
~売上ではない。本当に失われていくものとは~
1.飲食業は、最も夢があり、最も厳しい業界の一つ

「いつか自分の店を持ちたい。」
飲食業で働く人なら、一度はそう考えたことがあるのではないでしょうか。
自分が考えた料理を提供し、お客様に「美味しかった」と言ってもらう。
常連さんが増え、地域に愛される店になる。
そんな未来を思い描きながら、多くの人が独立という夢に挑戦します。
実際、飲食業は毎年多くの人が新しく店を開業する業界です。
しかし、その一方で、多くの店が静かに姿を消していきます。
公的な統計でも、飲食業は開業率だけでなく廃業率も高い業界であることが示されています。
インターネットでは、
「1年以内に○%が閉店する。」
「3年後には半分以上が残らない。」
そんな数字を目にすることも少なくありません。
もちろん、そのようなデータには一定の意味があります。
しかし、私はその数字だけを見ても、本当の現実は分からないと思っています。
なぜなら、
店はある日突然潰れるわけではないからです。
閉店は結果です。
本当に見るべきなのは、
そこへ至るまでに、経営者が何を失っていくのか。
私は25年以上、飲食業界で現場に立ち続けてきました。
自分の店だけではありません。
繁盛店も。
苦しんでいる店も。
最後にシャッターを閉めることになった店も見てきました。
そこで気づいたことがあります。
潰れる店には、驚くほど似た「過程」があります。
売上が落ちること。
借金が増えること。
それも確かに起こります。
でも、本当に恐ろしいのはそこではありません。
経営者は少しずつ、
考える時間を失い、
挑戦する余裕を失い、
未来を変える力を失っていくのです。
そして、その変化は外からは見えません。
だからこそ、多くの人は「突然潰れた」と感じます。
でも、現場で見ている人間からすると違います。
店は何か月も、何年も前から、静かに壊れ始めています。
この記事では、
「何年で何%が廃業するのか」
そんな数字を並べることが目的ではありません。
現場で本当に起きていること。
私が実際に見てきた、飲食店が潰れるまでの過程を、一つずつお話ししたいと思います。
この記事を書いた人 Wrote this article
新田 敏之 RBR合同会社 統括 / 男性
RBR(Restaurant Business Reform)代表。 鉄板焼きの現場で25年。 これまで数多くの飲食店の立て直しを中心とした経営改善に携わり、売上改善、商品開発、人材育成、オペレーション構築、デリバリー事業の立ち上げなど、現場に入りながら支援を行ってきました。 現在は「ガブ飲み食堂」を運営しながら、主力商品の開発・ソースや商品の卸事業、デリバリーFC事業の展開、そして飲食店の経営改善支援を行っています。 このブログで発信するのは、机上の理論ではありません。 すべて現場で試し、失敗し、改善を繰り返してきた実践知です。 料理だけでは、お店は続きません。 利益が残る仕組み、人が育つ環境、お客様に選ばれ続ける理由。 私は、その「経営」を一人でも多くの飲食人に届けたいと考えています。 飲食店を増やしたいわけではありません。 利益が残る飲食店を、一店舗でも増やしたい。 その想いを胸に、今日も現場で挑戦を続けています。