
時間帯別売上を基準に、現場で迷わないシフト調整方法を公開します。
1.はじめに

人件費は飲食店最大の固定費
飲食店経営において、売上を伸ばすことはもちろん重要です。
しかし、利益を残すという視点で考えたとき、それと同じくらい重要になるのが人件費の管理です。
食材原価は、売れなければ発生しません。
広告費も、自分で予算を決めることができます。
一方で、人件費はスタッフが出勤した時点で発生します。
お客様が来店しても、来店しなくても、時間は進み、給与は発生していきます。
だからこそ、人件費は飲食店経営における最大の固定費であり、多くのお店が頭を悩ませる項目でもあります。
「暇だから帰ってもらおう」は危険
営業中、お客様が少ない時間帯になると、
「今日は暇だから一人帰ってもらおう。」
そう判断することは珍しくありません。
もちろん、人件費を抑えるという意味では間違った考えではありません。
しかし、その判断が感覚だけで行われているとしたら注意が必要です。
たまたま15分間お客様が来なかっただけなのか。
今日は本当にその後も暇なのか。
これを確認せずにスタッフを帰してしまうと、その直後に団体のお客様が来店し、現場が回らなくなることもあります。
料理の提供が遅れる。
接客が雑になる。
お客様を待たせてしまう。
その結果、一時的に人件費は下がっても、お客様の満足度や売上を落としてしまう可能性があります。
「忙しいから呼ぼう」も危険
逆に、急に混み始めると、
「すぐに誰か呼んで!」
という判断をするお店もあります。
もちろん、本当に必要な場面もあります。
しかし、毎日のようにその判断を繰り返していると、スタッフは予定が立てにくくなりますし、人件費も安定しません。
忙しくなったから呼ぶ。
暇になったから帰す。
その場その場の判断だけでシフトを動かしていると、現場はいつまでも落ち着きません。
スタッフも不安になりますし、店長も毎日悩み続けることになります。
感覚経営が一番危険
私も以前は、
「今日は暇そう。」
「今日は忙しくなりそう。」
そんな感覚で人員を調整していました。
しかし、振り返ってみると、その判断が当たる日もあれば、大きく外れる日もありました。
感覚は経験として大切です。
ですが、感覚だけでは再現性がありません。
店長が変われば判断も変わる。
オーナーがいなければ決められない。
これでは安定した店舗運営はできません。
だからガブ飲み食堂では、人件費の調整を感覚ではなく数字で判断するルールを作りました。
売上がいくらなら一人帰宅するのか。
どの時間帯で判断するのか。
店内売上だけを見るのか、それともデリバリーも含めるのか。
これらを明確に決めることで、現場で迷うことがほとんどなくなりました。
人件費は「削る」のではなく「最適化する」
人件費というと、「とにかく減らすもの」というイメージを持たれがちです。
しかし、私はそうは考えていません。
人を減らしすぎれば、
料理の提供は遅くなります。
接客の質も落ちます。
スタッフは疲弊します。
そして、お客様は離れていきます。
それでは本末転倒です。
大切なのは、人件費を減らすことではなく、売上に対して最適な人数で営業することです。
この記事では、ガブ飲み食堂で実際に運用している人件費判断ルールをもとに、感覚ではなく数字でシフトを調整する考え方をご紹介します。
店長が変わっても判断できる。
現場で迷わない。
そして利益を残しながら、お客様にも満足していただける。
そんな店舗運営の仕組みづくりについて、実例を交えながらお伝えしていきます。
2.人件費率だけ見ても意味がない

飲食店経営では、人件費率を毎日確認しているお店は多いと思います。
「今日は人件費率25%だった。」
「昨日は35%だった。」
このように数字を記録しているだけでも、経営への意識は高いと言えます。
しかし、人件費率という数字だけを見て経営判断をしてしまうのは危険です。
人件費率はあくまで結果であり、それだけでは本当の問題は見えてきません。
「今日は35%だから悪い」は本当に正しいのか
例えば、ある日の人件費率が35%だったとします。
この数字だけを見ると、
「人件費が高すぎる。」
「スタッフを減らさなければ。」
と考えてしまいがちです。
しかし、その日は雨が降っていて来店客数が少なかっただけかもしれません。
大型の仕込みがあり、通常より多くのスタッフが必要だったのかもしれません。
新人スタッフの研修日だった可能性もあります。
つまり、人件費率が高くなった理由を見ずに、「35%だから悪い」と判断してしまうのは早計なのです。
逆に25%だから安心とも言えない
では、人件費率が25%なら良いのでしょうか。
これも一概には言えません。
例えば、
スタッフを減らしすぎたことで、
料理の提供が遅くなった。
お客様を待たせてしまった。
接客がおろそかになった。
結果として、
追加注文が減り、
口コミ評価が下がり、
リピーターを失ってしまう。
もしそうなれば、その日の人件費率は低くても、お店全体としては大きな損失になります。
数字だけを見て安心するのではなく、その数字の背景を見ることが大切です。
人件費率は「結果」でしかない
人件費率は、
人件費 ÷ 売上
で計算されます。
つまり、人件費率が変動する理由は二つしかありません。
人件費が増えた。
売上が減った。
多くの場合、人件費率が悪化している原因は、人件費ではなく売上の低下にあります。
売上が大きく落ちれば、人件費を変えていなくても人件費率は簡単に悪化します。
だからこそ、人件費率だけを見ても、本当の原因は分からないのです。
本当に見るべき数字
ガブ飲み食堂では、人件費率だけで判断することはありません。
私が毎日確認しているのは、次のような数字です。
売上
まず確認するのは、その日の売上です。
昨日より売上が減ったのか。
想定通りなのか。
売上が分からなければ、人件費率を見ても意味がありません。
利益
売上が高くても、利益が残っていなければ意味がありません。
原価や広告費なども含めて考えることで、本当に利益が出ている営業だったのかを判断します。
時間帯別売上
一日合計の売上だけではなく、
ランチ。
夕方。
ディナー。
どの時間帯で売上が発生しているのかを確認します。
この数字があるからこそ、
「今、人を減らしていいのか。」
という判断ができるようになります。
翌日の売上予測
人件費は今日だけを見て判断するものではありません。
翌日が土曜日なのか。
雨予報なのか。
予約が入っているのか。
イベントがあるのか。
こうした情報も含めて考えることで、無理のないシフトを組むことができます。
人件費率は経営の答えではない
人件費率は非常に重要な数字です。
しかし、それは経営判断のスタート地点であって、ゴールではありません。
「なぜこの数字になったのか。」
「改善するなら何を変えるべきなのか。」
そこまで考えて初めて、人件費率は意味のある数字になります。
私は、人件費率を見ることよりも、その数字の背景を分析することの方が何倍も重要だと考えています。
数字を組み合わせると、経営は安定する
人件費率だけを見る経営では、
感覚に左右されやすくなります。
しかし、
売上。
利益。
時間帯別売上。
翌日の営業予測。
これらを組み合わせて判断するようになると、
「今は人を減らすべきではない。」
「この時間なら一人帰宅しても問題ない。」
といった判断が、数字を根拠にできるようになります。
飲食店経営で本当に必要なのは、人件費率という一つの数字ではありません。
複数の数字を組み合わせて、お店全体を判断すること。
それが、利益を残しながら、お客様にも満足していただける店舗運営につながると私は考えています。
3.人を減らす基準を数字で決める

飲食店で最も難しい判断の一つが、
「いつスタッフを帰宅させるか」
ではないでしょうか。
営業中、お客様が少ない時間が続くと、
「もう一人帰ってもらおうかな。」
と考えることがあります。
しかし、その判断を感覚だけで行ってしまうと、失敗することも少なくありません。
少し早く帰らせすぎて、その直後に一気に来店が重なる。
逆に、まだ余裕があるのに人を残し続け、人件費だけが増えてしまう。
このようなことを繰り返していては、安定した店舗運営はできません。
だからガブ飲み食堂では、
「数字で判断するルール」
を作りました。
誰が見ても同じ判断ができるようにする
ルールを作る目的は、
オーナーの勘を再現することではありません。
誰が店長をしても、
誰が責任者でも、
同じ判断ができるようにすることです。
「今日はどうしよう…」
と悩む時間を減らし、
数字を見れば自然と答えが出る仕組みを目指しました。
ガブ飲み食堂の昼の判断基準
現在、ランチ営業では次のような基準を設けています。
12時30分の時点で売上が25,000円未満なら、スタッフを1名帰宅。
さらに、
13時30分の時点で売上が40,000円未満なら、もう1名帰宅。
そして、
14時30分の時点で売上が55,000円未満なら、さらに1名帰宅。
このように、時間ごとに売上基準を決めています。
もちろん、これはガブ飲み食堂の営業スタイルに合わせて設定した数字です。
他のお店では客席数や客単価が違うため、そのまま使える数字ではありません。
しかし、「時間ごとに売上基準を作る」という考え方は、どのお店でも応用できます。
「暇そうだから」では判断しない
例えば12時20分。
店内を見ると、お客様は数組だけ。
一見すると、
「今日は暇だから帰ってもらおう。」
と思うかもしれません。
しかし、12時30分までに団体のお客様が来店することもあります。
逆に、お客様がたくさんいても会計が済んでしまえば、その後は落ち着く日もあります。
だから私たちは、
店内の見た目ではなく、
売上という数字で判断するようにしています。
感覚よりも、数字の方が嘘をつきません。
ルールがあると現場が迷わない
以前は、
「今日は帰ってもらう?」
「もう少し様子を見る?」
そんな会話を毎日のようにしていました。
そのたびに判断が変わり、
オーナーがいなければ決められないこともありました。
しかし、現在は基準が決まっています。
12時30分。
売上を確認する。
25,000円以上ならそのまま。
25,000円未満なら1名帰宅。
それだけです。
判断に迷いがなくなり、スタッフも納得しやすくなりました。
人件費だけではなく、お客様にもプラスになる
人を減らす基準というと、人件費を削減するためだけの仕組みに思われるかもしれません。
しかし、本当の目的はそこではありません。
必要な人数を残し、
不要な待機時間を減らすことで、
忙しい時間帯には十分な人数で対応し、
暇な時間帯には無駄な人件費を抑える。
その結果、
スタッフも無理なく働ける。
お客様にも十分なサービスを提供できる。
利益も残る。
こうしたバランスの取れた店舗運営につながります。
大切なのは、お店に合った基準を作ること
ここでご紹介した25,000円、40,000円、55,000円という数字は、ガブ飲み食堂で一年以上データを取り続けた結果、生まれた基準です。
最初から正解だったわけではありません。
実際に運営しながら、
「この基準では少し早すぎる。」
「もう少し売上を見てから判断しよう。」
そんな修正を何度も繰り返してきました。
つまり、重要なのは数字そのものではありません。
自分のお店に合った判断基準を作り、データをもとに改善し続けることです。
人件費管理で最も危険なのは、「今日は何となく暇そうだから」という感覚だけで判断することです。
数字という共通の基準を持つことで、現場は迷わず動けるようになります。
そして、その積み重ねが、利益を残しながら安定した店舗運営につながっていくのです。
4.夜も同じルールを作る

ランチ営業と同じように、ガブ飲み食堂ではディナー営業でも人件費を感覚で判断しない仕組みを作っています。
夜はランチ以上に売上の変動が大きく、
「今日は宴会が入る。」
「急に家族連れが来店する。」
「デリバリーが一気に鳴り始める。」
このようなことが日常的に起こります。
だからこそ、
「何となく今日は暇そう。」
という感覚だけでスタッフを帰宅させることは非常に危険です。
夜営業こそ、数字を基準に判断することが重要になります。
ディナー営業は5人体制でスタート
現在、ガブ飲み食堂ではディナー営業を基本的に5人体制でスタートしています。
営業開始時点では、その日の混雑状況は誰にも分かりません。
だから最初から人数を減らすのではなく、必要な体制で営業を開始し、その後の売上推移を見ながら調整していきます。
重要なのは、「何人で始めるか」ではなく、
「いつ、どのタイミングで人数を調整するか」
というルールを持つことです。
19時の判断基準
最初の判断は19時です。
19時の時点で、
店内売上とデリバリー売上を合わせた判断売上が40,000円未満であれば、アルバイトを1名帰宅させます。
この時間までに十分な売上が積み上がっていなければ、その後急激に忙しくなる可能性は高くありません。
もちろん、予約状況なども考慮しますが、基本は数字を基準に判断しています。
20時の判断基準
次の判断は20時です。
20時時点で判断売上が60,000円未満であれば、さらに1名帰宅します。
この時間帯になると、夕食のピークも落ち着き始めます。
ここでも感覚ではなく、売上という数字を基準にすることで、店長が迷うことなく判断できます。
21時の判断基準
最後の判断は21時です。
判断売上が80,000円未満であれば、さらに1名帰宅します。
21時以降は来店数も落ち着くことが多く、閉店準備も始まります。
必要以上の人数を残すよりも、効率的に営業を終えられる体制へ移行します。
デリバリー売上も含めて判断する
ガブ飲み食堂の特徴は、店内売上だけで判断しないことです。
夜営業ではデリバリーの注文も多く入ります。
店内が空いていても、
Uber Eatsや出前館から注文が連続して入れば、厨房は忙しいままです。
そのため、私たちは
店内売上+デリバリー売上×0.7
を「判断売上」として運用しています。
デリバリーは接客が不要な分、店内営業より負荷が軽いため、100%ではなく70%で換算しています。
このルールにすることで、厨房の実際の忙しさに近い数字で判断できるようになりました。
ルールがあるから店長も迷わない
以前は、
「今日はもう帰ってもらう?」
「もう少し様子を見る?」
そんな会話を毎日のようにしていました。
しかし、それでは店長によって判断が変わってしまいます。
ある店長は慎重に人数を残す。
別の店長は早めに帰宅させる。
これでは店舗運営が安定しません。
現在は、
- 19時で40,000円未満
- 20時で60,000円未満
- 21時で80,000円未満
という明確な基準があるため、誰が責任者でも同じ判断ができます。
人件費管理は仕組みで行う
人件費を管理すると聞くと、
「スタッフを減らすこと」
だけをイメージされるかもしれません。
しかし、本当に大切なのは、
現場が迷わず判断できる仕組みを作ることです。
感覚ではなく数字を見る。
数字を基準に判断する。
そのルールを全員で共有する。
こうした仕組みがあるからこそ、人件費を抑えながらも、お客様へのサービス品質を維持することができます。
ガブ飲み食堂では、この昼と夜の判断ルールを日々の営業に取り入れることで、店長が迷わず判断できる店舗運営を実現しています。
人件費管理とは、「人を減らす技術」ではありません。
数字を使って、お店を安定して運営する技術なのです。
5.なぜ時間で判断しないのか

飲食店の人件費管理でよくあるのが、
「19時だから一人帰ってもらおう。」
「20時になったからもう大丈夫だろう。」
というように、時計だけを見て判断してしまうことです。
一見すると分かりやすいルールですが、実際の現場では、この方法はあまりおすすめできません。
なぜなら、お客様は時計を見て来店するわけではないからです。
19時から一気に忙しくなる日もある
例えば、18時30分まで店内が静かだったとします。
「今日は暇だな。」
そう思ってスタッフを帰宅させた直後に、
会社帰りのお客様。
家族連れ。
予約のお客様。
このように、一気に来店が重なることがあります。
結果として、
料理の提供が遅れる。
お客様を待たせてしまう。
スタッフが慌てる。
せっかく来店してくださったお客様へ十分なサービスが提供できなくなってしまいます。
もしスタッフを30分だけ残していれば防げたことが、人を早く帰宅させたことで売上や満足度を落としてしまうこともあるのです。
18時は忙しくても、その後は止まる日もある
逆のケースもあります。
18時台は満席で、
「今日はかなり忙しい。」
そう感じていても、19時以降になると急に落ち着く日があります。
このような日は、
「さっき忙しかったから、もう少し人を残そう。」
という感覚だけで判断すると、人件費だけが増えてしまいます。
つまり、
過去の忙しさだけを見ても、これからの営業は分からないということです。
感覚は毎日変わる
店長やオーナーの経験は非常に大切です。
しかし、
「今日は忙くなりそう。」
「今日は暇そう。」
という感覚は、人によって違います。
昨日の経験にも左右されます。
天気や気分によっても判断が変わることがあります。
そのため、感覚だけを基準にしていると、
店長が変われば判断も変わる。
オーナーがいないと決められない。
そんな店舗になってしまいます。
これでは安定した経営はできません。
売上は、お客様の行動を数字で表している
私が基準にしているのは、
時計ではなく売上です。
売上は、
何人来店したのか。
どれだけ注文していただいたのか。
客単価はいくらだったのか。
そうしたお客様の行動が、そのまま数字として表れています。
もちろん、売上だけで未来を100%予測することはできません。
しかし、
「19時時点で4万円売れている日」と、
「19時時点で2万円しか売れていない日」では、
その後の営業展開が違う可能性は非常に高くなります。
だからこそ、私たちは時計ではなく、その時点までの売上を判断材料にしています。
「〇時だから帰る」ではなく、「売上だから帰る」
ガブ飲み食堂では、
19時。
20時。
21時。
という時間を区切っていますが、
判断しているのは時間ではありません。
その時間までの売上です。
例えば19時になっても、
判断売上が基準を超えていれば、そのまま営業を続けます。
逆に基準を下回っていれば、スタッフを帰宅させます。
つまり、
19時だから帰るのではなく、
19時時点の売上が基準に達していないから帰る。
この考え方が重要なのです。
売上を見る経営は再現性がある
飲食店経営で最も大切なのは、
誰が店長でも同じ判断ができることです。
「オーナーの勘」ではなく、
「数字という共通言語」で判断できる仕組みを作ること。
それが店舗を強くします。
時計だけを見て判断する経営では、経験や感覚に頼る場面が増えてしまいます。
一方で、売上という数字を基準にすれば、
判断に迷いがなくなり、
スタッフも納得しやすくなり、
人件費も安定し、
サービス品質も維持しやすくなります。
だから私は、
人を見る前に時計を見るのではなく、時計を見る前に売上を見る。
この考え方を、人件費管理の基本にしています。
6.デリバリーも売上に入れる

飲食店でデリバリーを始めると、人件費管理で新しい悩みが生まれます。
それは、
「店内は暇だけど、厨房は忙しい。」
という状況です。
店内を見ると、お客様は数組しかいません。
そのため、
「今日は暇だからスタッフを帰そう。」
そう判断したくなります。
しかし、その裏でUber Eatsや出前館から次々と注文が入っていることがあります。
もし店内売上だけを見て人員を減らしてしまえば、厨房は一気に回らなくなってしまいます。
だから私は、人件費を判断するときに店内売上だけを見ることはありません。
店内だけ見ていると判断を間違える
例えば、
店内売上が100,000円。
デリバリー売上が30,000円。
この日の営業を考えてみます。
店内だけを見れば、
「今日は10万円だから、それほど忙しくない。」
と思うかもしれません。
しかし実際には、
30,000円分のデリバリー商品も同時に調理しています。
厨房では、
ハンバーグを焼く。
唐揚げを揚げる。
盛り付けをする。
包装する。
配達員へ受け渡す。
これらの作業が店内営業と同時進行で行われています。
つまり、お客様が店内にいなくても、スタッフは決して暇ではありません。
デリバリーは「接客」がない
ただし、デリバリーを店内売上とまったく同じように考えるのも違います。
店内営業では、
お客様を案内する。
注文を聞く。
料理を運ぶ。
おかわり対応をする。
レジ対応をする。
テーブルを片付ける。
こうしたホール業務があります。
一方、デリバリーにはこれらの接客業務がありません。
調理と包装は必要ですが、
ホールスタッフが長時間対応することはありません。
つまり、
デリバリーは店内営業よりも、一件あたりに必要な人員負荷が軽いのです。
ガブ飲み食堂では「デリバリー売上×0.7」で判断している
そこでガブ飲み食堂では、人件費を判断するとき、
店内売上+(デリバリー売上×0.7)
という計算方法を採用しています。
例えば、
店内売上 100,000円
デリバリー売上 30,000円
この場合、
100,000円+(30,000円×0.7)
=121,000円
これを「判断売上」としています。
つまり、デリバリー売上を100%ではなく、70%として計算しています。
なぜ0.7なのか
「なぜ70%なのですか?」
とよく聞かれます。
答えは、とてもシンプルです。
実際の現場で検証した結果だからです。
デリバリーは、
調理。
盛り付け。
包装。
受け渡し。
これらの作業は発生します。
しかし、
席への案内。
料理提供。
ドリンク対応。
おかわり対応。
会計。
片付け。
こうした接客業務はありません。
実際に一年以上データを取り続けた結果、
店内営業ほどの人員は必要ありませんが、完全に無視できる仕事量でもありませんでした。
そのバランスを考えた結果、現在は70%という係数を採用しています。
もちろん、この数字に絶対的な正解はありません。
店舗の業態や商品構成によって、60%が適切なお店もあれば、80%の方が実態に近いお店もあるでしょう。
大切なのは、自分のお店に合った基準を持つことです。
人件費管理は現場に合わせて考える
飲食店の経営では、
「店内売上だけを見ればいい。」
という時代ではなくなっています。
今では、
Uber Eats。
出前館。
Rocket Now。
テイクアウト。
こうした複数の売上が同時に動いています。
それなのに店内売上だけで人件費を判断してしまえば、現場の忙しさとのズレが生まれてしまいます。
だからこそ、
実際にスタッフがどれだけ仕事をしているのか。
これを数字で表す工夫が必要になります。
人件費管理も時代に合わせて変える
デリバリーがなかった時代は、店内売上だけ見ていれば十分だったかもしれません。
しかし、現在の飲食店経営では、店内営業とデリバリーは切り離せない存在です。
ガブ飲み食堂でも、デリバリー売上は月商170万円を超える重要な売上の柱になっています。
その売上を人件費管理から外してしまえば、正しい判断はできません。
人件費を最適化するためには、
店内だけを見るのではなく、
お店全体の仕事量を数字で把握すること。
その考え方が、利益を残しながらサービス品質も維持できる店舗運営につながると私は考えています。
7.人件費は削ればいい訳ではない

人件費の話をすると、
「じゃあ、とにかく人を減らせば利益が増えるんですね。」
と言われることがあります。
しかし、私はその考え方には賛成できません。
もちろん、人件費は飲食店にとって大きなコストです。
だからといって、必要以上にスタッフを減らしてしまえば、お店は必ずどこかで無理が生じます。
そして、その無理は最終的にお客様へ伝わってしまいます。
人件費を削りすぎると、接客の質が落ちる
スタッフが少なすぎると、まず最初に影響が出るのが接客です。
お客様を席へ案内するまでに時間がかかる。
呼び出しボタンを押しても、なかなかスタッフが来ない。
料理を運びながらレジ対応をし、お客様への気配りができなくなる。
スタッフ自身も余裕がなくなるため、笑顔や会話も少なくなります。
どれだけ料理がおいしくても、「また来たい」と思っていただけるお店にはなりません。
接客は売上を直接生むものではありませんが、お客様の満足度を大きく左右する大切な要素です。
料理の提供が遅れる
人を減らしすぎると、厨房にも影響が出ます。
注文は入っているのに、
焼く人が足りない。
盛り付ける人が足りない。
デリバリーの包装まで手が回らない。
すると、料理の提供時間がどんどん遅くなります。
飲食店では、お客様は「待つ時間」にとても敏感です。
料理がおいしくても、
「出てくるのが遅かった。」
という印象だけで、満足度は大きく下がってしまいます。
レビューは正直
最近では、多くのお客様がGoogleや食べログ、デリバリーアプリへレビューを書いてくださいます。
その内容を見ると、
「料理はおいしかった。」
というコメントと同じくらい、
「料理が遅かった。」
「店員さんが忙しそうだった。」
「注文してからかなり待った。」
という意見も見かけます。
お客様は、スタッフが何人で営業しているかを知りません。
人件費を削っていることも知りません。
見えているのは、
「待たされた。」
「対応が悪かった。」
という事実だけです。
そして、その評価は次のお客様にも見られます。
リピーターは静かに離れていく
一度接客が悪かったからといって、すぐにクレームを言うお客様ばかりではありません。
何も言わずに、
「次は別のお店にしよう。」
そう思われる方もたくさんいます。
飲食店で一番怖いのは、大きなクレームではありません。
何も言わずに来なくなることです。
リピーターが減れば、新規のお客様を集めるために広告費も必要になります。
結果として、人件費を削って浮いたお金以上に、新しい集客コストがかかってしまうこともあります。
人件費を削るより、利益を最大化する
私は、人件費管理の目的は「人件費を減らすこと」ではないと考えています。
本当の目的は、
利益を最大化することです。
例えば、
スタッフを一人減らして人件費を5,000円削減できたとしても、
料理の提供が遅れ、
お客様が追加注文をしなくなり、
売上が15,000円下がってしまえば、本末転倒です。
逆に、もう一人スタッフを残したことで、
料理提供がスムーズになり、
接客も良くなり、
お客様の満足度が上がり、
追加注文やリピートにつながるのであれば、その人件費は「コスト」ではなく「投資」になります。
人件費はサービスを支えるためのお金
スタッフは単なる人件費ではありません。
料理を作る人。
笑顔で接客する人。
お客様を迎える人。
お店の雰囲気をつくる人。
その一人ひとりが、お店の価値を支えています。
だから私は、
「人件費を削る」
という考え方ではなく、
「必要な時間に、必要な人数を配置する」
という考え方を大切にしています。
最適な人数が一番利益を残す
人が多すぎても利益は残りません。
しかし、人が少なすぎても売上は伸びません。
大切なのは、その日の売上や仕事量に合わせて、最適な人数で営業することです。
ガブ飲み食堂で人件費管理のルールを作ったのも、人を減らすためではありません。
スタッフにも無理をさせず、お客様にも満足していただきながら、利益を最大化するためです。
人件費は、削ることが目的ではありません。
サービスの質を維持しながら、お店全体の利益を最大化するために最適化するもの。
私は、それが飲食店経営における本当の人件費管理だと考えています。
8.店長が迷わない仕組みを作る

飲食店経営では、「良い店長がいればお店は回る」と考えられがちです。
もちろん、優秀な店長の存在は非常に大きな力になります。
しかし、その店長が休んだ日や異動した日、お店の運営が大きく変わってしまうようでは、安定した経営とは言えません。
私は、お店は人に頼るのではなく、仕組みで回る状態を目指すべきだと考えています。
店長の経験だけに頼らない
経験豊富な店長であれば、
「今日はもう一人帰しても大丈夫。」
「今日は残した方がいい。」
そんな判断ができるかもしれません。
しかし、その判断は経験があるからできることであり、他の人が同じように判断できるとは限りません。
新人の店長。
異動してきた店長。
アルバイトリーダー。
このようなスタッフは、
「帰していいのかな。」
「まだ残した方がいいのかな。」
と迷ってしまいます。
判断に迷うということは、判断する人によって結果が変わるということです。
これでは、お店の品質は安定しません。
ルールがあると誰でも判断できる
だからガブ飲み食堂では、できるだけ判断をルール化しています。
例えば、
19時の時点で判断売上が40,000円未満ならアルバイトを1名帰宅。
20時で60,000円未満ならさらに1名。
21時で80,000円未満ならさらに1名。
こうした基準があることで、
店長は悩む必要がありません。
数字を確認し、
基準に当てはめる。
それだけで判断できます。
経験や勘ではなく、数字という共通の基準で動けるようになるのです。
アルバイトでも判断できる仕組み
理想を言えば、
店長だけが判断できるお店ではなく、
アルバイトリーダーでも判断できるお店にしたいと考えています。
もちろん、最終的な責任は店長が持ちます。
しかし、
「今日はどうしたらいいですか?」
と毎回店長へ確認しなければならない状態では、お店は強くなりません。
ルールがあれば、
アルバイトでも、
「この時間でこの売上だから、今日は予定通りですね。」
と同じ判断ができます。
一人ひとりが同じ基準で動けるようになると、現場全体のスピードも上がります。
属人化は経営のリスクになる
飲食店でよくあるのが、
「あの店長だから売上が良い。」
「あの人が休むと店が回らない。」
という状態です。
これは一見すると、その人が優秀である証拠にも思えます。
しかし、経営という視点で見ると、大きなリスクでもあります。
もしその店長が退職したら。
病気で休んだら。
別店舗へ異動したら。
その瞬間に、お店の売上やサービス品質が大きく下がってしまう可能性があります。
経営者として目指すべきなのは、
**「誰が店長でも同じ品質で営業できる仕組み」**です。
仕組みは人を育てる
ルールを作ると、
「考えなくなるのでは?」
と思われることがあります。
しかし、私は逆だと考えています。
基本のルールがあるからこそ、
スタッフは迷わなくなります。
迷う時間が減るからこそ、
お客様への接客や店舗改善など、本当に考えるべきことへ時間を使えるようになります。
仕組みは、人の成長を妨げるものではありません。
人が成長しやすい環境をつくるものなのです。
経営者がいなくても回るお店を目指す
私は常に、
「自分がいなくても回るお店」
を目標にしています。
オーナーが毎日指示を出さなければ営業できない。
店長がいないと判断できない。
そんな状態では、店舗展開もできませんし、新しい挑戦をする時間も生まれません。
だからこそ、
売上基準。
人件費基準。
接客基準。
衛生基準。
こうした判断を一つずつルール化しています。
強いお店は「人」ではなく「仕組み」でできている
もちろん、最終的には人がサービスを提供します。
だから人材育成はとても重要です。
しかし、優秀な人だけに頼る経営では、長く安定した店舗運営はできません。
強い飲食店は、
優秀な人がいるから強いのではなく、
誰が働いても一定の品質を維持できる仕組みがあるから強い。
私はそう考えています。
ガブ飲み食堂でも、人件費管理だけでなく、さまざまな業務を少しずつルール化しています。
その積み重ねが、店長が迷わず判断できる環境をつくり、お客様へのサービス品質を安定させ、利益の残る店舗運営につながっています。
飲食店経営は、人に頼る経営から、仕組みで回る経営へ。
それが、長く成長し続けるお店をつくるための大切な考え方だと私は考えています。
9.ガブ飲み食堂の人件費管理

ここまで、人件費管理の考え方についてお話ししてきました。
では実際に、ガブ飲み食堂ではどのように人件費を管理しているのでしょうか。
ここでは、実際に運用している考え方を公開します。
もちろん、業態や客単価、席数が違えば、そのまま同じ数字を使えるわけではありません。
しかし、「数字を基準に判断する」という考え方は、どの飲食店でも応用できるはずです。
毎日、人件費率を確認する
営業が終わると、まず確認するのがその日の人件費率です。
人件費率は経営において非常に重要な数字です。
しかし、前章でもお伝えしたように、人件費率だけで良し悪しを判断することはありません。
例えば、
「今日は人件費率が30%だった。」
という結果だけでは、
売上が高かったのか。
売上が低かったのか。
デリバリーが伸びたのか。
人員が適正だったのか。
何も分かりません。
だから私は、人件費率を結果を振り返るための数字として活用しています。
売上をリアルタイムで確認する
営業中は、人件費率ではなく売上を見ています。
ランチでは、
12時30分。
13時30分。
14時30分。
ディナーでは、
19時。
20時。
21時。
それぞれの時間で売上を確認し、人員を調整します。
つまり、
営業中は未来を判断するために売上を見て、
営業終了後は結果を分析するために人件費率を見る。
このように、数字の使い方を分けています。
シフトは「予定」ではなく「調整するもの」
多くのお店では、一度シフトを作ると、そのまま最後まで営業することが多いと思います。
しかし、ガブ飲み食堂では違います。
シフトは固定ではなく、
営業しながら調整するものです。
もちろん、無計画に調整するわけではありません。
売上基準があるからこそ、
「今日はこの時間で一人帰宅。」
「今日は基準を超えているから、そのまま営業。」
という判断ができます。
シフトは予定表ではなく、お店の状況に合わせて最適化するためのツールだと考えています。
判断基準を全員で共有する
人件費管理は、オーナーだけが理解していても意味がありません。
店長も。
社員も。
アルバイトリーダーも。
全員が同じ判断基準を理解していることが重要です。
そのため、ガブ飲み食堂では、
- ランチの判断基準
- ディナーの判断基準
- デリバリーを含めた判断方法
これらを共有しています。
「今日はどうしますか?」
ではなく、
「基準どおりですね。」
という会話になることが理想です。
判断を個人の経験ではなく、仕組みに変えることを意識しています。
人件費管理は毎日改善している
現在の判断基準も、最初から完成していたわけではありません。
営業を続ける中で、
「この時間は少し早く帰宅させすぎた。」
「もう少し人数を残した方がお客様を待たせなかった。」
そんな反省を繰り返しながら、少しずつ基準を修正してきました。
今でも、状況が変わればルールを見直しています。
店舗の売上が伸びれば、人件費の考え方も変わります。
客単価が変われば、判断基準も変わります。
だから、人件費管理に「完成」はありません。
人件費管理の目的は利益を残すこと
人件費管理というと、
「スタッフを減らすこと。」
と思われがちですが、本当の目的は違います。
目的は、
利益を最大化することです。
そのためには、
必要な時間には必要な人数を配置し、
不要な待機時間は減らし、
お客様へのサービス品質は維持する。
このバランスが最も重要です。
ガブ飲み食堂では、その判断を感覚ではなく数字で行うことで、安定した店舗運営を目指しています。
数字は現場を助けてくれる
飲食店経営では、
経験や勘も大切です。
しかし、それ以上に大切なのは、数字という共通の判断基準を持つことです。
売上を見る。
時間帯を見る。
デリバリーも含めて考える。
人件費率を振り返る。
こうした積み重ねによって、現場は迷わなくなり、利益も残りやすくなります。
ガブ飲み食堂の人件費管理は、特別なシステムを使っているわけではありません。
毎日数字を見て、数字を基準に判断し、その結果を翌日の営業へ活かす。
ただそれを、地道に続けているだけです。
そして、その積み重ねこそが、人件費をコントロールしながら、お客様にも満足していただける店舗運営につながっていると考えています。
10.人件費改善チェックリスト

ここまで、人件費管理の考え方やガブ飲み食堂で実際に運用しているルールをご紹介してきました。
最後に、人件費管理を見直す際に確認していただきたいチェックリストをご紹介します。
人件費改善というと、「スタッフを減らすこと」ばかり考えがちですが、本当に大切なのは、お店の現状を正しく把握することです。
もし次の項目で「できていない」と感じるものがあれば、そこが改善のスタート地点になります。
□ 売上基準があるか
「今日は暇そうだから。」
「今日は忙しそうだから。」
そんな感覚だけで人員を調整していませんか。
人件費管理では、売上という数字を基準に判断することが重要です。
例えば、
「12時30分までに〇円未満なら1人帰宅。」
「19時までに〇円未満なら1人帰宅。」
このような判断基準を作ることで、誰が責任者でも同じ判断ができるようになります。
□ 時間帯別売上を見ているか
一日の売上だけを見ても、本当の問題は分かりません。
ランチが強いのか。
夕方が弱いのか。
夜が好調なのか。
時間帯ごとに売上を分析することで、
「いつ人を減らせるのか。」
「いつ人を残すべきなのか。」
が見えてきます。
人件費管理は、一日単位ではなく時間単位で考えることが大切です。
□ デリバリー売上も含めているか
デリバリーを導入している店舗であれば、
店内売上だけを見て判断するのは危険です。
店内が落ち着いていても、
Uber Eats。
出前館。
Rocket Now。
これらの注文が続けば、厨房は忙しいままです。
現在の飲食店では、
店内だけではなく、お店全体の仕事量を見ることが必要になります。
□ 感覚でスタッフを帰宅させていないか
人件費管理で最も危険なのは、
「何となく今日は暇そう。」
という判断です。
感覚は日によって変わります。
店長によっても変わります。
しかし、数字は変わりません。
売上という共通の基準を持つことで、判断に迷うことがなくなります。
□ 店長でも判断できる仕組みになっているか
人件費管理がオーナーしか分からない状態では、お店は強くなりません。
理想は、
店長でも。
社員でも。
アルバイトリーダーでも。
同じ基準で判断できることです。
判断をルール化することで、属人化を防ぎ、安定した店舗運営につながります。
□ 人を減らしすぎていないか
人件費を下げることだけを目的にしてしまうと、
接客の質が落ちる。
料理の提供が遅れる。
スタッフに余裕がなくなる。
レビューが悪くなる。
リピーターが減る。
結果として、売上そのものを落としてしまうことがあります。
人件費管理は、
「一番少ない人数で営業すること」
ではありません。
「お客様に満足していただきながら、利益が最大になる人数で営業すること」
が本当の目的です。
人件費管理は「削減」ではなく「最適化」
このチェックリストを見ていただくと分かるように、人件費改善とは、単純にスタッフを減らすことではありません。
数字を見て、
現状を把握し、
適正な人数を配置する。
その結果として、人件費率も改善され、利益も残りやすくなります。
もし今回のチェック項目の中で一つでも改善できそうなことがあれば、ぜひそこから始めてみてください。
飲食店経営は、大きな改革よりも、小さな改善の積み重ねが結果につながります。
人件費管理も同じです。
一つひとつの判断を数字で行うことが、利益を残し続ける店舗づくりへの第一歩になると私は考えています。
11.まとめ

人件費は「削るもの」ではない。利益を最大化するために最適化するもの。
ここまで、人件費管理についてガブ飲み食堂で実際に行っている考え方や運用方法をご紹介してきました。
人件費という言葉を聞くと、
「できるだけ削減するもの。」
そう考える方は少なくありません。
もちろん、無駄な人件費を減らすことは大切です。
しかし、私は人件費を減らすこと自体が目的になってはいけないと考えています。
人を減らせば、その日の人件費率は一時的に良くなるかもしれません。
ですが、その結果、
料理の提供が遅れる。
接客の質が落ちる。
スタッフに余裕がなくなる。
お客様の満足度が下がる。
レビューが悪くなる。
リピーターが減る。
そうなってしまえば、人件費を削減した以上に売上を失うことになります。
それでは本当の意味で利益は残りません。
人件費は利益を生み出すための投資
私は、人件費を「コスト」ではなく、利益を生み出すための投資として考えています。
必要な時間に必要な人数がいるからこそ、
料理を早く提供できる。
笑顔で接客できる。
追加注文につながる。
また来たいと思っていただける。
その積み重ねが、お店の売上と利益を支えています。
だからこそ、人件費管理とは「人を減らす技術」ではありません。
利益を最大化するために、最適な人数を配置する技術なのです。
数字を見る経営へ
感覚だけで判断していると、
今日は帰す。
今日は残す。
その基準は毎日変わってしまいます。
しかし、
売上を見る。
時間帯を見る。
デリバリーも含める。
人件費率を振り返る。
こうした数字を基準にすれば、判断はブレません。
数字は、経営者の勘を補い、現場に共通の判断基準を与えてくれます。
ルール化すると現場が迷わない
数字を基準にしたら、次に必要なのはルール化です。
12時30分ならどうするのか。
19時ならどう判断するのか。
デリバリーはどう計算するのか。
こうした基準を決めておけば、
オーナーがいなくても、
店長でも、
社員でも、
アルバイトリーダーでも、
同じ判断ができるようになります。
仕組みがあるお店は、判断に迷いません。
そして、迷わない現場は強い現場になります。
最適化が、お店を強くする
数字を見て判断する。
ルール化する。
現場が迷わず動けるようになる。
その積み重ねによって、
人件費率は安定し、
利益が残りやすくなり、
スタッフの負担も減り、
サービス品質も維持できます。
そして、お客様の満足度が上がり、売上も伸びていく。
これが、ガブ飲み食堂が目指している人件費管理です。
飲食店経営は仕組みで強くなる
飲食店経営は、人の能力だけで成り立つものではありません。
どれだけ優秀な店長がいても、仕組みがなければ、その人がいなくなった瞬間にお店は弱くなります。
だから私は、
**「人が頑張る経営」ではなく、「仕組みで回る経営」**を目指しています。
人件費管理も、その仕組みの一つです。
数字を見て判断する。
ルールを作る。
改善を続ける。
その積み重ねが、利益を残し、スタッフが働きやすく、お客様にも選ばれ続けるお店をつくっていきます。
人件費は、削るものではありません。
利益を最大化するために最適化するもの。
この考え方が、飲食店経営を長く安定させるための土台になると、私は信じています。
この記事を書いた人 Wrote this article
新田 敏之 RBR合同会社 統括 / 男性
RBR(Restaurant Business Reform)代表。 鉄板焼きの現場で25年。 これまで数多くの飲食店の立て直しを中心とした経営改善に携わり、売上改善、商品開発、人材育成、オペレーション構築、デリバリー事業の立ち上げなど、現場に入りながら支援を行ってきました。 現在は「ガブ飲み食堂」を運営しながら、主力商品の開発・ソースや商品の卸事業、デリバリーFC事業の展開、そして飲食店の経営改善支援を行っています。 このブログで発信するのは、机上の理論ではありません。 すべて現場で試し、失敗し、改善を繰り返してきた実践知です。 料理だけでは、お店は続きません。 利益が残る仕組み、人が育つ環境、お客様に選ばれ続ける理由。 私は、その「経営」を一人でも多くの飲食人に届けたいと考えています。 飲食店を増やしたいわけではありません。 利益が残る飲食店を、一店舗でも増やしたい。 その想いを胸に、今日も現場で挑戦を続けています。