っています。
だから私は、オーナーにこう伝えました。
「エビフライを復活させるかどうかを考える前に、まず今年も7月に客数が落ちた理由を一緒に考えましょう。」
改善とは、思いつきで行うものではありません。
現象を見て、
仮説を立て、
検証し、
その結果に合わせて手を打つ。
この順番を間違えると、一時的に売上が動いたとしても、また同じ問題を繰り返します。
私はこれまで、何度もその失敗を見てきました。
だからこそ、商品を変える前に、まず原因を疑う。
これが、私が飲食店経営で最も大切にしている考え方の一つです。
3.本当に商品が悪かったのか?

私は、オーナーに一つ質問しました。
「本当に、今のお客様が減った原因はメニューだと思いますか?」
実は、高槻店は何も改善をしてこなかった店ではありません。
むしろ、この1年半で大きな方向転換をしています。
以前の高槻店は、「大人のドリンクバー」を前面に打ち出し、お酒を楽しむお客様を集める営業をしていました。
ランチではハラミとエビフライの定食を中心に、お得感を武器に集客する。
夜は飲み放題で宴会需要を取りに行く。
そんな営業スタイルでした。
しかし、その結果どうなったかというと、売上は大きく伸びませんでした。
さらに、一部の飲み放題客によって客層が荒れ、ゆっくり食事を楽しみたいお客様が離れていくという問題まで起きてしまいました。
そこで私は、高槻店の方向性を見直すことを提案しました。
まず、大人のドリンクバーは大幅に値上げしました。
安さだけを目的に来店するお客様ではなく、「この店だから利用したい」と思っていただけるお客様に選ばれる店へ変えていくためです。
そしてランチメニューも大きく変更しました。
枚方店で実績を出していた、
・牛100%ハンバーグ
・トンテキ
を中心とした構成へ切り替えました。
単純に利益率を改善するだけではありません。
「高槻店は何が強みの店なのか。」
それを、お客様にもっと分かりやすく伝えるための変更でもありました。
そして、この変更は結果として成功しています。
ランチの客数は以前より増えました。
夜の来店も改善しました。
つまり、お客様は新しいメニューを受け入れてくださったのです。
もし本当に商品が悪かったのであれば、このような変化は起きません。
だから私は、
「今、7月に客数が伸びない原因は、商品ではない。」
と考えました。
ここで重要なのは、
「商品が売れない」と「客数が減る」は、必ずしも同じ原因ではない。
ということです。
例えば、商品に魅力がなければ、一年を通して苦戦するはずです。
しかし高槻店は、
ランチもディナーも改善し、
一定の成果が出ていました。
それにもかかわらず、
毎年7月から8月だけ客数が落ちる。
そして9月になると回復する。
この動きを見れば、
商品そのものよりも、
「季節によって来店するお客様の行動が変わっているのではないか。」
という仮説の方が自然ではないでしょうか。
売上が落ちると、
人はどうしても目の前の商品を疑いたくなります。
しかし私は、
商品改革によって客数が増えたという事実を見ていました。
だからこそ、
過去に人気だったエビフライを復活させても、この問題は解決しないと考えたのです。
経営では、
「何を変えるか」よりも、
「何が原因なのか」を見極めることの方が、はるかに重要です。
商品改革は、すでに一定の成果を出していました。
だから次に考えるべきなのは、
商品ではなく、
「なぜ7月になると、お客様の足が遠のくのか。」
その原因を探ることでした。
4.私は去年の数字を見た

私はオーナーに、すぐ商品を変える話はしませんでした。
まず最初にやったことは、
去年の数字を見返すことです。
私は経営の中で、一つ大切にしている考え方があります。
それは、
「数字は嘘をつかない。」
ということです。
もちろん、数字だけを見ても経営はできません。
しかし、自分の思い込みよりは、数字の方がずっと信用できます。
だから私は、
「今年7月の売上が落ちている。」
という事実だけを見るのではなく、
「去年の7月はどうだったのか。」
を確認しました。
すると、面白いことが分かりました。
去年も同じように、
7月からランチ客が減り始め、
8月も苦戦し、
そして9月になると、客数が大きく回復していたのです。
つまり、
今年だけ起きた現象ではありませんでした。
同じ店で、
同じような時期に、
同じような落ち込み方をしている。
この時点で私は、
「これは商品の問題だけではない。」
そう考えました。
もしハンバーグやトンテキに飽きられているのであれば、
7月だけではなく、
5月も6月も苦戦しているはずです。
あるいは、
9月になったからといって急に回復する説明がつきません。
しかし実際には、
毎年ほぼ同じタイミングで落ち込み、
同じタイミングで戻っている。
この動きには、
季節的な要因が関係している可能性があります。
ここで大切なのは、
私はまだ何も断定していないということです。
「夏だから仕方ない。」
そんな結論を出したわけではありません。
あくまでも、
「商品ではなく、季節に原因があるのではないか。」
という仮説を立てただけです。
経営で重要なのは、
最初から答えを決めつけることではありません。
現象を見て、
仮説を立て、
その仮説を一つずつ検証していくことです。
だから私は、
「エビフライを復活させよう。」
ではなく、
「なぜ毎年7月になると客数が落ちるのか。」
という問いを立てることから始めました。
売上が落ちるたびに新商品を出すことは、誰でもできます。
しかし、本当に利益が出続ける飲食店を作る経営者は、
目の前の数字だけではなく、
過去の数字との共通点を探し、そこから原因を考える。
私は、その考え方の方が何倍も大切だと思っています。
5.原因は一つではない

去年と今年の数字を見比べた私は、
「商品が原因ではない。」
というところまでは見えてきました。
しかし、ここからが経営の難しいところです。
原因が分からないからといって、
「夏だから。」
の一言で片付けてしまえば、改善はできません。
私はいつも、
一つの原因を決めつけるのではなく、
考えられる可能性を一つずつ洗い出します。
今回、高槻店で私が考えた仮説は主に四つありました。
① 冷房が弱く、店内が快適ではない
まず一番に考えたのが、
店内環境です。
高槻店は昨年も、
「店内が暑い。」
という課題がありました。
そして今年も、その問題は十分に改善できていません。
真夏のお客様は、
料理を食べるためだけに来店しているわけではありません。
外の暑さから解放され、
涼しく快適な空間で食事をしたい。
そんな気持ちで店を選んでいます。
もし入店した瞬間、
「ちょっと暑いな。」
と思われてしまえば、
料理を食べる前に満足度は下がってしまいます。
飲食店は料理だけで評価される場所ではありません。
空調も、立派な商品なのです。
② 女性客は夏休みに行動が変わる
高槻店のランチは、
女性のお客様が非常に多い店舗です。
これは普段の客層を見ても明らかです。
しかし7月後半になると、
学校は夏休みに入ります。
すると、
普段一人でランチを楽しんでいたお母さんが、
子どもと一緒に過ごす時間へと生活が変わります。
友人同士でランチへ行く回数も減ります。
つまり、
お客様が店を嫌いになったわけではなく、生活リズムそのものが変わる。
そんな可能性があります。
もしこれが原因なら、
メニューを変えても解決しません。
③ 子ども連れが来店しにくい
ここで私は、
さらに一歩踏み込んで考えました。
もし女性のお客様が子どもと一緒なら、
その子どもを連れて高槻店へ来るでしょうか。
正直に言うと、
私は「来にくい」と感じました。
高槻店は以前、
飲み放題を前面に押し出した営業をしていました。
もちろん現在は方向転換しています。
しかし、
お客様の記憶はそんなに簡単には変わりません。
「夜はお酒を飲む店。」
「居酒屋。」
そんな印象を持っている方も少なくないでしょう。
実際、店内を見ても、
小さなお子様連れのお客様はほとんど見かけません。
つまり、
夏休みになって女性客の来店が減ったとしても、
その代わりにファミリー層を取り込めていない。
そんな可能性も考えました。
④ 居酒屋のイメージが残っている
これは③ともつながる話です。
飲食店は、
メニューだけで選ばれるわけではありません。
「この店はどんな店なのか。」
そのイメージで選ばれています。
高槻駅周辺には、
居酒屋が数多くあります。
その中で、
高槻店も以前は飲み放題を前面に出していました。
だからこそ、
今は定食に力を入れていても、
地域のお客様の頭の中では、
まだ
「飲みに行く店」
というイメージが残っている可能性があります。
もしそうであれば、
ファミリー層は自然と候補から外れてしまいます。
ここまで考えて私は、
あることに気付きました。
今回の問題は、
ハンバーグでも、
トンテキでも、
エビフライでもありません。
もっと根本にあるのは、
「なぜお客様がこの店へ来るのか。」
という来店理由です。
以前は、
飲み放題が来店理由だった。
今は、
定食がおいしい店へ変わろうとしている。
しかし、
夏休みになり、
女性客の生活が変わると、
その来店理由だけでは客数を維持できなくなる。
つまり、
変えるべきなのは商品ではなく、
「誰に、どんな理由で選ばれる店になるのか。」
という店の存在理由なのではないか。
私は、そう考えました。
飲食店の経営では、
目の前の商品ばかりに目が向きがちです。
しかし本当に考えるべきなのは、
商品が変わったかではなく、お客様の「来店理由」が変わってしまっていないか。
私は、そこにこそ今回の問題の本質があると考えています。
6.だから私はメニューではなく、店の役割を変える

ここまで考えた結果、私はオーナーにこう伝えました。
「私は、エビフライを復活させることよりも、店の役割を変えることの方が重要だと思います。」
高槻駅周辺には、居酒屋が数え切れないほどあります。
飲み放題をやっている店もたくさんあります。
価格の安さを売りにしている店もあります。
つまり、
「お酒を飲む店」
という市場は、すでに十分すぎるほど競争が激しいのです。
そんな中で、
「うちも飲み放題を復活させよう。」
「うちも安くしよう。」
という戦い方をしても、結局は価格競争に巻き込まれてしまいます。
しかも、高槻店は一度その戦いを経験しています。
飲み放題を前面に押し出した結果、一部のお客様の飲み方が荒くなり、落ち着いて食事を楽しみたいお客様が離れていきました。
私は、あの状態に戻るべきではないと思っています。
だから、私が考えたのは逆の発想でした。
「酒飲みを奪い合うのをやめよう。」
その代わりに、
高槻駅周辺では意外と少ない存在になる。
それが、
「家族で安心して食事ができる定食屋」
という役割です。
高槻店には、その可能性があります。
現在の主力商品であるハンバーグやトンテキは、お酒を飲むための料理ではありません。
子どもから大人まで楽しめる食事です。
店内も明るく、テーブル席が中心で、女性のお客様も多い。
店の土台は、すでに「食事を楽しむ店」へ変わり始めています。
だから私は、この方向性をもっと徹底すべきだと考えました。
例えば、
「子ども連れでも入りやすい。」
「安心してゆっくり食事ができる。」
「家族で定食を食べに行くならここ。」
そんなイメージを地域のお客様に持っていただくことです。
夏休みに入り、普段ランチへ来ていた女性のお客様が子どもと一緒に行動するようになるのであれば、
その子どもも一緒に連れて来てもらえる店になる。
そうすれば、
失った女性客を、家族という新しい来店理由で補うことができます。
もちろん、これも現時点では仮説です。
実際に取り組んでみなければ結果は分かりません。
しかし、少なくとも私は、
過去に戻る改善よりも、
未来へ進む改善を選びたいと思っています。
エビフライを復活させることは、過去の成功体験をもう一度試すことです。
しかし、
「家族で安心して食事ができる定食屋」
というポジションを作ることは、新しい価値を市場に作ることです。
私は経営者として、
売上が落ちた時ほど、
過去に戻るのではなく、
「これから、この店は誰に必要とされる店になるのか。」
そこを考えるべきだと思っています。
飲食店が売っているのは、料理だけではありません。
店の役割そのものが、お客様に選ばれる理由になる。
私は、高槻店にはその役割を、「飲み屋」ではなく「家族が安心して食事を楽しめる定食屋」として築いていってほしいと考えています。
7.改善とは、仮説を検証すること

今回、高槻店の話を書いてきましたが、私が本当に伝えたいのは、高槻店のことではありません。
伝えたいのは、
「改善とは何か。」
という考え方です。
飲食店では売上が落ちると、多くの経営者がすぐに行動を起こします。
新商品を作る。
値引きをする。
クーポンを配る。
人気商品を復活させる。
もちろん、行動すること自体は悪いことではありません。
しかし、その行動が、
「思いつき」
であれば、改善とは呼べないと私は思っています。
改善とは、
感覚で行うものではありません。
まず数字を見る。
去年はどうだったのか。
今年だけ起きたことなのか。
毎年起きていることなのか。
そこを確認します。
次に、季節を見ます。
気温はどうか。
夏休みは始まったのか。
周辺の人の動きは変わっていないか。
生活スタイルに変化はないか。
さらに客層を見ます。
どんなお客様が来なくなったのか。
女性なのか。
会社員なのか。
家族連れなのか。
新規なのか。
常連なのか。
そうやって、一つひとつ事実を集めていきます。
そして初めて、
「もしかすると、これが原因ではないか。」
という仮説を立てます。
今回の高槻店で言えば、
冷房の問題かもしれない。
女性客の行動が変わったのかもしれない。
夏休みで子ども連れの動きが変わったのかもしれない。
居酒屋というイメージが残っているのかもしれない。
どれも、まだ答えではありません。
あくまでも仮説です。
だから次は、その仮説を検証します。
例えば冷房が原因だと思うなら、店内環境を改善して数字がどう変わるかを見る。
ファミリー需要があると思うなら、子ども連れが安心して利用できる店づくりを進め、その結果を確認する。
改善とは、
一回で正解を当てるゲームではありません。
仮説を立て、実行し、結果を見て、また修正する。
この繰り返しです。
私はこれまで何店舗も改善に携わってきましたが、一度で答えが見つかったことはほとんどありません。
だからこそ、
経営者に必要なのは、
「ひらめき」
ではなく、
考え続ける力です。
思いつきで店を変えるのではなく、
数字から現場を読み解き、
お客様の行動を考え、
仮説を立て、
その仮説を検証していく。
私は、その積み重ねこそが、
利益が出続ける飲食店をつくる、一番確実な方法だと信じています。
8.まとめ

飲食店を経営していると、売上が落ちた瞬間に不安になります。
私も何度も経験してきました。
だからこそ、
「新商品を作ろう。」
「昔売れていた商品を戻そう。」
そんな考えが頭に浮かぶ気持ちはよく分かります。
しかし、その一歩を踏み出す前に、私は必ず自分へ問いかけます。
「本当に商品が原因なのか。」
もし原因が別のところにあるのなら、
どれだけ新商品を作っても、
どれだけ人気メニューを復活させても、
根本的な解決にはなりません。
今回の高槻店でも、
最初に考えるべきだったのはエビフライではありませんでした。
大人のドリンクバーでもありませんでした。
去年の数字を見返し、
季節の変化を考え、
客層の変化を考え、
地域の中で店がどんな存在として認識されているのかを考える。
その結果、
私がたどり着いた答えは、
「商品を変えること」ではなく、「店の役割を見直すこと」でした。
もちろん、この考え方が100%正しいとはまだ言えません。
これから実際に取り組み、
結果を見て、
また改善を繰り返していきます。
経営に絶対の正解はありません。
だから私は、
「こうすれば必ず成功する。」
とは言いません。
その代わり、
「こう考えれば、成功する可能性は高くなる。」
という考え方を伝えたいと思っています。
改善とは、
思いつきでメニューを変えることではありません。
数字を見る。
去年を見る。
季節を見る。
客層を見る。
地域を見る。
そして、
「なぜ、お客様はこの店へ来なくなったのか。」
という問いに向き合うことです。
私はこれからも、
現場で起きた出来事を隠さず発信し、
仮説を立て、
検証し、
失敗したらまた改善する。
その積み重ねを通して、
利益が出続ける飲食店を一店舗でも多く増やしたい。
それが、私がこのブログを書き続ける理由です。
この記事を書いた人 Wrote this article
新田 敏之 RBR合同会社 統括 / 男性
RBR(Restaurant Business Reform)代表。 鉄板焼きの現場で25年。 これまで数多くの飲食店の立て直しを中心とした経営改善に携わり、売上改善、商品開発、人材育成、オペレーション構築、デリバリー事業の立ち上げなど、現場に入りながら支援を行ってきました。 現在は「ガブ飲み食堂」を運営しながら、主力商品の開発・ソースや商品の卸事業、デリバリーFC事業の展開、そして飲食店の経営改善支援を行っています。 このブログで発信するのは、机上の理論ではありません。 すべて現場で試し、失敗し、改善を繰り返してきた実践知です。 料理だけでは、お店は続きません。 利益が残る仕組み、人が育つ環境、お客様に選ばれ続ける理由。 私は、その「経営」を一人でも多くの飲食人に届けたいと考えています。 飲食店を増やしたいわけではありません。 利益が残る飲食店を、一店舗でも増やしたい。 その想いを胸に、今日も現場で挑戦を続けています。