
売上=客数×客単価×来店頻度。感覚ではなく数字で考える飲食店経営
1.はじめに
売上が悪いと、すぐに「集客しよう」と考えてしまう

飲食店を経営していると、売上が思うように上がらない時期があります。
昨日より来店客が少ない。
前年と比べて売上が下がっている。
平日の夜だけ、なかなか席が埋まらない。
このような状況になると、多くの経営者が最初に考えるのが「もっと集客しなければならない」ということではないでしょうか。
そこで、InstagramやGoogleに広告を出したり、LINEでクーポンを配ったり、期間限定の値下げを始めたりします。
新しいお客様に興味を持ってもらうために、新メニューを増やすこともあります。SNSの投稿回数を増やし、毎日のように料理の写真やキャンペーン情報を発信することもあるでしょう。
もちろん、これらの施策が間違っているわけではありません。
広告も、クーポンも、新メニューも、正しく使えば売上改善につながる有効な手段です。
しかし、売上が落ちている原因を確認しないまま施策を始めてしまうと、期待したほどの効果が出ないことがあります。
たとえば、本当の原因が「一度来店したお客様が二度目につながっていないこと」だったとします。
その状態で新規集客の広告を増やせば、新しいお客様は一時的に増えるかもしれません。しかし、そのお客様も再来店しなければ、広告を止めた途端に客数は元に戻ってしまいます。
また、客数には問題がなく、客単価が下がっていることが原因かもしれません。
その場合、必要なのは新規客を増やす広告ではなく、メニュー構成や追加注文の導線を見直すことです。
あるいは、売上そのものは十分にあるのに、値引きや原価、人件費、広告費が増えたことで、利益だけが残っていない可能性もあります。
この状態を「売上が悪い」と捉えて、さらにクーポンや値下げを増やしてしまえば、忙しくなっているのに利益は減るという状況にもなりかねません。
売上が下がったときに、思いついた施策をすぐ実行する行動力は大切です。
ただし、原因を特定しないまま施策を増やしていくと、広告費や食材原価、現場の作業負担だけが増えてしまいます。
新メニューを増やせば、仕込みや在庫管理が増えます。
クーポンを配れば、値引きによって利益率が下がります。
広告を増やせば、当然ながら広告費が発生します。
SNSの更新を増やせば、そのための時間や人手も必要です。
一つひとつの施策には、必ず費用や負担が伴います。
だからこそ、売上が悪いと感じたときに、最初にやるべきことは「新しい施策を考えること」ではありません。
まず確認するべきなのは、なぜ売上が落ちているのかを分解することです。
✅客数が減っているのか。
✅客単価が下がっているのか。
✅リピーターが減っているのか。
✅特定の曜日や時間帯だけが弱いのか。
✅売上はあるものの、利益が残っていないのか。
原因によって、必要な対策はまったく違います。
売上改善とは、広告やキャンペーンを次々に追加することではありません。
現在の数字を確認し、問題が起きている場所を見つけ、そこに合った施策を一つずつ実行することです。
まずは「集客しなければ」と考える前に、今のお店の売上がどこで落ちているのかを冷静に整理する。
それが、飲食店の売上改善における最初の一歩です。
2.飲食店の売上は分解して考える

飲食店の売上改善を考えるうえで、最初に理解しておきたいことがあります。
それは、売上は一つの数字ではなく、いくつかの要素が組み合わさってできているということです。
多くの経営者は、「今月の売上は500万円だった」「去年より30万円下がった」と、売上という結果だけを見てしまいがちです。
しかし、その数字だけを見ても、何が原因なのかは分かりません。
まずは、売上を分解して考えることが重要です。
飲食店経営で最も基本となる考え方は、
売上 = 客数 × 客単価
という式です。
つまり、売上を増やす方法は大きく分けると二つしかありません。
一つは、お客様の数を増やすこと。
もう一つは、一人あたりの利用金額(客単価)を上げることです。
ただし、実際の店舗経営では、この式だけでは十分ではありません。
なぜなら、客数の中には「初めて来店したお客様」と「何度も来店してくださるお客様」が含まれているからです。
私自身は、現場では次のように考えるようにしています。
売上 = 新規客 + リピーター客 × 来店頻度 × 客単価
この考え方にすると、「客数が減っている」という漠然とした問題が、より具体的に見えてきます。
例えば、新規のお客様は増えているのに、二度目の来店につながっていないのかもしれません。
逆に、新規客は少なくても、常連のお客様が毎月来店してくださることで売上が安定している店舗もあります。
どちらの状態なのかによって、打つべき施策はまったく変わります。
そのため、売上改善を行う際には、売上だけを見るのではなく、次のような数字を確認することが大切です。
- 来店客数
- 新規客数
- リピーター数
- 客単価
- 来店頻度
- 時間帯別売上
- 曜日別売上
- 店内売上
- デリバリー売上
例えば、「店内の売上が落ちている」と感じても、デリバリーは順調に伸びているかもしれません。
平日の夜だけ弱いのか、土日のランチだけ弱いのかでも、必要な対策は変わります。
客数は十分なのに客単価が低いのであれば、追加注文やセット商品の提案を見直すべきでしょう。
反対に、客単価は維持できているのに客数が減っているのであれば、認知度や集客方法、リピーター対策を改善する必要があります。
つまり、「売上が悪い」という一つの結果だけを見て判断してはいけません。
売上を細かく分解し、どの数字に問題があるのかを把握して初めて、本当に効果のある改善策を考えることができます。
飲食店経営は感覚だけで判断するものではありません。
数字を分解し、原因を見つけ、一つずつ改善していく。
それが、安定して利益を残し続ける飲食店づくりの第一歩だと私は考えています。
3.客数が少ないのか、客単価が低いのかを分ける

「今月は売上が100万円足りなかった。」
飲食店を経営していると、このように結果だけを見てしまうことがあります。
しかし、同じ100万円の売上不足でも、その原因はお店によってまったく違います。
原因を間違えてしまえば、どれだけ努力をしても期待した成果は得られません。
売上改善を考える際は、まず「何が原因で売上が足りていないのか」を整理することが重要です。
私は、大きく分けると次の3つのパターンがあると考えています。
パターンA 客数が減っている
客数が減っている場合は、「お店を知ってもらえていない」「来店する理由が伝わっていない」可能性があります。
例えば、
- お店の認知度が低い
- Googleや食べログの情報が充実していない
- 写真の魅力が弱く、料理のおいしさが伝わらない
- お店の強みや特徴が分かりにくい
- リピーターが減り、再来店につながっていない
こうした状況であれば、広告やSNSだけでなく、Googleビジネスプロフィールや食べログ、ホームページなど、お客様が来店前に見る情報を見直すことが重要になります。
まずは「行ってみたい」と思ってもらえる状態をつくることが必要です。
パターンB 客数は変わらないが客単価が低い
客数に大きな変化がないにもかかわらず売上が伸びない場合は、客単価に原因があることが少なくありません。
例えば、
- ドリンクの注文率が低い
- サイドメニューや追加注文が少ない
- セット商品の魅力が伝わっていない
- 高単価商品の価値がお客様に伝わっていない
- メニュー表が分かりにくく、おすすめ商品が選ばれていない
このような場合、新規集客を増やすよりも、一人のお客様からいただく売上を見直した方が、大きな改善につながることがあります。
例えば、魅力的なセットメニューを用意したり、写真や説明文を改善したりするだけで、客数を増やさなくても売上が伸びるケースは珍しくありません。
パターンC 売上はあるが利益が残らない
意外と見落とされがちなのが、このパターンです。
売上は前年より伸びているのに、手元にお金が残らない。
これは利益構造に問題がある可能性があります。
原因としては、
- 値引きやクーポンを配りすぎている
- 原価率が高すぎる
- 人件費が適正以上にかかっている
- 広告費を使いすぎている
- デリバリーの手数料を考慮せず販売している
などが考えられます。
飲食店経営で最終的に残したいのは、売上ではなく利益です。
売上が100万円増えても、それ以上に原価や人件費、広告費が増えてしまえば、経営は楽になりません。
だからこそ、「売上が悪い」と感じたときは、まず客数なのか、客単価なのか、それとも利益構造なのかを切り分けることが大切です。
原因が分かれば、打つべき施策も自然と見えてきます。
集客を強化するべきなのか。
追加注文を増やすべきなのか。
利益率を改善するべきなのか。
この順番を間違えないことが、効率よく売上を伸ばし、利益を残すための第一歩だと私は考えています。
4.新規客より先に、リピーターが来ているかを見る

売上を伸ばそうと考えたとき、多くの飲食店が最初に取り組むのは新規集客です。
広告を出したり、SNSで発信したり、ポータルサイトの掲載内容を充実させたりと、新しいお客様を増やすための施策は数多くあります。
もちろん、新規のお客様を増やすことは非常に重要です。
しかし、新規集客には必ずコストがかかります。
広告費、クーポンの割引、キャンペーンの原価、SNS運用にかかる時間など、お客様を一人獲得するためには、多くの費用や労力が必要になります。
だからこそ、新規集客と同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのがリピーターを増やすことです。
一度来店してくださったお客様は、お店の雰囲気や料理、サービスをすでに体験しています。
そのお客様が再び来店してくださるのであれば、新規のお客様を一人集めるよりも少ないコストで売上につながる可能性があります。
そのため、私は売上改善を考える際、新規客数だけではなく、次のような数字を確認するようにしています。
- 初回来店のお客様が、2回目の来店につながっているか
- 2回目のお客様が、3回目の来店につながっているか
- 前回の来店から何日空いているのか
- クーポンを利用したお客様は再来店しているのか
- LINEに登録したお客様は実際に来店しているのか
これらの数字を見ることで、「集客はできているが定着していない」のか、「常連のお客様が増えている」のかが見えてきます。
ガブ飲み食堂でも、この考え方をもとにリピーター対策を設計しています。
例えば、初回来店のお客様には、次回来店で利用できる500円OFFクーポンをお渡ししています。
さらに、2回目・3回目にご来店いただいたお客様には、通常の白ごはんを海鮮ミニ丼へ無料で変更できるクーポンを配布しています。
ここで重要なのは、単純にクーポンを配っているわけではないということです。
これらのクーポンは、17時以降限定で利用できるように設計しています。
その理由は、ガブ飲み食堂ではランチタイムよりもディナータイムの集客強化が課題だったからです。
もし終日利用できるクーポンにしてしまえば、お客様はもともと来店していたランチで使う可能性があります。
それでは新しい売上は生まれません。
一方、利用時間を夜に限定することで、「今日は夜に行こう」という来店動機をつくることができます。
つまり、私たちが本当に狙っているのはクーポンの配布ではありません。
弱い時間帯へお客様を誘導し、再来店のきっかけをつくることです。
クーポンは、ただ配れば効果が出るものではありません。
「誰に」「いつ」「何を目的に」使ってもらうのか。
そこまで設計して初めて、売上改善につながる施策になります。
リピーター対策とは、お客様に値引きをすることではありません。
お客様にもう一度来店する理由をつくり、その来店をお店が強化したい曜日や時間帯へ結びつけること。
それが、利益を残しながら売上を伸ばすためのリピーター戦略だと考えています。
5.売上改善は「弱い時間帯」を見つける

売上を分析するとき、「今日は20万円売れた」「今月は500万円だった」という1日や1か月の合計売上だけを見てしまうことがあります。
もちろん、全体の売上を把握することは大切です。
しかし、その数字だけでは、どこに問題があるのかまでは見えてきません。
例えば、1日の売上が20万円だったとしても、
- ランチは大盛況だったのか。
- ディナーが伸びなかったのか。
- 夕方だけお客様が来なかったのか。
これらは、売上を細かく分けて見なければ分かりません。
そのため、私は売上を分析するとき、次のような区分で確認することをおすすめしています。
- 平日と土日
- ランチとディナー
- 11時〜14時
- 14時〜17時
- 17時〜20時
- 20時〜22時
ここまで分解すると、お店ごとの特徴が見えてきます。
例えば、
「ランチは毎日安定しているが、17時までのアイドルタイムはほとんどお客様が来ない。」
「平日は弱いが、土日は家族連れで満席になる。」
「夜は宴会予約が入る日は強いが、通常営業だけの日は売上が伸びない。」
「雨の日は店内のお客様は減るものの、デリバリーの注文は大きく伸びる。」
このように、お店には必ず売上の波があります。
その波を把握せずに、「売上が悪いから広告を出そう」と考えてしまうと、本当に改善したい時間帯ではないところに費用を使ってしまう可能性があります。
例えば、ランチタイムがすでに満席に近いのであれば、さらにランチの集客を増やしても、売上はそれほど伸びません。
一方で、17時から19時の来店が少ないのであれば、その時間帯に来店していただける仕組みを考えた方が、売上改善につながる可能性があります。
ガブ飲み食堂でも、この考え方を大切にしています。
リピーター向けクーポンを17時以降限定にしているのも、その時間帯の来店を増やしたいという目的があるからです。
ただクーポンを配るのではなく、「どの時間帯を強くしたいのか」を明確にしたうえで施策を設計しています。
また、雨の日はデリバリー需要が高まる傾向があるため、天候によって広告や販促を調整することもあります。
つまり、同じ売上改善でも、
「いつ売上を伸ばしたいのか」
を明確にすることで、打つべき施策は大きく変わります。
飲食店経営では、売上全体を見ることも大切ですが、それ以上に弱い曜日や時間帯を見つけ、その時間帯に合わせた対策を考えることが重要です。
売上改善とは、すべての時間帯を伸ばそうとすることではありません。
まずはお店の弱点を把握し、その弱点を一つずつ改善していくことが、安定した売上につながる近道なのです。
6.客数を増やす前に、店の魅力が伝わっているか確認する

「広告を出したのに、お客様が思ったほど増えなかった。」
これは飲食店でよくある悩みの一つです。
しかし、その原因は広告の内容ではなく、お店の魅力がお客様に十分伝わっていないことかもしれません。
どれだけ広告を出して多くの人に見てもらっても、「この店に行ってみたい」と思ってもらえなければ来店にはつながりません。
集客とは、お客様を無理に連れてくることではなく、お店の魅力を正しく伝え、来店する理由をつくることです。
だから私は、広告費を増やす前に、まず「自分のお店の強みがきちんと伝わっているか」を確認するようにしています。
例えば、ガブ飲み食堂には次のような特徴があります。
- 牛100%ハンバーグ
- ごはん・味噌汁おかわり自由
- ランチタイムはドリンク1杯無料
- ごはんを海鮮ミニ丼へ変更可能
- 全68席のゆったりした店内
- 駐車場完備
- 11時から22時までの通し営業
- 時間を気にせずゆっくり過ごせる空間
これらは、私たちにとっては当たり前のことです。
しかし、お客様は来店する前に店内を見ることも、料理を食べることもできません。
お客様が判断材料にするのは、Googleビジネスプロフィール、食べログ、Instagram、ホームページなど、インターネット上に掲載されている情報です。
もしGoogleには「牛100%ハンバーグ」と書かれているのに、Instagramでは紹介されていない。
ホームページには「ごはん・味噌汁おかわり自由」が書かれているのに、食べログには載っていない。
営業時間やサービス内容が媒体ごとに違っている。
このような状態では、お客様はお店の本当の魅力を十分に理解することができません。
情報が統一されていないことは、お客様にとって「分かりにくいお店」になってしまいます。
逆に、どの媒体を見ても同じ強みが伝わっていれば、お客様の印象は強くなります。
「牛100%ハンバーグのお店なんだ。」
「ごはんも味噌汁もおかわり自由なんだ。」
「駐車場があるから家族でも行きやすそう。」
「通し営業だから遅めのランチでも利用できる。」
このように、お店の特徴が自然と記憶に残るようになります。
飲食店は、お客様が来店して初めて勝負が始まる仕事です。
しかし、その前段階である「来店したいと思ってもらうこと」ができなければ、料理や接客を評価してもらう機会すら生まれません。
だからこそ、集客を強化する前に確認してほしいことがあります。
Google、食べログ、Instagram、ホームページを見比べたとき、お店の魅力は同じように伝わっていますか。
この確認をするだけでも、お店の集客力は大きく変わります。
広告は、お店の魅力を広く届けるための手段です。
その魅力が伝わる状態をつくってから広告を活用することで、広告費をより効果的に売上へつなげることができるのです。
7.広告を出す前に、受け皿を整える

「広告を出せば、お客様は増える。」
そう考えている飲食店は少なくありません。
確かに広告は、新しいお客様にお店を知っていただくための非常に有効な手段です。
しかし、広告はあくまでも「お客様をお店へ案内する入口」に過ぎません。
広告をクリックした先のページに魅力がなければ、お客様は来店することなく離れてしまいます。
例えば、Instagram広告を見て興味を持ったお客様は、そのままGoogleビジネスプロフィールや食べログ、ホームページを確認することがよくあります。
そのとき、
「料理の写真が少ない。」
「営業時間が分からない。」
「駐車場があるのか分からない。」
「何がおすすめのお店なのか伝わってこない。」
このような状態では、「また今度でいいか」と判断されてしまう可能性があります。
つまり、広告はクリックされた時点で成功ではありません。
来店につながって初めて成功なのです。
そのため、広告を始める前には、お客様を迎え入れる「受け皿」が整っているかを確認する必要があります。
私が最低限確認している項目は次のとおりです。
- 写真は料理のおいしさが伝わるものになっているか
- メニューの価格は分かりやすく掲載されているか
- 営業時間や定休日は最新の情報になっているか
- 駐車場の有無や台数は分かるか
- 予約方法がすぐに分かるか
- 人気商品や看板メニューが伝わるか
- お店の特徴が一目で理解できるか
これらは特別なテクニックではありません。
お客様が安心して来店を決めるために必要な情報です。
反対に、受け皿が整っていない状態で広告費だけを増やしてしまうと、興味を持ったお客様を逃してしまうことになります。
これは、穴の開いたバケツに水を注ぎ続けるようなものです。
広告費を増やす前に、まずは穴を塞ぐこと。
その方が、結果として広告の費用対効果は大きく向上します。
私自身も広告を運用するときは、「どの広告を出すか」より先に、「広告を見た人が来店したくなる情報がそろっているか」を確認するようにしています。
広告は売上を生み出す魔法ではありません。
広告の役割は、良いお店を、必要としているお客様に見つけてもらうことです。
だからこそ、広告を出す前に、お店の魅力がしっかり伝わる受け皿を整えることが、売上改善への近道になるのです。
8.売上改善では、商品を増やしすぎない

売上が落ちると、多くの飲食店が最初に考えるのが「新商品を作ろう」ということです。
新しいメニューが増えれば、お客様に新鮮さを感じてもらえますし、SNSで話題にもなりやすくなります。
もちろん、新商品の開発は飲食店にとって大切な取り組みです。
しかし、「売上が悪いから、とにかく商品を増やす」という考え方には注意が必要です。
商品数が増えるということは、お客様の選択肢が増えるだけではありません。
店舗側の負担も同時に増えていきます。
例えば、
- 仕込みの種類が増える
- 使用する食材が増え、在庫管理が複雑になる
- 食材の回転が悪くなり、廃棄ロスが増える
- スタッフが調理方法や盛り付けを覚えきれなくなる
- オペレーションが複雑になり、料理の提供時間が長くなる
- メニュー表の情報量が増え、お客様が選びにくくなる
このように、商品を増やすことで売上以上にコストや負担が増えてしまうことも少なくありません。
実際には、商品数が多いことよりも、「何を売るお店なのか」がお客様に伝わることの方が重要です。
初めて来店したお客様は、何十種類もあるメニューを細かく比較して選ぶわけではありません。
「この店に来たら、これを食べたい。」
そう思える看板商品があるお店の方が、お客様の記憶にも残りやすくなります。
そのため、売上改善で本当に意識すべきなのは、商品数ではありません。
大切なのは、
- お客様から支持される売れる商品
- 売上だけではなく利益がしっかり残る利益が残る商品
- 「この店といえばこれ」と言っていただける看板商品
- ドリンクやサイドメニューなど、客単価アップにつながる追加注文を生み出す商品
この4つを育てることです。
もちろん、商品開発をやめる必要はありません。
新商品を出すこと自体は、お客様に新しい楽しみを提供する大切な取り組みです。
ただし、新商品は増やし続けるものではなく、「育てるもの」だと私は考えています。
実際に販売し、お客様の反応を見て、売れない商品は思い切って整理する。
売れる商品はさらに磨き上げ、お店の強みにしていく。
その繰り返しが、お客様にもスタッフにも分かりやすいメニュー構成をつくります。
売上改善とは、メニューを増やすことではありません。
お客様に選ばれる商品を育て、その商品が利益を生み続ける仕組みをつくること。
それこそが、長く愛される飲食店への近道だと考えています。
9.ガブ飲み食堂で実際に行っている売上改善

ここまで、売上改善の考え方についてお話ししてきました。
では実際に、ガブ飲み食堂ではどのような取り組みを行っているのでしょうか。
特別なことをしているわけではありません。
一つひとつの課題を見つけ、その原因に対して改善を積み重ねてきただけです。
現在も改善は続いており、「これで完成」というものはありません。
ここでは、実際に取り組んでいる内容をいくつかご紹介します。
店内売上を伸ばすための取り組み
店内では、お客様の満足度を高めながら、再来店につながる仕組みづくりを意識しています。
例えば、
- ごはん・味噌汁のおかわり自由
- ランチタイムのドリンク1杯無料サービス
- ごはんを海鮮ミニ丼へ変更できるアップセル商品の導入
- 初回来店・2回目・3回目と段階的に設計した再来店クーポン
これらは単なるサービスではありません。
「もう一度来店したい」と思っていただく理由をつくり、客単価やリピート率を高めるための施策として設計しています。
また、予約導線についても見直しを行いました。
以前は食べログから席のみ予約を受け付けていましたが、現在は停止しています。
その理由は、席予約1件ごとに送客手数料が発生する仕組みだったためです。
現在は、GoogleビジネスプロフィールやInstagramから直接予約していただける導線を整え、不要な送客コストを抑えながら集客できる仕組みへ改善しています。
デリバリー売上を伸ばすための取り組み
デリバリーも、一つのサービスだけに依存しないことを意識しています。
現在は、
- Uber Eats
- 出前館
- Rocket Now
この3つのプラットフォームを活用しています。
販路を分散することで、一つのサービスの注文が落ち込んでも、他の販路でカバーできる体制をつくっています。
また、デリバリーでは料理写真の見直しを継続的に行っています。
スマートフォンの画面では、お客様は料理を食べる前に写真だけで注文を判断します。
だからこそ、料理のおいしさやボリューム感が伝わる写真づくりは非常に重要です。
さらに、新規のお客様向けの割引施策や、注文されやすい商品構成への見直しも定期的に実施しています。
広告についても、「出稿したら終わり」ではありません。
広告費に対してどれだけ売上が生まれたのかを示す**ROAS(広告費用対効果)**を確認しながら、費用に見合った成果が出ているかを継続的に検証しています。
人件費も売上改善の一つ
売上改善というと、多くの方は「売上を増やすこと」だけを考えがちです。
しかし、利益を残すためには、人件費の管理も欠かせません。
ガブ飲み食堂では、スタッフを感覚で早上がりさせたり、逆に必要以上に残したりすることはできるだけ避けています。
その代わりに、時間帯ごとの売上を基準に、人員を調整するルールを設けています。
例えば、
「この時間までに売上がいくらなら、スタッフを一人減らす。」
「目標売上を超えているなら、そのまま営業を続ける。」
このように、あらかじめ基準を決めておくことで、感情ではなく数字に基づいた判断ができるようになります。
売上改善に終わりはない
これらの施策も、一度実施して終わりではありません。
結果を確認し、改善し、また検証する。
この繰り返しが、飲食店経営では最も重要だと考えています。
「何か一つの魔法の施策」が売上を伸ばすのではありません。
小さな改善を積み重ね、その効果を数字で確認しながら、お店に合った形へ育てていく。
ガブ飲み食堂が現在も続けている売上改善は、その積み重ねの結果なのです。
10.売上改善で最初に確認する7項目

ここまで、売上改善についてさまざまな考え方をご紹介してきました。
最後にお伝えしたいのは、売上が悪くなったときほど慌てて新しい施策を始めるのではなく、まず現状を確認してほしいということです。
売上改善の第一歩は、「何をするか」ではありません。
「何が起きているのか」を正しく把握することです。
私自身も、売上が思うように伸びないときは、まず次の7項目を確認するようにしています。
① 客数は減っているか
そもそも来店されるお客様の数が減っているのかを確認します。
もし客数が減っているのであれば、認知度や集客方法、リピーター対策などを見直す必要があります。
② 客単価は下がっているか
客数は変わっていなくても、一人あたりの利用金額が下がれば売上は減少します。
追加注文やセット商品の利用率、高単価商品の販売状況などを確認してみましょう。
③ リピーターは来店しているか
新規のお客様は増えていても、再来店につながっていなければ売上は安定しません。
初回来店から2回目、2回目から3回目へとつながっているかを確認することが重要です。
④ 弱い曜日・時間帯はどこか
1日の売上だけを見るのではなく、
- 平日と土日
- ランチとディナー
- 時間帯別
などに分けて分析すると、改善すべきポイントが見えてきます。
⑤ 利益の残らない商品はないか
売れている商品でも、利益がほとんど残っていないのであれば、経営への貢献度は高くありません。
原価率や調理時間も含めて確認し、本当に残すべき商品なのかを見直すことも必要です。
⑥ 店の強みがネット上で伝わっているか
Googleビジネスプロフィール、食べログ、Instagram、ホームページ。
これらを見たお客様は、お店の魅力をすぐに理解できるでしょうか。
看板商品やサービス内容、営業時間、駐車場などの情報が統一されているかも確認してみてください。
⑦ 広告の効果を数字で確認しているか
広告は出稿することが目的ではありません。
広告費に対してどれだけ売上が生まれたのか。
どの媒体から来店につながったのか。
費用対効果を数字で確認しながら改善していくことが大切です。
この7項目を確認するだけでも、多くの場合、「本当に改善すべきポイント」が見えてきます。
売上改善は、難しい経営理論を知ることではありません。
現状を数字で把握し、原因を見つけ、その原因に合った施策を一つずつ実行していくこと。
その積み重ねが、結果として売上を伸ばし、利益を残し、長く続く飲食店をつくることにつながるのです。
11.まとめ

売上改善は、施策を増やすことではない
飲食店を経営していると、売上が思うように伸びない時期は必ずあります。
そんなとき、多くの経営者は「何か新しいことを始めなければ」と考えます。
広告を出す。
クーポンを配る。
新商品を作る。
SNSを毎日更新する。
もちろん、それらの施策が売上改善につながることもあります。
しかし、本当に大切なのは、施策の数を増やすことではありません。
まずやるべきことは、
「何が原因で売上が落ちているのか」を正しく把握することです。
客数が減っているのか。
客単価が下がっているのか。
リピーターが来店していないのか。
特定の曜日や時間帯だけが弱いのか。
商品構成に問題があるのか。
集客導線が機能していないのか。
売上はあるのに利益が残っていないのか。
原因が違えば、打つべき施策も当然変わります。
だから私は、売上改善とは「思いついた施策を次々に試すこと」ではなく、
数字を見て、原因を特定し、その原因に合った改善を一つずつ積み重ねることだと考えています。
そして施策を実行したら終わりではありません。
結果を確認し、
うまくいった理由を分析し、
うまくいかなかった原因を考え、
また改善する。
このサイクルを繰り返すことで、お店は少しずつ強くなっていきます。
飲食店経営に、誰でも成功できる魔法の施策はありません。
あるのは、お客様と向き合い、数字と向き合い、改善を積み重ねる毎日の経営だけです。
ガブ飲み食堂も、最初から順調だったわけではありません。
失敗した施策も数え切れないほどあります。
それでも、一つひとつ数字を確認し、原因を考え、改善を続けてきたからこそ、今があります。
このブログでは、これからも成功したことだけではなく、失敗したことや改善の過程も含めて、現場で実践している飲食店経営を発信していきます。
この記事が、皆様のお店を見直すきっかけとなり、一つでも売上改善のヒントにつながれば幸いです。
飲食店経営は、一度の大きな改革で変わるものではありません。
小さな改善を積み重ねること。
それが、長く愛され、利益が残り続ける飲食店への一番確実な近道だと私は信じています。
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デリバリー月商170万円までに実行した改善
この記事を書いた人 Wrote this article
新田 敏之 RBR合同会社 統括 / 男性
RBR(Restaurant Business Reform)代表。 鉄板焼きの現場で25年。 これまで数多くの飲食店の立て直しを中心とした経営改善に携わり、売上改善、商品開発、人材育成、オペレーション構築、デリバリー事業の立ち上げなど、現場に入りながら支援を行ってきました。 現在は「ガブ飲み食堂」を運営しながら、主力商品の開発・ソースや商品の卸事業、デリバリーFC事業の展開、そして飲食店の経営改善支援を行っています。 このブログで発信するのは、机上の理論ではありません。 すべて現場で試し、失敗し、改善を繰り返してきた実践知です。 料理だけでは、お店は続きません。 利益が残る仕組み、人が育つ環境、お客様に選ばれ続ける理由。 私は、その「経営」を一人でも多くの飲食人に届けたいと考えています。 飲食店を増やしたいわけではありません。 利益が残る飲食店を、一店舗でも増やしたい。 その想いを胸に、今日も現場で挑戦を続けています。